全日本モトクロス選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本モトクロス選手権 IAに関する情報をお届けします。
Rd.08 10月28-29日 関東・埼玉
RACE DATA
■大会名称:D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2023 第8戦 埼玉トヨペットCUP
■開催日:2023年10月29日(日)
■会場:埼玉県・オフロードヴィレッジ
■レース時間:IA1(15分+1周)×3ヒート
■レース時間:IA2(15分+1周)×3ヒート
REPORT
IA1
ヒート1:ジェイが19連勝を達成
前回の第7戦熊本・HSR九州大会でチャンピオンを決めたYAMAHA FACTORY INNOVATION TEAMの#27 ジェイ・ウィルソン。今大会は連勝記録を伸ばすことが目標だが、強力なライバルとなるT・カナード(ホンダ)のスポット参戦もあり、その戦いに注目が集まった。YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAMの#16町田旺郷が怪我により欠場となった。
レースはジェイが好スタートからホールショットを奪い、これにカナード、内田篤基(カワサキ)、大塚豪太(ホンダ)が続く。YAMAHA FACTORY RACING TEAMの#3渡辺祐介は5番手、#1富田俊樹は第2コーナー直後に転倒車と接触して転倒、最後尾の22番手で1周目を終えた。
ここまでのジェイは序盤でリードを奪って広げ、後半はペースをコントロールするレースを続けてきたが、今回はライバルにマークされる形で周回を重ねることとなった。それでもライバルとの差は約2秒程度と背後を取られることはなく適度なギャップをキープ。その後は徐々にカナードとの差を広げると終盤はペースをコントロールし、一度もトップを明け渡すことなく優勝し19連勝を飾った。
復帰2大会目となった渡辺は、序盤こそ5番手を守ったが4周目に、怪我から復帰した#8星野優位に先行を許してしまう。その後は後方から安原志(カワサキ)に迫られる時間帯もあったがポジションを守り6位でゴールした。
オープニングラップにクラッシュした富田は、無事に再スタートしたが最後尾から追い上げとなった。ライバルたちとは大差があったが、2周目から順位を着実に上げて最後は13位でチェッカーを受け3ポイントを獲得した。
表彰台は、ジェイに続き、カナードが2位、3位には内田篤基(カワサキ)が入った。
ヒート2:ジェイがアクシデントから挽回して3位、渡辺が5位入賞
序盤からジェイとカナードが激しいトップ争いを展開した。レースはカナードが先行、若干出遅れたジェイがこれを逃さまいとプッシュし1周目のうちの2番手につけた。そして2周目に入った直後、テーブルトップ後の右コーナーでジェイがカナードのインを突いたことろで接触。このアクシデントでカナードはリタイア、ジェイも大きく後退することとなった。
上位2名が抜けたことで、大倉由揮(ホンダ)がトップに浮上。これに星野が続きバトルとなったが、星野が大倉をかわしてトップ浮上するとそのままギャップを拡大。復帰から2ヒート目、地元のファンを前に優勝。同時にこれでジェイの連続優勝記録が19でストップしたが、YZの連勝記録は20へと更新された。
アクシデントで大きく順位を落としたジェイは15番手で3周目に突入したが、ここから猛プッシュして4周目には10番手。その後も勢いは止まることなく8周目には3番手の小方誠(ホンダ)を捉えて表彰台圏内に浮上。さらに前をいく大倉に迫ったがこれには及ばず、開幕から続いた連勝が19でストップしたものの、しっかりと3位表彰台を獲得した。
渡辺は1周目を8番手と後方からの追い上げとなったが、トップ2の脱落で序盤の内に6番手までポジションをアップした。その後、追い上げてきたジェイにかわされたが、すぐに前をいくライバルを捉えて6番手に復帰。さらにチームメイトの富田をかわして5番手に浮上するとそのまま、今季最上位となる5位でフィニッシュした。
富田は一時、4番手までポジションを上げたがヒート1での転倒の影響もあり体調が悪化したためリタイアを選択した。
表彰台は、今季初優勝の星野に続き、大倉、ジェイが獲得した。
ヒート3:ジェイが今季20勝目を獲得
ホールショットを奪ったのはカナード。これにジェイ、大倉、内田、そして渡辺が続いた。この中でジェイは、カナードを逃すことなく序盤にレースの主導権を握るためにマシンをプッシュしたが、そのカナードが2周目に転倒。これを機にジェイがトップに立つと、前半の内に後方を引き離して独走状態を築きそのままファーストチェッカー。連勝記録こそ途絶えたものの、今季20勝目となる勝利を獲得した。
5番手でスタートした渡辺は、カナードの転倒で4番手に浮上すると、3周目、前方をいく内田を視界に捉え、復帰後初となる表彰台を目指してマシンをプッシュした。ところがその周に転倒して15番手までポジションを落とすと、その後は順位を前後させながら最終的には14位でチェッカーとなった。
なお、ヒート2を体調不良によりリタイアした富田は、ヒート3も大事をとって欠場した。
表彰台はジェイを先頭に、2位大倉、3位を内田が獲得。この結果、総合成績では2勝のジェイに続き、星野が5位、優勝、7位で総合2位。総合3位は大倉が獲得した。
IA2
ヒート1:アロンソが今季8勝目
熾烈なタイトル争いが展開されているIA2。トップはYZ250Fを駆る#58ビクトル・アロンソ(Auto Brothers)で243ポイント。これに横澤拓夢(ホンダ)が18ポイント差の225ポイント。3位はさらに離されてはいるが、YZ250Fを駆る#4中島漱也(bLU cRU レーシングチーム鷹)が200ポイントで続いている。残りは今大会を含め5ヒートと決して多くはないが、ホームレースとなる中島の巻き返しに注目が集まった。
ヒート1は福村謙(スズキ)が好スタート、これに池田凌(カワサキ)、ビクトルが続き、中島は8番手で1周目を終えた。
最近のレースで安定感を欠いてきたビクトルだったが、このレースでは見事な安定感を披露。序盤は3番手をキープすると、3周目には池田を捉えて2番手に浮上。さらに前の福村の背後につけて、焦ることなくじっくりとその差をつめると、5周目に逆転してトップに立った。後半に入ると、スポット参戦のB・スー(ホンダ)が背後に接近してきたが、これを寄せ付けることはなくトップでフィニッシュし、YZ250Fと今季8勝目を獲得した。
地元の中島は、スタートでの遅れが響いた。序盤で7番手とする、その後は横澤拓夢(ホンダ)の背後についてトップ6入りに向けプッシュし、6周目に横澤を捉えて6番手に浮上。しかし、ここから5番手までの距離が離れていたことから、順位を上げることができず6位でフィニッシュとなった。表彰台はビクトルに続いて、スー、鴨田が獲得した。
ヒート2:中島が6位、ビクトルは最終ラップにトラブルでノーポイント
好スタートを切ったのは鈴村の背後にビクトル。一方の中島選手は1周目を終え9番手と出遅れてしまった。
ビクトルが2周目に鈴村をかわしてトップに浮上すると、前半の内に独走体制を築いてトップを快走。後半に入ってもその勢いは止まることなくトップのまま最終ラップに突入した。ところがその最終ラップも残りわずかとなったところでトラブルによりマシンがストップしリタイアとなった。
中島はオープニングラップの9番手から徐々に挽回し6番手となったが、ビクトルのリタイアなどもあり4位でフィニッシュ。表彰台は鈴村、鴨田、スーが獲得した。
ヒート3:ビクトルが2位表彰台、中島が7位
ホールショットはスーが獲得し横澤が2番手、3番手に鴨田が続いた。中島は7番手、ビクトルは8番手で1周目を終えた。
出遅れたビクトルは、トップに立ったライバルがスーであることから序盤から強力にプッシュ。5周目までに4番手とすると、その後も手を緩めることなく、8周目には3番手として表彰台圏内へ。ここから、チャンピオンを争う2番手の横澤の攻略に全力を注ぎ、最終ラップでの逆転劇で2位フィニッシュを果たした。
中島はオープニングラップを7番手とするとすぐさま反撃を開始。4周目に4番手まで浮上したが、ここで転倒して後退し7位でチェッカーを受けた。なお、優勝はスー、これにビクトル、横澤が続き表彰台を獲得した。総合ではアロンソが3位、中島は総合7位を獲得した。
レディース:本田が2位、ランキングは3ポイント差の2位で最終戦へ
ランキングトップの#4本田七海(bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド)と、2ポイント差でランキング2位につける川井麻央(ホンダ)が激突した。
予選では本田がトップ、川井は16番手とグリッドで本田が有利な状況があったが、スタートはその川井が先行。本田は若干出遅れながらも3番手で2周目に入った。その2周目で本田は2番手に浮上し、ここから川井を追撃したが、ほぼペースが同等のため、約2〜3秒差が縮まらず均衡した状況が続いた。しかし終盤に入って一気にその差が詰まったが、ここで川井のリアタイヤと本田のフロントタイヤが接触して本田が転倒。幸いすぐに復帰して2番手をキープしたが、これで勝負あり。本田は2位でフィニッシュし、ランキングは逆転を許して3ポイント差の2位で最終戦を迎えることとなった。
また#7川上真花(bLU cRU YSP大阪箕面)は、6番手でスタートして序盤で5番手に浮上。その後、前をいく#7穗苅愛香(TOMOレーシング&美蔵)を捉えて4番手。さらに箕浦未夢(ホンダ)をかわし3番手に浮上すると、今季3度目と3位表彰台を獲得した。次回は最終戦となる第9戦MFJ-GP、会場は宮城県のスポーツランドSUGOで11月11-12日に開催される。
IA1 RESULT Heat.1
IA1 RESULT Heat.2
IA1 RESULT Heat.3
IA1 RIDERS RANKING
IA2 RESULT Heat.1
IA2 RESULT Heat.2
IA2 RESULT Heat.3
IA2 RIDERS RANKING
COMMENT
IA1
YAMAHA FACTORY RACING TEAM
渡辺祐介選手談(IA1:6位/5位/14位:総合8位)
「ヒート1は1周目のマルチクラッシュの影響もあり若干遅れましたが、そのあとは一台ずつかわしてポジションを上げることができ、チームと話していた6番以内に入るという目標をクリアしました。ヒート2のスタートは中盤くらいで、そこからライバルと駆け引きしながらポジションを上げていくことができて今季のベストとなる5位に入りました。ヒート3はスタートが決まってトップ5でレースをスタート。すぐに4番手に上がり3番手も見えるなかで、トップ3を意識しペースを上げたところで転倒してしまいました。残念な結果ですが前戦よりはライバルとレースができたのでポジティブに捉えています。今大会、星野選手が優勝しましたが、やはり何があるのかわからないので、自分も勝利を目指して最終戦に臨みたいと思います」
富田俊樹選手談(IA1:13位/DNF/DNS:総合18位)
「ヒート1は、大倉選手のバイクに突っ込んでしまい転倒しました。そのまま走り切ったのですが、ヒート2はコンディション的にあまり良くなかったので、自分の判断でリタイアを決めました。次回がシーズン最終戦になりますが、気持ちよく終えられるよう準備するだけです」
白柳弘監督談
「厳しい結果になってしまいました。富田選手はヒート1で大きな転倒があり、その際に手を負傷しました。本人に確認しヒート2も走ることにしたのですが、レース中に本人の判断もあり大事をとってリタイア。ヒート3も欠場し、最終戦に備えることとしました。渡辺選手は6位、5位でしたがヒート3はコースの状況も大きく変わり、足回りのセッティングに少しズレが生じて転倒し14位となりました。ただ、入賞圏内でしっかりとレースができる状況になり、確実にレース感も戻っているので、最終戦ではトップ3を狙っていきます」
YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM
ジェイ・ウィルソン選手兼監督談(IA1:優勝/3位/優勝:総合優勝)
「今回は新たなライバルが電動バイクで加わりました。自分もワクワクしましたし、ファンの皆さんにとっても新しことでとっても良い刺激になり、僕自身も新しいことを学ぶ良い機会になりました。特に音がないので、後ろにいる場合にライバルの状況を把握するのが難しく、正確なギャップを伝えてもらいながら走りました。ヒート1は勝利しましたが、やはりカナード選手は経験値もある強敵なので常に緊張している状況でした。ヒート2は先行され、自分としても焦りすぎてしまい、ミスにつながってしまいました。連勝が止まってとても残念でしたが、星野選手の復帰戦での勝利は祝福したいし、良い刺激になり、またヒート3も勝つことができました。最終戦も今までやってきたことをすべて発揮して勝ちたいと思います」
レーシングチーム鷹 / STAR Racing 166
#9星野 優位(IA1:5位/優勝/7位:総合2位)
「乗り出しのは8月、お盆明けです。みんなのレースは映像で見ていましたが、ジェイ選手を自分が止めてやるんだというモチベーションで頑張ってきました。ただ、まともに勝負しても何かない限り勝てないと思っていたのですが、クラッシュしているのを見た瞬間に、これは行くしかないと思いました。トップに立ってからは、何も考えないようにしましたが、ラスト1周でようやく勝ちを意識しました。フィニッシュ後は涙が止まらなかったのと、自分のバイクにありがとうと言いました。本当に完璧すぎて自分自身も驚いています。SUGOも出場しますが、今回のようにみんなが楽しんでもらえるようなレースをしたいと思います」
IA2
Auto Brothers
ビクトル・アロンソ選手談(IA2:優勝/29位/2位:総合3位)
「ヒート1はとても良いスタートができて上位につけました。その後のライディングもとても良かったので、前をいくライバルをパスして、トップに立ち優勝。ヒート3は、僕はスタートが悪かったし、ブライアン選手がとても速かったため、追いつくことができませんでした。コース自体もとてもタフな状況でしたが2位になれたことは良かったです。ヒート2はトップを走っていましたが、ラストラップのチェッカーの手前で残念ながらマシントラブルでリタイアとなりました。次回はチャンピオンシップがかかったレースになりますが、全力を尽くすだけです」
レディース
bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド
本田七海選手談(レディース:2位)
「土曜日から体も動かず乗れていなくて、今日の練習走行もイマイチのままグリッドに並びました。決勝では緊張してスタートは出ることができませんでしたが、たくさんの応援もあり、だんだん自分の走りができるようになって、ライバルとの差を詰めることができました。でもそこでライバルと接触があり転倒。まだ勝負のタイミングではなかったので、もっと冷静になるべきでした。今回は苦手なコースであり、ライバルのホームレースで善戦できたのはよかったですが、やっぱり勝ちたかったし、悔しさしかありません。このレースで一年分の緊張をしたので最終戦は、思い切ってやるだけです」
bLU cRU YSP大阪箕面
川上真花選手談(レディース:3位)
「硬い路面が好きなので、練習、予選といい感じで走れていました。でも決勝はすごい緊張してうまく乗れる感じではなく、スタートは乱れて遅れてしまいました。それでも自分の武器は体力なので後半に抜いていこうと考えていましたが、その通り3番までは上がることができました。でも箕浦選手のブロックがうまくトップの2人からは大きく離されてしまい、今回も3位で終わりました。最終戦はホールショットを決めて、本田選手や川井選手と一緒に走って、しっかりと学んでシーズンを終えたいと思います」