ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.02 3月30日 スペイン
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第2戦スペインGP
■開催日:2008年3月28日(金)1日目フリー走行、29日(土)予選、30日(日)決勝
■開催地:スペイン/ヘレスサーキット
CIRCUIT DATA
■開設:1985年
■コース長:4.423km
■サーキットレコードラップ:1分40秒596(2005年:V・ロッシ)
■サーキットベストラップ:1分39秒064(2006年:L・カピロッシ)
REPORT
2008年ヨーロッパラウンドの始まり
2週間前、カタールで行われた開幕戦では、GP史上初のナイトレースが試みられ興味を引いた。今週末に予定されている第2戦は通常に戻り、チームスタッフにとってもライダーにとっても、より走り慣れたスペインのコースで開催される。マシンテストの場所として最も人気のあるヘレス。アンダルシア地方の穏やかな春の午後は、安定したコンディションを提供し、2008シーズンのライダーたちの状態を、より現実的に示してくれることだろう。フィアット・ヤマハ・チームのV・ロッシとJ・ロレンゾも、ヘレスの大観衆の目の前で本当の実力を発揮したいところだ。
ロッシとスペインのファンとの熱狂的な関係は、1996年にここヘレスで初優勝を果たした時から始まった。その後ロッシは最高峰クラスに移り、2005年と2007年のヤマハでの勝利を含め、5年にわたり優勝を遂げてきた。2000年、モトGPデビュー戦のドニントンパークで優勝を果たして以来、常にトップを走り続けてきたロッシだが、昨年のエストリル以降はそのポジションから遠ざかっている。この苦しい時期を一日も早く終わらせるため、今回は当然、優勝を狙っていく。
一方、モトGPルーキーのロレンゾは、開幕戦で2位獲得の快挙を果たした勢いをそのままに、最高峰クラスで初めてのホームGPに臨む。カタールではポールポジションから2位でチェッカーを受け、ランキング2位につけている。ロレンゾは2002年、15歳の誕生日に史上最年少で125ccクラスの予選を通過。250ccクラスにステップアップしたあともホームGPで2回優勝し、母国での人気を確実なものとしてきた。
緑に覆われた丘が自然の円形劇場を作り出すここヘレスは、前回のロサイルとは対照的な環境。毎年、120,000人もの大観衆を集めるモーターサイクル・レースのメッカとして知られている。コースは全長4.423km。ハードブレーキングのポイントもフルスロットルのチャンスも少ないことから、厳格なライン取りが重要になる。様々な角度でマシンの向き換えが要求されるため、レスポンスの良い総合的なセットアップと、マシンを大きく傾けた際のグリップ性が求められる。
COMMENT
V・ロッシ選手談 -"ビッグ・スパニッシュ・パーティー!"
「カタールは期待通りにはいかなかったが、そのなかでもたくさんのものを吸収し、持ち帰ることができた。マシンもブリヂストン・タイヤも非常に高い競争力を持っていることが確認できたので、これからの戦いに前向きに挑んでいくことができる。開幕前の2月にここヘレスで行ったテストはとても順調で、気分良く走ることができた。だから今はレースが楽しみでしかたがない。ここはテクニカルなコースで、ヤマハのマシンにとても合っていて走りやすいんだ。
カタールでの結果を見れば、今はまだ課題が山積している状態。だからプラクティスの時間を最大限に利用して、マシン・セッティングを煮詰めていきたい。へレスと僕との相性は抜群。昨年の優勝を含め、これまでに何度も好成績を挙げているし、毎回楽しんで走れるんだ。カタールではナイトレースをエンジョイすることもできたが、やはり通常の環境に戻るのはいいことだと思う。それにスペインでのレースはいつも、自分の国に戻ってきたような気持ちになれるんだ。一番大切なのは、スペイン中から応援にかけつけてくれる大勢のファンたち。まさにクレイジーなパーティーみたいなんだ!」
J・ロレンゾ選手談 -"スポットライトのなかで"
「カタールでの出来事は、僕の心のなかで生涯忘れられない素晴らしいものとなった。あれ以来ずっと嬉しい気持ちが続いていて、次のレースを楽しみにしてきた。こんな形でモトGPの第2戦を迎えられるとは、思ってもいなかったよ! でも決して楽なものではないことはよくわかっている。何しろM1でのたった2度目のレースであることに変わりはないのだから。カタールでの成功をもう一度再現したいのなら、プラクティスはしっかり集中して必死で頑張らなければならない。11月のテストではいくつか難しい問題もあったが、2月になると、悪天候にもかかわらずこれまでで最高のタイムも出た。そして今回はもっと速く走りたいと願っている。昨年のヘレスはポールポジションから勝利し、とてもいいレースができた。2006年も勝っているから、このコースは良い思い出でいっぱいだ。ヘレスは僕にとって特別な場所で、よく知り尽くした自分の家のようなもの。2002年のグランプリ・デビュー戦もここだったし、初めて‘ロレンゾ・ランド'の旗をたてたのものここ。いつも僕の心のなかにあるんだ。
コースはテクニカルで気に入っている。優勝するためにはコーナリングが重要で、必ずしもトップスピードが最速でなければならないということはない。去年までの250ccに乗っていたときとはまったく違う気持ちでレースに臨むことになる。今はトップライダーのひとりとしてスポットライトを感じることができる。カタールがすべてを変えてくれた。そして今回は、地元のファンの目の前で、また前回のような走りを再現したい」
D・ブリビオ、チームマネージャー談 -"通常に戻る"
「今回は通常の状態に戻り、そしてヨーロッパへ戻る。このことは非常に重要だ。カタールはブリヂストン・タイヤでの初めてのレースとして大きな意味があったが、今度はそこで学んだことを次につなげていかなければならない。ヤマハYZR-M1は非常にハイレベルなパフォーマンスを見せてくれたし、ブリヂストン・タイヤは勝利を果たした。これで我々のマシンのポテンシャルが明らかになったので、出来るかぎり早く両方の良さを合わせていかなければならない。プラクティスの時間は4時間と少ないので簡単ではないが、これが我々の今回の目標だ。最初の瞬間からベストを尽くし、効果的に作業を進めなければならない。カタールのレースがモチベーションを与えてくれたので、今は次の走行が待ちきれないような気持ち。試行錯誤を繰り返しながら、ひとつひとつ前へ進んでいくつもりだ」
D・ロマニョーリ、チームマネージャー談 -"未来のために"
「開幕戦の活躍と、シーズン開幕前のテストでの成功。良い材料を揃えて気分良く次のレースに臨める。チームの士気が非常に上がっており高い望みを持っているが、今はやはり地に足をつけていくことが大切だと思っている。簡単にできることではないが、ヤマハの未来のためにひとつひとつ積み上げ、この仕事にしっかりと集中しなければならない。
地元でのレースと言うことで、ホルヘに期待するファンやメディアが大勢押し掛けるだろうが、我々としては彼をリラックスさせ、レース以外のことを考えなくて済むような環境をつくってやりたいと思っている。しかし、カタールでの彼の仕事ぶりを見れば、我々が教えなければならないことはあまりないと言っていいだろう。ホルヘは非常に聡明で、常に自分のするべき仕事に集中しているからだ。カタールではミシュラン・タイヤがよく走ってくれたが、ここヘレスでも悪くはないだろう。1ヶ月前のテストを通じてたくさんのデータを収集してあるので、セッティング面で役に立ってくれるだろう。少しでも早くマシンを作り上げ、ホルヘがそれに慣れてレースのリズムをつかむための時間を作ってやりたい。次のレースを迎え、仕事に戻るのを楽しみに待っている」