ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.15 9月28日 日本
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第15戦日本GP
■開催日:2008年9月28日(日)決勝結果
■開催地:栃木県/ツインリンクもてぎ(4.801km)
■観客数:60,000人
■周回数:24周(115.224km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:19度 ■路面温度:23度
■PP:J・ロレンソ(ヤマハ/1分45秒543)
■FL:C・ストーナー(ドゥカティ/1分47秒091)
REPORT
ロッシ今季8勝目を飾りチャンピオン決定!
【速報】
フィアット・ヤマハ・チームのV・ロッシは14周目にトップにたつとその後リードを広げC・ストーナー(ドゥカティ)に1.9秒差をつけ、今季8勝目を5連勝で飾りシリーズ3戦を残しチャンンピオンを決定した。チームメイトのJ・ロレンソは4位、テック3・ヤマハ・チームのC・エドワーズ、J・トーズランドはそれぞれ7位、11位だった。
予選4番手・2列目スタートのロッシ、スタート後は5番手で様子を見るレース運び。間もなくロレンソを抜き4番手に上がると、2周目にヘイデン(ホンダ)をパスし3位に。序盤は先頭を走るペドロサ(ホンダ)、続くストーナーにロッシが加わる3人の接近戦。やがてペドロサは後退し、ストーナーが先頭にたち、その直ぐ後ろにつけるロッシとの一騎討ちの展開。様子を見ていたロッシは、14周目ストーナーを抜きトップに浮上。その後後続とのリードを広げ最終的にストーナーに1.9秒差で優勝した。
ポール発進のロレンソは、ロッシがストーナーとのリードを広げていた頃、3番手のペドロサを追い上げる。終盤は0.2秒差まで追い上げ表彰台を狙うも、結局ペドロサは逃げきり3位、ロレンソは4位でチェッカーを受けた。
【レース展開】
フィアット・ヤマハ・チームのロッシが、日本GPで優勝を成し遂げ2008年シーズンのタイトル獲得を決定した。ロッシにとってはヤマハで3回目、最高峰クラスで自己通算6回目、また12年のキャリアを通じた全クラス通算では8回目となるタイトル。また2年のブランクを経て再びチャンピオンに輝いたのは、ジャコモ・アゴスティーニに続いてふたり目。最高峰クラス最多優勝回数の記録については、前回のインディアナポリスでそのアゴスティーニを上回りトップに立ったばかりだった。
チームメイトのロレンソも4位と健闘し、ロッシのチャンピオンばかりでなくヤマハのメーカー・タイトル、フィアット・ヤマハ・チームのチーム・タイトルも同時に決定した。
ロッシはフリープラクティス初日の金曜日、雨のなかで行われた第1セッションで2位と好調なスタート。一方、前回のインディアナポリスではウエットで大活躍したロレンソは、一時トップに立つなど絶好調。その後徐々に順位を下げたものの4位と健闘した。
午後になると天候が回復して路面はドライに変化。ロッシはこの変化によって、おもに低速コーナーでのフロント・グリップに不調を抱えることとなったが、依然として安定した速さをキープして3位。ロレンソはドライ・コンディションでペースがつかめず15位に後退した。
翌土曜日は明るい太陽に恵まれて気温も上昇。ロッシは午前中のセッションを3位で終えたが、ロレンソが、それを上回る絶好調の走りを見せる。夜を徹してマシンのセットアップに取り組んだ結果、ロレンソはフリープラクティス最終セッションで2位につけた。
公式予選でロッシは、残り20分の段階で予選タイヤを履き、その1本目でトップに浮上。しかしまもなくストーナーに抜かれ、さらにロレンソにも先行されて3位。ロッシはその後の2本の予選タイヤでもロレンソのタイムに届かず、また最終ラップでは多くのマシンに前方を阻まれたため更新ならず、最後にヘイデンに逆転されて4位となった。
ロレンソはミシュラン製予選タイヤの4本中、3本でタイムを更新。ライバルたちがすでにピットに戻り、ポールポジション獲得が決定していたが、最終ラップで1分45秒543のベストラップを叩き出し、現行のポールレコードを0.181秒更新した。ロレンソはシーズン開幕から3戦連続でポールポジションを獲得しているが、今回はそれ以来のベストポジション。
予報によれば決勝日も同じような天気になるとされていたものの、翌日曜日は雲がたれこめ、気温は19度。しかも時おり雨粒が落ちるコンディションとなった。スタートで飛び出したのはヘイデンとペドロサ。ロッシとロレンソはやや出遅れた。ロッシはスタート直後に4位につけていたが、1周目を終える時点でロレンソに先行されて5位に後退。しかしタイヤが暖まってくるとすぐにリズムをつかみ、2周目にはロレンソとヘイデンのミシュラン勢をパス。さらに前方のストーナーとペドロサに追いつくと、3台はその後の4ラップにわたって互いにコンマ数秒の差でバトルを展開した。
トップのストーナーは、フリープラクティスまでのペースよりも安定して速かったが、ロッシは真のチャンピオンの貫禄を見せつけるように6周目に1分47秒596のファステストラップを記録すると、ペドロサを抜いて2位に浮上した。するとストーナーは、翌7ラップ目には1分47秒329、8ラップ目には1分47秒281とさらにタイムを更新。ロッシはしかし1分47秒235のタイムでこれに応じた。ふたりは互いに順位を争いながら、ラップタイムにおいても激しいバトルを展開。そして最終的にはストーナーが1分47秒091を叩き出し、サーキット・レコードを更新した。
表彰台獲得でタイトルが決定するロッシだが、手を緩めることなく優勝を目指す。そして12周目までに0.4秒差まで詰め寄ると、ストーナーがいくらか疲れを見せ始める一方で、タイトルを目前にしたロッシは逆にますます力強さを発揮した。そして14周目についにストーナーをとらえてトップに立つと、そのまま一気に引き離し、そのラップが終了する頃には0.3秒ものアドバンテージを築き、最終的にはそれを2秒に拡大してチェッカーを受けた。
一方予選でポールポジションを獲得していたロレンソは優勝を狙っていたが、気温の低さで状況が変化し、前日までの速さをキープすることができずに厳しい戦いを強いられることとなった。2周目にロッシに抜かれて5位に後退したあとは、6ラップ後にヘイデンをパスして4位に浮上。さらに3位のペドロサまでに1.6秒差を詰めにかかる。
2台の差がコンマ2秒まで縮まった頃、2005年の250ccクラスでの好バトルの記憶がよみがえった。ロレンソはその最終ラップでペドロサ、デアンジェリスに挑み、デアンジェリスと接触して転倒リタイアに終わっている。ヘアピンでペドロサのインに飛びこんだ時、おそらくロレンソ本人の脳裏にもその思い出がよみがえったに違いない。2台はホイールを接触させて互いに火花を散らしたが、ロレンソは結局、ペドロサを捉えることができず4位でチェッカーを受けた。
テック3ヤマハ・チームのエドワーズとトーズランドは、それぞれ7位と10位。エドワーズは3列目から絶好のスタートを切り、その後もコンスタントにハイペースをキープして6位争いを展開した。レース後半を迎える頃、前を行くカピロッシとの差は3秒。これを着実に縮めると、ラスト2周までに0.5秒差に迫った。最終的にはパスするには至らず7位でレースを終えたが、エドワーズにとっては6月のアッセン以来のベストリザルト。また同時にランキングでも6位に浮上し自信を取り戻した。
一方のトーズランドはホプキンスとテールトゥノーズの激しいバトルを展開。トーズランドは15ラップにわたってホプキンスを抑えていたが、最終ラップで抜かれて11位に後退した。ふたりの活躍によって、テック3ヤマハ・チームはチーム・ランキングの4位をキープしている。
シリーズ戦は残り3戦。ロッシはこれを全勝すればシーズン11勝をあげることとなり、ヤマハ2年目の2005シーズンの自己記録と並ぶこととなる。また今回の勝利は、最高峰クラスで70回目、他クラスも含めれば96回目の記録であり、148回目の表彰台であった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 43'09.599 |
2 | C・ストーナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1.943 |
3 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 4.866 |
4 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 6.165 |
5 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 24.593 |
6 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 25.685 |
7 | C・エドワーズ | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 25.918 |
8 | 中野真矢 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 26.003 |
9 | A・ドビツィオーゾ | JiR Team Scot MotoGP | Honda | 26.219 |
10 | J・ホプキンス | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 37.131 |
11 | J・トーズランド | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 37.574 |
12 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 38.02 |
13 | M・メランドリ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 39.768 |
14 | S・ギュントーリ | Alice Team | Ducati | 45.846 |
15 | A・ウエスト | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 55.748 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | V・ロッシ | Yamaha | 312 |
2 | C・ストーナー | Ducati | 220 |
3 | D・ペドロサ | Honda | 209 |
4 | J・ロレンソ | Yamaha | 169 |
5 | A・ドビツィオーゾ | Honda | 136 |
6 | C・エドワーズ | Yamaha | 118 |
11 | J・トーズランド | Yamaha | 90 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Yamaha | 341 |
2 | Ducati | 261 |
3 | Honda | 259 |
4 | Suzuki | 159 |
5 | Kawasaki | 77 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(優勝)
「とてもうれしい勝利、達成感でいっぱいだ。今日の優勝は、2004年にヤマハで初めてタイトルを獲得したときと同じくらいに、いや、やっぱりそれ以上にうれしい気分! 長い間、チャンピオンの座から離れていたし、僕だけでなく、チームにとってもヤマハにとっても大変厳しい時期だった。それでも皆、懸命に仕事を続け、一度としてあきらめたことはなかった。
今シーズンはどのサーキットへ行っても、またどんなコンディションになっても、素晴らしいマシンを準備することができた。そのおかげで僕はこのような走りができたし、多くのレースで勝つことができた。今は本当に幸せな気分だ!今日は厳しいバトルになり、力を100%出し切らなければならなかった。ペドロサとストーナーはとても手強くて、彼らとのこうした戦いは楽しかったし、それをファンのみなさんにお見せできたこともうれしかった。そして2001年、2004年と同様に、優勝でタイトルを決められたことが、何より満足だ。
今までのすべてのタイトルのなかで、今回ほど厳しい戦いはなかったと思う。だからこそ、ヤマハ、メカニック、チーム、僕を支えてくれたすべての人に感謝の気持ちを伝えたい。そしてもちろん、シーズンを通じてタイヤを提供してくれたブリヂストンには"特別"のお礼を言わなければならない。彼らの仕事が、今回の成功に大きな役割を担ってくれたことは間違いないからだ。2年間タイトルから離れていて、今シーズンも僕はチャンピオン候補には数えられていなかったかもしれない。でもこれで、我々が素晴らしいチームであるということ、そして決してあきらめないチームであることを証明できたと思う。
今、ヤマハで3つめのタイトルを獲得できたことを非常にうれしく思っている。というのも、これが僕にとっての最後のチームでのタイトルだからだ。そして、ヤマハもそのことを感じていてもらえれば光栄だ。僕はヤマハのライダーだ。今までのどこのチームとも違う気持ちでここに居る。これからももっと一緒にいられるようにと望んでいる。これからはまた、世界チャンピオンである自分に慣れていかなければならない!」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督
「素晴らしい! 彼はいつも、我々を驚かせてくれる。すでに5年間も一緒に仕事をしてきたことになるが、彼がコースで見せるパフォーマンスは、いつも僕らを圧倒する。今シーズンは、バレンティーノの強さを改めてアピールするものになった。とくに2年間もタイトルから遠ざかり、厳しい時期を過ごしたあとで、こうしてまたここまでの仕事ができるというのは信じられないようなことなのだ。
昨シーズンが終わったあと、我々チームとしては、マシンを改良すること、速くすることがどうしても必要だと感じていた。それにヤマハがしっかりと応えてくれたのだ。もちろん、バレンティーノも冬の間に、ブリヂストンとともに懸命に頑張った。その結果として万全の態勢で開幕を迎えることができ、またシーズンが進むにつれてどんどん良くなっていった。2006年と2007年の経験が、僕らを強くさせてくれたと思う。とくにバレンティーノとヤマハとの絆が深まった。あのときの苦労をもうしたくないという気持ちが強かった分だけ、今年は勝利へのモチベーションが高まったということもあっただろう。
バレンティーノに、チームのみんなに、そしてヤマハのエンジニアに"おめでとう!" それからブリヂストンに、フィアットに、そしてすべてのスポンサーとパートナーに"ありがとう!" またホルヘのチームとテック3の健闘にも祝福の気持ちを贈る。彼らは、我々の3冠獲得に大いに貢献してくれた」
J・ロレンソ選手談(4位)
「今日はこの4位に非常に満足している。できる限りのことはすべてやったからだ。ダニをパスするにはバックストレート前のヘアピンが唯一のチャンスだったが、僕としても本当に一生懸命に頑張ったつもりだが、結局抜くことができなかった。
昨日の時点では優勝のチャンスもあると自信を持っていたが、今朝になって天気を見て、昨日よりもずっと寒くなっていたので、そう簡単にはいきそうもないということがわかった。路面温度も低くて、ミシュランにとっても僕にとってもこのことが問題になった。僕はまたしてもスタートで出遅れて順位を下げてしまったので、これは今後の課題になる。
いつものように全力で僕を支えてくれたチームに、そしてミシュランには感謝している。またバレンティーノとそのチームのスタッフに大きな大きな祝福を!彼らは、ほとんど不可能なことをやってのけたのだと感じている。そしてヤマハのチームに関わったすべての人のおかげで、チーム・タイトルとメーカー・タイトルも手にすることができた。その快挙のために、1年目の僕が少しでも役に立てたと思えば、とても幸せだ」
D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督
「昨日の公式予選が終わった時点では、もっと上の成績を狙っていた。その期待通りにはならなかったが、ホルヘは本当によくやってくれた。ベストを尽くしてくれたのだ。ペースもとても速かったし、走りはアグレッシブだった。ただ、天気が昨日までとは違って路面温度が低かったことが戦いを難しくしたということだ。マシンのセッティングは素晴らしかったのでチームの皆の仕事ぶりには感謝している。しかしスタートについては、これからまだ改善するべきところがあるようだ。
バレンティーノの、こんなに早い世界チャンピオン決定おめでとう! また我々としても、チーム・タイトル、メーカー・タイトルと併せて3冠の獲得に貢献できたことを誇りに思う」
C・エドワーズ選手談(7位)
「スタートがうまくいって、バレンティーノとホルヘの後ろにつけて第1コーナーに進入。過去にはここで何度かアクシデントに巻き込まれているので、今日はうまくいってほっとした。そのまま順調に行こうとしたところで、フロントホイールがまっすぐ僕のほうを向いているのを見ることとなった!それはドビツィオーゾのものだったが、幸い何事もなくやり過ごすことができた。
1周目はとにかくリアタイヤを暖めようと必死になっていた。暖まってくるとペースも上がり、その頃になるとカピロッシがまた近づいて来た。僕は懸命にプッシュを開始すると、またリアがスピンするようになってしまったが、そのうちにカピロッシのほうがミス。1コーナーで縁石に乗り、もう少しでダートに出てしまいそうだった。そのとき僕は彼のテールにつけていて、その後もそのままのような感じにさえ見えたが、それでもバトルは楽しかった。もうちょっとで彼のリアタイヤに届こうというところだったが、結局それ以上のことは何もできなかったんだ。
彼のマシンはコーナー立ち上がりがとても速い。僕はただそれを見ていることしかできず、気分はかなり落ち込んだ。彼のインに飛び込むまでに近づくことはできなかったし、タイヤのスピンの問題で、コーナー立ち上がりで彼に並ぶまでの十分なグリップを得ることができなかったことが原因だ。自分としては全力を尽くしたが、コーナースピードを上げることができない分、ブレーキングをできるだけ遅らせてフロントに負荷をかけ、勢いをつけるしかなかったんだ。7位という結果は望んでいたものとは違うが、自分なりに頑張れたことには満足している。こんなふうに思えたのは久しぶりなので、残りの3戦に生かしていきたい」
J・トーズランド選手談(11位)
「毎ラップ、全力で走った。そして最後までミスなく、コンスタントに走りきることができた。それだけに、金曜日のフリープラクティスでドライ・コンディションの時間が少なかったことが、やはり残念だったという気持ちが残る。あとコンマ数秒で5位に追いつけたから、その差はドライのセッションがあれば詰められたはずだ。でも、上位のライダーたちはみなとても安定していて、実際には、その差を縮めることは難しかった。
今の僕にとっては、雨の日が1日あると、ペースをつかむのが大変だ。初めの頃はコーリンや真矢が近くにいたが、僕はずっと、フルバンク時のリアショックのグリップ性のことで悩んでいた。できるだけのことはやったが、それでもまだ、コーナー出口で遅れてしまい、他のみんなが離れて行ってしまうんだ。このコースはストップ&ゴーの特徴があるので、コーナー立ち上がりが順調ならば有利になる。それだけでコンマ数秒はすぐに上げられるはずなんだ。
決勝では何とか10位に入りたかったが、最終ラップの第1コーナーでホプキンスが飛び込んで来た。次のストレートで抜き返そうとしたが、結局届かなかった。それまで一生懸命に頑張ってポジションをキープしてきたのに、最後に抜かれてしまったのは非常に残念。ただ、これからの3戦はいずれも走ったことのあるサーキットだから、もう少し順位を上げてシーズンを締めくくりたい」
H・ポンシャラル・テック3・ヤマハ・チーム督談
「まず初めにヤマハとバレンティーノにおめでとう、を言いたい。ヤマハは今、素晴らしいマシンと素晴らしいチャンピオンを得たことになる。しかもそれをヤマハの本拠地である日本で達成した。その一方で、我がチームの頑張りにも非常に満足している。コーリンはこのところ難しい戦いが続いていたが、今日はシーズン中、最もいいレースだったと言ってもいいだろう。彼は最後まで懸命にプッシュし続け、一時はカピロッシをパスして6位を獲得できるように思われた。
また今日の頑張りによって、ランキングをひとつ上げられたことはうれしいことだ。そしてチーム・ランキングにおいてもスズキとの差を詰めることができた。ミサノ、インディアナポリスのあと彼は、ようやく本来いるべきところへ戻ってきたのだと思う。ジェームスもまた、いつものように力強いレースを見せてくれた。今回も初めて走るコースだった上に、また雨が降ってかなり苦労したようだ。でも総合的に見て、ふたりが本当に全力を尽くして戦ってくれたということが、我々チームにとっては重要なこと。今は次のオーストラリアで、さらに順位を上げていこうと楽しみにしている」
中島雅彦フィアット・ヤマハ・チーム総監督
「チャンピオンシップに王手をかけた状態で日本GPを迎え、我々にとっては大きなプレッシャーがかかるレースウィークとなりました。
コースコンディションやライバル勢の攻勢が激しく、予選段階から厳しい状況が続きましたが、ライダー、チームスタッフの頑張りで、納得のいくレースができたと思います。マシンのセットアップに終わりはありませんが、限られた時間、状況の中で、昨日から今日にかけてチームとしてやるべきことをやり尽くし、戦闘力を高めたマシンをライダーに託すことが出来たと思います。そしてロッシ選手らしいライディングで、見事その期待に応えてくれました。
ライダー、メーカー、チーム、3つのチャンピオン奪還を目指して始めた今シーズン、3つの目標を日本で達成できたことで、少し肩の荷が降りた気がします。とは言え残り3戦、まだまだ気を緩められない状況ですので、新たな気持ちでレースに臨み、今回得たものを次に繋げていきたいと思っております」