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Yamaha Motor Revs Your Heart

レース情報

ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)

ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。

Rd.18 11月4日 バレンシア

RACE DATA

■大会名称:MotoGP第18戦バレンシアGP
■開催日:2007年11月4日(日)決勝結果
■開催地:スペイン/バレンシア(4.005km)
■観客数:132,000人
■周回数:30周(120.15km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:19度 ■路面温度:25度
■PP:D・ペドロサ(ホンダ/1分31秒517)
■FL:D・ペドロサ(1分32秒748)

REPORT

ロッシはリタイヤに終わりランキング3位でシリーズを終了

【速報】

フィアット・ヤマハ・チームのV・ロッシはリタイヤに終わりランキング3位でシーズンを終えた。レースは6周目から首位を独走したD・ペドロサ(ホンダ)が優勝した。テック3・ヤマハ・チームのS・ギュントーリがヤマハ勢最高位を獲得。そして“ルーキー・オブ・ザ・イヤー”の賞も授与された。

決勝はC・ストーナー(ドゥカティ)の好スタートで開始。6周目にペドロサが首位に立ち、その後の2人のトップ争いは、やがてペドロサがリードを広げ逃げきる展開。予選で負傷した痛みを堪えてのロッシは、序盤17番手を走行。トップ集団に対し1~2秒遅れのラップながら徐々にリズムを掴み、6周目にA・ウエスト(カワサキ)をかわして15番手に浮上。中盤にさしかかると玉田誠、C・エドワーズ、C・チェカ(ホンダ)、中野真矢(ホンダ)らの後方グループの最後尾に追いつき上位をうかがう。そして14周目に中野を抜くと、16周目に玉田を抜き14番手に上がるがが、その直後にメカニカルトラブルが生じ16番手に後退すると、ピットインしリタイヤした。

予選5番手グリッド2列目発進のS・ギュントーリはスタートで出遅れ1周目は10番手。その後1人抜いて9番手に上がるが、中盤C・バーミューレン(スズキ)、T・エリアス(ホンダ)らに先行され11位。エドワーズは予選順位から2つあげて13位、予選6番手の玉田は後退して15位でのチェッカーとなった。

【レポート】

ランキング2位獲得を狙っていたロッシの思いは、最も不運な形で打ち砕かれた。マシンの技術的問題が発生し、怪我をおして出場していたロッシはリタイヤを余儀なくされた。チームメイトのC・エドワーズも、予選15位からのスタートで13位と不本意な結果。その一方でテック3・ヤマハ・チームのS・ギュントーリと玉田誠はそれぞれ11位と15位、1年間のチャレンジを満足のうちに終了することができた。

ウイーク初日の金曜日。冷たい朝に始まり、その後強い日差しと青空が広がってくる典型的なこの天候は、決勝日まで続くことになる。ロッシとエドワーズはトラクションの問題に悩んでおり、完璧なスタートとはいかなかったが、午前中に行なわれたフリープラクティス第1セッションで6位と9位。しかし午後からはこれを更新することができず、総合順位では8位と13位に留まり、多くの課題を残した。

その一方でギュントーリはストーナーに続く2番手のタイムを記録する好調ぶり。チームメイトの玉田は12位。

土曜日の午前中、フリープラクティス第3セッションでは、ロッシとエドワーズが決勝用タイヤで依然としてトラクションの問題に苦悩。その午後から行われた予選では、開始からわずか数分でロッシが1コーナー立ち上がりで転倒して右手に3カ所の骨折を負ってしまう。また腰骨を強打しており心配されたが、レントゲン検査の結果重大なダメージではないことがわかった。この時点で決勝出場は不確定となっていたが、本人はこの11年間続けてきた連続出場の記録を更新するためにも、出場を強く希望していた。そして最終決定は日曜日の朝まで持ち越されることとなった。出場するとなれば、転倒する前のタイムにより予選グリッドは17位。

エドワーズはペースアップのためにセッティングを変更。しかし決勝用タイヤでは目立った前進は見られなかった。予選タイヤについては、フロントにプロファイルの異なるものを試してみたが、これも功を奏せず15位に留まった。

その一方で、テック3・ヤマハ・チームの二人は予選タイヤで好調ぶりを発揮。セッションのほとんどで上位をキープし、最終的にはギュントーリが自己ベストの5位、玉田が一つ後ろの6位につけた。ポールポジションは5回連続となるペドロサ。2位にストーナー。

スタジアムのようなバレンシアのサーキットには132,000人もの大観衆が詰めかけ、シーズン最終戦に相応しい活気あふれる雰囲気。ロッシは朝のウォームアップセッションを軽く走ったあと診断を受け、ランキング2位獲得のために必要な1ポイントのために出場を決意した。ロッシは1996年にGP125でデビュー以来、全レースに出場しており今回で192回目。

ランキング獲得のためには15位以上でゴールすることが条件。そしてポールポジションからスタートするライバル、ペドロサは、ロッシのランキング2位を阻止するために優勝しなければならない。このわずか1ポイントという明確な目標のためにロッシは、けがの痛みをこらえて果敢にスタートし、中盤までにウエスト、中野、玉田をパスして14番手に浮上。ところが18周目、マシンに予想外の問題が発生してリタイヤを余儀なくされてしまい、そのあとはペドロサがストーナーを抑えて優勝するのを見守るしかなかった。これでペドロサは、わずか1ポイント差でランキング2位を獲得。ロッシは1996年のデビュー以来、初めてランキング3位以下に留まることとなった。

エドワーズはグリッドポジションから3つ上げて12位になったが、グリップ不足でこれ以上の挽回は不可能。さらにレース終盤では今シーズン限りでMotoGPを去るC・チェカ(ホンダ)とのバトルに敗れて13位。ランキングでは9位となった。来シーズンからはテック3に加入。世界選手権スーパーバイクのチャンピオン、J・トーズランドを迎え、ともに戦うことになる。

また予選で好調ぶりを見せていたギュントーリは、エドワーズ、チェカ、T・エリアス(ホンダ)、R・ド・ピュニエ(カワサキ)らとバトルを展開した後、ヤマハ勢最高位の11位でフィニッシュ。この日31回目の誕生日を迎えた玉田もこのグループで戦い、15位で終えた。二人は2008年シーズン、それぞれ新たな場所へ活動の場を移すことになる。

RESULT

順位 ライダー チーム マシン タイム
1 D・ペドロサ Repsol Honda Team Honda 46'43.533
2 C・ストーナー Ducati Marlboro Team Ducati 5.447
3 J・ホプキンス Rizla Suzuki MotoGP Suzuki 20.404
4 M・メランドリ Honda Gresini Honda 24.827
5 L・カピロッシ Ducati Marlboro Team Ducati 25.804
6 C・バーミューレン Rizla Suzuki MotoGP Suzuki 25.862
7 A・バロス Pramac d'Antin Ducati 29.470
8 N・ヘイデン Repsol Honda Team Honda 30.333
9 R・ド・ピュニエ Kawasaki Racing Team Kawasaki 30.895
10 T・エリアス Honda Gresini Honda 31.030
11 S・ギュントーリ Tech3 Yamaha Team Yamaha 38.763
12 C・チェカ Honda LCR Honda 42.506
13 C・エドワーズ FIAT Yamaha Team Yamaha 46.572
14 中野 真矢 Konica Minolta Honda Honda 50.220
15 玉田 誠 Tech3 Yamaha Team Yamaha 56.879

RIDERS RANKING

順位 ライダー マシン ポイント
1 C・ストーナー Ducati 367
2 D・ペドロサ Honda 242
3 V・ロッシ Yamaha 241
4 J・ホプキンス Suzuki 189
5 M・メランドリ Honda 187
6 C・バーミューレン Suzuki 179
9 C・エドワーズ Yamaha 124
16 S・ギュントーリ Yamaha 50
18 玉田 誠 Yamaha 38

CONSTRUCTORS RANKING

順位 コンストラクター ポイント
1 Ducati 394
2 Honda 313
3 Yamaha 283
4 Suzuki 241
5 Kawasaki 144
6 KR212V 14

COMMENT

C・エドワーズ選手談(13位)

「今日のレースについては、ほとんど何も話すことがないよ。これで僕はチームを去る。それだけだ。今回はファクトリーチームでの最後のレース。もっともっと良い成績を残したかったことは、誰もが知っているはず。でも、今日は本当に、これ以上何もできなかったんだ。

この3年間僕を支え続けてくれたチームのみんなには、感謝の気持ちでいっぱい。僕のこれまでのキャリアのなかでも最高の、忘れられない思い出になった。ヤマハ、ミシュラン、そしてチームのみんなに心からありがとう。とても楽しい日々だった。来年からもヤマハに残れることをうれしく思っている。今は、新しいマシンで新しいスタートを切る日を楽しみにしている」

V・ロッシ選手談(リタイヤ)

「言葉がない。今日のことは運が悪かったというだけではないだろう。ランキング2位がどうしても欲しかったから、まずはグリッドに並ぶためにできる限りのことをした。レース中は好調で、マシンは完璧とは言えないものの十分に速く走れていたんだ。そして14番手まで上がったとき、「これで仕事は完了した」と自分自身に言い聞かせた。また依然として好調だったので、もっと前へいきたくなってしまったんだ。

でも、そこでマシンに問題が起きていることが分かった。そしてピットに戻らざるを得なくなった。何が起こったのか、今データを分析して調べている。原因が良く判らないからだ。手の骨折が治るまでに20日間はかかるという。その後ヘレスへいってウインターテストを開始するつもりだ。今日の決勝出場を可能にしてくれたクラウディオ・コスタ、マルコ・モンタナリ、そしてクリニカ・モービルのみんなに感謝する」

D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談

「もっといい成績で最終戦を終えたかった。骨折をおして懸命に走ってくれたロッシには本当に申し訳なく思っている。マシンの技術的問題が、彼のランキング2位獲得を阻止してしまったわけで、このことは我々として非常に残念。彼がマシンの不調を感じ、エンジンが不調となったので、エンジニアたちは今その原因を探るために必死でデータ分析を行っている。最初の検査では何が問題だったのかわからなかったため、エンジンを日本へ送ってさらに追求してもらうことに決めたところだ。

エドワーズも13位と残念な結果。ファクトリーチームでの最後のレースを好成績で締めくくれず残念。しかし彼は来年以降もヤマハファミリーの一員だ。活躍を祈っている。

こうして考えてみると、バレンシアというサーキットは、あまり相性の良いところではなさそうだ。でも今日のことは我々に、来年に向けてのより大きなモチベーションを与えてくれた。今月中にもテストを開始し、来年またMotoGPのトップに立つために全力で頑張っていく。チームとそこに関わってくれたすべての人に感謝している。今シーズンはかなり厳しいこともあったが、我々はまた来年もこの戦いに挑んでいく」

S・ギュントーリ選手談(11位)

「スタートはあまり良くなかったが、その後リズムをつかむとド・ピュニエ、バロス、エリアスとバトルになり、とてもエンジョイできた。スタートで出遅れたことを考えれば十分な結果。それにヤマハ勢で最上位だったのだからなおさらうれしい。今は感激でいっぱいだよ。

1年を振り返ってみれば、僕にとっては今までで最高のシーズン。それが終わってしまうと思うと寂しい気持ちになる。チームの誰もが、予想以上のできだと思っているはずだ。開幕当初の目標はただ前進すること。このクラスについて、MotoGPマシンについて勉強していくことだけだった。
そして、少しずつ自分のペースをつかみ、モチベーションもさらに上がってきた。同時にダンロップが最大限のハードワークで支えてくれて、良い協力関係のなかで頑張ってくることができた。チーム全体にとって非常に良い結果であったと思う。そして来年も彼らの活躍を祈る」

玉田誠選手談(15位)

「決勝中はとてもいいペースだったが、中盤頃タイヤの性能が少し落ちてきて、リアが振動し始めた。これでハードにプッシュすることができなくなり、遅れてしまった。今日のレースにはあまり満足できなかったが、チャンスを与えてくれたチームとダンロップに感謝している。自分で目標にしていた成績は得られなかったが、チームとダンロップのスタッフは、僕が少しでも良い方向へいくようにと、常に全力で頑張ってくれた。彼らは僕のためにこれ以上ないくらいの最高の仕事をしてくれた。彼らの将来の成功を祈っている」

H・ポンシャラル、テック3・ヤマハ・チーム監督談

「我々チームにとっては素晴らしい週末だった。過去最高の予選結果で、二人がそろって2列目に並ぶことができた。ダンロップとの協力関係がこうして実を結んだことは非常に誇らしく思う。決勝はやはり厳しいものだったが、スタートで出遅れたわりには良いリズムをキープして頑張ってくれた。

ギュントーリは最初から最後まで全力でプッシュした。これ以上のことはない。タイヤも最後まで安定していて、ヤマハ勢最高のポジションを獲得し、また二人がそろってポイント獲得に成功した。今日の結果は我々チーム全体の誇りだが、テック3とダンロップの挑戦はこれで終了だ。ダンロップの技術者たち、エンジニアに心から感謝する。彼らはこのプロジェクトのなかで、100%僕らを支えてくれた。常にモチベーションを高く保ち、全力で仕事に取り組んだ。また二人のライダーにも感謝している。彼らはピットの中で、いつも楽しい雰囲気を作り出してくれていた。二人のライダーとチームの間で何の問題も起きず、僕は一人の人間として、彼らを迎えたこの2007年を最高の年だったと感じている。

彼らがチームを去ってしまうのは悲しいが、ギュントーリは良いチームへの移籍が決定した。玉田も来年、活躍できることを祈っている。またダンロップの成功にも期待したい。そしてできるだけ早くMotoGPに戻ってきて欲しい。GP250で連続15年目、GP125で連続10年目という彼らの快挙を祝福する」

L・ジャービス、ヤマハ・モーター・レーシング・マネージングダイレクター談

「長く厳しかったシーズンの最終戦は、このような残念な結果に終わった。我々のマシンがロッシの希望を砕き、何としても手に入れたかったランキング2位を奪ってしまう結果になったことを本当に申し訳なく思っている。骨折したままの出場で、その中でも懸命に走る姿はファイティングスピリットにあふれていた。彼のレースに対する情熱がひしひしと伝わってきた。またファクトリーチームでの最後のレースとなったエドワーズも残念な結果でシーズンを終えることとなってしまった。この3年間のヤマハへの貢献と、素晴らしいチームワークに感謝する。そして来シーズンからもヤマハファミリーの一員として、すぐ隣のピットに彼を迎えられることを非常にうれしく思う」

辻幸一談(ヤマハ発動機モトGPグループ)

「ヤマハチームにとっては、非常に厳しい週末となってしまいました。右手にけがを負いつつもレースに出場したロッシ選手でしたが、途中マシンに異常を感じたためリタイヤを喫してしまいました。エドワーズ選手も予選で精彩を欠き後方スタートとなってしまい、レースは完走するのが精一杯の状況で13位。

テック3・ヤマハ・チームの両ライダーはそろってセカンドローからのスタートとなり、レースでも好結果が期待されましたが、結果は玉田選手が15位、ギュントーリ選手が11位となりました。今シーズン18戦を終了し、応援してくださった皆さんの期待に応えることができませんでしたが、すでに火曜日から来年に向けたテストが開始されます。今シーズの反省を基に、来年は必ずチャンピオンを奪回すべくチーム一丸となってゼロから出直すつもりです。引き続き、皆さんのご支援、ご声援をお願いします」

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