ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.06 6月12日 カタルニア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第6戦カタルニアGP
■開催日:2005年6月12日(日)決勝結果
■開催地:スペイン/カタルニアサーキット(1周4.727km)
■観客数:105,698人
■周回数:25周(118.175km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:32度 ■路面温度:36度
■PP:S・ジベルナウ(ホンダ/1分42秒337)
■FL:V・ロッシ(ヤマハ/1分43秒195)
REPORT
YZR-M1のロッシが逆転優勝!
【速報】
ゴロワーズ・ヤマハ・チームのV・ロッシが今季5勝目を挙げ、チャンピオンシップのリードをまた拡大。序盤やや出遅れたものの激しい追い上げで挽回。ラスト3ラップでS・ジベルナウ(ホンダ)を捕らえてトップに浮上し、そのまま逃げ切ってチェッカーを受けた。ロッシはこのなかで、これまでのサーキット・レコードを1.5秒も更新する1分43秒195でファステストラップを記録した。
一方、チームメイトのC・エドワーズは7位に留まった。予選では表彰台を狙えるペースでコンスタント走行していたが、決勝ではタイヤチョイスで賭けに出た結果、リアのグリップ不足に悩み本来の走りができなかった。シリーズポイントでは6位につけている。
地元スペインに拠点を置くフォルトゥナ・ヤマハ・チームのR・チャウスとD・チェカは、それぞれ10位と13位。チャウスは今季3度目の10位以内。チェカも2度目のMotoGP出場でポイントを獲得することとなった。
【レポート】
25周のレース中、終盤23周目にFL(ファステストラップ)を記録すると同時にジベルナウを抜いてトップに浮上したロッシが、残り2周半を逃げ切り優勝した。
グリッド一列目はジベルナウ、メランドリ、ロッシ。綺麗なスタートでレースは始まる。序盤3周目はメランドリを先頭にロッシ、ジベルナウ、バロス、ヘイデン、ビアッジ、玉田、エドワーズら8選手が一列になってグループ走行。とくにメランドリ、ロッシ、ジベルナウが互いにスリップを使いながら1コーナーに進入する展開に場内が湧く。5周目に入るところでロッシが上手くスリップを使いトップに浮上するも、ジベルナウがトップをすぐ奪い返す。その後玉田が転倒リタイヤし、ジベルナウを先頭に7選手のトップ集団となる。9周目の時点で約5秒差の中にこの7人がひしめく展開で中盤へ突入。
13周目頃になるとトップ集団からビアッジとエドワーズがやや後退。14周目に入ると、トップはジベルナウとロッシの二人に絞られる。第2集団がヘイデン、メランドリ、バロスの3人となる。それ以後、トップのジベルナウと2番手のロッシのテールトゥノーズが焦点となるが、その差は17周目に0.40秒、18周目に0.19秒、19周目に0.55秒、20周目に0.19秒、21周目に0.22秒、22周目に0.06秒・・・と超接近戦。
ところが23周目に入るとロッシがジベルナウをパス。さらにこの周1分43秒195のFLを記録する力走で0.27秒のリードを奪いトップに立つ。24周目には0.36秒にリードを拡大。最終ラップもそのまま走りきり、大逆転劇で優勝を飾った。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | V・ロッシ | Gauloises Yamaha Team | Yamaha | 43'16.487 |
2 | S・ジベルナウ | Movistar Honda MotoGP | Honda | 1.094 |
3 | M・メランドリ | Movistar Honda MotoGP | Honda | 7.810 |
4 | A・バロス | Camel Honda | Honda | 8.20 |
5 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 8.273 |
6 | M・ビアッジ | Repsol Honda Team | Honda | 12.051 |
7 | C・エドワーズ | Gauloises Yamaha Team | Yamaha | 18.762 |
8 | T・ベイリス | Camel Honda | Honda | 42.631 |
9 | 中野 真矢 | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 46.638 |
10 | R・チャウス | Fortuna Yamaha Team | Yamaha | 46.692 |
11 | C・チェカ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'00.357 |
12 | L・カピロッシ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'03.864 |
13 | D・チェカ | Fortuna Yamaha Team | Yamaha | 1'03.985 |
14 | R・ロルフォ | D’Antin MotoGP Pramac | Ducati | 1'10.258 |
15 | K・ロバーツ | Team Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'23.731 |
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | V・ロッシ | Yamaha | 145 |
2 | M・メランドリ | Honda | 87 |
3 | M・ビアッジ | Honda | 77 |
4 | S・ジベルナウ | Honda | 73 |
5 | A・バロス | Honda | 65 |
6 | C・エドワーズ | Yamaha | 57 |
13 | R・チャウス | Yamaha | 24 |
16 | T・エリアス | Yamaha | 15 |
22 | D・チェカ | Yamaha | 3 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Yamaha | 145 |
2 | Honda | 121 |
3 | Kawasaki | 60 |
4 | Ducati | 51 |
5 | Suzuki | 24 |
6 | Blata WCM | 4 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(優勝)
「オープニングラップは大勢が争い、激しいファイトになった。ジベルナウがハイペースをつくり、僕はそれに全力でついていった。序盤からタイヤの右側に問題が出ていたが、ジベルナウのほうもスライドし始めていた。終盤は本当にきつかったが、コーナリングが好調で気分良く走ることができた。このようなコースで、ラスト3ラップでファステストラップが出るなんて信じられない。最終ラップは去年よりも2秒近く速く、これはミシュランが耐久性向上に成功したことを証明している。実はスペインのファンのリアクションを少し心配していたが、来てみたらあたたかく迎えてくれた。スペインのモーターサイクル・ファンは熱狂的で本当にあたたかい。だからいつもここでのレースが楽しみなんだ」
C・エドワーズ選手談(7位)
「レースタイヤのテストにミスがあった。昨日の午前中と今日の決勝とでは気温がずいぶん違っていたんだ。結局、選択ミスをしてしまった。レース後半はフル・リーン中にリアがグリップせず、コーナリングでマシンを起こさなければならなかったし、何度も大きくはらんだ。フロントタイヤはとても良かっただけに残念だ。結果は満足のいくものではなかったが、多くを学ぶことができた」
D・ブリビオ、ゴロワーズ・ヤマハ・チーム監督談
「終始、ラップレコードより1秒も速いペースでレースが進んだ。驚くべきことだ。このことはエンジニアたちとミシュランの努力を証明していると言えるだろう。バレンティーノが“楽しんで乗っている”と話すのを聞いてとてもうれしかった。チーム全員にとって最高の一言だ。コーリンのほうは結果を残すことができず残念。でも正しい方向に進んでいるから心配はしていない。すでに次のアッセンに照準を合わせている」
R・チャウス選手談(10位)
「ポイントを獲得し、また安定した走りをすることができ非常にうれしい。シーズン序盤は自分たちが考えていたよりも難しい状況が続いたので、今日の結果で僕だけでなくチームも報われたと思う。ついにマシンと僕とが互いにわかりあってきた感じで、次のレースが楽しみで仕方がない。今、ヤマハに、フォルトゥナに、チームに感謝している。このあとも10位以内を目指して頑張っていく」
D・チェカ選手談(13位)
「このコースでまだ1日しか走っていない僕として、これ以上を望むことができるだろうか? MotoGPのポイントを獲得することができた。こんな素晴らしいチャンスを与えてくれたチームに感謝している」
中島雅彦談(技術開発室MotoGPグループYZR-M1プロジェクトリーダー)
「ここスペインのカタルニアは最も難しいサーキットの一つであり、マシン、タイヤ、ライダーにとって非常に厳しいレースでした。その中でうまくレースをマネージメントしたロッシ選手が優勝し、早くも今季5勝目。エドワード選手、チャウス選手も7、10位と健闘、またエリアス選手の代役として出場したチェカ選手はMotoGP2戦目にしてポイントを獲得するなど、ヤマハチーム全体の士気はさらに上がりました。高速サーキットで2戦連勝することができ、一つ山場を越えた感じですが、まだシーズンは1/3を消化したばかりです。これから中盤戦はテクニカルなサーキットが続きますので、気を引き締めて皆さんのご期待に沿えるよう頑張ります」