ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.01 3月9日 カタール
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第1戦カタールGP
■開催日:2008年3月7日(金)フリー走行2(総合結果)
■開催地:カタール/ロサイル・サーキット(5.380km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:15度 ■路面温度:14度
REPORT
ロレンゾがフリー走行総合2番手
今シーズンからフィアット・ヤマハ・チームに加わったJ・ロレンゾが、そのデビュー戦となるカタールのフリープラクティス初日に見事なパフォーマンスを披露。今シーズンの開幕戦は、初の試みとして夜間の開催となり、照明の下でレースが行われる。そのためライダーたちにとって、この砂漠の中のサーキットは、過去何年かの経験以上に気温が低くなっている。初めてのナイト・レースはコンディションの違いに戸惑うこともあるが、そのなかでロレンゾは総合2位と大健闘。C・ストーナーがトップタイムを記録した。
参加ライダー中最年少のロレンゾは第1セッション、先週ここで行ったテストの好調をそのままに、素早くリズムをつかんでコンスタントに速さをキープ、2位で走行を終えた。第2セッションでは、セッティングを完璧に近づけるためにさらに入念な作業を続け、終盤ではミシュラン製タイヤのテストも行った。
チームメイトのV・ロッシは、YZR-M1+ブリヂストン製タイヤで8位のタイム。先週のテストでもいくつかの問題を抱えてしたロッシ。第1セッションはいくらか気温が高かったことが幸いして4位につけたが、第2セッションになると気温の低下などでコンディションが悪くなったこともあり、1回目のタイムを更新することができずに8位に後退した。
テック3ヤマハのJ・トーズランドとC・エドワーズは、それぞれ総合3位と4位につけて2008シーズンを好調にスタートさせた。ちょうど1週間前に行われたIRTAテストで2位を獲得していたトーズランドは、第1セッション序盤で転倒があったものの、その後、自らのベストタイムを1.1秒も短縮する見事な走りを見せて不安を払拭。日曜日の決勝に向けて確かな自信を取り戻した。1分55秒812のタイムはトップのストーナーからわずか0.37秒差の3位。
トーズランドから0.13秒遅れて4位につけたのがエドワーズ。これでヤマハ勢の3台が4位までに入ったことになる。テック3のふたりは第1セッションを、決勝を想定したタイヤテストに費やし、先週のテストでほぼ選び出していたタイヤとニュータイヤとを比較した。モトGP史上はじめてのナイト・レースは日曜日、ロサイル・インターナショナル・サーキットで開催される。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'55.442 |
2 | J・ロレンゾ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'55.453 |
3 | J・トーズランド | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'55.812 |
4 | C・エドワーズ | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'55.942 |
5 | A・ドビツィオーゾ | JiR Team Scot MotoGP | Honda | 1'55.963 |
6 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'56.120 |
7 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'56.234 |
8 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'56.269 |
9 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'56.279 |
10 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'56.478 |
11 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'56.922 |
12 | 中野真矢 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'57.011 |
13 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 1'57.045 |
14 | J・ホプキンス | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'57.085 |
15 | M・メランドリ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'57.091 |
16 | T・エリアス | Alice Team | Ducati | 1'57.311 |
17 | A・ウエスト | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'57.934 |
18 | S・ギュントーリ | Alice Team | Ducati | 1'58.500 |
COMMENT
J・ロレンゾ選手談(フリー走行総合2位/1分55秒453/46周):
「前回のテストのときの好調をそのままに、フリープラクティスを開始することができたので非常に満足。しかも、モトGP本番の第1日目で2位につけることができるとは、正直なところ考えていなかった。砂が風で吹き寄せられていて、コースの路面の状態は悪くなっている。でも今日の走行でみんなのバイクがいくらかそれを吹き飛ばしてきれいにしてくれているので、明日はもっと良い状態になって、さらにプッシュしていけると思う。照明に関しても何も問題はなく、これがナイト・レースだということさえとくに気にしないくらいになっている。とても普通なんだ。依然としてフロントのフィーリングにはいくらか問題も残っていて、もう少しグリップがあればと思うが、状況は一歩一歩良くなっている。タイヤは何種類か試したが、ミシュランはこのコースとの相性が良さそうだ。総合的に納得できる仕上がりで、自分のペースにも満足している。今日のポジションは確かに良かったが、そのことはあまり考えずに、これからもとにかく自分のベストを尽くすことだけに集中したい」
D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談:
「今日はすべてがうまくいった。先週のテストでも非常に速く走れていたので、この結果には驚いていない。テストのときに使用したベース・セッティングから始め、サスペンションにちょっとした調整を加えたら、それがすぐさま機能してこの走りにつながった。タイヤに関しては、気温の低いなかでのチョイスという意味で、今日は非常に貴重な草稿となった。ミシュランはとても素晴らしいものを提供してくれている。今後の課題とすればフロントのフィーリングだが、明日からのさらなる向上を目指して、すでにいくつかのアイディアが出ている。調整をしながら前進を続けたい」
V・ロッシ選手談(フリー走行総合8位/1分56秒269/44周):
「今日の走行序盤は、前回のテスト時と比べるといくらか暖かかったので、そのおかげでタイムも上がって上位陣に近づくことができた。しかし2回目のプラクティスになるとコースが滑りやすくなっていて、かなり苦労させられてしまったんだ。グリップが十分に得られないなかで、1回目のタイムを更新することができなかったのは残念。今日は問題をすべて解決するとういことはできなかったが、さらにデータをしっかりと分析し、明日はセッティングをうまく仕上げていけるように願っている。おそらくもう少し硬めのセッティングが必要になるだろう。
ペドロサの転倒はとても残念。大きな怪我がないことを心から願っている。僕はラップレコードの周回以外はふつうに走っていたつもりだが、おそらく彼は僕よりも速いペースで来ていて、コーナーの立ち上がりで止めきれずに僕に衝突してしまったようだ。アンラッキーだった。最後になったが、照明はとてもしっかりしていて、夜の走行だということを考えずにすむくらいだ」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談:
「明らかに課題が残されており、依然として、低い気温のなかでマシンのポテンシャルを最大限に引き出すためのセッティングを探している状態。このあとエンジニアたちがデータを注意深くチェックし、明日はまた別のものを試してみて様子を見ることになる。他のヤマハ・ライダーが良いタイムを出しているということは。ヤマハのマシンのポテンシャルを証明してくれていることになる。あとは我々が、バレンティーノのマシンを正しく走らせるためのキーポイントを見つけることだ」
J・トーズランド選手談(フリー走行総合3位/1分55秒812/21周):
「第1セッション開始前から、どういうわけかちょっとナーバスになっていたんだ。テストは順調だったのに、突然にそんな変な感覚が僕を襲った。つまりモトGPライダーとしてのキャリアをスタートさせるという緊張感だったのだろう。モトGPウイークという初めての経験について、いろいろ考え過ぎてしまったようだ。第1セッションが終わったあと、気持ちを落ち着かせるために30分の時間が必要だった。結果として満足のいくタイムを記録することができたし、テストのときと同様の走りができて今はハッピーだ。テストで好調をアピールしたあと、実際のレースウイークに入る時の興奮はかなりすごかったというわけだが、こうしてみんなの前で、公式にしっかりと走行できてほっとしている。このクラスで十分に戦えることを証明できたのだから。
路面はとくに第1セッションでほこりがひどく汚れていた。だから柔らかめのタイヤを履いて、まずはフィーリングを確かめたかった。そのあともう少し良いタイヤを履くと、すぐにフィーリングが良くなった。でも本当は2周目で1分55秒台を出したかったのだが...。コーナー進入が速すぎて、そのあとペースを作り直すのに時間がかかってしまった。ミシュランとヤマハにはまさに脱帽してお礼を言わなければならない。昨年のことは僕にはわからないが、僕が11月に初めてテストを行ったときと比較しても、計り知れないほど大きな前進だ。またヤマハが4位までに3台入ったことが、彼らのこれまでの努力を証明していると思う」
C・エドワーズ選手談(フリー走行総合4位/1分55秒942/24周):
「今日はとても好調だった。前回のテスト以来、マシンに触ってもいなかったが、乗ったらすぐに順調に走ってくれた。第1セッションは、前回のテストのときよりもいくらか気温が高かったが、正直なところ、決勝日はもっと低くなると思うので難しい問題もあると思っている。第2セッションでは3種類のタイヤをテストした。決勝用のものは良いものがすでに見つかったと思っていたが、今はちょっとその確信が揺らいでいる。最後に試した1本は、あまり期待していなかったんだけれど、何事も実際にやってみなければわからないものだ。結果的にはそれが一番良くて、ベストタイムも記録できたのだから。目標はフロントロウ。僕のマシンはコーナリングで好調で、とくに最初の3つのコーナーは、かなり速く抜けて行くことができる。その一方でストレートのスピードはまだいくらか劣っているのだが。だからフロントロウからスタートすることができれば、好成績も期待できると思う」