全日本モトクロス選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本モトクロス選手権 IAに関する情報をお届けします。
Rd.06 9月9-10日 近畿・奈良
RACE DATA
■大会名称:全日本モトクロス選手権シリーズ2023第6戦 近畿大会
■開催日:2023年9月10日(日)
■会場:奈良・名阪スポーツランド
■レース時間:IA1(30分+1周の2ヒート制)
■レース時間:IA2(30分+1周の2ヒート制)
■観客数:土曜日:500人/日曜日:1,500人
REPORT
IA1
ヒート1:ジェイが優勝して開幕14連勝、富田は5位
7月30日(日)の北海道大会から1ヵ月強のインターバルを開け、まだ残暑が残る9月9-10日(土日)、後半戦となる第6戦が奈良県の名阪スポーツランドで行われた。
9日に行われた予選では、YAMAHA FACTORY RACING TEAMの#1富田俊樹が好スタートから一度もトップを明け渡すことなくトップチェッカー。一方、YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAMの#27 ジェイ・ウィルソンは、スタートでの遅れが響き6番手で決勝へ。なお今回もYAMAHA FACTORY RACING TEAMの#3渡辺祐介と、YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAMの#16町田旺郷は、それぞれ怪我により欠場となった。今大会のレースフォーマットは、30分+1周の2ヒート制にて行われた。
ヒート1は、前日の予選6番手から一転。過去11戦と同様、ジェイが抜群の反応からYZ450FMとともにホールショットを奪うと1周目をトップで通過。これに能塚智寛(カワサキ)、大城魁之輔(ホンダ)、大倉由揮(ホンダ)、そして富田がトップ5で1周目を通過した。
IA1のタレントが揃ったトップグループだったがジェイの序盤のペースがライバルたちを上回り、5周目までに2番手の能塚に約5秒のギャップを築いた。その後もギャップを拡大し、一時は2番手に上がってきた大城に対して15秒以上のギャップを作って独走。その後もペースをコントロールして、開幕からの連勝を伸ばし14連勝を達成した。2位は大城、3位は能塚となった。
1周目を5番手とした富田は、3・4番手の大城、大倉を追走し表彰台の獲得を目指したが、上位陣のペースから遅れて徐々に離されるとともに、後方から安原志(カワサキ)の追撃を受けて中盤には6番手に後退した。その後、安原が転倒して16周目に5番手へと順位を上げたが、4番手には届かず5位でチェッカーとなった。
ヒート2:ジェイがホールショットから15連勝、富田は3位表彰台
ヒート1に続いてホールショットを奪ったのはジェイ。そして1周目もトップでまとめたジェイに続いたのが能塚、そして富田、内田篤基(カワサキ)。しかし、ジェイのペースはライバルたちのそれを大きく上回り、5周目で2番手の能塚に約5秒、3番手の富田には10秒以上のギャップを築いて独走体制を築いた。
ここからは確実な勝利に向けて、後方の能塚とのギャップを見ながらペースを正確にコントロール。最後まで単独で安定した走り披露して20周を走り切ってチェッカーを受け、連勝によって高まるプレッシャーを跳ね除け開幕から15連勝を達成した。
富田選手は序盤で3番手をキープしていたが、前半10周は内田とテール・トゥ・ノーズの状態を続けながらの厳しいレースを展開した。富田は内田のアタックを凌いでポジションを守ると、後半は徐々にその差を拡大し単独の3番手を確実なものとすると、今度は2番手の能塚をターゲットにしてマシンをプッシュ。終盤に向けてその差を少しずつ縮めていったが、最後まで及ばず、3位でフィニッシュとなった。
この結果、ジェイが総合優勝。富田は総合4位となりランキングでは1・2位をキープ。なお、この結果により、ジェイと富田の差は146ポイントとなっており、次回の第7戦九州大会では、ジェイのチャンピオンが決定する可能性が大いに高まった。
IA2
ヒート1:浅井が2位表彰台を獲得
後半戦の初戦となる第6戦近畿大会。若手が参戦するこのクラス、1ヵ月以上の長いインターバルを経て、それぞれの成長度が注目されるなかで行われた。
予選ではA組で#58ビクトル・アロンソ(Auto Brothers)が3番手、#2浅井亮太(bLU cRU フライングドルフィン サイセイ)が6番手。B組では怪我で北海道大会を欠場した#4中島漱也(bLU cRU レーシングチーム鷹)が復帰して好スタートからトップ争いの末に2番手。#17田中淳也(YSP浜松 BOSS RACING)が4番手として、決勝進出を決めた。
ヒート1は、1周目を横澤拓夢(ホンダ)がトップで通過。これに#9鴨田翔(カワサキ)が2番手、阿久根芳仁(カワサキ)が3番手、浅井が4番手、中島が7番手で続いた。
浅井は序盤から積極的なレースを展開。すぐに阿久根をかわして3番手に浮上すると、序盤は横澤、鴨田と主導権争いを繰り広げた。その後、鴨田がトップに浮上し抜け出すと、浅井もすぐに反応、その周にファステストラップを叩き台して横澤をかわし2番手に浮上した。しかし、中盤以降はトップの鴨田のペースについていくことができず徐々に離されたが、そのままポジションを守って2位表彰台を獲得した。なお、鴨田がIA2で初優勝、3位には後方から追い上げてきた柳瀬大河(ホンダ)が獲得した。
また、怪我から復帰した中島は、ブランクを感じさせない走りで予選を総合4番手。レースはスタートで7番手、序盤で6番手と上位進出のチャンスを得たが、ポジションを上げることができず6番手をキープしたまま周回を重ねた。後半に入ると柳瀬にかわされて7番手に後退し、そのまま7位でフィニッシュとなった。
ヒート2:怪我から復帰戦の中島が2位表彰台
順位が目まぐるしく変化したヒート2だが、その中でYZ250Fを駆る浅井、中島がその速さでトップ争いを展開してみせた。
1周目のトップはヒート1を制した鴨田。これに西條悠人(カワサキ)、池田、田中、浅井、中島が続いた。この中で中島はトップグループでは後方だったが、鴨田、田中、池田らが後退したことでポジションをアップ。5周目には4番手、その直後に2番手の西條がトップグループから脱落し、浅井、横澤に続く3番手と表彰台圏内に進出した。
その後3人は、浅井を先頭に接近戦を繰り広げながら周回を重ねていったが、13周目に横澤がトップに立ち、同時に横澤が逃げはじめたところで中島も反応。浅井にバトルを挑んだが、そこで2人が接触し中島はコースアウト。これで3番手を守ったものの、トップ2から離されてしまった。しかしレース終盤、2番手の浅井が転倒したことでポジションをアップし、怪我からの復帰戦で2位表彰台を獲得した。
5番グリッドからスタートした浅井は、序盤でファステストラップを連発することで、4周目にはトップに浮上。横澤、中島を従えトップを走ったが、13周目、横澤に逆転を許してしまう。その後は2番手を走行していたが、18周目に転倒してポジションを落とし、最後は11位。一時は14番手までポジションを落としていたが田中が挽回して5位。
また、#14佐々木麗(Y'sRACING with 麗BRAND)が8位。横澤、中島に続いた3位は釘村英喜(ホンダ)だった。
この結果、7位/2位の中島は総合3位。2位と11ポイント差だった浅井は総合5位。ランキングトップを走ってきたアロンソが崩れて24/12位の総合14位となり4ポイントの獲得にとどまった。
レディース:本田が今季2勝目で再びランキングトップへ
土曜日に行われた予選では、3ポイント差でランキング2位につける#4本田七海(bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド)と、ポイントリーダーの川井麻央(ホンダ)がバトル。ここでは川井が逆転でトップフィニッシュと、2人は予選から激しい戦いを繰り広げた。
そして決勝では、本田が好スタートから1周目をトップ。これに箕浦未夢(ホンダ)、松木紗子(カワサキ)、#14赤松樹愛(ヤマハ)、が続き川井は5番手と出遅れた。本田は序盤からハイペースで後続とのギャップを拡大。3周目には2番手の箕浦に約4秒、ライバルの川井には約8秒差と独走体制を築いた。
川井が5周目に2番手に上がったが、この時点で本田は川井に約10秒リード。そのまま本田が今季2勝目を獲得した。なお、ランキング争いでは逆転に成功し、2ポイント差ながらトップに浮上した。
bLU cRU YSP大阪箕面からYZ85LWで参戦する#7川上真花は、8番手スタートから序盤にポジションを上げて4周目には4番手。その後、3番手に落ちた箕浦に接近して7周目に逆転し3番手に上がると、そのまま3位として今季2度目の表彰台を獲得した。
IA1 RESULT Heat.1
IA1 RESULT Heat.2
IA1 RIDERS RANKING
IA2 RESULT Heat.1
IA2 RESULT Heat.2
IA2 RIDERS RANKING
COMMENT
IA1
YAMAHA FACTORY RACING TEAM
富田俊樹選手談(5位/3位:総合4位)
「自宅から近いコースなので、かなり乗り込んできたし、バイクも事前テストで煮詰めて今大会に臨みました。ヒート1はスタートで遅れて焦りがあったこと、さらにコースが荒れており危ないミスが続いたことで、ペースを上げることができませんでした。最低表彰台という中での5位、本当に悔しい結果でした。ヒート2はセッティングを変更したことで乗りやすくなりました。でもコースの状況は難しいままでプッシュしにくかったのですが、上位2人に何かあった時にしっかりと順位を上げられるよう、自分なりにプッシュして走りました。終盤、2番手の能塚選手には近づいたのですが届かず3位。最低限の3位でしたが、悔しさしか残らないレースでした。今シーズンはまだ勝てていないので、次回の九州では、なんとしても勝ちたい、それだけですね」
白柳弘監督談
「ヒート1に関しては厳しい結果であるという認識です。事前テストでは、北海道大会で好印象だったパッケージを熟成させながら、レースを想定して準備をしててきました。しかしコースが大きく荒れたことでセッティングにズレが生じて富田選手も苦戦した形です。ヒート2に向けては、ライダーのインプレッションを確認、乗りにくさを解消する方向で変更しました。この結果、3位と改善がありましたが、チームとしては課題の残る結果です。今大会の予選ではトップを獲得しており、パッケージとしては確かなポテンシャルがあることは確認できています。次回はコースの状況とライダーのコンディションに合わせ、的確なセッティングを提供し、優勝という目標に向け全力を尽くします」
YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM
ジェイ・ウィルソン選手兼監督談(優勝/優勝:総合優勝)
「今回の目標は、従来から同様で、タイトル獲得に向けポイントを確実に重ねることでした。予選では6番手と、決して良い成績ではありませんでしたが、今日は、勝利に向けて集中し自分の全エネルギーを注ぎ込みました。特にポイントとなる重要なスタートは、ホールショットを獲得することにこだわり、それを両ヒートで実現できました。さらにレース前半の15分でもいいラップを刻んでいくことができて勝利につなげることができ、すばらしいウィークになったと感じてます。次回の九州に向けても、スタート、各ラップでいい走りすることに集中し、好成績につなげていきます」
IA2
bLU cRU レーシングチーム鷹
中島漱也選手談(7位/2位:総合3位)
「北海道大会を欠場、そこから多くの方に助けられてこの近畿大会に出場できました。しかも、ブランクを感じることなく自信を持って復帰できたことも大きかったです。その中で予選からトップ争いができて、さらに自信を持ったのですが、ヒート1は1周目の混戦に飲まれ、少し怪我のことも考えてしまい順位を上げられず、その自信を走りに表現できませんでした。ヒート2は、ヒート1の失敗もあり少しリスクをおかしても前半でのペースアップを心がけ、それが成功。トップ争いでは体力を消耗しないよう様子を見る戦略でした。中盤に横澤選手が先行して自分もギアを入れたのですが、そこで浅井選手と接触しコースアウト。これでトップが遠のき一気に体が重くなってしまいました。結果は浅井選手が転倒して2位。悔しさはありますが復帰戦でここまで来れたのは良かったし、次は開幕で優勝しているコースなので勝ちにこだわって臨みます」
bLU cRU フライングドルフィン サイセイ
浅井亮太選手談(2位/11位:総合5位)
「ヒート1は早い段階で2番手に上がることができたのですが、少し距離があったので、時間をかけて詰めていこうという戦略でしたが、鴨田選手のペースがよく、最後までギャップを埋めることができませんでした。ヒート2は序盤でタイムを出してポジションを上げていくことができ、スムーズにトップに立てました。ここから後方を突き放そうと思っていたのですが、横澤選手と中島選手も速くリードを作れなかったし、横澤選手にはかわされることとなってしまいました。終盤に入り、もう一度、トップに追いつこうとプッシュしたのですが、自分のミスで転倒。攻めた結果ではありますが、2位をキープするという考え方もあったので、難しい選択でした。次の九州も、攻めていくだけ全力で勝利を目指します」
レディース
bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド
本田七海選手談(優勝)
「地元の大会ということでこの夏は毎日のように名阪を乗り込んできました。でも本番ではプレッシャーや緊張感もあって、練習通りの走りができませんでした。ただレースでは、重点的に取り組んだスタートが決まったことが大きなポイントでした。トップに立ってからの序盤はライバルのことが気になっていたのですが、そこまで差が詰まっていなかったので、落ち着きは取り戻しました。しかし気を抜くと転倒したり、ミスが出てタイムを落とし追い付かれることが想像できたので、前半と変わらず、また安全なラインを選びながら集中して走りました。今回は、多くのファンやスポンサーの皆さんの応援を力になったのですが、プレッシャーもあったのでチェッカーを受けた時はホッとしました。これでランキングは逆転しトップに立ちましたが、最後まで気を抜くことなく、自信を持って戦い、チャンピオンを取りたいと思います」
bLU cRU YSP大阪箕面
川上真花選手談(3位)
「今大会は地元のコースであり目標は表彰台でした。そこで、長めの時間を走って15分を走り切れる体力をつけることに取り組んだり、兄に練習に付き合ってもらって、ラインを教えてもらったりとしっかり準備してきました。レースでは序盤は焦らず、体力温存を意識して走りました。3番手の箕浦選手に追いついてからも冷静でしたし、自分の思い描いた通りにかわすことができ3位表彰台を獲得できました。ただ今回は、前をいく川井選手の姿を見ながらレースとなったのですが、最後は体力が厳しく、スピードも十分ではなく追い上げることができず、悔しさを感じた3位になりました。次の関東は路面が硬く好きなコースなので、今度はトップライダーと争って表彰台に立ちたいと思います」