ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.13 9月2日 サンマリノ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第13戦サンマリノGP
■開催日:2007年9月2日(日)決勝結果
■開催地:イタリア/ミサノ(4.180km)
■観客数:60,000人
■周回数:28周(117.04km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:26度 ■路面温度:42度
■PP:C・ストーナー(ドゥカティ/1分33秒918)
■FL:C・ストーナー(1分34秒649)
REPORT
ロッシはリタイヤ、エドワーズは9位
【速報】
予選2番手から発進したフィアット・ヤマハ・チームのV・ロッシは序盤4番手を走行したが5周目でリタイヤ、ノーポイントに終わった。優勝はポール発進のC・ストーナー(ドゥカティ)で今季8勝目。ロッシのチームメイト、C・エドワーズは9位、テック3・ヤマハ・チームのS・ギュントーリは12位、玉田誠は14位だった。
28周の決勝はストーナーの好スタートで開始。直後の左コーナーでR・ド・ピュニエ(カワサキ)、D・ペドロサ(ホンダ)が転倒し2人ともリタイヤ。この転倒を避けようとしたN・ヘイデン(ホンダ)はオーバーランで最後尾まで後退。その後は、ストーナーを先頭にJ・ホプキンス、C・バーミューレンのスズキ勢が追う展開。そして後方にロッシがつく。4番手を走行していたロッシは5周目にリタイヤ。6周目に入るとバーミューレンが2番手に浮上。これで上位陣はストーナー、バーミューレン、ホプキンスの順となる。この順番はそのままゴールまで変わらず、この3人が表彰台に上った。
予選9番手、グリッド3列目発進のエドワーズは、序盤6番手につけるが、M・メランドリ(ホンダ)、C・チェカ(ホンダ)、A・ウエスト(カワサキ)らに後塵を拝されて後退、中盤にはT・エリアス(ホンダ)に先行を許し結局9位となった。予選11番手発進のギュントーリは一つ順位を下げて12位。予選16番手発進の玉田は、中盤まで13番手を走っていたが、最後尾から追い上げてきたヘイデンに21周目に抜かれて結局14位となった。
【レポート】
ホームグランプリでの好レースが期待されたロッシだが、4番手走行中にエンジントラブルに見舞われわずか5周でリタイヤした。チームメイトのエドワーズはレース後半でリアグリップに問題を抱え、ペースを上げることができず9位でレースを終えた。
金曜日に始まったレースウイークは、初日のフリープラクティスが雨のために短縮される非常事態。前日の木曜日は気温35度の猛暑だったことから暑さとの戦いになると思われていたが、その夜から雨が降り続け、午前中のセッションはウエットコンディションで行われた。そのなかでロッシとエドワーズはそれぞれ2位、5位と好調ぶりを見せていた。
昼休みの間にさらに雨が降り、コース上空には雷も出現。午後2時になって雨は止んだが、パドック、ピットレーン、コースの一部分、ピットボックスなどがすでに水浸しになってしまっていたため、その後のスケジュールはキャンセルされることとなった。
これによって翌土曜日の予定を一部変更し、午前中のフリープラクティスを通常よりも1時間長い9時から11時までの2時間とすることとし、午後からの予選に備えることとなった。幸い嵐は過ぎ去り、代わってロッシファンのイエローがコースを埋め尽くした。彼らのうちの1,000人以上は、ロッシの生まれ故郷、タブリアを今朝出発、徒歩でここまでやって来た熱狂的サポーターだ。2時間の作業と走行の結果、トップはストーナー。ロッシが2位で続き、エドワーズも順調に5位につけた。
午後からの予選も好天のもとで行われ、気温も20度前半と絶好のコンディション。残り10分となって予選タイヤを履いたロッシはすぐにトップに浮上したが、まもなくストーナーに逆転されてしまう。エドワーズもまた一時トップに上がったが、他のライダーがタイムを上げてくるなかで徐々に順位を下げていった。セッション終了間際の2分間で2度目のアタックを行ったロッシは、タイムを更新して再びトップを奪ったが、その後やはりストーナーに抜き返されて2位となった。ポールポジションを獲得したストーナーと2位のロッシが、決勝では激しい火花を散らす展開になるものと期待された。
決勝も引き続き好天に恵まれ、60,000人のファン(そのほとんどが「ロッシ・イエロー」に身を包んでいるのだが)が詰めかけてヒーローの応援に準備万端。気温26度、路面温度は42度まで上昇してミシュランタイヤには適した条件となったため、ロッシ、エドワーズの二人にとっては上位争いのチャンスだ。
レッドシグナルが消えるとまずストーナーが好スタート。ロッシはホプキンスに抜かれて順位を一つ下げ、続くいくつかのコーナーでさらにバーミューレンにも先行されてしまう。タイヤが暖まるまでに少し時間を要したロッシは、しばらく挽回のチャンスを待っていたが、5周目になってエンジンパワーが落ちてリタイヤを余儀なくされた。ブルノでのテスト、そして今回のプラクティスで好調をキープし、決勝ではニューエンジンを選択したロッシにとっては、非常に残念な結果となってしまった。
一方のエドワーズは好スタートを切って、オープニングラップでチェカをパス。さらには3台が絡む接触でド・ピュニエ、ペドロサが転倒リタイヤ、ヘイデンがコースアウトしてエドワーズは6番手に浮上した。ところがその後リアタイヤ左側のグリップに問題を抱え、3周目にはメランドリに、4周目にはチェカとウエストにパスされてしまった。
スーパーバイク時代にはここミサノで何度も表彰台に上っているエドワーズ。挽回を決意して9周目にはウエストを抜き返して8番手に上がったが、その6周後にウエストに抜かれて再び9番手となりそのままレースを終えた。
テック3・ヤマハ・チームではギュントーリがダンロップタイヤのポテンシャルを生かして、前回に続いて2度目の予選11位を確保。レース序盤は中野真矢(カワサキ)、バロスとバトルを展開したが。後半になるとグリップに問題を抱えたためペースを緩め、12位でゴールして貴重なポイントを獲得した。チームメイトの玉田はその二つ後ろの14位。
ここでランキングトップのストーナーが優勝したため、ロッシとのポイント差は85に拡大してしまった。残りは5戦、残されたポイントの可能性は合計125ということになる。一方のエドワーズはトータル100ポイントでランキング7位をキープしている。次回は第14戦ポルトガルのエストリル。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・ストーナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 44'34.720 |
2 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 4.851 |
3 | J・ホプキンス | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 16.002 |
4 | M・メランドリ | Honda Gresini | Honda | 22.737 |
5 | L・カピロッシ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 24.787 |
6 | C・チェカ | Honda LCR | Honda | 34.986 |
7 | T・エリアス | Honda Gresini | Honda | 40.896 |
8 | A・ウエスト | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 41.744 |
9 | C・エドワーズ | FIAT Yamaha Team | Yamaha | 47.146 |
10 | 中野 真矢 | Konica Minolta Honda | Honda | 48.808 |
11 | A・ホフマン | Pramac d'Antin | Ducati | 49.299 |
12 | S・ギュントーリ | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'09.176 |
13 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 1'20.424 |
14 | 玉田 誠 | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'34.223 |
15 | Ku・ロバーツ | Team Roberts | KR212V | -1 Laps |
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | C・ストーナー | Ducati | 271 |
2 | V・ロッシ | Yamaha | 186 |
3 | D・ペドロサ | Honda | 168 |
4 | C・バーミューレン | Suzuki | 144 |
5 | J・ホプキンス | Suzuki | 140 |
6 | M・メランドリ | Honda | 126 |
7 | C・エドワーズ | Yamaha | 100 |
17 | 玉田 誠 | Yamaha | 33 |
18 | S・ギュントーリ | Yamaha | 28 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Ducati | 283 |
2 | Honda | 219 |
3 | Yamaha | 213 |
4 | Suzuki | 191 |
5 | Kawasaki | 90 |
6 | KR212V | 14 |
COMMENT
C・エドワーズ選手談(9位)
「スタートはうまくいって、ヘイデンとド・ピュニエの混乱をなんとか避けることができた。それからチェカが僕を押し出しそうになって、2度目の時にはとうとうはらんでしまってウエストたち数台に抜かれてしまったんだ。その後もう一度仕切り直して、ひたすら体を伏せて前を目指していった。でも残念ながらタイヤの左側に問題が出始め、その後はグリップしなくなってしまった。このコースは、例えば1、2コーナー、4、5コーナーなど素早い向き換えをする場所が多く、そのたびにとても怖い思いをした。あとはペースを調整して何とか走りきるだけ。今日は走っていて少しも楽しくなかったよ」
V・ロッシ選手談(リタイヤ)
「スタートのときからタイヤが暖まっていない感じがして、いくつかポジションを下げた。でもそれ以外はとても順調で、安定していたしリズムも良かったんだ。だからタイヤが暖まってくれば良くなってくると自信を持っていた。ところが5周目、ちょっとハードにブレーキングをしたら急に感触がなくなった感じで、それでレースは終りになってしまった。エンジンは、ブルノのテストと今回のプラクティスで使用したのと同じもので、フィーリングはとても良かったんだけれど…。今はまだ問題が何だったのかわかっていないので、このあとのエンジニアたちの分析を待つしかない。
今日このミサノで好成績を挙げることができていたら、それは本当に素晴らしいことだったんだ…。このコースが大好きだし、僕を応援しに来てくれた大勢のファンに僕の最高の走りを見せたかった。コースが黄色で埋まっているのを見た時は本当に感動したよ。残念ながら結果的にはこうなってしまって、しかもチャンピオン獲得がとっても難しくなってしまった…。ほんの少ししか走っていなかったのにリタイヤすることになってしまったのは本当に悔しくて、アンラッキーだったと思う。
特に今回はプラクティスからとても順調で速かったから、好結果を期待していたしね。でもこうして悪いことが起こってしまったら、その後できることは二つだけ。あきらめるか、あるいはすぐに気を取り直して、前よりももっと頑張るか。ヤマハ、僕、チーム、エンジニア、すべての関係者が後者を選ぶ。レースはまだ5つ残っているのだから、一つ一つ全力をぶつけて頑張っていくよ。ストーナーはとても良くやったよ。僕らは次のエストリルまでに多くの課題を与えられたね」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「今日はニューエンジンを使ったが、残念ながら何らかの問題が出てしまった。原因については我々もまだはっきり分かっていない。エンジニアにしっかりと分析してもらうまでは何とも言えない。たぶん新技術とは関係のないことだと思うが、でもこういうことは起こりうるのだし、これこそがレース。
いずれにしても誰にとっても、とくにバレンティーノを応援しに来てくれた数千のファンにとっては非常に残念なことだった。コーリンはリアグリップにいくらか問題があった。ベストを尽くして戦ったが、やはり十分な成績を獲得することはできなかった。今はエストリルを目指して、しっかりと仕事に取り組むだけ。この状況を改善するために、エンジニアたちが懸命に頑張ってくれていることは良く承知している。そして彼らを信頼し、心から感謝している。勝つチャンスは必ずある。最後まで頑張り続ける」
S・ギュントーリ選手談(12位)
「前回のブルノと同じような状況だったと言えるだろう。というのは、予選はとても好調だが、決勝用のリアタイヤがなかなかマッチせずにグリップ不足と耐久性に悩まされてしまうからだ。スタートはうまくいって、前半の12ラップは中野選手と好バトルを展開することができた。そうするうちに前のグループに追いつくことができたが、その後はグリップレベルが下がってきたため、またグループから離されてしまったんだ。レース後半はあまり楽しむことができなかった。後ろのライダーとは12秒くらいの差があったから、ただリズムをキープするだけで、差を詰められることもなかった。一つだけ良かったことは、今回もまた走るたびに多くを学び、予選でタイムを上げるためには何が必要なのかということもわかってきたことだ。次のポルトガルでは、最後まで良い状態をキープして走りきるために必要なものを見つけたいと思う」
玉田誠選手談(14位)
「あまりうまくいかなかったね。前半の12周は好調で、いいペースをキープすることができたけれど、その後リアに問題が出てしまった。2、3周は何とかその状態をキープすることができたけれど、レースが進むにつれてまた状況が悪くなり、できることは何とか最後まで走りきることだけだった。考えてみれば今シーズンはずっと厳しい状況が続いてきた。シーズンも残りわずかとなった今、何かしら確かな手応えをつかみたいと思っている。レースの最初から最後まで何人かとバトルするようなレースがしたい」
H・ポンシャラル、テック3・ヤマハ・チーム監督談
「まずはじめに観客のみなさんにおわびしたい。14年ぶりに開催され、見応えあるレースが期待されていたこのミサノだが、オープニングラップのアクシデントとバレンティーノの早々のリタイヤによって、すっかり面白みのないものになってしまったからだ。一方、我がチームの戦いについては、こちらもやはり期待したものとは違ってしまった。予選用のマシンはよく仕上がって非常に順調だったが、決勝は何かが違っていた。とくにタイヤの耐久性に自信が持てなかったところが問題だったと思う。予選での好調を決勝でも生かせるようなマシン作りを目指していきたい。チーム一丸となった懸命の作業によって、きっと望みが叶えられると信じている」
辻幸一談(ヤマハ発動機モトGPグループ)
「ここミサノサーキットは14年ぶりにレースカレンダーに加わり、コースも一新されたため、すべてがゼロからのスタートになりました。加えてロッシ選手の地元ということで、前戦チェコGPからさらに改良したエンジンをYZR-M1に投入し、ロッシ選手をバックアップするよう準備してきました。レースでは2番グリッドからスタートしたロッシ選手でしたが、5周目に入った所でメカニカルトラブルにより、残念ながらリタイヤという結果となりました。声援をいただいた多くのファンの皆さんには申し訳ないことをしました。次戦はポルトガルGPとなります。引き続き皆さんのご支援、ご声援をよろしくお願いします」
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