ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.13 9月2日 サンマリノ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第13戦サンマリノGP
■開催日:2007年8月31日(金)フリー、9月1日(土)予選、2日(日)決勝
■開催地:イタリア/ミサノ
CIRCUIT DATA
■開設:1972年
■コース長:4.180km
REPORT
ホームレース再び!
フィアット・ヤマハ・チームは今週末、シーズン2度目のホームレースを迎える。アドリア海沿岸にあるミサノサーキットで14年ぶりにグランプリが開催されることとなったため、チームの拠点ミラノからの近い旅となる。V・ロッシとC・エドワーズはここまで不運が続いてきたが、シーズンの最終段階を迎えて本来の強さを取り戻したいところ。
とくにロッシにとっては、C・ストーナー(ドゥカティ)とのポイント差を縮めるための重要な時期。ロッシはここ3戦、表彰台にも上っていないがデビューシーズンの2000年には4戦連続で表彰台を逃した経験があり、幸いにもこの記録にはまだ届いていない。それに今回は地元ファンの熱烈なサポートが記録更新阻止に一役買ってくれるに違いない。ロッシのサポーターたちは、ホームタウンのタブリアからミサノまでの約15kmの距離を、歩いて移動する「巡礼」を計画しており、土曜日の朝には観客席がおなじみのイエローで埋め尽くされることになる。
ロッシにとっては初めて走ることとなるミサノだが、チームメイトのエドワーズはスーパーバイク時代にすでに何度も経験しており、4度の表彰台獲得など好成績を残している。しかし今回は、その頃とは反対回りでレースが行われることとなっているため、経験を生かすことができるのはほんの一部分かもしれない。ライダーたちが新しいレイアウトに慣れるために、今回は金曜日の午後に1時間のフリープラクティスが追加される他、タイヤの使用本数もフロントが1本、リアが2本増加、合計ではそれぞれ15本、19本となる。
ミサノサーキットがオープンしたのは1972年。1993年には3.488kmから4,060kmに長さが変更され、2006年には時計回りの走行へと設計が見直された。コースの特徴として「海風」により路面コンディションの変化があることが知られている。これは関係者の間で「風によって運ばれてきた細かい砂の影響である」と考えられており、午前と午後で路面のグリップ力が大きく異なることからチームやライダーを悩ませることがある。
COMMENT
V・ロッシ選手談 ー “ベストを尽くす”
2カ月前のアッセンで優勝したあと表彰台から遠ざかっているロッシ。シーズンも残り6戦となった今、チャンピオン争いのライバル、ストーナーとのポイント差は60ポイントに拡大してしまった。ロッシはこれまでのキャリアのなかで、何度も予想を覆す大逆転を見せてきたが、これから始まる戦いの厳しさは良く承知している。
「母国のファンの目の前でレースをするのは、いつも特別な気持ち。しかも今回のミサノは家からもとても近いところにあるので、不思議な感じさえするんだ。でもこのところは残念が重なっていて、今回も決して良い状態で臨めているとは言えない。ブルノで2日間テストをして、タイヤに関して期待していたような“奇跡”が起こることもなかったのだが、それでもミシュランにたくさんの情報を提供することができたはずだよ。だから今回は何らかの答えを持って来てくれるだろうと期待しているんだ。金曜日の午前中にはそれがわかるだろうから楽しみにしている。
コースについてはほとんどのライダーにとって未知なものだと言っていいだろう。エドワーズはスーパーバイクのときに何度も走っていて知り尽くしているが、それでも過去の知識は少しも役に立たないと考えているようだ。だから誰もが同じ条件なんだ。いつものように全力を尽くし、そしてイタリアのファンに喜んでもらえるだけのことをしたいと思っているよ」
C・エドワーズ選手談 ー “信じ続けること!”
エドワーズはブルノのテストでミシュランのエンジニアとともに集中的に作業に取り組んだあと、テキサスの家に戻り短い休息をとった。ミサノのコースについては経験豊富だが、反対回りで行われるためまったく別のものと考えて金曜日のプラクティスに臨むという。
「以前のレイアウトの記憶が強すぎるので、コースインのたびにメカニックたちから言ってもらわないといけないよ! スーパーバイクで何度も走っているから良く知っているのは当然で、その頃には好成績も何度かあって大好きなコースなんだ。でも反対回りになってしまったら、その頃の知識は役に立たないと思う。逆周りで走行するから全く新しいコースに挑む心構えでいるんだ。もちろん街の道路は覚えているよ。どこにおいしいアイスクリームが売っているかとかね。でもそれ以外は全て忘れるべきだよね!
ブルノのテストではタイヤに関するデータをさらに収集するなど貴重な機会になった。レースウイークのなかで新しいタイヤを試す時間は少ないからね。フロントについてはとても気に入ったものが見つかって、リアのほうも進歩が見られたのできっとうまくいってくれると思う。奇跡は期待していないが、一歩一歩前へ進んでいくこと、そして信じ続けることが大切なんだ。ブルノの後の数日間、家に戻ることができたので休息も十分。ミサノに向けて準備は万全だよ」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談 ー “特別な場所”
ブリビオもまたシーズン2度目となるイタリアでのレースに意気込みを見せており、大勢のファンのサポートがチームを後押ししてくれるものと期待している。しかしながら、ロッシとエドワーズがブルノで試したニューエンジンは今回使用を見送ることになったという。
「ムジェロはいつも我々にとって非常に大切なレースだった。でも今回のミサノは新しいものでもあるし、歴史と伝統のあるコースで特別な場所と言うことができるだろう。ロッシにとってはシーズン2度目のホームレースになるわけで、彼の応援のためにものすごい数のファンが詰めかけることになるだろう。故郷のタブリアからもとても近いし、モーサーサイクル熱の非常に強いところなので大勢に来てもらいたい。
戦いは依然として難しい状況にあるが、レースでは何が起こるか分からない。我々としては全身全霊をかけてセッティングに取り組み、二人のライダーに少しでも良い環境を作ってあげるだけ。そうした意味でも、ミサノという場所は我々に大きなモチベーションを与えてくれる。ブルノでテストしたニューエンジンは、一度日本へ返してさらに開発を続けてもらうことになった。少しでも早く戻ってきてくれることを望んでいる」
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