ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.08 6月22日 イギリス
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第8戦イギリスGP
■開催日:2008年6月21日(土)予選結果
■開催地:イギリス/ドニントンパーク(4.023km)
■コースコンディション:ウエット
■気温:12度 ■路面温度:15度
■PP:C・スト―ナー(ドゥカティ/1分38秒881)
REPORT
ロッシが予選2位
フィアット・ヤマハ・チームのV・ロッシは、ウエットコンディションで行われた公式予選で2位を獲得。自己通算200回目の出場となるグランプリをフロントロウからスタートすることとなった。ロッシはここドニントンパークでの8回目の優勝を狙っていくが、明日は悪天候が予想され厳しい戦いになりそうだ。ウイーク初日はドライコンディションに恵まれたが、2日目は終日雨。イギリス特有の雨がコースを濡らし、もともと滑りやすい路面がさらに難しいコンディションとなってしまった。このことで午前中のセッションでは数台がクラッシュ。ロッシは転倒はなかったもののセッティングに手間取り、トップから2秒遅れる9位でこのセッションを終了した。
その後のエンジニアとメカニックのハードワークの結果、午後からの公式予選では状況が好転。ロッシは順調にタイムを上げて5位につけた。セッション後半を迎えると雨が小降りになって路面が乾き始め、ドライ・ラインはまだ現れないものの、ロッシはペースを上げて次々に好タイムをマーク。最終的にはC・ストーナーに続く2位となった。3位はC・バーミューレン。
一方、怪我の影響が残っているチームメイトのJ・ロレンソは、このところのバッドラックを振り払ってライディングへの自信を取り戻そうと努力しているが、今日も悪天候のため厳しい状況。予選グリッドは17位。ヤマハに加入以来、初めて、2列目から外れることとなった。
雨で路面がかなり濡れていた午前中のセッションではリズムも良く、9位につけていた。午後になって雨脚が弱まってくると、タイムでは3秒以上も良くなったが、他のライダーたちはもっと縮めてきたため順位を上げるには至らなかった。明日は乾いた天候と強風が予想されており、ロレンソとしては安全に最後まで走りきること、そしてそのなかで自信を取り戻すことが目標となる。
テック3・ヤマハ・チームのC・エドワーズは予選5位を獲得。チームメイトのJ・トースランドは16位にとどまった。2008シーズン開幕以来、予選6位以内をキープしてきたエドワーズ。一時は2位まで上がっていたが、1分39秒601のタイムで5位に入り、今回もその記録を更新した。フロントロウは逃したが、決勝では表彰台獲得を目標に上位争いを狙っていく。
ここまでの7戦で毎回、予選8位以上を維持してきたトースランドだが、1分41秒751のタイムでグリッド6列目に留まった。ホームGPのためにイギリス国旗をヘルメットにデザインし、今回は6位以内、2列目までを目標にしていたが、午前中のウエットコンディションのなかセッション終盤の最終コーナー立ち上がりで転倒。すぐに再スタートしたものの、シュワンツ・カーブで再び転倒を喫してしまった。予選は残念な結果となったが士気は下がっておらず、明日は大勢の地元ファンの目の前で良いレースを見せたいとしている。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'38.232 |
2 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'38.881 |
3 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'39.018 |
4 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 1'39.270 |
5 | C・エドワーズ | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'39.601 |
6 | A・ドビツィオーゾ | JiR Team Scot MotoGP | Honda | 1'39.783 |
7 | A・ウエスト | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'39.995 |
8 | B・スピーズ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'40.244 |
9 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'40.350 |
10 | 中野真矢 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'40.417 |
11 | J・ホプキンス | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'40.539 |
12 | S・ギュントーリ | Alice Team | Ducati | 1'40.595 |
13 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'40.667 |
14 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'41.110 |
15 | M・メランドリ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'41.379 |
16 | J・トーズランド | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'41.873 |
17 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'48.905 |
18 | T・エリアス | Alice Team | Ducati | 1'42.933 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(予選2位/1分38秒881/30周)
「予選結果に非常に満足している。フロントロウを獲得できたことが重要なんだ。ブリヂストン・タイヤは雨でとても速いが、今日の午前中はセッティングがうまくいっていなかったので、そちらに集中していた。午後からのセッションに備えて重要な変更を行うと、マシンのバランスが良くなり、スロットルを開けたいところで開けられるようになった。そうなったらとても楽しく走ることができた。
予選中も小さなモディファイを続け、周回ごとに速くなっていった。とくに終盤は非常に好調だった。あとは、明日の天候を見てタイヤを決定しなければならない。でもすでにアイディアは決まっているから心配はしていない。明日は僕にとっての200回目のグランプリ。記録を達成するのはいい気分だが、今はいつも通りの1レースとして迎えたいと思っている」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督
「今日の走行はとてもうまくいった。午前中は問題もあったが、エンジニアをはじめチームのスタッフが素晴らしい仕事をしてくれて解決することができた。彼らにアイディアがあったおかげでここまで復活し、フロントロウを獲得することができたのだ。バレンティーノはウエットコンディションでも好調。このコースではフロントロウが非常に重要になるだろう。明日はウォームアップがドライコンディションになることが予想されているが、決勝の時間帯がどうなるのかはっきりしない。強風が吹くとも言われており難しいコンディションになるだろうが、どんなことになってもしっかり対処していく」
J・ロレンソ選手談(予選17位/1分41秒873/23周)
「午前中はとても好調だったが、午後になって路面コンディションが変化、少しずつ乾いてきたら余計に難しくなってしまった。3秒も上がったのにまだ足りなくて、他のライダーたちは6秒や7秒縮めていたんだ!こんなに後ろからスタートするのは初めてなので、今までとはかなり違う経験になるだろう。あともう1回、ドライセッションを走りたかったが、無理なこと。今は明日のことに集中しているよ。
最後まで走りきれれば、それで成功だと思う。クラッシュよりも完走のほうがずっといいに決まっているからね!今は一歩一歩、着実に進んでいかなければならない。そして次のアッセンにつなげるんだ。昨日はマシンについてたくさんのことを変更したくて、それが間違いにつながってしまった。実際にはマシンじゃなくて僕の問題だったんだ。このところ厳しい状況が続いているが、そのことをいつまでも悩んでいてはいけない。厳しい時間は必ず過ぎていって、そして遅かれ早かれ、状況は好転していくのだから」
D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督
「午前中は好調で、バランスも、ラップタイムもとても良かった。ところが予選になると厳しい状況になってしまった。路面が乾き始めたところでリアグリップが不足。この状況はホルヘにとってかなり難しかったようで、高速コーナーの進入や立ち上がりで苦労していた。一連の不運で自信を失いかけている彼にとって、こうしたコンディションが余計に重くのしかかる。ミスをしないように、いつも以上に注意しなければならなくなるだろう。これからチームのみんなでよく話し合い、明日に備えて何か解決策を見つけ出さなければならない。グリッド6列目は、我々が本来居るべき場所じゃないのだ」
C・エドワーズ選手談(予選5位/1分39秒601/23周)
「チームが本当に素晴らしい仕事をしてくれたんだ。今さらながら、ますます彼らを尊敬するようになったよ。たった2時間で10日分の仕事をやり終え、こうしてここまで来ることができたというわけだ。午前中のセッションでは、まるでフロントの感触がなくて、リアだけに座っているような感じで、ちょっとでも動こうものならハイサイドをくらってしまいそうな勢いだった。そこで昨年2位を獲得したときのセッティングを使ってみたら、シャシーもエンジンも変わっているというのに、それがうまくいったんだ。フィーリングが良くなったらすぐに1秒縮まって、そのあとはほとんどマシンをいじらずに済んだ。
タイヤについては、午前中で使ったものを午後も使ったので、合計で50ラップくらい使っている。フロントタイヤの耐久性はまったく問題がなくて、リアもとても気に入っている。僕の感覚ではここの路面のグリップもそれほどひどいものではない。かなりフラットではあるが、ここよりもグリップ性の低いところはたくさんあると思う。タイヤにしっかりと負荷をかけていられれば問題はないんだ。
また、電子制御システムについてもチームスタッフと一緒に改善に取り組んできた。このこともフィーリングとグリップの向上に確かに役立っている。だから明日がフル・ウエットならば上位を走る自信がある。また乾いていく路面でのウエット・タイヤの性能がすごく良くなってきているので、半々になっても問題ない。ドニントンは、GPコースのなかでも最高の成績をおさめているサーキット。その記録を更新できるように明日も頑張っていく」
J・トーズランド選手談(予選16位/1分41秒751/22周)
「基本的に、自分ですべて台無しにしてしまった。6位以内の可能性は十分にあって方向性は正しかったが、いくつかの変更を試したら、それがうまく機能してくれなかった。良い方向へ進んでくれなかったんだ。このようなことで時間を使い切ってしまい、セッション終盤はラップタイムを上げなければならないというプレッシャーにとらわれてしまった。そして最終コーナーでスロットルを早く開けすぎてハイサイドをくらってしまった。すぐに再スタートしたが、リアブレーキを損傷していて、シュワンツ・カーブを抜けるところでリアブレーキの影響で、またもや転倒してしまった。コース・マーシャルには感謝しなければならない。あの最終コーナーは危険な場所で、彼らはリスクをおかして手伝ってくれた。彼らこそ本当のヒーローだと思うよ。
こんな状況のなかでも僕はポジティブに考えている。すべてがうまくいっていれば、6位以内も可能だった。ところがこのクラスというのは、ちょっとでも間違っているとすぐに16位まで落ちてしまうところなんだ。昨日は8位だったが、もう1日ドライがあれば、もっとずっと上へ行けただろう。今の問題はコーナー進入でリアの接地感が不十分なこと。このコースはとくにグリップ性が低いので、このあたりのバランスが非常に重要だ。時間はあと1時間しかないので、リスクをかけるには短すぎるのではないだろうか。1回目の転倒でハンドルが右ひざを直撃、2回目の転倒は高速だったので体全体が痛い。状況は非常に厳しいが、ファンがサポートしてくれるので全力を尽くしていく」