ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.11 7月23日 アメリカ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第11戦USGP
■開催日:2006年7月21日(金)フリー走行2
■開催地:アメリカ/ラグナセカ(3.610km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:29度 ■路面温度:50度
REPORT
フリー走行、エドワーズは6番手
カリフォルニアの焼け付くような太陽のもと、新しく舗装しなおされた路面がいつにも増して波打つように感じられる今日、MotoGP第11戦 USGPのフリープラクティスが開催された。キャメル・ヤマハ・チームのV・ロッシとC・エドワーズは午前中の第1セッションでそれぞれ5位、2位と好調。午後のセッションではマシンセッティングに集中したこともありタイム更新はならなかった。ロッシはコークスクリュー進入でブレーキングポイントを読み間違えてコースアウトするアクシデントもあった。
一方のエドワーズは風邪の症状から腹痛をおこしており、気温30度を越えた午後のセッションは非常に厳しいものになってしまった。最終的には5人のライダーがエドワーズのタイムを上回り6位。トップは1分23秒859を記録したK・ロバーツ(ホンダKR)。エドワーズが昨年の大会で記録した公式ラップレコード、1分23秒915をわずかに上回った。明日の土曜日は、午前中にマシンセッティングの調整を行い、午後から予選に臨む。
テック3・ヤマハ・チームは日曜日の決勝に向けてマシンセッティングに集中。そのなかでC・チェカがロッシのすぐ後ろの12位。同時に他のファクトリーマシン、ドゥカティやカワサキを抑えたことで手応えをつかみ、明日の予選ではトップ10を狙っていく。チームメイトのJ・エリソンは18位に留まった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | K・ロバーツ | Team Roberts | KR211V | 1'23.859 |
2 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 1'24.125 |
3 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'24.194 |
4 | M・メランドリ | Fortuna Honda | Honda | 1'24.223 |
5 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'24.253 |
6 | C・エドワーズ | Camel Yamaha Team | Yamaha | 1'24.320 |
7 | 玉田 誠 | Konica Minolta Honda | Honda | 1'24.339 |
8 | T・エリアス | Fortuna Honda | Honda | 1'24.339 |
9 | C・ストーナー | Honda LCR | Honda | 1'24.523 |
10 | J・ホプキンス | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'24.663 |
11 | V・ロッシ | Camel Yamaha Team | Yamaha | 1'24.822 |
12 | C・チェカ | Tech 3 Yamaha Team | Yamaha | 1'24.883 |
13 | L・カピロッシ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'25.094 |
14 | S・ジベルナウ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'25.252 |
15 | A・ホフマン | Pramac d’Antin MotoGP | Ducati | 1'25.294 |
16 | 中野 真矢 | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'25.598 |
17 | R・ド・ピュニエ | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'25.651 |
18 | J・エリソン | Tech 3 Yamaha Team | Yamaha | 1'25.766 |
19 | J・ルイス・カルドソ | Pramac d’Antin MotoGP | Ducati | 1'27.020 |
COMMENT
C・エドワーズ選手談(フリー走行6番手/1分24秒310/44周)
「現時点で言えることは、順調にセットアップが進んでいるということだ。コース路面は新しくなったけれど、バンプはあまり改善されていないので、必ずしも路面が素晴らしくなったとは言えないね。また風邪の症状で胃の調子が悪く、積極的な走りができなかった。今夜はクリニカ・モービルで見てもらい、睡眠をしっかりとり、明日に向けて調子を整えたい。午前のセッションではうまくいって、自信もあったのだけれど、午後は調子が悪くなった。午後のセッションでは、いくつかの新しいセッティングを試したが、結局煮詰めることができなかった。でも明日に向け、セットアップの良いアイデアがあるので、本来の調子を戻せると思うよ」
V・ロッシ選手談(フリー走行11番手/1分24秒674/47周)
「我々の希望をほとんど反映してコースが改修されたし、施設の方は本当に良くやってくれた。でも現時点ではコースは少々埃っぽいね。でも日曜日までには、アスファルトのグリップも改善されると思うよ。第1コーナーは安全性が考慮され危なくなくなったと思う。でもコースの一部はまだバンピーなところがあり、気になるね。ほとんどの新アスファルトは良好なんだけど、以前のバンプの上にアスファルトが敷かれたという感じなんだ。特にコークスクリュー後の第9・10コーナーのところは最悪で残念だね。
今日の僕は、午前中の最後のほうのラップはかなりいい感じで走れたよ。でも午後のセッションではいろいろ課題が出てきたんだ。旋回中にいいフィーリングが得られず、うまく乗れない状況だった。路面のバンプの影響があり、それに対しYZR-M1をいかにセットアップするかが課題だよ。フリー走行の金曜日ながら今日は多くの仕事をこなした。明日の午前は予選タイヤをテストし、少なくともドイツGPよりもよいグリッドを得たいね。ここはとてもパスするのが難しいコースだし」
D・ブリビオ、キャメル・ヤマハ・チーム監督談
「課題はまだいろいろある。でもそれはいつもの金曜日と同じさ。午前中はとても好調だったので、午後からはもっとトップに近づけると期待していたが、結果的にはあまり向上させることができなかった。それでも大量のデータを収集できたので、エンジニアたちが今晩徹夜でチェックし明日に備えることになる。ここではアメリカ人のライダーがみな速いので、上位争いはかなり激しいものになるだろう。バレンティーノもそのことは良くわかっている。コーリンは体調が悪く大変だったが、そのなかでとても良くやってくれた。明日は回復するだろうから、予選までにはマシンのセットアップもうまくやってくれるだろう」
C・チェカ選手談(フリー走行12番手/1分24秒883/61周)
「やらなければならないことがたくさんあったので、今日は大変な一日になった。しかもまだ適切なセッティングが見つかっていない。新しいコースのコンディションに合わせてマシンのセットアップを詰めていくだけでなく、タイヤとのコンビネーションも重要になってくる。両方がそろって初めて速く走れるんだ。
今日の走行で路面にタイヤのゴムがついたので、天気が今日と同じならば、明日はもう少しコースコンディションが良くなってくれるだろう。そうなれば僕のダンロップタイヤはしっかりと働いてくれるはずだ。天気が良ければあといくつかタイヤを試したい。耐久性についてはだいたいわかったので、これからはこのコースに適したものを見つけていく段階だ。
グリップ性はそれほど悪くないんだが、問題はバンプなんだ。とくにコークスクリューの立ち上がりでは、まるでモトクロスバイクみたいに飛び上がってしまうので、ここは何とか解決しなければならない。路面の表面はビーチの砂のようで、しかも平らではなく不規則な感じ。今回の改修で安全性についてはかなり改善されたけれど、路面をもう少しきれいにしてほしかった」
J・エリソン選手談(フリー走行18番手/1分25秒768/48周)
「いろいろ大変だったけれど、そのなかでも少し前進することができた。路面が昨年よりもひどくなっているので、最初の一時間はコースをじっくり見ることにした。マシンセッティングをドイツのままにしてあったのが功を奏して、最初から良い感じで走れ、さらにいくつか改善することもできた。ロッシとの差が1秒以内なのだからまずまずと言っていいだろう。また第2セッションでは、そのほとんどを一つのタイヤで走りとおしたけれどもグリップに大きな問題はなかった。それにここではチャターもない。ただ、とてもバンピーなので、ところどころうまく負荷をかけられない場所があった。ストレートに戻ってくるところで僕はなんと、バランスを崩して頭をスクリーンにぶつけてしまった。それだけ路面がでこぼこしているということなんだ。
ハンドリング性能を考慮して、今日はこれからマシンを低くしてみるつもり。でもすでに正しい方向性が見つかっているし、課題もわかっているので、明日はもっとタイムを上げていけると思っている。明日の午後までにカルロスに追いつきたい」
H・ポンシャラル、テック3・ヤマハ・チーム監督談
「先週のザクセンリンクでシーズン最高の成績をおさめることができたので、その次のレースとして重要なことは、このところの好調をキープすることだ。ダンロップはアメリカ国内のスーパーバイクで何度もここを走っているが、今回は路面が変わってしまったので、今までに集めた膨大なデータが役に立たなくなってしまうのではないかと心配していた。他のタイヤメーカーの状況も気になるところだが、実際に走ってみたらとても良かったんだ。予選順位も上げていきたいと思っているが、ここはパッシングが難しいコースなので、クリアラップが取れなければちょっと難しいだろう。
天気予報によれば明日も今日と同じようなコンディションになりそうなので、決勝用のタイヤを見つける作業をしたいと思っている。一番の問題はバンプなので、それを難なく乗り越えてしまうようなセッティングを見つけなければならない。でも今日の感じでは、耐久性については問題なさそうだ。前回のドイツの好調をそのままキープできるよう祈っている」