ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.03 4月22日 トルコ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第3戦トルコGP
■開催日:2007年4月22日(日)決勝結果
■開催地:トルコ/イスタンブール(5.340km)
■観客数:40,052人
■周回数:22周(117.48km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:23度 ■路面温度:38度
■PP:V・ロッシ(ヤマハ/1分52秒795)
■FL:C・バーミューレン(スズキ/1分54秒026)
REPORT
ロッシは10位、エドワーズはリタイヤ!
【速報】
YZR-M1を駆るフィアット・ヤマハ・チームのロッシは、ポールポジションから発進し1周目首位を走行中にオーバーランで5番手まで後退。その後トップを走るC・ストーナー(ドゥカティ)を追い上げ一時2番手まで挽回するも、終盤後退し結局10位でフィニッシュとなった。チームメイトのC・エドワーズは1周目に転倒してリタイヤ。テック3・ヤマハ・チームの玉田誠とS・ギュントーリは、それぞれ14位、15位でポイントを獲得した。レースは予選4番手のストーナーが序盤から首位を守り今季2勝目を飾った。
予選グリッド1位と2位を確保し、万全の形で決勝を迎えたフィアット・ヤマハ・チームのロッシとエドワーズ。ところがいずれもツキに見放され結果にはつながらなかった。二人はそろって好スタートを切りレースをリードしていったが、第1コーナーの進入でエドワーズが後退、ロッシも第11コーナーでミスをおかしてオーバーランしてしまう。エドワーズはその後さらに、後方から他のライダーに追突されてコースアウト、転倒。これで4台がからむ接触事故になってしまった。ロッシは調子を取り戻して一時2番手まで浮上。しかしリアタイヤの問題が発生し、徐々に順位を下げることになる。ロッシは持てる力を振り絞って懸命に走りきり10位でゴール。難しい状況のなかで貴重な6ポイントを獲得した。
テック3・ヤマハ・チームの玉田とギュントーリはそれぞれ14位、15位でともにポイント獲得。オープニングラップでは多重クラッシュで3台がリタイヤしたが、二人は何とかこれを回避。その後懸命に遅れを取り戻して前との差を縮め、最終的には表彰台から30秒差まで追い上げてゴール。ダンロップの新世代タイヤと800ccニューマシンの両方の開発を続ける二人は、昨年よりも1秒以上速いタイムで安定した走りを見せた。
ランキングではロッシが、ストーナーに10ポイント差の2位に後退。エドワーズは6位に後退した。フィアット・ヤマハ・チームは明日、マシンテストを予定している。エドワーズは怪我もあるため参加は未定。
【レポート】
予選グリッド1位と2位を獲得して大いに期待されていたフィアット・ヤマハ・チームのロッシとエドワーズだが、不運に見舞われて好成績を実現することができなかった。エドワーズにとって、勝負はオープニングラップで決着。3番手を走行していたエドワーズは左ヘアピンの第12コーナーで、後方から無理な追い越しをかけてきたO・ジャック(カワサキ)に追突され転倒してリタイヤを余儀なくされたのだ。その数秒前にはロッシが、第11コーナーでオーバーランを喫して数台に抜かれ、トップのポジションを譲ることとなっていた。その後の果敢な追い上げによって、レース後半はタイヤトラブルを抱えることとなり後退、10位でレースを終了した。
前日の晩の雨が残り、濡れて汚れたコースで行われた金曜日のフリープラクティス。二人はマシンセットアップにいくらか苦しんだ。しかし土曜日には絶好調を取り戻し、午後からの公式予選ではロッシがトップ、エドワーズが2位につける大健闘を見せていた。ロッシのベストタイム、1分52秒795は、セッション終盤、2本目のソフトタイヤを履いて記録したもの。これで今季2度目のポールポジションを確実にし、同時に昨シーズンから引き続きの連続9度目のフロントロウ獲得となった。エドワーズのベストタイムも2度目のアタックで記録したもので、追いすがるD・ペドロサを0.027秒差で振り切る1分52秒944。
決勝は晴天に恵まれ、気温も23度と前日と同様の絶好のコースコンディション。40,000人の観衆が見守るなか始まったレースは、ロッシがホールショットを奪って真っ先に第1コーナーへ。これにエドワーズが続く。ところがこの好調は長く続かず、エドワーズのタイヤが暖まらずグリップに問題を抱える間にストーナーが先行。ストーナーはさらにロッシを追っていったが、その前にロッシは自らミスをおかしてしまう。そしてトップスピード270km/hにも達する、MotoGPコースのなかでも最速の第11コーナー出口でオーバーラン。コースを取り巻くグリーンを横切りアスファルトのランオフ・エリアへ。
ロッシは集団が轟音を響かせながら通り抜けたあとでコースに復帰。そのなかには、2番手でついていきたいエドワーズも含まれていた。左ヘアピンで何人かのライダーがはらみ気味になり、逆にパーフェクトなラインをとって確実に抜けようとしたエドワーズがジャックに追突されてしまう。これで二人は折り重なるようにコースアウト。さらにD・ペドロサ(ホンダ)、C・バーミューレン(スズキ)も巻き込む多重クラッシュとなってしまった。
ロッシはこのアクシデントを避けることができたため、ここから挽回を図りトップのストーナーを追っていく。この時点で5番手を走行していたロッシ、3ラップ後に勝負をかけてT・エリアス(ホンダ)とJ・ホプキンス(スズキ)を次々にパス。さらに3ラップ後にはL・カピロッシ(ドゥカティ)を捕らえて2番手に浮上した。そしていよいよ最後の一人、ストーナーを追っていこうというところでリアタイヤに深刻な問題が発生。リアタイヤがグリップを失い、コーナーの進入と立ち上がりでスピンするようになってしまった。これでロッシは成す術なく、レース後半はペースを落として慎重に走りきるのが精一杯。前半で懸命の走りで抜いてきたライダーたちに再び先行されることになった。
それでもロッシはエリアスとホプキンスにわずかに抵抗したが、タイヤがいうことを聞かず、二人を抑えるには至らなかった。それからまもなくカピロッシ、A・バロス(ドゥカティ)、M・メランドリ(ホンダ)、N・ヘイデン(ホンダ)、R・ド・ピュニエ(カワサキ)、A・ホフマン(ドゥカティ)にも先行を許すこととなった。最終的にはエリアスが2位、カピロッシがバロスを抑えて3位。ロッシは10位でチェッカーを受けるに留まったが、こうした厳しい状況なかで貴重な6ポイントを獲得することができた。
ランキングではストーナーに10ポイント差をつけられ2位に後退。さらに15ポイント差でペドロサが3位につけた。エドワーズはヤマハで2度目のノーポイントを経験し、ランキングは6位となった。
テック3・ヤマハ・チームは、玉田とギュントーリがそれぞれ14位、15位でともにポイント獲得。二人は運良く、オープニングラップに発生した多重クラッシュを回避。何とか集団のなかに残ることができた。そしてその後は懸命に遅れを取り戻し、最終的には表彰台から30秒差でゴールした。ダンロップの新世代タイヤと800ccニューマシンの両方の開発を続ける二人は、昨年よりも1秒以上速いタイムで安定した走りを見せた。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・ストーナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 42'02.850 |
2 | T・エリアス | Gresini HONDA | Honda | 6.207 |
3 | L・カピロッシ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 8.102 |
4 | A・バロス | Pramac d'Antin | Ducati | 8.135 |
5 | M・メランドリ | Honda Gresini | Honda | 8.289 |
6 | J・ホプキンス | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 10.186 |
7 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 10.239 |
8 | R・ド・ピュニエ | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 14.734 |
9 | A・ホフマン | Pramac d'Antin | Ducati | 16.042 |
10 | V・ロッシ | FIAT Yamaha Team | Yamaha | 18.999 |
11 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 26.249 |
12 | C・チェカ | Honda LCR | Honda | 29.546 |
13 | 中野 真矢 | Konica Minolta Honda | Honda | 36.922 |
14 | 玉田 誠 | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 38.540 |
15 | S・ギュントーリ | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 39.337 |
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | C・ストーナー | Ducati | 61 |
2 | V・ロッシ | Yamaha | 51 |
3 | D・ペドロサ | Honda | 36 |
4 | T・エリアス | Honda | 35 |
5 | M・メランドリ | Honda | 30 |
6 | N・ヘイデン | Honda | 26 |
7 | C・エドワーズ | Yamaha | 26 |
16 | 玉田誠 | Yamaha | 4 |
19 | S・ギュントーリ | Yamaha | 3 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Ducati | 61 |
2 | Honda | 56 |
3 | Yamaha | 51 |
4 | Suzuki | 30 |
5 | Kawasaki | 15 |
6 | KR212V | 3 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(10位)
「とても期待していただけに、今日の結果は本当に残念。思いもよらないタイヤのトラブルが発生し大変な戦いになった。きのうも、そして今朝のウォームアップでも同じタイヤを使用して好調だったのに、決勝ではどういうわけか数周走ると何かがおかしくなってポテンシャルを出し切ることができなかった。原因はまだわかっていないが、ミシュランがいま分析を行っている。
スタートはとてもうまくいってレースをリードした。そのあと11コーナーでミスをしてオーバーラン、5番手まで後退したが、あのときはまだ、マシンは好調に走ってくれていたんだ。それで2番手まで挽回してストーナーに挑んでいける思った10周目か11周目でグリップがなくなってしまいペースダウンせざるを得なくなった。だってとても怖かったからね。何かとても大きな問題が発生しているように思えたので、ひたすら慎重に走ることで精一杯だった。今日の僕らは本当に運が悪かった。1位と2位からスタートしたのに、コーリンは追突され、僕はこの問題に見舞われた。今日はチームの全員が悲しい思いで夜を迎えるが、シーズンはまだたくさん残っているので、気持ちを切り替えて次の中国に臨みたい」
C・エドワーズ選手談(リタイヤ)
「スタートはとてもうまくいったんだ。でもリアタイヤが暖まらず、実は想定内のことだったけれど、コーナリングがあまりうまくできずに後退することになってしまった。そのあとバレンティーノが高速右のコーナーでオーバーラン。このときおそらくみんなは、彼の状況のほうが気になっていたんだろうね、次のコーナーをちゃんと見ていなかったんだと思うよ。僕の近くにいたライダーは皆、第12コーナーでオーバーラン気味になったが、僕はいつも通りにブレーキをしたので後ろから追突されて転倒してしまった。路面にひどく叩き付けられたわけではなかったが、ひざを強く打ったらしく腫れ上がってしまっている。マシンは好調だったのだから本当に残念。タイヤを暖めることさえできればきっといいレースになったのに…」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「とても厳しく、残念な結果になってしまった。コーリンは本当にアンラッキーで、彼には落ち度はなかったのに後ろから追突された。転倒は避けようがなかったのだ。ひざを強く打っているが、重大な怪我にならないことを願っている。バレンティーノのほうは1周目でミスをしたが、すぐに挽回できたので、その後は好バトルを見せてくれるものと思われた。ところがタイヤトラブルが出てしまったんだ。最もハードで最も良いタイヤを選んでいたが、残念ながらまだ十分ではなかったようだ。明日またここでテストを行うので、ミシュランと話し合いながらこの問題を分析したい。そしてこのことを今後の教訓にしなければならない。バレンティーノは最後まで走りきるのがかなり厳しかったようだが、あきらめずにゴールを目指し、そして貴重なポイントを獲得してくれた。依然としてランキング2位につけているのだから、ここからもう一度頑張っていく。次の中国を楽しみにしている」
玉田誠選手談(14位)
「レース自体はまずまずだったと思うけれど、自分自身の安定感がもう少し欲しいところ。タイヤがとても良くて、最初の数ラップはかなりハードにプッシュしていくことができた。そのあといくらか落ちたが、依然として安定していた。1周目は多重クラッシュを避けるために大回りをしたため、少し遅れてしまった。そのあとはその遅れを取り戻すために頑張り過ぎて、おそらくこのときにタイヤを使い過ぎてしまったのだろう。レースのなかでは中野選手、ギュントーリ選手といいバトルができた。今はチームともだんだんとうち解けてきて仕事もうまくいっている。また長い間、他のタイヤを使ってきた僕だが、ダンロップタイヤの信頼が高まってきた。僕らのマシン作りとダンロップの協力でレースのたびに状況は良くなってきていると思う」
S・ギュントーリ選手談(15位)
「総合的に見て良いレースウイークだった。これまでのカタールとヘレスは、事前テストを行っているが、今回のコースはまったく初めて。オープニングラップでは、僕の前で起こったアクシデントを避けるために大回りをしたので、おそらく10秒くらいは遅れた。だからそのあとはその時間を取り戻すための戦いになったんだ。最終ラップでは一度玉田選手をパスしたが、残念ながらストレートエンドのブレーキングで、あのビッグクラッシュのときに落ちたらしいパーツの破片に当たって危うく転倒しそうになってしまった。一つ良かったことは、もっと厳しい展開が予想されたこのコースで、トップから30秒差に留まることができたこと。しかもオープニングラップと最終ラップのアクシデントがなければもっと縮まっていたと思う。今、フロントタイヤはとても素晴らしいし、これをもっと改善していくためのアイディアもある。でもより重要なのがリアのほうだ。ダンロップはリアタイヤに関してもさまざまな改良を続けていて、レースの最後まで安定している。おかげで昨年よりもずっと速くなっていて、去年チェカがドライで出したタイムよりも上がっているんだ。ダンロップタイヤはずっと性能が良くなっているので、僕は自信を持って走れている。すべての条件がそろえば、近いうちに良い結果も期待できるだろう」
H・ポンシャラル、テック3・ヤマハ・チーム監督談
「二人そろってポイントを獲得できたし、レース終盤で前のライダーよりも速く走れたことに非常に満足している。これでレースの度に強くなり、また新しいタイヤのレギュレーションにもうまく対応できていることが証明できたと思う。とくにシルバンは本当によく頑張ってくれた。あの調子なら、もしもオープニングラップのアクシデントがなければもっと上へいけただろう。一度遅れたあとよく挽回し、中野真矢、チェカらと互角に戦いながら最後までとても安定して走ることができた。チームとして最もうれしかったことは、3位のライダーとの差がわずか30秒だったということ。昨年はここでとても苦労したことを思い出せば、我々のこれまでの努力が実を結んでいることがよくわかる。明日はここでテストを行う予定で、主にタイヤに関していくつか試そうと思っている。好調だからと言っても一気に10位も上がったというわけではないのだから、依然として長い目で、しっかりと状況を見ていかなければならない。でも我々は確かに、シーズンの始まりからコンスタントに成長を続けている」
辻幸一談(ヤマハ発動機モトGPグループ)
「ここイスタンブールサーキットは、今年でMotoGP開催3年目となりますが、過去優勝したことがないサーキットの一つであり、今年こそはとチーム・スタッフ一丸となってセッティング、データ解析を行いました。その甲斐あって予選ではロッシ選手とコーリン選手が1-2位を獲得し、決勝に期待がかかりました。決勝ではロッシ選手がホールショットを奪うも、マシンに違和感を感じ思うようにペースを上げることができずに10位。2番手からスタートしたコーリン選手はオープニングラップで追突され、リタイヤとなりました。テック3・ヤマハ・チームの玉田選手、ギュントーリ選手は14位、15位で完走し、そろってポイントを獲得することができました。予選結果が良かっただけに決勝の結果に不満が残りますが、これをバネに次節の中国/上海GPでは皆さんの期待に応えたいと思います。引き続きご声援の程、よろしくお願いいたします」
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