ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.08 6月22日 イギリス
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第8戦イギリスGP
■開催日:2008年6月20日(金)フリー走行2(総合結果)
■開催地:イギリス/ドニントンパーク(4.023km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:19度 ■路面温度:28度
REPORT
ロッシ、初日総合3位
フィアット・ヤマハ・チームのV・ロッシは今週末、イギリスはドニントンパークで自己通算200回目のグランプリを迎える。ここドニントンで、ロッシは合計8回の優勝を果たしており、そのうちの2004年と2005年はヤマハでのもの。今回もウイーク初日のフリープラクティスでは総合3位と好調なスタートを切っている。グランプリ・デビューは1996年のシャーラム(マレーシア)での125ccクラス。
午前中の第1セッションは慎重に走行。難しい路面状態にマシンを合わせていくためのセットアップに時間を割き、8位で終えた。第2セッションの終盤になってセッティングに前進が見られ、グリップが得られるようになってきたためタイムが上がり3位を獲得した。1位はC・ストーナー、2位はN・ヘイデン。
2週間前のカタルニアのフリープラクティスで転倒、ホームGPを欠場したJ・ロレンソが、復帰を果たした。出場ライダー中、最年少のロレンソは、開幕以来、見事なレースを展開してきたが、5月初旬の中国で両足首を負傷してから不運が続いている。12日前に右手に皮膚移植の手術を受けたばかりで、今回は特製グローブを着用して出場する。
今日の目標はマシンに乗ったときの感覚を取り戻すことと、自信の構築。このところのたび重なる転倒によって、自信を失いかけていることを本人自身が認めているのだ。今日は総合16位に留まったが、「明日はもっとリラックスして、自信を持って臨めそうだ」と楽しみにしており、一歩一歩、着実に前進を目指す。
テック3・ヤマハ・チームのC・エドワーズとJ・トーズランドは、フリープラクティス初日をともに10位以内で終了。ここドニントンでは6位以内を4回と最も多くの好成績をおさめてきたエドワーズは、今回も相性の良さを証明して総合4位を獲得。午前中の第1セッションでは小さな問題もあったものの3位で終了。第2セッションも好調で終盤まで2位につけていたが、ミシュラン製タイヤとオーリンス製ショックのチェックをおもに行った初日は、1分28秒969で総合4位となった。
ホームコースで初めてのグランプリを迎えるトーズランドは、序盤から好調で好タイムを安定してキープ。そしてこのコースのレイアウトに合わせてマシン・セッティングを変更していくと、さらにタイムが向上した。今日のベストタイムは1分29秒341で8位。新しいセッティングに自信を得ており、明日はフロントロウ獲得を目指していく。
トーズランドはホームGP出場にあたって、専用のカラーリングを用意しており、明日お披露目の予定。マシンのフロントとリアに聖ジョージ(イングランドの国章)の旗が描かれているものだ。約80,000の観衆がトーズランドのイギリスGPデビューを見守る。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'28.253 |
2 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 1'28.829 |
3 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'28.909 |
4 | C・エドワーズ | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'28.969 |
5 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'28.992 |
6 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'29.207 |
7 | 中野真矢 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'29.207 |
8 | J・トーズランド | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'29.341 |
9 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'29.410 |
10 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'29.433 |
11 | J・ホプキンス | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'29.441 |
12 | A・ウエスト | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'29.666 |
13 | A・ドビツィオーゾ | JiR Team Scot MotoGP | Honda | 1'29.718 |
14 | M・メランドリ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'29.856 |
15 | T・エリアス | Alice Team | Ducati | 1'30.268 |
16 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'30.290 |
17 | B・スピーズ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'30.766 |
18 | S・ギュントーリ | Alice Team | Ducati | 1'30.931 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(フリー走行総合3番手/1分28秒909/57周)
「午前中はセッティングに手間取って、完璧な走りができなかった。でも午後になると状況は好転して、とくに終盤ではタイムも上がり3位を獲得することができた。一番の問題は路面のアスファルトの状態。グリップしてくれないので、とても難しいんだ。気温がかなり低かったことも、もちろん影響しているが、ところどころ路面が、もうほとんどダメになってしまっている。せっかくの素晴らしいサーキットなのに、これは非常に残念なこと。雨が降ってしまったら、もっとひどいことになるので、何とか晴れてくれるようにみんなで祈るしかない。
明日の走行については、いくつかアイディアがある。とくにマシンの向き換えをより素早くするために、別のタイヤを試してみることと、セッティングについても解決方法を考えてある。今日の走行終了後にスタッフとじっくり話し合って、問題点を洗い出した。いつもならとてもよく機能してくれるタイヤが、ここではいつも通りに働いてくれないんだ。でも、今日の時点での3位は問題ない。明日はもっと前進できるよう頑張ってみる」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督
「タイムが示しているように、午後のセッションでは確かに向上が見られた。でも依然として問題が多く残っていることに変わりはない。明日はセッティングをもっと、このコースに合わせていくことに集中していくだろう。ここは路面があまり良くなくて、グリップ不足のために、セッティングがなかなか見つからない。タイヤについても、ブリヂストンと話し合いながら、もっといろいろ試してみなければならないだろう。今日は幸運にも晴れていた。今日の午後の調子をキープして明日の走行を始められるように、明日もドライ・コンディションが続いてくれることを祈っている」
J・ロレンソ選手談(フリー走行総合16番手/1分30秒290/51周)
「これまでのいろいろなトラブルがあってから、正直なところ、ちょっと怖くなってしまっているんだ。だから今日は非常にゆっくり、慎重に走行をスタートした。カタルニアで転倒してからずっと乗っていなくて自信がなくなってしまっているので、今回はそれを取り戻すことが目標だ。今日もマシンに対するフィーリングを取り戻すことと、自分の身体の調子をチェックすることをおもに考えていた。皮膚移植を行った右手は、やはり少し痛みがあったが、それ以外のところは問題なさそうだ。とにかく、こうしてまたマシンに乗れることが嬉しい。最悪の時間は過ぎ去って、明日はもっとリラックスして、自信を持って走れるようになると期待したい。ここからまた、新たなスタートになる。だから今回は一歩一歩、慎重に進んでいく」
D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督
「ようやくホルヘが戻ってきてくれた。チームのみんなが、このことを非常に喜んでいる。今回はゆっくりと様子を見ながら、決して無理をすることなく、彼が自信を取り戻してくれることだけを考えている。ベストの状態に戻るまでには、当然、時間が必要になるが、プレッシャーを与えるつもりはまったくない。その一方で、我々チームとしてはマシンのセットアップに全力を尽くさなければならない。今はリアグリップが不足していて、とくにフルバンクの状態のときにマシンが神経質になっている。ミシュランとも意見交換をして、データを分析し、明日までに何らかの解決策を見つけたい」
C・エドワーズ選手談(フリー走行総合4番手/1分28秒969/54周)
「午前中はとくに、前方にマシンがいたり、マシンの状態が完璧じゃなかったりして思うように走れなかった。だからその結果としての4位には満足している。午後のセッションではシフト関係を変更したら、すぐに良い結果が現れた。今シーズンからレブ・リミッターが違うものになっていて、ライダーもそれに合わせなければならなかった。このコースはもう何年も走っているから、どのコーナーで、どのくらいの回転になるかわかっていて、シフトチェンジについて考える必要もない。でも今日は、ギアボックスの調子があまり良くなかったので、下げ過ぎているんじゃないかとか、上げ足りないんじゃないかとか、いろいろ考えてしまった。そのギアボックスの問題を解決し、また電子制御システムについても良くなると、グリップが向上。
もちろんタイヤもよく機能してくれた。どのタイヤを履いてもとても好調で、決勝のためのタイヤとして3本を候補にできるのは、シーズン開幕以来、今回が初めてだと思う。ミシュランを信頼している。午後のセッションでは、すでに22周走ったタイヤで、さらにもう数周、走ってみた。すると自分のベストラップからわずかコンマ2秒劣るだけだった。つまり非常に好調というわけだ。
ただケイシーだけは本当に素晴らしかった。彼に近づくためには、まだ多くの課題があると言わなければならない。とはいえ、オーリンスのリアショックはとても気に入っている。新しいサスペンションが投入されたときには、どのスプリングが合うか試行錯誤するが、でも今回は、試してすぐによく機能してくれて、とてもフィーリングが良かったんだ。コーナー進入でリアが安定し、フロントに激しく荷重がかかるようなことがない。おかげでブレーキングがスムースで、コーナーの途中でスピードが落ちることがない。リアタイヤが同じ場所に安定してくれるので、ハード・ブレーキングが可能になるというわけだ」
J・トーズランド選手談(フリー走行総合8番手/1分29秒341/52周)
「タイムは悪くなかったが、カタルニアのテストで好調だったマシン・セッティングが、ここではあまりうまくいかなかったのが残念だ。テストでは大きな自信を持つことができたのに、それが今回につながらなかった。何とかそのまま行きたかったのだが、方向性が違っていたため、最終的には変更することになった。日ごとに、時間ごとに状況が変わってしまうような状態だが、少なくとも今は、正しい方向が見つかったと言っていいだろう。今は29秒台前半は楽に出せているが、カタルニアのセッティングだとコーナー進入ができない。リアが安定しないため、コーナースピードが落ちてしまうんだ。このコースの特徴として、高速をキープして流れるように走らなければならないが、今の僕は勢いを高くキープできない。28秒台は不可能じゃないと思っていて、おそらくそれが決勝のペースにもなるだろう。新しいセッティングが見つかるのが遅すぎたので、まだ調子をつかむには至っていない。もう少し時間があれば良くなってくると確信している。
8位に満足してはいないが、これが今の僕のポジション。800ccマシンでここを走るのは初めてで、去年まで乗っていたスーパーバイクとはかなり違う感覚だ。以前のライン取りで走ってみたが、まったく使い物にならない! スピートはもちろんずっと速いし、それがコーナースピードに影響する。以前のライン取りだとコーナーをうまく立ち上がれないので、コースを知り尽くしては居るが、初めからやり直して調整していかなければならない。大勢のファンが"JT"や"52"の旗を持って応援してくれている。みんながイギリス人ライダーの活躍を願っていると思うので、僕がやるしかない」