ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.06 6月1日 イタリア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第6戦イタリアGP
■開催日:2008年5月31日(土)予選結果
■開催地:イタリア/ムジェロサーキット (5.245km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:24度 ■路面温度:33度
■PP:V・ロッシ(ヤマハ/1分48秒130)
REPORT
ロッシがポールポジションを獲得
フィアット・ヤマハ・チームのV・ロッシがポールポジションを獲得。明日の決勝で、ムジェロでの9年連続優勝を狙うための最高の形を準備した。ポールポジション獲得は昨年のカタルニア以来、ほぼ1年ぶり。ロッシにとっては通算50回目、またブリヂストンでの初めてのポールポジション。ヤマハにとっては今季6レース中5回目。
ロッシは今日、この大会だけのために用意したヘルメットをお披露目。上部に自らの顔写真が貼付けてあるものだ。午前中のセッションでは昨日からの雨が残っていたが、それが徐々に乾いていくというコンディション。ロッシはこれを6位で終える。昼休みの間にチームクルーたちが、重要なモディファイを施すと、午後からの公式予選ではまったく違う展開となり、好天と暑さのなかでロッシは絶好調をアピールした。決勝用タイヤでも常に速く、予選タイヤでは4本のうちの3本でさらにタイムを上げ、現行のポールタイムを0.8秒も更新した。
チームメイトのJ・ロレンソは明日、グランプリ出場100回目の最年少記録を達成することになる。予選は7位。デビュー以来、最も低いポジションとなったが、これまでに何度も後方からの追い上げを見せており、今回も上位でのバトルを目指していく。午前中はまだ路面が濡れており、このコンディションに苦労して14位。午後になるとようやく太陽が顔を出したため、ここでこれまでの問題点を洗い出していくつか重要な変更を行った。トップを目指すまでにはいたらなかったが、明日のウォームアップでさらに改善し、タイヤの最終決定とマシンの最終調整を行う。
テック3ヤマハのC・エドワーズは予選5位。フロントロウ獲得までわずか0.07秒差だった。1分48秒383を記録してセッション終了5秒前まで3位につけていたが、その後L・カピロッシとC・ストーナーがこれを更新してエドワーズは5位に後退。明日は2列目中央からのスタートとなる。チームメイトのJ・トーズランドは、ドライ・セッションが少ないなかでコースを学びながらセッティングを作り上げていく状況。これでフィアット・ヤマハのロレンソのひとつ後ろ、8番手を獲得した。タイムはポールポジションから0.895秒差。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'48.130 |
2 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'48.297 |
3 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'48.313 |
4 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'48.375 |
5 | C・エドワーズ | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'48.383 |
6 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 1'48.666 |
7 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'48.905 |
8 | J・トーズランド | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'49.025 |
9 | 中野真矢 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'49.095 |
10 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'49.145 |
11 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'49.220 |
12 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'49.246 |
13 | A・ドビツィオーゾ | JiR Team Scot MotoGP | Honda | 1'49.565 |
14 | J・ホプキンス | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'49.601 |
15 | 岡田忠之 | Repsol Honda Team | Honda | 1'49.829 |
16 | T・エリアス | Alice Team | Ducati | 1'49.851 |
17 | S・ギュントーリ | Alice Team | Ducati | 1'50.275 |
18 | M・メランドリ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'50.465 |
19 | A・ウエスト | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'50.889 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(予選1位/1分48秒130/26周)
「ポールポジションをずっと長い間、もう1年くらいも待ち続けていたので、それをここムジェロで実現できたことは本当にうれしい。明日はもちろん優勝を狙っていく。午前中のプラクティスが終わった時点では、実はちょっと不安な気持ちもあったんだ。というのはセットアップに問題がいくつかあって自分のリズムがつかめなかったからだ。でも昼休みの間に重大な変更を行い、それによってフィーリングがつかめたしスピードも僕の希望どおりになったんだ。だからチームのみんなの努力に心から感謝しているよ。これで決勝用タイヤでのセッティングは出来上がった。
実際にどのタイヤを使用するかはこれから決定しなければならないが、それは明日のコンディションを見てからということになる。またブリヂストンでの初めてのポールポジションも嬉しいこと。48秒1のタイムは十分に速いと思うので、ブリヂストン製予選タイヤがここまで良くなったことをアピールできて良かったと思う。
イタリアGPでイタリア人ふたりがフロントロウに並んだのも、ファンにとってはいいこと。明日は大勢の方に見にきて欲しい。そしてここでビッグパーティを開くんだ!ヘルメットのことを少し話しておくと、これはデザイナーのアルド・ドルジの提案で、とっても気に入っている。イラストではなくて、このコースのストレートエンドでブレーキング中の僕の顔を写真に撮ったもの。すごくおかしいんだ!」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「ポールポジションに復帰するまでかなり長い時間がかかった。でもこうしてムジェロで、しかもブリヂストンで初めてとなるポールポジションを実現できたことは、プロジェクトに関わるすべての人にとって特別な思いだ。またヤマハにとっては今季6度目の快挙で、エンジニアたちの努力が証明された。今回もドライの時間が少なく苦労もあったが、彼らはいつものように素晴らしい仕事ぶりで、マシンをここまで仕上げてくれた。おかげでバレンティーノは、決勝タイヤでも予選タイヤでも最高のパフォーマンスを見せくれた。明日はやはり晴れてくれることを期待する」
J・ロレンソ選手談(予選7位/1分48秒905/24周)
「いつだってトップを目指しているから、7位は不満。今シーズン最低のポジションだ。僕はこのコースとイタリアのファンが大好きだから、よけいに悔しいんだ。でも今は、とにかく明日の決勝でいいレースができるようにしたい。足首は依然として力を完全に出せない状態だが、怪我のせいにするわけにはいかない。
今回はドライ・セッションが少なくてセッティングを煮詰めきれず、思い通りの走りができていないんだ。とくに問題なのはフロントで、ウイリーしやすく安定しない。でもチームとヤマハがきっとこれを解決してくれると信じている。バレンティーノがポールポジションを獲得しているのだから、マシンが素晴らしいことは証明済み。明日のウォームアップでミシュランと決勝用のタイヤを決め、決勝では好スタートを目指してできるだけ多くのライダーをパスしてくんだ!」
D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談)
「今回は今までとは違って少し苦労した。とくにウイリーしてしまうことでマシンをコントロールしにくく、また路面がバンピーなエリアでは安定してくれないので、安定性を向上し神経質な部分を取り除くためにサスペンションについて作業を行わなければならない。エンジニアたちがデータ分析を行っており、明日までに何らかの答が出てくるだろう。ホルヘは前回と前々回、見事なパスを見せてくれたので、明日も期待している」
C・エドワーズ選手談(予選5位/1分48秒383)
「このような形でフロントロウを逃したのは非常に残念。でもこの位置に満足するべきだろう。フロントロウはもちろんいいが、そうでなくても明日は上位について行く自信がある。雨になる可能性を考慮し、早めに予選タイヤを装着して48.7秒を記録。その時点でチームに"47秒は行ける"と話してあった。つまりコンマ7秒縮めるということだが、そこで僕はちょっとミスをしてしまったんだ。できるはずのものを、もう少しのところで逃してしまった。決勝用セッティングは非常にフィーリングが良かったし、ミシュランからも良いタイヤが提供されていたというのに、チームとヤマハには申し訳ないことをした。タイヤはこれまで以上により高レベルになっているので、初めは慎重に走らなければならない。
決勝では上位陣について行かなければならないが、タイヤについてはあまり無理なことはしないほうがいい。23周のレースだが、今回は誰もタイヤの耐久テストを行っていないという問題もある。でも僕としてはミシュランを信頼している。このコースでの走りとしては、今回のように満足できたのは初めて。これまであまり良い思い出のないサーキットなだけに、今回はより自信が深まったと思う。いつもこのコースではタイヤのチャターに悩まされていたが、今回はそれもないし、マシン自体素晴らしい動きをしてくれて夢のよう。
明日の決勝ではストレートのスリップストリームを利用して、何とか上位についていきたい。とくに最終コーナーの立ち上がりはうまくいっている。もしもスリップストリームにつけなかったら、上位陣が互いに抑え合いでもしないかぎりはとても抜き返せないところなので、あそこはコース中で最も重要なんだ」
J・トーズランド選手談(予選8位/1分49秒025)
「今回は天気が悪くて難しい状況だったなかで、ポールから1秒以内の差なのだから僕にとっては十分にいいタイム。実はとてもほっとしているんだ。午前中に路面が乾き始めたとき、あの時点で僕らのドライ用セッティングはベストからはほど遠かった。とても乗りにくかったので、いろいろ変更しコーリンのものに近づけていった。すると少しずつ安定してきた。
どうやらタイトなコースではひどいことにはならないようだが、ここのような高速コースだとマシンが神経質になるので変更が必要だ。今はかなり良い状態まで来ているが、セッティングのための実質的な周回数は10周ほどしかなかったんだ。知らないコースでマシンをセットアップしていく状況で、トップから1秒以内なら悪くはないだろう。チームが本当に頑張ってたくさんの作業をしてくれて、新しくでき上がってきたセッティングは良い方向に進んでいる。午後からのセッションでは、後半の30分は予選タイヤを履いてタイムアタックに臨んだので、決勝用セッティングをテストできたのは30分だけ。タイムアタックでも、ライン取りなどがまだよく分からないこともあって、ミスをしてしまった。
予選タイヤでは、まだベストの状態に至らなかった。とても長いコースで、いくつかのコーナーでは立ち上がりでどうしても、少しはらみ気味になってしまう。一度ミスをすると次のコーナーにも響いてくるので、そうなってしまったらもうタイムのことなど考えられなくなるんだ。僕自身の問題はコースを知らないということ。マシンとタイヤはとても良く走ってくれている。スリップストリームが助けてくれると思うので、明日はスタートで出遅れないようにしなければならない」