全日本トライアル選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど IAスーパーに関する情報をお届けします。
Rd.05 8月20-21日 City Trial Japan・大阪
RACE DATA
全日本トライアル選手権 第5戦City Trial Japan大会
■開催日:2022年8月20-21日
■開催地:大阪・泉南りんくう公園
■観客:8,000人
■気温:20日/32度、21日/33度
■天候:20日/曇りのち晴れ、21日/雨のち晴れ
■競技:20日/予選、21日/決勝
■持ち時間:1セクション毎1分
■最多クリーン数:黒山健一(ヤマハ)、野崎史高(ヤマハ)、氏川政哉(ホンダ)/5
REPORT
黒山CTJ初優勝&今季2勝目、野崎は2位
3年ぶりヤマハ"ワンツー・フィニッシュ"
全日本トライアル選手権シリーズの第5戦City Trial Japan大会(CTJ)が、国際A級スーパークラスを対象に、大阪府の泉南りんくう公園で開催され、20日は予選、21日は決勝の2日制で行われた。5年目を迎えたCTJ(4年目の第4回はコロナ禍で中止されていた)だが、全日本として開催されるのは今回が初めてのことで、会場も海岸沿いの「泉南ロングパーク」で行われた。新型コロナの感染拡大防止対策をとりながら、今回の観客は入場無料ですべてのセクションを観戦することができた。
YAMAHA FACTORY RACING TEAMから参戦する#2黒山健一は、前回行われたCTJは2位。前々回のCTJで優勝している#4野崎史高(Team FwO with YAMALUBE)とともに、今大会は華麗な技で観客を魅了しつつ勝つ意気込みで臨んだ。とりわけこの第5戦は、国際A級スーパークラスは全8戦が組まれたシリーズ戦の後半戦最初の戦いとなるため、巻き返しを図る上でも重要な大会となった。
20日の予選は16名が出走。心配された雨は降らず、曇りのち晴れで、厳しい暑さとの戦いにもなった。まずは第1セクションの「スピードレーン」を2人1組で走り、セクションを走り抜ける速さと減点の少なさを競った。この「スピードレーン」の結果により、第2セクションから第9セクションまでの出走順が決まる。出走順は遅いほど、先に走るライダーたちの走りや戦法、減点などを参考にすることができるため、有利とされている。
一方、先に走った選手が減点0の場合、後から走るライダーにはプレッシャーがかかることもある。「スピードレーン」の結果、対戦相手の#1小川友幸(ホンダ)に勝った黒山は16名中後ろから3番目の好位置。野崎は対戦相手の#3氏川政哉(ホンダ)に敗れたもののスピードの速さで同2番目の有利なスタート順を手にした。また、黒山や野崎と同じく新型ファクトリーマシンTYS250Fiに乗る#7久岡孝二(VICTORY/減点21)は、後ろから8番目のスタートとなった。
予選の1ラップ目は、第2、3、4、5、6、7、8、9の8セクションに挑んだ後、休憩をはさんで、予選2ラップ目は、第2、4、5、6、8、9の6セクションで争う予定だった。だが、あまりの暑さに選手や観客らが体調を崩さぬように、また競技の進行が予定よりも遅れていたこともあり、予選2ラップ目は第2と第8の2セクションのみで競うこととなった。予選の結果によって、16名中上位10名が21日の準決勝&決勝に進むこととなり、黒山は5番手、野崎は4番手、久岡は7番手で準決勝進出を果たした。この予選順位は、21日のスタート順を決めるものでもあり、21日はまた新たに一から優勝を争うこととなる。
予選を走り終えた黒山は、「前半はわりと調子よく走れていたのですが、最後にちょっとミスをしてしまって、5番となりました。明日はしっかり走って、しっかり順位を上に上げたいと思います」と決勝への意気込みを力強く語っていた。
21日の準決勝は10名が出走、朝まで雨が降ったが、競技が始まると雨は上がり好天気となった。だが、雨上がりのため濡れたセクションは非常に滑りやすく、もともと国際A級スーパークラスのみを対象にした難易度の高いセクションが、決勝ではさらに難易度が高くなった。通常の全日本では競技の最後により難易度の高い2つのスペシャルセクションが用意されるが、今回は8セクション全てがスペシャルセクションレベルの難しさだった。さらに、雨上がりで湿度も高く蒸し暑くなり、前日を上回る灼熱のトライアルとなった。体力的にも消耗が激しくなる中で、かつてない熱い戦いが繰り広げられた。
前日の予選は全てのセクションをクリーンしてトップに立っていた小川友幸も、2日目は苦戦する結果となった。そんな中、セミファイナルの1ラップ目は第2、4、5の3つのセクションで行われ、その後は自転車トライアルやキッズのデモ走行などのサブアクトと休憩をはさんで、午後はセミファイナル2ラップ目が、第6、7、9の3つのセクションで競われた。2ラップ終了時点の結果は黒山がトップに躍り出て、それに野崎が僅差で続いた。
迎えた決勝は、セミファイナルの上位6名で争われ、まさに「選ばれしトップライダーのみの決戦」となり、ファイナル4セクションに挑んだ。1ラップ目はケーブルコアなどのセクションと、丸太セクションの2つを走り、2ラップ目はさらにその2つのセクションを逆走するという、きわめて難易度の高いものだった。最初のセクションは惜しくも失敗した黒山と野崎だったが、黒山はその後、鮮やかに挽回。野崎はもう一つ、残念ながら減点5となる失敗があった。この結果、黒山が見事CTJ初優勝と、開幕戦に続く今季2勝目を獲得。2位となった野崎とともに、2019年の第1戦近畿大会(1位野崎、2位黒山)以来3年ぶりとなる、ヤマハ"ワンツー・フィニッシュ"を達成した。
次回第6戦、中国大会は9月4日、広島県の灰塚ダムで行われる。
RESULT
RIDERS RANKING
COMMENT
YAMAHA FACTORY RACING TEAM
黒山健一選手談(優勝)
「全日本第5戦、優勝しました! 後半戦に入って最初の大会で優勝することができ、幸先いいスタートとなり良かったと思います。この調子で、明日はフランスに向かって旅立ち、一週間後の8月27・28日はFIMトライアル世界選手権第5戦フランスGPのTrial2クラスに、電動トライアルバイクTY-E2.0で参戦します。そしてさらに一週間後の9月4日は、全日本トライアル第6戦中国大会と3週連続の戦いになりますが、良い調子で後半戦をしっかりと走り抜きたいと思いますので、これからも皆さん応援を、よろしくお願いいたします」
佐藤美之監督談
「久々のワン・ツーを獲ることができて、やっとファンの皆様のご期待に応えられて、嬉しく思います。シティトライアルが全日本になって、正直心配なところもありました。とくに黒山選手がコンディション、マシンともにかなり大変なところもあったと思いますが、黒山選手の力で優勝をもぎとってくれてCTJ初優勝ということで、監督としても非常に嬉しく思っています。来週のフランス大会にいい調子でいけると思いますし、そのあとまた中国大会もありますので、忙しく大会が続きますが、最後まで頑張っていきたいと思いますので、これからも応援よろしくお願いします。ありがとうございました」
Team FwO with YAMALUBE
野崎史高選手談(2位)
「シティトライアル、全日本選手権第5戦の結果は2位となりましたが、内容としては本当に僅差で、僕の最後のミスで敗れてしまったかなという感じです。悪くはない結果ですけれども、ちょっと悔しさも残るかなという形でした。結果として、ヤマハのワンツーフィニッシュだったので、今後の全日本レースにつながりますし、自分の走りとしては悪くなかったと思います。残りの後半戦に向けてまた次回頑張りますので、応援よろしくお願いいたします」