ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.02 3月25日 スペイン
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第2戦スペインGP
■開催日:2007年3月25日(日)決勝結果
■開催地:スペイン/ヘレス(4.423km)
■観客数:138,000人
■周回数:27周(119.421km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:19度 ■路面温度:31度
■PP:D・ペドロサ(ホンダ/1分39秒402)
■FL:V・ロッシ(ヤマハ/1分40秒905)
REPORT
ロッシとエドワーズが1・3位の表彰台獲得!
【速報】
予選2番手発進でYZR-M1を駆るフィアット・ヤマハ・チームのV・ロッシは1周目の中盤から首位を奪い、その後独走して優勝を飾った。チームメイトのC・エドワーズは3位表彰台。この二人がそろって表彰台に上がるのは2005年第8戦USGP(エドワーズ2位、ロッシ3位)以来。またテック3・ヤマハ・チームの玉田誠、S・ギュントーリもそれぞれ14・15位となりヤマハライダー全員がポイントを獲得した。
決勝はポール発進のD・ペドロサ(ホンダ)の好スタートで開始。そのすぐ後ろにロッシがつき、ロッシは1周目の中盤でトップに浮上すると、序盤はロッシ、ペドロサ、エドワーズ、N・ヘイデン(ホンダ)、C・ストーナー(ドゥカティ)、C・チェカ(ホンダ)、J・ホプキンス(スズキ)が上位グループを形成しレースを展開する。
その後、4周目あたりからロッシを先頭にペドロサ、エドワーズの3人が41秒台をキープしトップグループは3台に絞られる。この周ロッシとペドロサの差は0.4秒だったが、少しずつその差を拡大し、6周目に0.6秒、7周目に0.7秒、中盤14周目には1.4秒へと差を広げる。
その後ロッシは、終盤22周目までにペドロサに3.2秒の差をつけて独走体制を築くと、最終周は43秒台の堅実な走りでペドロサに1.2秒差でチェッカーを受けて優勝した。ロッシが抜け出した中盤以降は、2番手ペドロサとその後方を走るエドワーズのバトルに注目が集まったが、約1秒半の差は縮まらず、ペドロサ、エドワーズの順でゴールとなった。
S・ギュントーリと玉田誠はともにポイントを獲得。二人は終始、互いに何度も順位を入れ替えながらバトルを展開。最終的には玉田が0.091秒差でギュントーリを抑えて14位、ギュントーリが15位でチェッカーを受けた。
【レポート】
V・ロッシがスペインGPの27ラップをすべてリードして今季初優勝。昨年のマレーシアGP以来の快挙で表彰台のトップに戻ってきた。これはロッシにとって、4ストロークマシンによるMotoGPで46度目の優勝。またチームメイトのC・エドワーズも3位を獲得しそろって表彰台に上ることとなった。エドワーズは予選グリッド4位からスタート。D・ペドロサ(ホンダ)の背後につけて力強く走りきり、自己通算7度目の表彰台獲得となった。
138,000人の大観衆に見守られるなか行われた2007年の第2戦。母国のヒーロー、ペドロサがポールポジションを獲得していたことから、会場は特別な雰囲気に包まれていた。ペドロサは土曜日の午後に行われた予選セッションで、ロッシと激しい一騎討ちの末にトップタイムをマーク。ロッシは午前中のフリープラクティスまでタイヤのグリップ感に悩み、順位では18位と大きく低迷していたが、予選開始までにセッティング変更を行って状態が改善されると一気にタイムを上げてきた。
残り8分。ロッシは一本目の予選タイヤを履いてトップに浮上。しかしその後すぐに、チームメイトのエドワーズが、マシンセッティングの向上によってタイムを更新してきた。そして最後の5分間になると、いつものように激しいトップ争いが展開されることとなった。ロッシがまず1分39秒453で再びトップに浮上。その後ペドロサが1分39秒402で逆転してそのままポールポジションを獲得。エドワーズも最終ラップまで3位をキープしていたが、最後の瞬間にもう一人のスペイン人ライダー、チェカに抜かれて4位となった。
路面温度31度と、予選セッションとほぼ同じコンディションで行われた決勝、ヤマハの二人はそろって好スタートを切り順調に序盤の戦いを進めていった。まずエドワーズが第2コーナーでチェカのアウトから飛び込んで3番手に上がり、その後ロッシも、バックストレートエンドのブレーキングでペドロサを捕らえてトップに浮上した。エドワーズはすぐにペースを上げ、2周目には早くも1分41秒247を叩き出して昨年のベストタイムを上回った。
ロッシは3周目にこれを更新して1分41秒152。この頃からトップ3台が後続のヘイデンやホプキンスを引き離し始めていた。ロッシはその後もペースを上げ、5周目にはこのレースのファステストラップとなった1分40秒905をマークし、懸命に食い下がるペドロサを突き放す格好となった。コンマ数秒の差が周回を重ねるごとに大きな差となり、ロッシは着実にリードを拡大していく。そして14周目、ペドロサがほんのわずかにペースを崩すとロッシとの差が初めて1秒以上に広がった。23周目にはこれがさらに3秒まで広がったが、ロッシが終盤でペースを抑え最終的には1.2秒差でチェッカーとなった。ロッシはこれでヤマハで26度目の優勝を獲得し、同時にヘレスサーキットの最高峰クラスで5度目の優勝を果たして記録を作った。
エドワーズも終始、好調を維持。最後の数ラップではT・エリアスが地元ファンの声援を受け、9番手からの激しい追い上げで表彰台最後の位置を狙って来たが、エドワーズはこれを退けて3番手をキープ。エドワーズはミシュランタイヤの性能を十分に引き出しながら安定して走り切り、昨年の中国GP以来の表彰台に上った。ランキングではロッシがトップ、エドワーズが4位につけている。
ギュントーリと玉田誠がともにポイント獲得の健闘。同時に800ccと排気量の小さくなったマシンで、 昨年のレースタイムを上回り、ダンロップタイヤの継続的な進化を証明することもできた。二人は互いに何度も順位を入れ替えながらバトルを展開。最終的には玉田が0.091秒差でギュントーリを抑えて14位、ギュントーリが15位でチェッカーを受けた。MotoGP初フル参戦のギュントーリは、走るたびにパフォーマンスを向上させている。今回もカタールでの健闘を再現、2レース連続でポイントを獲得した。一方の玉田も同じ方向性で進んでおり、二人がそろって、少しずつ上位とのギャップを埋めてきていることが大きな励みとなっている。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | V・ロッシ | FIAT Yamaha Team | Yamaha | 45'53.340 |
2 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1.246 |
3 | C・エドワーズ | FIAT Yamaha Team | Yamaha | 2.701 |
4 | T・エリアス | Gresini HONDA | Honda | 4.351 |
5 | C・ストーナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 4.993 |
6 | C・チェカ | Honda LCR | Honda | 10.000 |
7 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 14.146 |
8 | M・メランドリ | Honda Gresini | Honda | 19.969 |
9 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 24.786 |
10 | 中野 真矢 | Konica Minolta Honda | Honda | 24.955 |
11 | A・バロス | Pramac d'Antin | Ducati | 25.008 |
12 | L・カピロッシ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 25.852 |
13 | R・ド・ピュニエ | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 26.445 |
14 | 玉田 誠 | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 36.653 |
15 | S・ギュントーリ | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 36.744 |
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | V・ロッシ | Yamaha | 45 |
2 | C・ストーナー | Ducati | 36 |
3 | D・ペドロサ | Honda | 36 |
4 | C・エドワーズ | Yamaha | 26 |
5 | M・メランドリ | Honda | 19 |
6 | N・ヘイデン | Honda | 17 |
18 | 玉田 誠 | Yamaha | 2 |
19 | S・ギュントーリ | Yamaha | 2 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Yamaha | 45 |
2 | Ducati | 36 |
3 | Honda | 36 |
4 | Suzuki | 20 |
5 | Kawasaki | 7 |
6 | KR212V | 3 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(優勝)
「去年のこの大会のことを考えてみれば、今回はずっとずっといいよ!今日の僕らの目標はポイント獲得で、そのなかでも優勝しようと思ったら最大限の力で走らなければならないことはわかっていた。でも今日のヤマハは本当によく、飛ぶように走ってくれて、とてもいいレースができたよ。前回の優勝からずいぶん長い時間が経ったような感じがしていて、今はとても感動している。とくにヘレスは観客の暖かい応援もあるから、僕にとっては特別な勝利だ。カタールも十分に良かったけれど、やっぱり優勝は格別。金曜、土曜と問題があって、今朝のウォームアップのあとでまたさらに小さなモディファイを行った。
このことについてはジェレミー・バージェスをはじめ、メカニック、エンジニアにいたるまで、チームの全員に感謝している。今回も僕のために懸命に頑張ってくれたおかげでこの勝利を手にすることが出来たんだ。またタイヤも今日は好調だった。ミシュランのスタッフも、難しいコンディションのなか素晴らしい仕事をしてくれた。彼らにもお礼を言いたい。好スタートを切って少しのミスもなく、今日の最大のライバルになると思っていたペドロサといいバトルができた。そしてコーリンの健闘も讃えたい。彼と揃って表彰台に立てたことで、ヤマハの好調をアピールできた。この後は僕らにとって難しいコースが二つ続くので、今回こうしてランキングトップで終われたことはとても良かったと思う」
C・エドワーズ選手談(3位)
「金曜日の時点では、僕らがこうして表彰台に立てるなどということは考えてもみなかった。でも僕らは素晴らしいレースをして、このような結果になった。ノンストップで働き続け、最終的には問題を解決してくれたチームのみんなには、どれほどたくさんのお礼を言っても足りないくらいだ。またミシュランもとても頑張ってくれた。僕らのマシンに合うものを良くわかっていて、それが功を奏した恰好だ。
スタートがとてもうまくいって、その後すぐにチェカをパスできたのが良かったと思う。なるべく早く前へ出てバレンティーノとペドロサについていかなければならないことは、良くわかっていた。でも僕は何度か小さなミスをしたことで彼らから少しずつ離れてしまったのはちょっと残念だった。それでもマシンは好調に走ってくれていたので、最後までいいペースをキープすることが出来た。終盤になるとエリアスが追い上げてきたのが分かったが、彼が地元ファンに後押しされて勢いに乗り、そのまま表彰台を奪っていくなどということは考えたくなかったから懸命に阻止したよ。最後の数周はスライドし始めて何度か厳しい状況もあったけれど、こうして最後まで頑張れて表彰台に立てたことは本当にうれしい」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「二人がまたそろって表彰台に立てたことは本当に素晴らしい。とくにここヘレスは、去年の大会でとても苦労したから喜びは格別だ。ヤマハのエンジニアたちの頑張りが実を結び、こうして好調をアピールすることができた。チームの全員におめでとうと言いたい。新しいレギュレーションによってタイヤの使用について本当に注意深く行わなければならなくなった。そうしたなかでの今日の結果は本当にうれしいんだ。またこの後はトリッキーなコースが続くので、トップに立ってそこに臨めるということも良かったと思う。最後にもう一度、チームのみんなにありがとう! とってもうれしい日になったよ!」
玉田誠選手談(14位)
「完璧とは言えないけれど、レース序盤で他のライダーに捕まってしまっていたことを考えれば、この結果には満足できる。その選手はコースのある部分で僕よりも速かったので、パスするのに時間がかかった。前に出てからはすぐにペースが上がってギュントーリに追いつくことができて、その後は二人で互いに競り合った。マシンセッティングはとてもうまくいって、初めて使ったフロントタイヤもマッチしてくれた。
リアがいくらかスピンしたけれど、それ以外はとても良いフィーリング。シーズンはまだ序盤だからこれからいろいろなことが改善されていくはず。今日は最初から最後までとても安定していた。中央グループとの比較では、ラップタイムの差はコンマ3秒だけ。前回よりもずっと良くなっている。また去年の僕のレースタイムを3秒も上回ることができたこともうれしい。戦いは去年よりも厳しいが、今日は最後まで全力で頑張れたのでチームも満足してくれているようだ。このことはとても重要なことで、ゴールラインを通過するまで全力を尽くすことで、ダンロップに貴重なデータを提供することができ、ダンロップはそれを僕らに返してくれると思うんだ」
S・ギュントーリ選手談(15位)
「とてもいいレースができた。前回に続いてポイントを獲得できたことが大きな励みになった。レースタイムではトップのロッシから36秒差で、昨年の同大会と比べればチェカのタイムを6秒上回った。しかもレース自体が去年よりも4秒速いペースになっているんだ。僕自身は、これまでヘレスではいろいろ問題が出たりして、あまりいいところがなかったので今回は本当に大きな進歩。タイヤに関してもこのウイーク中の進化は素晴らしく、マシンにも慣れてきたことが要因の一つだろう。
オープニングラップはうまくいかなかったが、その後まもなく10位グループに追いつくことができた。でも最終的には彼らから離されてしまうことになった。終盤はチームメイトの玉田といいバトルができて楽しめた。フロントタイヤが良かったので、終始、自信を持ってプッシュすることができた。リアのほうは、序盤戦は好調で前のグループを捕らえることができタイムも42秒台前半に突入。終盤になると他のライダーと同様にいくらかグリップが落ちて来たが、それでも42秒台のペースを守りきることができた。次のトルコGPでも引き続き前進できると信じている」
H・ポンシャラル、テック3・ヤマハ・チーム監督談
「二人とも安定したとても良いレースをしてくれたのでハッピーだ。スタートはシルバンが飛び出して激しくプッシュしていったのに対して、誠のほうはより慎重だった。中盤からは二人が互いに競り合う展開になったので見応えがあった。その結果として二人そろってポイントを獲得できたことは我々にとって素晴らしいこと。大きな前進だ。
またカピロッシ、バロス、ド・ピュニエらのグループが前にいたが、彼らとの差はコンマ3秒とほんのわずか。カピロッシが昨年の優勝者であることも忘れてはならない。前回のレースと比較しても我々は大きく前進。今シーズンの戦いは非常に接近しているので、ポイント獲得も決して楽なことではない。それだけに今日の結果はうれしいし励みになるんだ。またラップタイムも安定して速かった。42秒台の中盤から後半というタイムは前のグループに非常に近いので、予選グリッドのポジションが良く、また序盤の5、6周でもう少しスピードがあれば、成績はもっとずっと上がるだろう。この後はもう少しここに残ってテストを行う予定。運悪く雨が降りそうだが、ダンロップのレインのテストのチャンスにもなる」
辻幸一談(ヤマハ発動機モトGPグループ)
「ヘレスサーキットは、あまり相性の良くないサーキットでしたが、ロッシ選手が優勝、コーリン選手が3位と両ライダーが表彰台に立てたことで、その考えを払拭できました。オフシーズンのテストからこのサーキットを攻略すべく、多くの時間を費やしたことが実を結びました。グランプリウイーク中はオフシーズンのテストデータを十分に生かせず、マシンセッティングが混迷した場面もありましたが、レース本番では車体/エンジン/タイヤのセッティングが予想以上のまとまりを見せたことで、ライダーも100%の力を発揮できたと思います。テック3・ヤマハ・チームの玉田選手、ギュントーリ選手も14位、15位とポイントを獲得できました。次節はトルコでの第3戦となります。引き続き皆さんのご支援をよろしくお願いします」
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