ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.11 7月20日 アメリカ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第11戦USGP
■開催日:2008年7月19日(土)予選結果
■開催地:アメリカ/ラグナセカ・スピードウェイ(1周3.610km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:23度 ■路面温度:36度■PP:C・スト―ナー(ドゥカティ/1分20秒700)
REPORT
USGPでロッシが2番グリッドを決める
フィアット・ヤマハ・チームのV・ロッシは予選2位となり今季6度目のフロントロウを獲得した。ロッシは昨晩、ヤマハとの契約をさらに2年間更新することを発表したばかり。明日はこのコースでの初優勝を達成してこれを祝いたいところだ。
朝方に深い霧がたちこめたラグナセカ。午前中のフリープラクティス第3セッションは非常に気温が低いなかで行われロッシは2位で終了した。午後になるとカリフォルニアの太陽が顔を見せて気温も上昇。ロッシはコンスタントにハイペースをキープし、サスペンションのセッティングについても改善が見られるようになった。そして公式予選残り6分というとき、ブリヂストンの予選タイヤで好タイムをマークすると2位に浮上。その後また順位を下げる時間帯もあったが、最終ラップには再度タイムを更新して2位を獲得した。
チームメイトのJ・ロレンソは、初めてのUSGPをグリッド2列目からスタートする。ウイーク2日目の今日は、マシン・セッティングの面で大幅に前進、午後から行われた公式予選で4位を獲得した。ロレンソは今アメリカでの初レースを非常に楽しみにしている。
気温が依然として低いなかで行われた午前中のフリープラクティスでロレンソは昨日のタイムをコンマ5秒短縮して好調ぶりを見せた。これで自信をつけて公式予選に臨み、終盤になってミシュラン製予選タイヤを履くと好タイムを続出。最終的には昨年のポールレコードを上回るタイムを記録して4位まで浮上した。
テック3・ヤマハ・チームのJ・トースランドとC・エドワーズは、それぞれ予選5位と7位を獲得。トースランドは終盤のタイムアタックで1分21秒848をマークして3位に上がったが、その後逆転されて5位。わずか0.4秒差でフロントロウを逃した。このところの不運を払拭して自信を取り戻してきたトースランドは、気温の低めだった予選セッションで柔らかめのタイヤを選択して上位を目指していた。
一方のエドワーズは、ラグナセカのバンピーな路面に手を焼き7位で3列目スタート。開幕以来、続いていた予選6位以内の記録がここで途切れることとなった。セッション終盤まで10位以下に留まっていたが、最後の予選タイヤでのアタックで5つポジションを上げる健闘を見せた。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'20.700 |
2 | V・ロッシ | FIAT Yamaha Team | Yamaha | 1'21.147 |
3 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 1'21.430 |
4 | J・ロレンソ | FIAT Yamaha Team | Yamaha | 1'21.636 |
5 | J・トーズランド | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'21.848 |
6 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'21.921 |
7 | C・エドワーズ | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'21.947 |
8 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'21.971 |
9 | A・ドビツィオーゾ | JiR Team Scot MotoGP | Honda | 1'21.974 |
10 | T・エリアス | Alice Team | Ducati | 1'21.999 |
11 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'22.039 |
12 | 中野真矢 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'22.092 |
13 | B・スピース | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'22.127 |
14 | S・ギュントーリ | Alice Team | Ducati | 1'22.719 |
15 | M・メランドリ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'22.957 |
16 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda | Honda | 1'23.035 |
17 | J・ハッキン | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'23.309 |
18 | A・ウエスト | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'24.525 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(予選2位/1分21秒147/38周)
「良い仕事ができて今日の結果にはとても満足している。午前中はとても寒かったけれど、いくつかの面で進歩が見られた。とくにセスペンション・セッティングが良くなったのでペースを上げられるようになったんだ。午後は決勝を想定したロングランを行い、タイヤの状態を把握することできたことも良かったと思う。前後ともに好調だが、このコースはタイヤへの負担がとても大きい。体力的にも厳しいものになるので、明日は僕にとっても大変な挑戦だ。予選2位はとても良い結果だと思うし、今回はこれまでの何戦かと比べてもプラクティスが非常に順調に進んだから満足しているんだ。ケイシーはとても速くて、どうすれば彼に勝てるのかまだ分からない...多分、30秒前にスタートさせてもらわなければならないかも! でも、レースではどんなことも起り得る。スタートさえうまくいけば、あとは必死でついて行ってプッシュし続けるだけ」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「フロントロウを獲得できて良かった。これが今回の第一の目標だったので、今は満足している。ペースは十分に速いのだが、チームとしてはそこで終わりではなくて、常に前進することを考えている。我々よりも明らかに速いライダーがいるので厳しいが、レースは決して予測のつかないもの。とにかく彼について行くこと、そして戦うことだ」
J・ロレンソ選手談(予選4位/1分21秒864/27周)
「ミシュランの予選タイヤが非常に良かったことと、自分自身の走りにも満足できた。初めて走るコースで2列目ならとてもいいと思う。決勝用のタイヤについてもチョイスはほぼ決まっているが、かなり硬めなので、なかなか暖まらないことが難点。今日は大分改善できたが、依然としてトップからは大きく離されているので、明日は厳しいレースが予想されるし、とくに序盤、タイヤがある程度暖まるまではペースを上げるのが難しいだろう。コースのなかで最も難しいのが第1コーナー。ここにくると未だにフィーリングがうまくつかめないので、明日のウォームアップで少しでも改善したい。それ以外のところでは、僕はやっぱりこのコースを走るのが楽しくて仕方がない! 明日はベストを尽くしてレースをエンジョイしたい」
D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「今日の作業は非常にうまくいった。午前中のセッションでリアグリップの問題を解決し、午後からはまた一歩先へと進むことができたのだ。チーム・スタッフの努力でベース・セッティングの変更に成功し、ホルヘもマシンに対する信頼感を取り戻してくれたようだ。もちろん、課題はまだまだ残っていて、とくにコーナー進入では難しいところもある。そしてその点については明日のウォームアップを使って少しでも改善していきたいと思っている。ミシュランの予選タイヤはホルヘも気に入ったようで、チームとの協力の下で4位という結果を得ることが出来た。初めて走るこのコースでここまで来られれば、すでに十分な成果だと言えるだろう。明日はいいレースを期待している」
J・トースランド選手談(予選5位/1分21秒848/27周)
「セットアップの面では、予選タイヤを履けばグリップが上がってくることがわかっていて、このあたりまではポジションを上げる自信があった。このコースで21秒台というのは楽ではないが、それが達成できたことをうれしく思っている。チームが僕のために頑張ってくれたおかげ。これで前の2回のバッドラックを完全に振り払うことができたと思う。全員で心をひとつにして目標に集中し、誰ひとりとしてあきらめる者がいなかった。その結果としてこうしてグリッド2列目を獲得することができたのだ。最後のタイヤを履いて出て行ったとき、21秒9が3位だったのを確認している。ラインを通過すると21秒8と出たので、2列目には行けるだろうと思ったんだ。予選タイヤでこのコースを2ラップできるが、2ラップ目は第1コーナーではらんでしまって、その後は挽回することができなかった。最初のタイムで何とか2列目に入りたいと願っていて、そしてその通りになったんだ。今日のためにとっておいた決勝用の柔らかめのタイヤは、決勝で使う予定。このタイヤで23秒台中盤は可能なので、何とか6位以内に入れるはずだ。今回もここまでいろいろなことがあったが、成り行きには満足している。明日はスタートを決めて、トップについて行くだけ。このマシンでのスタート・ダッシュの仕方がわかってきたので、以前ほどナーバスにはなっていない。14,000回転まで上げたら素早くクラッチを切る。必要なのは自分が何をしているのかしっかり理解することだ」
C・エドワーズ選手談(予選7位/1分21秒947/27周)
「開幕以来ずっと予選は良かったのに、ホームGPでこのようになるのは非常に残念。でも昨晩の時点では、飛行機に乗って家へ帰ろうかと考えていたくらいだから、これ以上を望むのは無理なことなのかもしれない。昨日までは首の状態がかなり悪かったが、今日は信じられないくらいに良くなっている。注射を打ってもらい、マッサージもしてもらったおかげで、随分気分が良くなったんだ。そうだとしても、今回はここまで非常に苦しんでいて、明日も当然、厳しい戦いになるだろう。路面がこんなに凸凹しているとは思っていなかったが、予選タイヤでタイムアタックをしようとすると、マシンがどこへ行ってしまうのかわからなくなるくらい。頭もぐらぐら揺れてしまう。グリップ性向上のためにマシン・セッティングを変更していこうとしているが、どうしてもマシン全体が硬くこわばってしまう。ただマシンにしがみついているだけという感じで、とくに最後のふたつのセクションは最悪だ。チームのみんなももちろん、いつもどおり全力で頑張ってくれているのだが...。フロントの荷重を減らしたり、増やしたし、リアに荷重をかけたりしてみても、状況はまったく良くならない。明日は何とかうまくスタートして、そのまま上位についていきたいと思う。母国のファンのためにも、どうしても好成績が欲しいからだ。必ず、持てる力のすべてを注ぐ」