ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.09 6月28日 オランダ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第9戦オランダGP
■開催日:2008年6月28日(土)決勝結果
■開催地:オランダ/アッセン(4.555km)
■観客数:94,000人
■周回数:26周(118.43km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:20度 ■路面温度:24度
■PP:C・スト―ナー(ドゥカティ/1分35秒520)
■FL:C・スト―ナー(1分36秒738)
REPORT
エドワーズが3位表彰台
〔速報〕
テック3・ヤマハチームのC・エドワーズが3位表彰台、J・トーズランドは9位だった。フィアット・ヤマハチームのJ・ロレンソは6位、V・ロッシは1周目に転倒するが再スタートで追い上げ11位でチェッカーを受けた。
序盤はC・ストーナー(ドゥカティ)がリードし後方をD・ペドロサととN・ヘイデンのホンダ勢が追う展開。ストーナーは徐々にリードを広げ独走して2位以下に10秒以上の差で今季3勝目。
予選3番手フロントロウ発進のロッシはスタートでやや遅れた1周目の第5コーナーで転倒。そのマシンが前を走るR・ド・ピュニエ(ホンダ)に追突してド・ピュニエも転倒。ド・ピュニエは再発進できなかったが、ロッシは再発進して14番手で復帰。しかしこの時点で既にトップとの差は30秒以上。ロッシはその後の数周38~39秒台で様子をみると、7周目頃から37秒台にペースアップし追い上げを開始。A・ウエスト(カワサキ)の転倒でひとつ順位を上げ、終盤19周目にM・メランドリ(ドゥカティ)、23周目にT・エリアス(ドゥカティ)を抜き11位でチェッカーを受けた。
予選6番手グリッド2列目発進のエドワーズ。1周目はロッシの転倒を避けようと最後尾に下がるも、その後挽回して序盤10位前後につける。10周目にロレンソを抜くと中盤4番手争いの集団に接近。13~14周目には中野真矢(ホンダ)、C・バーミューレン(スズキ)、A・ドビツィオーゾ(ホンダ)を次々パスし単独4番手に。7秒先を行くヘイデンを追う。3位ヘイデンとエドワーズの差は21周目に3秒台まで縮まるが、終盤は膠着状態に。エドワーズが4位のままゴールするかに見えた最終シケインの立ち上がりで、ヘイデンのマシンが失速。エドワーズがこれを抜き3位でゴール。ヘイデンは4位だった。
ロレンソは9周目にエドワーズに抜かれたあとは8番手を走っていたが、終盤追い上げ、バーミューレン、中野をパスし6位でチェッカーを受けた。
〔レース展開〕
エドワーズは1周目の最後尾から激しい追い上げを見せ、最終シケインで失速したヘイデンをパスし3位を獲得した。オープニンングラップではロッシとド・ピュニエが接触。これを避けたあと、エドワーズはトップのストーナーに迫るラップタイムで走行、10周目にはロレンソをパスして7位に浮上、さらに、バーミューレン、ドビツィオーゾ、中野に追いついて4位争いを展開した。
自らのベストラップを次々に更新しながら13周目の前半で中野を、14周目にバーミューレン、ドビツィオーゾを捉えて4位。15周目の時点で3位のヘイデンまでは7秒の差があったが、これを最終ラップまでに縮めてテールに付ける。最終コーナー立ち上がりでヘイデンのマシンが失速し、これをパスしたエドワーズが3位となった。これでランキングでは4位に浮上した。
ロレンソは、予選ポジションからひとつ上げて6位を獲得した。ロレンソは序盤、スタートポジションの7位をキープして走行していたが、なかなかリズムがつかめず、トップグループからは徐々に離されてしまう。そして10周目にエドワーズに抜かれたあとは、しばらくの間、単独8位を走行した。終盤になって少しずつフィーリングが良くなりマシンへの信頼感が高まってくると、ラップタイムも向上。追い上げに転じたロレンソは、まずバーミューレンを、さらに中野をパスして6位に浮上。今日の10ポイント獲得で、ランキング4位をキープしたが、優勝したストーナーとの差は28ポイントに広がった。
ロッシは1周目、ミスをおかし転倒。シフトペダルを損傷し、ハンドルバーが曲がってしまったが、それでも再スタートを果たして追い上げ11位でチェッカーを受けた。ロッシは1周目の第5コーナーで転倒してグラベルへ。その際、ド・ピュニエを巻き込んでしまった。ロッシはマシンにダメージがあったが、ポイント獲得を目指して再スタートを図り、前方のメランドリとの間にある24秒差を追い上げていく。ロッシはトップグループと同等のラップタイムをコンスタントにキープ。周回ごとに差を縮めてメランドリを視界に捉え、19周目にはこれをパス。さらにそれから4ラップ後にエリアスを捉えて11位に上がった。これで5ポイントを獲得。優勝したストーナーから46秒差でのゴールだった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・ストーナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 42'12.337 |
2 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 11.31 |
3 | C・エドワーズ | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 17.125 |
4 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 20.477 |
5 | A・ドビツィオーゾ | JiR Team Scot MotoGP | Honda | 27.346 |
6 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 28.608 |
7 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 32.33 |
8 | 中野真矢 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 34.892 |
9 | J・トーズランド | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 38.566 |
10 | S・ギュントーリ | Alice Team | Ducati | 38.817 |
11 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 46.025 |
12 | T・エリアス | Alice Team | Ducati | 48.213 |
13 | M・メランドリ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 59.594 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | D・ペドロサ | Honda | 171 |
2 | V・ロッシ | Yamaha | 167 |
3 | C・ストーナー | Ducati | 142 |
4 | J・ロレンソ | Yamaha | 114 |
5 | C・エドワーズ | Yamaha | 98 |
6 | A・ドビツィオーゾ | Honda | 79 |
8 | J・トーズランド | Yamaha | 60 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Yamaha | 196 |
2 | Honda | 171 |
3 | Ducati | 147 |
4 | Suzuki | 80 |
5 | Kawasaki | 41 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(6位)
「このところ色々なことがあり苦労していたので、昨日の時点では今日の目標を完走と決めた。その中で6位を獲得できたのは良かった。ただレース自体は、気分良く乗れなかったことや、幾つか課題があったことで満足ではない。ここ2、3戦前からレースウイークにかけては、マシンの感触が良く乗りやすくなっていて、歓迎すべきことだ。
次のレースまで2週間あるので、またしっかりと休んで気持ちよく迎えたい。いつもステップ・バイ・ステップを心がけているが、当然もっと上を目指していきたい。バレンティーノはアンラッキーだったが、再スタートして走り貴重なポイントを獲得したことは素晴らしかったと思う」
D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「ウイークを通じて苦しい戦いだった。プラクティス中は、決勝用のセッティングでなかなかペースをつかむことが出来ず、今日も上位を狙っていく状況にはなかった。リアにちょっとした問題があって、加速時にマシンが非常にナーバスになる。チームは懸命に頑張っているが、まだもう少しの努力が必要のようだ。
しかしながら、総合的に見れば十分満足してよい結果だと言うこともできる。目標は完走、そしてこれ以上転倒しないことだったので、それを達成できて良かった。次のザクセンリンクではまた上位争いに加わっていけるように頑張りたい」
V・ロッシ選手談(11位)
「ここまで7回連続で表彰台を獲得してきたのに、今日はミスをおかしてしまった。これがレースというもの。フロントのセッティングを変更して、それがとてもうまくいっていただけに残念だ。ウォームアップのあとも‘今日はマシンが絶好調だ'と話していたのだが...。残念ながら、最初の左コーナーで僕はミスをおかした。タイヤがまだ暖まっていなかったのに、ブレーキを強くかけすぎてリアが流れてしまった。
ド・ピュニエと、彼のチームには本当に申し訳ないと思っている。転倒のあとはハンドルが曲がって、シフトペダルがなくなってしまったが、それでも37秒1という決勝中での3番目のタイムを出すことができた。今日のこの5ポイントは非常に重要だ。ランキングトップは譲ることになったが、その差はまだ僅かだ。これからまた、マシンとブリヂストンが改良されて速くなっていくことを期待している」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「オープンングラップを除けば、バレンティーノはとても素晴らしい走りをした。転倒は不運なことで、ド・ピュニエとLCRチームには申し訳ないことをしてしまった。謝罪し、ド・ピュニエにひどい怪我がないことを祈っている。
再スタート後のバレンティーノは、シフトペダルはなくなっているし、ハンドルも曲がってしまっているというのに、見事な走りで驚かせてくれた。最速ペースを何度か記録しているが、これはやはり彼のスピリットと決意の現れ。最初のミスさえなかったら・・・。やはり悔しい気持ちが残る。でも今日の5ポイントは非常に重要。これでペドロサとの差を4ポイントに抑えることが出来たのだ。シーズンはシリーズはまだ半分残っているのだから、次のザクセンリンクでまた最初からやり直しだ!」
C・エドワーズ選手談(3位)
「3位は決して優勝ではない。でも今日の3位は優勝と同じくらいにうれしい。ルマンでは3位の結果に非常に落胆したことを覚えているが、今回はそれがうれしく思えるんだ。スタートはうまくいって、5位か6位につけていたところでバレンティーノがド・ピュニエと接触、転倒した。バレンティーノがコースに投げ出されていて、僕は彼とマシンを避けようと一度ストップした。気づくと僕は、最後尾まで後退してしまっていた。
その後、デ・アンジェリスが転倒して僕はまた遅れてしまったんだ。そのあとはとにかく必死で追い上げていった。8位や9位で終わるくらいなら、転倒したほうがましだと思ったんだ。それで少しずつ挽回していって、いつの間にか4位グループに追いついていた。
そしてさらにプッシュしたら4位が手に入った。ヘイデンとペドロサが前方遠くに見えて、僕はやはり、ひたすらハードにプッシュしていくだけだった。マシンが良く走ってくれたし、タイヤも素晴らしかったので、勢いに乗ってヘイデンに迫ることが出来た。僕がプレッシャーをかけ続ければ、彼はミスをおかすだろうと考えた。もし僕がここまでハードに攻めていなければ、ニッキーに迫ることはできていなかっただろう。
そして最終シケインで信じられないことが起こった。僕が立ち上がってきたら、彼がまだそこにいたんだ。2006年以来、このコーナーには因縁があるようだ。あのときは初優勝を目前にしながら転倒してしまったので、僕に借りがあったのかもしれない。このような形で勝ち取った3位は本当に嬉しい。モトGPで表彰台に上るということは、いつでも非常に難しいこと。それを最後尾から追い上げて実現できた気分は最高だ」
J・トーズランド選手談(9位)
「フロントのセッティングを完全に変えて臨んだが、フィーリングがあまり良くなくて問題があった。依然として課題は多い。セッティングの方向性を決めるべき今の状況の中で、完走してポイントを獲得できたことは良かった。
ホイールベースを短くしたせいか、マシンはかなり敏感なところがあった。それはともかく、依然として大きな変革が必要なのが今の現状。その中での天候の変化は、致命傷になったと思う。ウエットばかりでは、ドライでのセッティングを進められない。このところの6レースは雨に見舞われることが多く、1日だけ晴れたとしても、そこで全てをやり終えるのは難しい。9位というポジションに自分では納得していないし、そんな自分を見るのは辛いのだが、目の前の課題を片付けていくしか道はない。
セッティング面で大きく遅れている責任は僕にある。以前と比べて走りが悪くなったということではないのだが、何かの壁にぶつかってしまったのだろう。次のザクセンリンクも走ったことのないサーキットなので、このあとの2~3日はビデオを見たりしてコースの勉強し、どこを改善していけるか分析したい」
H・ポンシャラル、テック3・ヤマハ・チーム監督談
「今日のコーリンは見事だった。今回はここまでずっと好調で、表彰台を狙っていけるペースだと思っていたので、1周目のアクシデントにはがっかり。レースにはつきものだが、気づくとコーリンは最後尾で、我々はもうこの時点ですべてが終わったと思ってしまった。その後の彼のハイペースを見て、我々はさらに後悔した。
そのあとはレースの展開を見守ることにしたが、彼は最後まであきらめずにプッシュし続け、結果として表彰台を獲得してしまった。本当に信じられない思いだった。シケインを立ち上がってヘイデンをパスするのを見たときの、あの感動は、今後も忘れることはできないだろう。ラップタイムもストーナーに迫るものだった。ヘイデンには残念なことで、誰もこんなことは望んでいなかったが、今日はコーリンに運が向いていたのだろう。
またトーズランドのほうもよく頑張ってくれた。ウイークを通じ、どんなコンディションになってもハイペースをキープした。ドニントンで残念な結果に終わっただけに、こうしてポイントを獲得できて、価値あるものとなった。ふたりのおかげで、チーム・ランキングではドゥカティに迫ることが出来ている」
中島雅彦フィアット・ヤマハ・チーム総監督
「オランダGPが開催されるアッセンサーキットは、ダッチTTとして親しまれる伝統あるGPの一つです。コーナーの数が多く、高速の切返し、回り込んだコーナー、ヘアピンと続き、バイクが直立していることは無いと言っても過言ではないくらいテクニカルなコースです。また、オランダは1日のうちで天気が目まぐるしく変わる"ダッチウェザー"でも有名で、今年も天候に悩まされました。レースはスタート直後のポジション争い中で、残念ながらV・ロッシ選手が転倒、それでも破損して思い通りならないマシンを操り、何とかポイントを確保してくれました。この混乱で順位を大きく落としたC・エドワード選手が今季の好調を証明する走りで追い上げ3位表彰台に入り、復調してきたJ・ロレンソ選手は6位を確保、初めてのサーキットで苦しい状況が続くJ・トーズランド選手も9位と健闘してくれました。
全車完走は予選、決勝とも天候の変化に悩まされ、レース直前まで可能な限り戦闘力の高い状態でマシンを送り出すべく調整に忙殺された我々スタッフにとっては、とてもありがたいことです。これでシーズンの半分を消化したことになり、ヤマハとしては9戦4勝、全レースで表彰台を確保して後半戦へ折り返すことができました。今後は他チームの巻き返しもあり、更に厳しいレースが続くと思いますが、常に挑戦する気持ち忘れずにがんばりたいと思います」