ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.08 6月22日 イギリス
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第8戦イギリスGP
■開催日:2008年6月20日(金)1日目フリー走行
21日(土)予選、22日(日)決勝
■開催地:イギリス/ドニントンパーク
CIRCUIT DATA
■開設:1977年
■コース長:4.023km
■サーキットレコードラップ:1分28秒714(2006年:D・ペドロサ)
■サーキットベストラップ:1分27秒676(2006年:D・ペドロサ)
■2007年の優勝者:C・ストーナー
REPORT
イギリスGPへの挑戦に向け、ロッシとロレンソ、再会
イタリア、スペインと予想外の悪天候に悩まされたモトGP。今週末はイギリスへ移動し、北ヨーロッパでの3連戦が始まる。イタリア/ムジェロとスペイン/カタルニアは決勝こそドライ・コンディションで行われたが、プラクティスはいずれも雨交じりの難しい状況で、マシンセットアップが思うように進まなかったばかりでなく、J・ロレンソは度重なる転倒でカタルニアGPの欠場を余儀なくされた。
幸い、今回のイギリスは出場が可能になり、オランダ、ドイツ、さらにロレンソにとっては、初めての経験となるアメリカGPへと続く、忙しいスケジュールが待っている。しかし体調は依然、万全ではない。右手の薬指と小指に皮膚移植の手術を受けたばかりのため、今回は大きめのレーシング・グローブの下に特注のシルク製グローブをつけて走行、セッション終了ごとに治療も必要だ。ロレンソとそのチームクルーの今回の目標は、ライディングに対する自信を取り戻すこと。2006年には250ccクラスでポールトゥフィニッシュを飾った相性の良いコースではあるが、今回ばかりは成績にこだわるつもりはまったくない。
チームメイトのV・ロッシは、ドニントンで最も多くの成功を収めているライダー。2000年の500ccクラスデビューでの快挙を含め、すべてのクラスの合計で7回の優勝を果たしている。今シーズンはランキングトップに立って最高の状態で今大会を迎えており、また最近になって故郷のイタリアへ戻ったが、以前はイギリスに住んでいたことから、ホームGP並みの熱狂的サポートも期待できる。ロッシは1999年から昨年までロンドンに住み、多くのファンを獲得してきたが、2005年以降はともに成功を祝う機会に恵まれなかった。
ドニントン・パークのコースは円形競技場のスタイルで、観客たちはコースを取り巻くバンクのついた芝生に座って観戦する。フロントタイヤに負荷がかかりやすいオフ・キャンバーのコーナーが見所のひとつとなり、右-左-右とマシンを振るクラナー・カーブは、難しいが重要なパッシング・ポイントだ。終盤のセクションはストップ&ゴーのスタイルになっており、3つのハード・ブレーキング・ゾーンが続く。そのため敏捷性とブレーキングでの安定性の両方が求められるのだ。
COMMENT
V・ロッシ選手談--"ファンタスティックなコース"
「ドニントンは世界中で最も好きなコースのひとつ。ここには良い思い出がいくつもあって、なかでも2000年の500ccデビューのレースでは、J・マクウイリアムス、K・ロバーツとバトルの末に優勝することができた。このコースには何でも揃っている。高速で流れるようなコーナー、そして非常にテクニカルなエリア。もっとも終盤のほうは、他のライダーたち同様、あまり気に入ってはいないんだけれど!
またイギリスでレースをするということは僕にとって、とても特別なことでもある。というのは、今はイタリアに戻ったけれど、それまでは長い間ここに住んでいて、今でも第2の故郷だと思っているからなんだ。ファンのみんなもこれまで通り、精一杯サポートしてくれるに違いない。ドニントンで表彰台に上ることは特別なことなので、去年はそれを逃してしまってとても悔しかった。今年はまたあの場所へ戻れるよう頑張るよ!」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談--"4種類の戦いの形"
「ドニントンパークには良い思い出がたくさんある。しかもバレンティーノにとっては非常に相性の良いコースなので楽しみだ。今シーズンはランキングトップに立ってこのラウンドを迎えることができたこともとても心強いが、2位のペドロサはすぐ近くに迫っており、今回も非常に接近したバトルになるに違いない。ポイントについて言えばこのペドロサが最も手強いライバルということになるが、ロレンソ、ストーナーも依然としてチャンピオン争いの候補。ストーナーは4位だが、その差はわずか50ポイントで、11レース残っていることを考えれば不可能なものではない。だから我々としては、毎回表彰台を狙っていくことが目標となるのだ。
好調の中でも課題はあって、バルセロナを見てもわかるようにスタートが非常に重要となる。金曜日、土曜日ではベスト・セッティングが見つからなかったため、予選で好位置につけることができなかった。決勝日前夜の必死の努力でマシンは好調を取り戻したが、スタート位置がどうしても影響してしまうというわけだ。しかしながら、今回はテストを行ってたくさんのデータを収集できたし、予選用タイヤ装着時の問題点も解決できたので、きっとうまく戦っていけると思う」
J・ロレンソ選手談--"また初めの一歩から!"
「この数週間は非常に辛い時間だった。バルセロナのレースを病院のベッドで見たときは、本当につまらなくて、早くまたバイクに乗りたくて仕方がなかったんだ。今回はまだ十分に注意しながら走らなければならないが、それでもとても楽しみだ。また一からのやり直しになるので、アプローチの方法を変えなければならないと思っている。ドニントンについては良い思い出があって、2005年には250ccで優勝。昨年も雨のなかでいいレースができた。終盤のセクションを除けば素晴らしいサーキット。モトGPマシンでの初めての走行はきっと楽しいと思う」
D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談--"プレッシャーはない"
「今回はホルヘの回復だけが重要で、成績のことは気にしていない。またマシンに乗ること、そしてそのフィーリングを取り戻すことが目標だ。そのためにもチームとしては、あまり大きな変更などを行わず、彼がなるべく早く以前の感覚を取り戻せるような、乗りやすいマシンに仕上げたいと思っている。これまでもホルヘには特別なプレッシャーはなかったはずだが、今はとくにそのことを強調したい。そしてこれから数週間、体調が回復するまでの間は何も問題が起こらないようにさせてやりたいと思う。
ドニントンは体力的にも厳しいコースで、とくに後半のセクションはハードブレーキングのコーナーがたくさんある。怪我をしている手にどの程度の力が戻っているのか、どの程度の影響があるのかをしっかりと見ていかなければならない。ミル医師は走行は可能だと言ってくれているが、100%の状態でないことはよく分かっている。
残念なことだが、転倒はこのスポーツにつきものだ。ホルヘは、今シーズン非常に素晴らしいスタートを切ったが、シーズンのなかでは良くない時期も必ず巡ってくるものだ。彼が以前にも増して強くなって戻ってくると確信しており、それもかなり早いうちに実現できるとみなさんに約束する」