ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.09 6月28日 オランダ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第9戦オランダGP(TTアッセン)
■開催日:2008年6月26日(木)フリー走行2(総合結果)
■開催地:オランダ/アッセン(4.555km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:22度 ■路面温度:32度
REPORT
初日、ロッシとエドワーズが総合2、3番手
第60回ダッチTTが明るい太陽の下でスタート。昨年はここアッセンで、予選11位から見事な追い上げで優勝を果たしたフィアット・ヤマハ・チームのV・ロッシは今回も勝利を目指している。ウイーク初日の今日はフリープラクティスで2位を獲得。しかしトップのC・ストーナーから0.732秒離されており、明日以降に向けて課題が残った。
午前中に行われた第1セッションでは6位に留まったロッシだが、セッティングを少し変更して臨んだ第2セッションではタイムが向上。1分36秒台に入れたのは3人だけで、3人目はテック3ヤマハ・チームのC・エドワーズ。ロッシは36秒台後半をコンスタントにキープ。すでに従来のラップレコードを上回っているが、明日はストーナーとの差を埋めるためにさらにあとコンマ数秒の短縮を狙っていく。
一方、チームメイトのJ・ロレンソは総合14位。4日前のドニントンではグリッド後方から追い上げて6位を獲得し、一連の不運を乗り越えて本来の調子を取り戻していた。しかし今回はフロントのフィーリングに悩まされ、再びマシンへの信頼を失いかけている。
午前中のセッションを11位で終了し、午後はさらに上を目指して臨んだ。しかしわずか0.027秒を短縮するに留まり、順位では後退することとなってしまった。好きなコースだっただけに本人の落胆は大きいが、一晩ぐっすりと睡眠をとることで心をリラックスさせたいところ。
テック3ヤマハ・チームのC・エドワーズは総合3位。午前中の第1セッションから好調で4位につけたあと、第2セッションではコンマ5秒短縮して3位に上がった。フロントのセッティングを変更したことで、マシンのきり返しがより素早くできるようになった結果だ。エドワーズは2位のロッシからわずか0.112秒差。エドワーズを含むトップ4人が従来のラップレコード、1分37秒106を更新した。これまでのラップレコードは2006年に990ccマシンで記録されたものであることを考えれば、今日のペースの速さが際立つ。
チームメイトのJ・トーズランドは1分37秒838で13位。終盤でエドワーズと同じジオメトリーに変更するとフィーリングが向上、明日はこの調子でさらにタイムを上げようと決意している。明日の公式予選はドライ・コンディションに恵まれそうだが土曜日の決勝は雨が予想されている。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'36.087 |
2 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'36.819 |
3 | C・エドワーズ | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'36.931 |
4 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 1'37.012 |
5 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'37.126 |
6 | 中野真矢 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'37.137 |
7 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'37.187 |
8 | J・ホプキンス | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'37.251 |
9 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'37.280 |
10 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'37.282 |
11 | A・ドビツィオーゾ | JiR Team Scot MotoGP | Honda | 1'37.326 |
12 | S・ギュントーリ | Alice Team | Ducati | 1'37.357 |
13 | J・トーズランド | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'37.838 |
14 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'37.960 |
15 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'38.082 |
16 | A・ウエスト | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'38.413 |
17 | T・エリアス | Alice Team | Ducati | 1'38.656 |
18 | M・メランドリ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'39.020 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(フリー走行総合2番手/1分36秒819/56周)
「午前中は問題がいくつかあったので、午後になって2位まで上がれたのはとても良かったと思う。午後のセッションの前にマシンのモディファイを行ったら、かなり走りやすくなったんだ。
ただ、コースの何ヵ所かで手間取っているところがり、これがストーナーとの差となっている。午後のセッションで、いくつか分かったことがあるので、それを明日に活かしたい」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「午前中に比べて午後はかなり良くなって、ラップタイムも上がってきた。実際のところ、他のほとんどのライダーと比較して我々は十分に優位に立っているのだが、問題は唯一ケイシーなんだ!彼との比較になると、まだまだ課題がたくさんある状況で、我々はそこに取り組んでかなければならない。
ベース・セッティングはしっかりできているので、次のステップへ進もうというわけだ。今日は、これまでの何戦かとは違って天気がとても良かったので、明日以降さらに前進するためにもこの好天が続いて欲しい」
J・ロレンソ選手談(フリー走行総合14番手/1分37秒960/54周)
「今日はうまくいかなかった。大好きなこのコースでこんなに遅いなんて、予想もしなかったこと。状況を変えていくためには、もっとたくさん周回を重ねなければならないだろう。
とくにフロントに信頼がおけなくなってしまっていることが大きいようだ。コースのすべての部分でタイムロスしている。マシン自体はもっと速く走れるはずなのだが、僕がそのように乗れなくなってしまっている。マシンをもっと信頼しなければならないが、今、問題は僕のほうにある。やるべきことができていないんだ」
D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「かなり厳しいセッションになった。一日中、フロントのフィーリングに悩まされ、アンダーステアがひどく出てしまっている状況だ。また加速のときに安定しないことも問題だ。午後のセッションでは、タイヤのことを気にせずにマシン・セッティングに集中するため、1セットのタイヤを使い続けた。他の解決方法もいろいろ試したが、結局どれもうまくいかなかった。ホルヘにはもっと時間が必要だし、自信を取り戻すためには多くの周回を重ねるしかない。明日は、彼がまた以前のように楽しんで走れるように、チームの全員で支えていきたい」
C・エドワーズ選手談(フリー走行総合3番手/1分36秒931/52周)
「今日の出来には満足しているよ。ケイシーを除けば、ペースはほとんど変わらないからね。午前中の走行を終えたあと、マシンに少し変更を行った。フィーリング向上のためにスプリングレートを変更したんだ。ドニントンに合わせたセッティングのままだと、このコースでは反応が鈍くなってくる。ここには、素早くマシンをきり返す所がいくつかあり、そのたびに少しずつ遅れてしまう。チームがいくつかアイディアを出してくれてマシンの反応はいくらか素早くなった。でも、フィーリングは依然としていまひとつ。フロントに荷重がかかり過ぎてしまうんだ。
本当はフィーリングが良くないときには、あまり激しく攻めたくないけれど、僕はそれでも攻め続けた。そのあと、別の変更を行ったら一気に37秒台前半まで短縮。さらにフロントのセッティングをもう一度変更するとフロントへの信頼感が持てるようになり、走りが良くなってきた。その後はトップ3から外れることはなかったので、良い状態と言っていいだろう。
タイヤのほうもどれも良いもので、グリップのフィーリングも十分。このコースでは耐久性が求められ、序盤で無理しないことが大切だ。全体として良い方向へ進んでいるが、決勝が雨なら、明日も少し降って欲しい...。今年のマシンのウエットでのセッティングをしっかり作っておきたいからだ。1年前のウエット・セッティングはとても良かったが、今年のマシンでもそれをやっておかなければならないんだ。以前の信頼できるセッティングを使うこともできるし、それでも大きな問題はないだろう。でもドニントンでウエットを経験した今、さらに向上させることができると思うんだ」
J・トーズランド選手談(フリー走行総合13番手/1分37秒838/45周)
「正直なところ、今は非常に厳しい状態だ。あれこれ試行錯誤しながら時間を使い過ぎてしまったが、最後に使用したセッティングをもっと早い段階から試しておくべきだったと思う。結局セッティングは、コーリンのものにかなり近づいてきたが、ここまで来るのが遅すぎたために苦労してしまった。今はスピードもとても上がってきたが、とにかくここまで来るのに時間をかけすぎた。
リアグリップが十分に得られずコーナー進入でスピードが落ちてしまっていた課題も、これでかなり良くなった。新しいセッティングだと荷重の移動がとてもスムースで、リアから荷重が抜けるタイミングが早すぎず、落ち着くようになっているからだろう。それによってタイムも37秒台に上がり、ここからさらに上を目指していけるという気持ちになった。テストをしたことのないこのコースでは、セッティングを仕上げていくために周回を重ねるしかない。にもかからず、今日はガレージのなかで時間を使い過ぎた。このコースでのマシンのパフォーマンスを知りたいので、できるだけ多く走りたい。明日はまた一歩前進できると確信している」