ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.02 3月30日 スペイン
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第2戦スペインGP
■開催日:2008年3月29日(土)予選結果
■開催地:スペイン/ヘレスサーキット(4.423km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:25度 ■路面温度:26度
■PP:J・ロレンゾ(1分38秒927/189)
REPORT
ロレンゾが連続ポール!
母国スペインの英雄、フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンゾが今日、地元ファンが見守るなかで昨年までのポールレコードを約1秒も縮める見事なタイムでポールポジションを獲得した。出場選手中、最年少のロレンゾは、予選でほぼ完璧な走りを見せ、前回に続き2度目、またこのコースで自己通算3度目となるポールポジションを手にした。
前日のフリープラクティスでもトップに立ったロレンゾ。今日の午前中の最終フリープラクティスと午後の予選セッション序盤を使って、さらにマシンセットアップを熟成。セッションの残り20分となったところで、3種類あるミシュラン製予選タイヤのひとつめでファステストタイムを記録。さらに予選の最終ラップでは3つめのタイヤで完璧と言えるほどの走りを見せ、自らのタイムをまたコンマ5秒ほど更新してポールポジションを確実にした。2位には0.5秒以上遅れてD・ペドロサ。3位にはテック3ヤマハの C・エドワーズが入った。
ロレンゾのチームメイト、V・ロッシもフロントロウを狙っていたが、最終ラップで電気系のトラブルが発生してタイムアタックできず結果は5位。しかし決勝用セッティングでのペースはとても良く、明日の決勝では優勝争い候補のひとりであることに変わりはない。ロッシは予選セッションの前半でマシン・セッティングをさらに煮詰めていきながら、ブリヂストンタイヤのテストを続けていた。そして予選タイヤを履きタイムアタックを始めると、その1本目と2本目で好タイムを記録し暫定フロントロウの位置へ。最後のトライで1分38秒台に入れるだけの自信を持っていたが、トラブルが発生したため最後まで攻めきれなかった。明日はグリッド2列目の真ん中からスタートする。ロッシの1分39秒064はちょうど現行のポールレコードと同じ。これはチームメイトのロレンゾによって今日、1秒近くも短縮された。
テック3ヤマハ・チームのC・エドワーズは予選3位を獲得。前回のカタールGPに続いて2度目のフロントロウに並んだ。エドワーズはあわや転倒の場面を自ら懸命に立て直し、最終的には1分38秒954のタイムを記録して3位をもぎとった。
走行開始6分、エドワーズはコースアウト。それからさらに17分後、第1コーナーでフロントから転倒しそうになるが、ほとんど奇跡的とも言える方法で危機を免れた。右ひざと右ひじを路面にすりながらフロントの激しいスライドを抑えこむと、コースサイドの大勢の観客が大歓声をあげたほどだ。この結果、毎セッションで3位以内を獲得したこととなり、当GPでの2年連続の表彰台獲得に期待がかかっている。
一方、ひどい気管支炎に悩まされているチームメイトのJ・トーズランドも気力を振り絞って好走。フロントロウのペースから約0.3秒差の1分39秒334を記録し、ディフェンディング・チャンピオンのC・ストーナーからはわずかに0.048秒差の8位となった。完璧なコンディションからはほど遠いものの、1990年以来イギリス人ライダーとして初めてとなる、連続6位以内を狙って決勝に臨む。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンゾ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'38.189 |
2 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'38.789 |
3 | C・エドワーズ | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'38.954 |
4 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 1'39.061 |
5 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'39.064 |
6 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'39.122 |
7 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'39.286 |
8 | J・トーズランド | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'39.334 |
9 | J・ホプキンス | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'39.439 |
10 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'39.484 |
11 | 中野真矢 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'39.559 |
12 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'39.704 |
13 | A・ドビツィオーゾ | JiR Team Scot MotoGP | Honda | 1'39.767 |
14 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'40.037 |
15 | A・ウエスト | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'40.088 |
16 | T・エリアス | Alice Team | Ducati | 1'40.286 |
17 | S・ギュントーリ | Alice Team | Ducati | 1'40.939 |
18 | M・メランドリ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'41.027 |
COMMENT
J・ロレンゾ選手談(予選1位/1分38秒189):
「カタールでのポールポジションと2位獲得は夢みたいなものだった。だからまたここでもポールポジションを獲得できるなんて、本当にびっくりしている。しかもそれが僕の地元ファンの目の前で実現できたんだ!最後のラップはとてもうまく走れて満足できた。それまでも十分に良かったが、パーフェクトとまではいっていなかった。だから最後にあんな走りができて興奮したよ。決勝用のセッティングでもペースは良く、マシンもタイヤもフィーリングがいい。ライバルたちはとても手強いし、僕を打ち負かそうと必死で挑んでくるだろうが、僕は何としても表彰台を狙っていく。ここまで僕を導いてくれたチームのみんなに感謝。明日が楽しみで仕方がない。天気がこのまま続けばいいが。そして素晴らしいショーをお見せしたい」
D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談:
「完璧な一日だ。ホルヘはレースペースもとても良かったし、タイムアタックでもポールレコードを更新する見事な走りを見せてくれた。今日の彼の走りはまさに感動的だった。ヤマハとミシュランが僕らに最高のマシンを提供してくれたおかげで、ホルヘはここまでできたのだ。今日のこの結果を見れば、明日は表彰台を狙っていけるだけのポテンシャルがあることは間違いない。そこへ到達するためにベストを尽くす」
V・ロッシ選手談(予選5位/1分39秒064):
「今日の目標はフロントロウだった。1分38秒台を出して2位に入れると思っていたが、残念ながら最後のラップで電気系トラブルが出てしまいマシンを停めなければならなくなった。アンラッキーだ。悔しかったし、もちろん1列目に並べればもっと良かったのだが、まぁそれほど遠く離れているわけではなくて2列目から、決勝は問題なく戦っていけるだろう。決勝用のペースは悪くない。もう少し調整を加えていけばさらに良くなるはずだが、今の状態でも十分にいいところまで来ている。ロレンゾは素晴らしかった。決勝用のタイヤで彼の速さに追いつけるかどうか...。彼に勝つのは容易ではなさそうだが、何とか頑張ってみるよ。決勝用のタイヤはまだ決めかねていて、明日の気温がどうなるかを待たなければならない。明日はかなりエキサイティングなレースになるだろうから、みんなが楽しみにしているんだ!」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談:
「予選の最終ラップを走りきることができなかったことは非常に残念だった。ちょっとした電気系の問題が出てしまったんだ。今後このようなことが起こらないようにするために、我々は今、実際に何が起きたのかを調査、分析している。しかしこのラップ以外は、予選用タイヤでも決勝用タイヤで十分な速さがあったので、これからシーズンを戦って上での手応えを感じることができた。明日のウォームアップを利用して決勝用タイヤを最終決定し、もう少し最終的な調整を行っていく予定」
C・エドワーズ選手談(予選3位/1分38秒954):
「かなり劇的な予選だった。第1コーナーで一度コースアウトしてしまい、懸命に立て直して転倒を免れた。それでもなおこうしてフロントロウをもぎ取ることができた。チームのためにどうしてもフロントロウを獲得しなければならなかったんだ。テック3のチームスタッフとヤマハのスタッフは、ずっと全力で頑張ってくれて素晴らしい仕事をしてくれているからだ。予選セッションは、リアにはすでに何周か走ったタイヤ、フロントには新品を履いてスタート。でもこのときは完璧なフィーリングを得ることはできなかった。そこでピットに戻り、リアも新しいものに替えると少し良くなってきたのでプッシュを始めたら、1コーナー進入で熱くなり過ぎたようだ。転びそうになって立て直し、また転びそうになって、一度はもうだめだと思ったほどだ。ひじを入れようとしたが止まらないので、今度は腕を上げるようにしてハンドルに伸ばした。そしてやっと何とか戻ることができた。でもきっと観客たちは喜んでくれたに違いない。
同じようなことをこれまでにも何度かやっているが、カメラで捉えられたのは初めてだったんだ。ロレンゾが前方にいて、彼は新品のリアタイヤを履いているらしかったが、僕のはすでに15周くらい走ったものだった。それでも僕としては彼を視界に捉えていたくて懸命にプッシュ。バックストレートの終わりのところでブレーキをかけたら飛び出してしまった。そのときに思ったのは‘わぁ!これじゃ10メートルも深すぎた!'ということ。それでグラベルに突入だ。それでもとにかくカタールに続いて2度目のフロントロウを獲得することができた。決勝に向けての準備は整ったんだ。決勝用のセッティングで、今朝のいくらか気温の低いときに調子が良かったが、気温が上がったとしても十分に好調だ」
J・トーズランド選手談(予選8位/1分39秒334):
「カタールではフロントロウだったのに、今回の8位にはがっかりだ。言い訳はしたくないが、今日はベストのフィーリングを得ることができなかった。フロントロウのペースからコンマ3秒遅れただけなのに8位になってしまうなんて...。このコンマ3秒を失ったのはフィーリングのせいだったと思う。この不公平感が示していることは、みんなの実力が伯仲しているので、ほんのちょっとでもうまくいかないところがあれば簡単に8位まで落ちてしまうということだ。体調は昨日に比べればいくらか良くなっているので、明日の決勝に向けてもう少し改善していきたいところ。でも大量に薬を飲むのは好きじゃないんだ。この状態だと厳しいレースになるだろうが、チームのみんなは僕のために全力で頑張ってくれていて、マシンは必ずしっかりと仕上がってくるはずだ。ホルヘの活躍には驚くばかりだが、2位から13位までの差が1秒以内というのだから大変だ。これまでの経験してきたすべてのクラスのなかでも、これほど激しく接近した戦いはなかったと思う。
明日の決勝に備えて正しい方向に進んでいることは間違いないが、タイヤの選択は難しい。テストのときに比べて気温がかなり高くなっているので、耐久性を重視してベストのものを探している。例年この時期はとても熱いので、そのための対策ができれば一番いい。でもコンディションは誰にとっても同じだろう。コーリンは感触のあまり良くないところについて代償を払ったが、最終的にはマシンのポテンシャルを証明してくれた。彼の走りは素晴らしかった」