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Yamaha Motor Revs Your Heart

レース情報

ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)

ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。

Rd.12 8月17日 チェコ

RACE DATA

■大会名称:MotoGP第12戦チェコGP
■開催日:2008年8月17日(日)決勝結果
■開催地:チェコ共和国/ブルノ(5.403km)
■観客数:146,133人
■周回数:22周(118.866km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:20度 ■路面温度:29度
■PP:C・スト―ナー(ドゥカティ/2分11秒657)
■FL:C・スト―ナー(1分57秒199)

REPORT

ロッシが今季5勝目を飾る!

〔速報〕

フィアット・ヤマハ・チームのV・ロッシは7周目、先行するストーナー(ドゥカティ)の転倒でトップに躍り出るとその後は1分58秒台の安定したペースで独走、今季5勝目を飾った。チームメイトのJ・ロレンソは最後尾スタートから追い上げ10位。テック3・ヤマハ・チームのトーズランドとエドワーズは13位・14位だった。

ストーナーのホールショットで開始の決勝22周。ロッシは3番手で1コーナーに進入、その後1人抜いて1周目の中頃に2番手に上がる。1周目を終えてストーナーとロッシの差は既に約1秒。2人の差はその後1.3秒前後まで広がるが、2人とも57秒台というハイペースで後方グループをどんどん引き離す展開。2人の差が1秒に縮まった周の次の7周目、ストーナーはロッシの前で単独転倒しリタイヤ。これで首位に立ったロッシは、その後最終ラップを除く15周に渡り、刻んだように1分58秒中盤の安定したペースで快走、大差で優勝を飾った。

雨の予選でクオリファイタイムを記録できず、最後尾発進となったロレンソ。序盤は2分を切れずリズムにのれなかったが、エドワーズをパスすると、次第にリズムをつかみトーズランドとペドロサを捉え、8周目には59秒台に突入し12番手に浮上。その後はタイムも向上し次の集団との差を縮め、21周目はロッシに迫る58秒台後半で力走、最終ラップではギュントーリとホプキンスをゴールライン手前でパスして10位をもぎ取った。

〔レース展開〕

フィアット・ヤマハ・チームのロッシは、第12戦チェコGPで今季5度目の優勝。チャンピオン争いのライバル、ストーナーが転倒リタイアとなったことから、ロッシはチャンピオンシップのリードを50ポイントに拡大した。チームメイトのロレンソは難しい状況のなかでベストを尽くしグリッドポジションから7つ上げて10位でチェッカーを受けた。

モトGPは、夏季休暇を終了してこの金曜日、あたたかい太陽と気温28度という理想的な天候に恵まれブルノで再開。前回のラグナセカで見事な優勝を果たしたばかりのロッシは、フリー走行初日をストーナーに続く2位で終えた。新しく舗装された路面が不安定要素となるなか、好調に走行。午前中の第1セッションはトップタイムを記録していた。土曜日は雨が予測されていたため、第2セッションではタイヤに関するセッティング・プログラムを可能な限り進めようと様々なコンビネーションが試された。その結果、さらにコンマ5秒ペースが上がったが、ストーナーに0.179秒先行されて2位となったのだった。

チームメイトのロレンソは、休暇の間に、ラグナセカでの足の骨折を十分に治療。ブルノに到着したときには松葉杖も不要となり、初日の走行は痛みを感じることもなかった。マシンに乗った状態では、本来の力の90%ほどまで回復しており自信をもって臨んでいたが、1日目はフロントエンドのグリップ性に問題を抱え11位に留まった。

土曜日になると気温は12度まで低下、路面温度も14度に留まった。夜中、激しい雨が降り続いたため午前中のフリープラクティスはディープ・ウエットのなかで行われ、ロッシは5位。午後になるとさらにコンディションは悪化。公式予選のセッションは、序盤の10分がベストコンディションで、その後は雨量が増加してタイム更新は期待できなくなった。ロッシのブリヂストン製レインタイヤは好調で、序盤のうちに安定して好タイムをキープ。予選2位のタイムを記録し、今季7度目となるフロントロウを獲得した。

ロレンソのほうは難しいコンディションに苦しんで最後尾。シーズン開幕当初の連続ポールポジション獲得とは全く状況が異なり、決勝での厳しい展開を強いられることとなった。ロレンソは公式予選序盤で、コースが最も乾いていた時間帯にグリップ性向上を追求するためのセッティングに取り組んでいた。その後はコンディションの悪化に加え、タイヤへの信頼感が得られないまま終盤を迎えることとなってしまったためタイム更新はならなかった。ベストタイムの2分23秒701は予選通過基準の107%に満たなかったが、テック3・ヤマハ・チームのトーズランドとともに出場を許可された。トーズランドのチームメイト、エドワーズは、このコンディションのなかでグリップ不足に悩み、予選は予想外の15位に留まった。

決勝日は天候が回復。太陽が戻り、気温20度、路面はドライになり29度、湿度33%と絶好のコンディション。観客にとっても素晴らしい天気に恵まれ、例年通りイタリア、ハンガリー、オーストリア、ドイツなど周辺の国々からも大勢のファンが詰めかけ、コースを取り巻く草地の丘を146,133人もの観客が埋めた。

決勝は、ストーナーがスタートダッシュ。ロッシは1コーナー進入でホプキンスに抜かれ、1周目からハードな追い上げを強いられる。まもなくホプキンスをパスして2位に復帰したロッシはストーナー追撃を開始するが、ストーナーはすでにリードを広げつつあり、1周目を終了した時点で1.142秒の差ができていた。5周目までにその差はわずかに広がって1.339秒となったが、ロッシもペースを上げて1分57秒228をマーク。その差をコンマ3秒まで短縮した。

ストーナーよりも硬めのタイヤを選択し、レース終盤での勝負にかけていたロッシは、じわじわとプレッシャーをかけ続けたが、その効果は予想以上に早く達成されることとなる。ストーナーは7ラップ目、高速右コーナーでフロントが十分にグリップせず、ハイスピードのままグラベルへ。これでトップに立ったロッシはゴールを目指してまっしぐら。この時ピットボードには2位のバーミューレンとの差12秒と記されていた。表彰台争いはその後、エリアスとカピロッシのふたりのバトルへと変わったが、その間にロッシはさらにリードを拡大。2位のエリアスに15秒の差をつけて、圧倒的な強さで優勝を果たした。

一方のロレンソは最後尾スタートから7つポジションアップ。10位獲得と健闘した。ウイークを通じてタイヤのグリップ不足に悩まされていたが、3周目にはエドワーズをパス。その後6周目までにド・ピニュエが転倒、さらにもう1台をパスして14位まで挽回した。トップのロッシよりも2秒も遅いペースながら、安定して良いリズムをつかんでいたロレンソは、8周目にペドロサをパス。その後も周回を重ねるに連れてグリップ・レベルが向上し、ラスト2周目には1分58秒995のレース中の自己ベストを記録、ギュントーリとホプキンスの背後に迫ることに成功した。そして迎えた最終ラップ、1分59秒570でハイペースをキープしたロレンソはゴールライン直前で2台をパス、貴重なポイントを獲得した。

テック3・ヤマハ・チームのトーズランドとエドワーズは、厳しい状況の中で力走し、13位、14位となった。最後列発進のトーズランドは、スタートでうまく飛び出し1周目に2つ順を上げる。その後は懸命な走りで、今季9度目のポイント獲得となった。

エドワーズは、グリップに問題を抱えながらの決勝。序盤はトーズランドと接近して走行したが、結局14位でゴール。ランキング4位のロレンソに対し18ポイント差となったが、依然ランキング4位争を争える位置に留まった。

なおロッシにとって今回の優勝は、最高峰クラスで67回目の優勝となり、これはアゴスティーニが持つ記録にあと1レースと迫った。ストーナーに50ポイントの差でランキング首位につけて、次戦ミサノでの地元GPを迎える。

RESULT

順位 ライダー チーム マシン タイム
1 V・ロッシ Fiat Yamaha Team Yamaha 43'28.841
2 T・エリアス Alice Team Ducati 15.004
3 L・カピロッシ Rizla Suzuki MotoGP Suzuki 21.689
4 中野真矢 San Carlo Honda Gresini Honda 25.859
5 A・ウエスト Kawasaki Racing Team Kawasaki 29.465
6 C・バーミューレン Rizla Suzuki MotoGP Suzuki 30.608
7 M・メランドリ Ducati Marlboro Team Ducati 36.453
8 A・デ・アンジェリス San Carlo Honda Gresini Honda 36.75
9 A・ドビツィオーゾ JiR Team Scot MotoGP Honda 38.822
10 J・ロレンソ Fiat Yamaha Team Yamaha 39.573
11 J・ホプキンス Kawasaki Racing Team Kawasaki 39.61
12 S・ギュントーリ Alice Team Ducati 40.892
13 J・トーズランド Tech3 Yamaha Team Yamaha +1'11.490
14 C・エドワーズ Tech3 Yamaha Team Yamaha +1'21.133
15 D・ペドロサ Repsol Honda Team Honda +1'37.038

LAP CHART

RIDERS RANKING

順位 ライダー マシン ポイント
1 V・ロッシ Yamaha 237
2 C・ストーナー Ducati 187
3 D・ペドロサ Honda 172
4 J・ロレンソ Yamaha 120
5 A・ドビツィオーゾ Honda 110
6 C・エドワーズ Yamaha 102
11 J・トーズランド Yamaha 75

CONSTRUCTORS RANKING

順位 コンストラクター ポイント
1 Yamaha 266
2 Ducati 212
3 Honda 210
4 Suzuki 128
5 Kawasaki 63

COMMENT

V・ロッシ選手談(優勝)

「今回はプラクティス初日の金曜日からマシンが好調だったので、自信を持って決勝に臨んだ。今朝のウォームアップ終了後にジェレミーと相談して細かなモディファイを行い、コースのいくつかの場所でさらに速く走れるようになっていたんだ。スタート直後、ホプキンスを抜くのにコンマ5秒ほど遅れてしまった。そして、この時のケイシーは、まるでもう10ラップ走った後のように、すごいスピードを見せていたんだ。少し焦ったけれど、2周も走ると僕のマシンも絶好調だということが分かってきて、十分に彼を捉えることができると確信。徐々に彼に近づいて、赤いマシンがどんどん大きくなってきた頃、彼はおそらくさらにプッシュしてペースを上げようとしていたのだろう。そしてミスをしてしまったんだ。僕としては彼をパスしても厳しい戦いになるだろうと思っていたので、赤いマシンがコースの外へ滑っていくのを見たときには信じられない気持ちだった。

これで戦いはとても楽なものになったんだ!その後はライディングを楽しみ、ブリヂストン・タイヤとYZR-M1は最後まで好調だった。ケイシーが転倒してしまったのだから完璧な勝利だとは思っていないし、彼には気の毒なことだった。でもこれがレースというものなのだから、喜ばなければならないと思っているんだ。50ポイントのリードは大きい。この状態でミサノを迎えるのはとっても楽しみだ。

しかし、50ポイントが必ずしも十分というわけではないことはよく承知している。ケイシーのような手強いライバルがいれば、最後まで決してリラックスすることをできない。このあとは2日間にわたってテストを行い、より早くスロットルを開けるための新しい電子制御システムを試すことになっている。もちろんブリヂストン・タイヤもね」

D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督

「非常に価値のある優勝だ。バレンティーノはスタート直後、ストーナーに離されすぎないようにとよく頑張ってくれた。その後差を縮めていってプレッシャーをかけると、ストーナーは不運にも転倒してしまったのだ。当然、これで我々は大いに楽になった。このあとも集中力を切らすことなく、この調子をキープしていかなければならない。2回連続で素晴らしいレースができたので、その自信はあるんだ。2日間のテストは、今後の6レースのために非常に重要なものとなるだろう。次のミサノはチームのホームGPとなるので、昨年の雪辱を果たしたい」

J・ロレンソ選手談(10位)

「ポテンシャルは十分だっただけに少し残念なレースだった。でもこのレースウイークを振り返ってみれば、フロントタイヤの問題などもあったのだから、やれることはすべて精一杯にやったのだという気持ちもある。スタート直後はリスクをおかしたくなかったし、フロントタイヤのフィーリングが周回ごとに悪くなっていくのがわかった。でもその一方でリアタイヤのほうは周回ごとに良くなっていたんだ!問題は確かにあったが、ミシュランが最大限の努力をしてくれていることも十分に承知している。だからこのあとのテストで、何とか成果をあげられるように頑張りたいと思う。チームのみんなにありがとう、そしてバレンティーノの優勝におめでとう、それから最後にエリアスの表彰台を祝福したい」

D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督

「10位に満足するわけにもいかないが、今日はこれ以上のことはできなかっただろう。ホルヘは素晴らしい仕事をしてくれて、レース中盤はとてもいいリズムで走ることもできた。そして最後まであきらめずに順位を上げていき、貴重なポイントを獲得することができたのだ。レースはまだたくさん残っており、チームのモチベーションは依然として高い。明日はミシュランと協力し合って、今回の問題点を分析し解決策を探していきたい」

J・トーズランド選手談(13位)

「厳しいレースで、この結果は我々が望んでいたものではなかった。15位あたりでレースをすることなど僕自身ももちろん望んでいないし、チームもヤマハもがっかりしたことだろう。どんなことがあってもコースへ出て行って全力を尽くすことが僕の仕事。今日もその通りのことをしたつもりだ。でも十分ではなかったんだ。落ち込んでしまうことは簡単だが、僕はそういうタイプのライダーじゃないからね。

スタートはとてもうまくいったので満足しているが、序盤の数ラップはフロントタイヤに問題が出てしまった。その時点ですでに僕は全力で頑張っていて、それ以上のことはできなかったんだ。今日の結果でランキング10位から外れてしまったことが非常に悔しい。トップ10獲得がシーズン開幕前の目標だったからね。これからはチーム一丸となってさらに懸命に頑張っていきたい。そしてタイヤの問題がなるべく早く解決し、またトップ10に返り咲こうという熱意をキープしていたい。コーリンは僕よりももっと大変な問題を抱えていたので大変だったと思うが、いずれにしても今の僕らの状況はこういうこと。誰もがベストを尽くして戦っているが、その上で今後の展開を見守っていきたい」

C・エドワーズ選手談(14位)

「トーズランドがフロントタイヤに問題を抱えていることは、見ていてすぐにわかった。僕のほうは、タイヤに関して自信がなくて、ハードにプッシュしていくことができなかった。頑張れば頑張るほど空回りするような感じだったんだ。その後、さらに状況が悪化したため、トーズランドが楽に僕を置き去りにするような形になった。懸命に僕をサポートしてくれるチームのために、何とかしてついていきたいと思ったし、ベストを尽くした。今の僕は彼らに感謝するばかりで、他に何もできないのが悔しいんだ。

終盤に向けては、少しだけリスクをおかし少しペースを上げた。しかし誰かに追いつけるというような状況でもなかった。このところ不調が続いているが、ランキングでは依然として4位争いに絡んでいる。僕としてはもちろんこれからもベストを尽くして戦っていくが、そのためにはミシュラン・タイヤの大幅な性能向上が不可欠だと言わざるを得ない。開幕当初の好発進は、もはや遠い過去のことのように思える。今の状態ではライディングさえ楽しめないので、ミシュランとともに問題を解決していきたい」

H・ポンシャラル、テック3・ヤマハ・チーム監督

「ラグナセカでの不運は夏休みの間に忘れて、このブルノは積極的な気持ちで臨めるものと思っていた。しかし残念ながら、今回もまた非常に厳しい戦いになることが、ウイーク初日の第1セッションで、もう分かってしまった。タイヤに関してはありとあらゆるセッティングを試してみたが、結局はうまくいかなかった。とくに予選がレインになったため順位が上がらず、かなり後方からのスタートになってしまった。

後ろから2列目では当然、厳しい戦いになるが、2人とも力をすべて出し切って最後まで頑張った。そして貴重なポイントを獲得してくれた。しかし開幕当初を振り返ってみれば、こんなことはあり得なかった。ポイントを獲得できたことは良かったが、今後に向けて皆で何度も話し合い、解決策を探っていかなければならない。今はランキングでも少しずつ後退していっている状況なので、チームとしてはとても辛い気持ちなんだ」

中島雅彦フィアット・ヤマハ・チーム総監督談

「チェコGPが開催されるブルノは首都プラハから南東200kmに位置します。サーキットは高低差が大きく、切返しと回り込んだコーナーが連続したテクニカルコースです。今年は路面の全面張替えが施され為、昨年までのデータ通りには行かない難しさがあり、雨の予選ではタイヤブランドにより明暗が分かれる結果となりました。マシンは旋回性に加え、アップダウンに対応できるバランスが要求される為、我々もデータと格闘しながらギリギリの調整を続けました。

レースは前回同様ロッシ選手とストーナー選手の一騎討ちとなりましたが、序盤の7周目に先行するストーナー選手が転倒リタイヤ、既に2位以下に12秒以上の差を築いていたロッシ選手が余裕の独走で今季5勝目を上げ、チャンピオンシップのポイント上は少し余裕が出来ました。チームメイトのロレンソ選手、テック3・ヤマハ・チームのエドワード選手、トーズランド選手はタイヤ選択に苦しみましたが、全員ポイント獲得と健闘してくれました。約3週間のサマーブレーク後のシーズン後半戦を良い形でスタートすることが出来たことで、今後に弾みがつきます。次戦サンマリノGPはロッシ選手にとっては今年2回目のホームGPとなります。昨年の雪辱を果たすべく我々も全力でサポートしたいと思います」

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