ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.06 6月4日 イタリア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第6戦イタリアGP
■開催日:2006年6月4日(日)決勝結果
■開催地:イタリア/ムジェロ(5.245km)
■観客数:89,200人
■周回数:23周(120.635km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:20度 ■路面温度:29度
■PP:S・ジベルナウ(ドゥカティ/1分48秒969)
■FL:L・カピロッシ(ドゥカティ/1分50秒195)
REPORT
YZR-M1のロッシ、地元で今季2勝目を飾る!
キャメル・ヤマハ・チームのV・ロッシは、L・カピロッシ(ドゥカティ)との接近戦を制し今季2勝目を飾った。
レースは、S・ジベルナウ(ドゥカティ)のホールショットでスタート。1周目の中頃にはロッシがトップに立ちレースをリードし、これにジベルナウ、中野真矢(カワサキ)、M・メランドリ(ホンダ)、C・ストーナー(ホンダ)らが続く。その後ジベルナウがトップを奪い2~4周はレースを牽引するが、5周目から再びロッシが首位を奪い、ジベルナウ、ストーナー、メランドリ、D・ペドロサ(ホンダ)、N・ヘイデン(ホンダ)、カピロッシの7選手という先頭集団で進む。
レースが大きく動いたのは15周目。ロッシのリードで迎えたこの周、第1コーナー進入で、後方から追い上げてきたカピロッシとジベルナウがロッシを抜いて先行。ロッシは3番手に下がり、さらにメランドリ、ヘイデンにも抜かれロッシは5番手まで後退してしまう。しかしロッシは16周目にまずジベルナウをパスし4番手に挽回。続く17周目、ロッシはメランドリをパス。そして18周目、ロッシが得意とする下りながらスロットルを開けるカサノバコーナーの脱出でヘイデンをインからパス、これで2番手まで挽回。先行するカピロッシとの一騎討ちとなる。
そしてラスト2周となった22周目、4~5コーナー(マテラッシ&ボルゴ・サン・フォレンツコーナー)で、ロッシはカピロッシを抜きトップに返り咲く。そして最終周、第1コーナー進入で瞬間的にカピロッシに先行を許すもロッシはインのラインを守りきってコーナー出口では再びトップに。ロッシは懸命に追うカピロッシを0.5秒差で振り切って優勝した。
ロッシのチームメイト、C・エドワーズは2周目にコースアウトし後退するが、挽回し12位で完走。自らの連続ポイント獲得記録を27に伸ばした。またテック3・ヤマハ・チームのC・チェカは予選13番手スタートで、前半13番手を走るが終盤後退し15位でフィニッシュ。J・エリソンは16位で完走した。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | V. ロッシ | Camel Yamaha Team | Yamaha | 42'39.610 |
2 | L・カピロッシ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 0.575 |
3 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 0.735 |
4 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 2.007 |
5 | S・ジベルナウ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 3.070 |
6 | M・メランドリ | Fortuna Honda | Honda | 11.793 |
7 | T・エリアス | Fortuna Honda | Honda | 18.999 |
8 | K・ロバーツ | Team Roberts | KR211V | 19.172 |
9 | 玉田 誠 | Konica Minolta Honda | Honda | 19.231 |
10 | J・ホプキンス | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 19.821 |
11 | 中野 真矢 | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 19.863 |
12 | C・エドワーズ | Camel Yamaha Team | Yamaha | 30.678 |
13 | R・ド・ピュニエ | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 37.198 |
14 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 41.712 |
15 | C・チェカ | Tech 3 Yamaha Team | Yamaha | 56.256 |
16 | J・エリソン | Tech 3 Yamaha Team | Yamaha | 1'13.387 |
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | L・カピロッシ | Ducati | 99 |
2 | N・ヘイデン | Honda | 99 |
3 | M・メランドリ | Honda | 89 |
4 | D・ペドロサ | Honda | 86 |
5 | V・ロッシ | Yamaha | 65 |
6 | C・ストーナー | Honda | 65 |
8 | C・エドワーズ | Yamaha | 49 |
15 | C・チェカ | Yamaha | 16 |
18 | J・エリソン | Yamaha | 5 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Honda | 131 |
2 | Ducati | 99 |
3 | Yamaha | 94 |
4 | Suzuki | 41 |
5 | Kawasaki | 37 |
6 | KR211V | 28 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(優勝)
「僕の全部のレースキャリアのなかでも最も厳しいバトルだったよ。好スタートを切ってセテをパスしたあと、そのまま逃げたいと思ったんだけど、できなかった。今日の彼は本当に強かった。一方ロリスがどこにいたのか、ずっとわからなかった。彼はスタートでミスをしていたんだね。でもそのあと彼が追いついてきた時には、大変な戦いになるとすぐにわかったよ。だからまずは先にいかせてついていくことにしたんだけど、彼の後ろにあんなに大勢のライダーが迫っていたとは…。それがみんな前へ行っちゃったんだ! で、一気に5位まで落ちてしまったもんだから、すべて最初からやり直し…。でも本当に見応えのあるいいレースになったと思う。
最終的には、異なるメーカー、異なるタイヤ、でも同じ国の二人の戦いになったことは素晴らしいよ! これはモーターサイクルスポーツ全体にとってもいいニュース。最後の2周は息もできないくらい大変だったけど、最後までやり遂げることができて本当にうれしい。しかもそれを大勢の母国のファン、家族、友人の目の前でできたことは、特別に感動的。今晩はチャンピオンシップのことは考えず、今日のこの一戦だけを思い出すだろう」
C・エドワーズ選手談(12位)
「今朝のウォームアップで大変更を行った。バレンティーノがセッティングしたニューフレームを使用したんだ。昨日までのマシンでは無理なことがわかっていたからね。コースアウトした時は、いつもよりもちょっと早めにブレーキをかけたら、前の選手がインに寄って僕の目の前に入ってきて行き場を失ったからなんだ。その後はもうレースじゃなくてニューフレームのテストセッションみたいなものになった。ニューフレームの感触は悪くなかったが、リアのグリップがもう少し欲しい感じだったので、僕のスタイルに合わせていかなければならないだろう。明日はここで本当のテストがあるので、それを中心に、レースウイークでやりきれなかったことを、できればすべてやりたいと思っている」
D・ブリビオ、キャメル・ヤマハ・チーム監督談
「最終コーナーのバトルは本当に素晴らしかった。おかげでバレンティーノ&イタリアにとってパーフェクトな一日になった。これこそ、今まで苦しんできた我々が必要としていたこと。バレンティーノの優勝を我々が、そして本人がどれだけ待ち望んでいたことか…。
ヤマハは懸命の努力でマシンをここまで戦えるレベルに戻してくれた。この後はシーズン終了までずっと、勝利を狙って戦っていけると信じている。ここまで厳しい戦いが続いていたので、支えてくれたスタッフ全員に心から感謝している。苦しかったけれども決してあきらめない姿勢を見せてくれた彼らに、そのハードワークと信頼に報いることができたと思う。一方、コーリンは思い通りにはいかなかった。でも貴重なデータを集めてくれたので次のバルセロナでは上位に上がってくると信じている」
C・チェカ選手談(15位)
「ル・マンのテストで大きな成果を挙げたところだったので、今回はいい走りができると信じていただけにこの結果は残念。耐久性のあるタイヤをチョイスしたつもりだったが、結果的には2、3周しかもたなかった。3周後には性能が落ち、8周目にまたさらに悪くなって、レース後半はとくにリアがかなりひどい状態だった。他メーカーのライダーといいバトルができていたし、ついて行けると考えていたが、それが長くは続かなかったんだ。問題はリアが安定しなかったことで、このためにレースを通してペースをキープするということが困難だった。
ル・マンのテストが成功していたし今回もプラクティス、予選を通じて多くを学んでいたのでチームはいいムードになっていた。今はそうした楽観的なムードが消えてしまったので、これからはとにかく向上を目指して頑張るだけだ。明日またテストがあるので、また何かを吸収して少しでも前進したい。そしてそのための新しい方向性を見つけたい」
J・エリソン選手談(16位)
「スタートは悪くなかったんだ。それで最初の2、3コーナーで数台をパスすることができた。彼らを引き離してカルロスについていけると考えていたが、わずか数周でリアタイヤのグリップが低下してしまいペースを維持できなくなった。それまでが好調だっただけに悔しくて仕方がない。彼らについて行くことができれば彼らの走りもわかったのに…。
ダンロップには良いタイヤがある。でもサーキットごとにそこに合ったものを探し出さなければならなくて、それが今のところは難しい状況なのだと思う。明日のテストで少しでも良い結果を出したいと思っている。思うようにレースができないことは本当に辛いことなので、できる限り早く解決策を見つけ出し、決勝で最後まで戦える状態にもっていきたいんだ」
H・ポンシャラル、テック3・ヤマハ・チーム監督談
「きのうの予選が終わった時点では、バーミューレンやド・ピュニエにもっと近づけると考えていたので、今日の結果はとても残念。スタートは良かったし、最初の数周はとても速かったけれど、まもなくグリップしなくなってしまって後半は非常に長く感じた。カルロスはできる限りのことをトライしてくれたが、結局ポジションを上げることはできなかった。ル・マンのテスト、そして今回のプラクティス、予選はとても順調だったので、もっと良い結果を期待していたのだが…。ジェームスについては、最初の3、4周はとても速かったが、その後カルロス同様、グリップに悩まされた。
今シーズンは厳しい戦いになるとういことは初めからわかっていたが、正しい方向性が見つかって少しずつでも前進すればチームはさらに結束していい状態になる。そんななかで今回のようなことが起こると気持ちも折れそうになるのだが、これがレースというものなんだ。本当に厳しい時期が、ときに訪れるのだということをしっかりと理解しておかなければならない。ここまで進んできた道のりをさらに前進するために、次のバルセロナは好天に恵まれることを望むばかりだ。また明日はテストを予定していて課題もすでにわかっているので、最善を尽くしたい」
辻幸一談(ヤマハ発動機モトGPグループ)
「シーズンも3分の1を消化した中、少しでもポイント差を詰めるべく背水の陣で臨みました。またロッシの地元ということもありライダー、スタッフ一同、初日から気合が入っていました。レースは今週末で最も天候に恵まれ、多くのお客様が見守る中、見事ロッシが優勝を果たしました。予選3番手フロントロウからスタートのロッシはライバルとの接近戦で一時的に5番手に後退した場面もありましたが、最後は1位でチェッカーを受けることができました。チームメイトのエドワーズはスタート後に、コースアウトして最下位まで後退するも別次元の走りで挽回し12位。チェカとエリソンも苦しいレースではありましたが最後までプッシュし続けそれぞれ15位、16位でチェッカーを受けました。次戦はスペインで開催され、その後オランダ、イギリスと3週間連続開催となります。この好調さを持続して頑張りますので皆さんのご支援、ご声援をお願いします」