ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.03 4月13日 ポルトガル
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第3戦ポルトガルGP
■開催日:2008年4月11日(金)フリー走行2(総合結果)
■開催地:ポルトガル/エストリルサーキット(4.182km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:14度 ■路面温度:22度
REPORT
ロッシ、フリー走行で2番手
フィアット・ヤマハ・チームのV・ロッシがフリープラクティス1日目で2位のタイムを記録した。雨に見舞われた第1セッションでは転倒もあったが、午後から行われた第2セッションでは好調をアピールし、トップからわずか0.04秒差で2位につけた。
第1セッション、昨晩から降り続いた激しい雨のためにコースは完全なウエット状態。昨シーズンはここで優勝したロッシだが、ブリヂストンのウエットタイヤを試すのはまだ2回目で、それに加えてこのコースはオフシーズン中にマシンテストを行う機会もなかったため、いつものようにすぐさま好走につなげることはできなかった。セッション後半を迎える頃にロッシは転倒したが、幸い怪我はなくスペアマシンで走行を継続。徐々にウエットのペースにも慣れて2番手でセッションを終えた。第2セッションになると天候が急激に回復。太陽と風がコースを乾かし、ほとんどドライの状態。マシンのポテンシャルを最大限に引き出したロッシは1分38秒547で2位を獲得した。
一方のJ・ロレンゾは変わりやすい天候に翻弄されることとなった。慣れないモトGPマシンと、あまり好きではないというコース。多くの課題と戦いながら最終的に5位獲得と健闘した。午前中のウエットコンディションでは12位に留まったロレンゾだが、それでも2月にヘレスで初めてウエットを経験したときに比べて格段にペースは良くなっていた。午後になって路面が乾いてくると本来の調子を取り戻し、タイムではトップからわずか0.361秒差で5位につけた。
テック3ヤマハ・チームのC・エドワーズは、最新型ニューマティック・バルブエンジンを初めて試して3位と好位置につけた。走行開始から12分後、新型エンジンのアドバンテージを最大限に引き出してトップに浮上。その後D・ペドロサとロッシに抜かれたが、加速性能とスピードを生かして1分38秒632の好タイムを記録した。トップスピードでは4番手につけている。
チームメイトのJ・トースランドは1分40秒055で13位。エストリルの初走行は悪天候に見舞われて難しいスタートとなったが、最終的にはトップからわずか1.5秒差にまで詰め、適応の早さを見せた。ピットから出て1周目に転倒したため、スペアマシンでの走行だった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'38.507 |
2 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'38.547 |
3 | C・エドワーズ | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'38.632 |
4 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 1'38.688 |
5 | J・ロレンゾ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'38.868 |
6 | A・ドビツィオーゾ | JiR Team Scot MotoGP | Honda | 1'39.171 |
7 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'39.202 |
8 | 中野真矢 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'39.309 |
9 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'39.332 |
10 | J・ホプキンス | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'39.474 |
11 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'39.591 |
12 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'39.946 |
13 | J・トーズランド | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'40.055 |
14 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'41.033 |
15 | M・メランドリ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'41.112 |
16 | A・ウエスト | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'41.572 |
17 | S・ギュントーリ | Alice Team | Ducati | 1'41.875 |
18 | T・エリアス | Alice Team | Ducati | 1'43.262 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(フリー走行総合2番手/1分38秒547/43周):
「今日の結果にはハッピー。ウエットとドライの両セッションで2位ならとてもいいと思う。コンディションがくるくる変わって難しかったよ!ブリヂストンのウエットは好調で、僕のフィーリングも良かった。転倒したときはちょっと頑張って攻めていたときだから、実際にはおそらくフィーリングがありすぎたんだと思う。かなり大きな転倒で激しく地面に叩き付けられたが、幸い怪我はなくて、お尻が少し痛いだけ。そのあとはスペアマシンで走って、もっと速くなったので良かったよ。
午後になるとコースが完全に乾いてまったく違うコンディションになったが、エストリルはこういう所だと分かっているので、常に準備をしておかなければならないんだ。明日もどんな天気になろうと前進を続けなければならないし、そのための準備をしなければならない。マシンを修復してくれたチームのみんなに感謝している」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談:
「予想していたとおり難しいコンディションになった。午前中はウエットでしかも風が強かった。午後は路面がほとんど乾いたが完全ではない、そんな状態だったのだから本当に難しかった。午前中にブリヂストンのウエットを試すチャンスを得られたことはとても貴重で、重要なデータをたくさん収集してヘレスとの比較をすることができた。バレンティーノは転倒したが、これはブリヂストン製ウエットに慣れる過程で起きたこと。幸い怪我がなかったので問題はない。今日の走行で一番良かったことは、両方のコンディションで走れたこと。ここは天候が変わりやすく、決勝日もどんな天気になるかわからないので、このことはとても重要なんだ。チームスタッフはセッションの合間にマシンの修復をしなければならず大変だったので、彼らにお礼を言いたい」
J・ロレンゾ選手談(フリー走行総合5番手/1分38秒868/44周):
「5位...。これで満足するわけにはいかない。でもエストリルをモトGPマシンで走るのは初めてだったのだから、ここで焦らず、一歩一歩前進していかなければならない。最大の問題は天候。さっきまで雨が降っていたと思ったら、次の瞬間には太陽が照りつけて、しかも風が強い...。この調子では、これからレースに向けて組み立てていく段階がとても難しいよ!僕がこのコースをあまり好きではないということは、みんな知っているだろう。でも今の僕は、もう過去のことは考えないようにしている。今、目の前にある状況のことだけを考えようと思っている。
マシン・セッティングとタイヤをベストの状態にもっていくことだけに集中しなければならない。とくにタイヤはまだ完璧ではないので重要だ。ウエット・コンディションに関しては、前回のヘレスよりも明らかにフィーリングが良く自信を持って走ることができる。これは嬉しいことだが、もちろんまだ課題はある。それからヘレスでテストした新型の電子制御システムが、ここでもうまく機能していることは嬉しかった。ライバルたちもみな手強いので、決勝はかなり激しい戦いになるだろう。だから明日の仕事が重要になるんだ」
D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談:
「テストをしたことのないコースにやって来て大きな課題に立ち向かった。そして最終的にはとても良い仕事ができたと思う。もちろんペースはまだまだだが手応えがあったし、明日はまたいくつか、新しいものも試してみるつもりだ。ハードブレーキングの部分と加速の部分で安定性にやや欠けるところがあるので、今晩データを分析して明日のためのプログラムを作る予定だ。天気がころころ変わり大変だったが、ホルヘはそれにしっかりとついていき5位を獲得した。明日、もう一歩前へ進むために集中していきたい。きっとうまくいくと確信している」
C・エドワーズ選手談(フリー走行総合3番手/ 1分38秒632/44 周):
「午前中は悪夢を見ているようだった。なぜだかわからないが、マシンが思った方向へ動いてくれないんだ。でも午後のセッションが始まる前にちょっとヒントが見つかったので、それを試して解決した。カタールとヘレスで採用したものとほとんど同じセッティングにして、すぐにフィーリングがつかめるようになった。
新型エンジンは最高に素晴らしい!大満足だ。前のエンジンは、3速から6速まで上げるときにうまく加速していかない。でも今は、シフトをひとつ上げるごとに着実に力が出る感じなんだ。バレンティーノに続く3位だが、考えてみればストレートで彼についていくことができたのはこれが初めて。いつもなら、彼はすぐに小さくなって消えていってしまう。ここのように長いストレートのあるところでは、これまでならコンマ3秒ほど差があったが、今はもう少しで手の届くところにある。だから今はとてもハッピーな気持ちで、こんなに大きく向上させてくれたヤマハに感謝している。ユーズド・タイヤでも安定して走ることができた。マシンもエンジンも素晴らしくて気持ち良く乗れている」
J・トーズランド選手談(フリー走行総合13番手/1分40秒055/42周):
「ここはタイトコーナーがたくさんあって難しいコース。とくに超高速になるストレートのあとの第1コーナーへの進入はかなり大変だ。それからトリッキーなシケインに入っていって、ここはただひたすらくるくると回り続けるしかないという感じになる。午後のセッションの1周目で、タイヤが暖まらないうちに転倒した。たぶん午前中の雨で路面が汚れていたのだろう。コーナー進入は安定していたし、スピードだって転倒など考えられないくらいのものだったのだが...。次の瞬間には背中から倒れていて、ヘレスのテスト中に傷めた右足首をまたひねってしまった。
でもこの転倒を除けば全体的には満足していて、上位グループからもそれほど離れているわけではない。ニューエンジンは確かに素晴らしい。加速性能が良くなっていて、スロットルをいっぱいに開けるとパワーがしっかり伝わるため、ライン取りも変わってくるんだ。パワーに余裕があれば、それだけうまくコーナーを立ち上がれるから。、これは本当に大きな前進だ。ヤマハはずっと、エストリルで最新型が投入されると言い続けていて、それが本当に実現した。彼らに心から感謝している」