全日本モトクロス選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本モトクロス選手権 IAに関する情報をお届けします。
Rd.02 5月13-14日 関東・埼玉
RACE DATA
■大会名称:D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2023 第2戦 腕時計のベルモンドCUP
■開催日:2023年5月14日(日)
■会場:埼玉県・オフロードヴィレッジ
■レース時間:IA1(15分+1周)×3ヒート
■レース時間:IA2(30分+1周)×2ヒート
■観客数:土曜日:815人/日曜日:2,423 人
REPORT
IA1
ヒート1:ジェイが4連勝。富田が3位表彰台
開幕戦に続き15分+1周の3ヒート制で行われた今大会は、日曜日に各クラスともに公式練習兼タイムアタックによる予選が行われた。そのタイムアタック予選ではYAMAHA FACTORY INNOVATION TEAMの#27ジェイ・ウィルソンがトップタイム。開幕戦で総合7位と苦しんだYAMAHA FACTORY RACING TEAMの#1富田俊樹は約1秒差で3番手を獲得。またジェイのチームメイトである町田旺郷は8番手で決勝を迎えることとなった。なお、開幕戦で怪我を負ったYAMAHA FACTORY RACING TEAMの渡辺祐介は今大会は欠場となっている。
IA1のオープニングレースは、ジェイのホールショットで幕を開け、序盤の数周で勝負を決めた。序盤をライバルたちよりも圧倒的に速いペースでこなし、一気にギャップを作ってその後はペースをライバルに合わせてコントロールする戦略だ。後方のバトルを後ろに見ながらジェイは安定したペースを刻み、ライバルを寄せ付けることなくフィニッシュ。開幕戦から4連勝とシリーズの主導権を完全に掴んだ。
一方、開幕戦はトップ3フィニッシュを逃し、総合7位と苦しんだ富田は、好スタートから3番手で1周目を終える。すぐに前を走る大倉由揮(jホンダ)を序盤で捉えて2番手に上がるが、その時にはすでにジェイとは大きな差があり、2位確保に向け周回を重ねた。しかし、レース中盤、3番手に浮上した大城魁之輔(ホンダ)が接近し、富田は背後からプレッシャーを受ける状況となる。そして、ラスト2周となったとことで逆転を許し3位と、今シーズン初のトップ3フィニッシュとなったが悔しい結果となった。
また、町田は序盤に8番手につけるも3周目に転倒を喫して一時は15番手まで後退、その後挽回して13位でチェッカーを受けている。
ヒート2:ジェイが5連勝、富田も2位表彰台
このヒート2は1周目に小さなアクシデントが発生した。ホールショットを奪ったジェイが、オープニングラップでコースアウトして後退。これで大倉、富田、内田篤基(カワサキ)、ジェイという順位で2周目に入った。
しかし、ジェイの序盤の強さは折り紙つき。すぐに内田を捉えて3番手に浮上すると、3周目、富田が大倉にアタックする間に、ジェイが富田、さらに大倉も攻略してトップに浮上した。富田も2番手に上がり、ジェイの追撃に入るが、その差は縮まることなく徐々に開き、ジェイは独走で今季5勝目をあげた。
富田は、後方から内田の追撃を受けたが、これにアタックさせることなく今季最高の2位、また2レース連続でトップ3フィニッシュを達成した。
1周目を12番手とした町田は、その後すぐに10番手の上がって周回を重ねていった。しかし、ラスト2周となったところでポジションを落として10位でチェッカーとなった。
ヒート3:ジェイが6連勝、富田も2位で3ヒート連続表彰台
最後のレースもジェイが盤石の強さを見せつけ、1周目から一度もトップを逃すことなく開幕戦に続き3連勝でパーフォクトウィンを達成。同時に開幕6連勝となった。また、富田もこのヒートで2位を獲得し、3ヒート連続で表彰台を獲得し総合2位となった。
レースは過去の2ヒート同様、ジェイが好スタートから1周目をトップで終了。富田は3番手で1周目を終えたがすぐに2番手に浮上してジェイを追った。しかし、序盤のペースが速いジェイを追い上げることは困難だった。
ジェイは少しずつそのギャップを拡大すると、これまでのレースと同様にペースをコントロールして、開幕戦に続き、6連勝で総合優勝を達成した。
逆転こそならなかったが、富田もハイペースでレースを展開。後方に内田がついていたが、これを寄せ付けることなく2番手をキープして、そのまま2位でチェッカー。開幕戦は1度も表彰台はなかったものの、この第2戦では、3・2・2位とすべてのレースで表彰台に立ち、総合2位を獲得した。
町田は、好スタートを決めて1周目を終えて8番手、中盤以降はライバルの追撃を受けながらもブロックしてきたが、後半に入って逆転を許し9位でレースを終えている。
IA2
ヒート1:ビクトルが優勝、浅井が2位
途中で強い雨が降り出し、トリッキーなコンディションとなったヒート1。30分+1周という中で、さまざまなことが起こったが、#58ビクトル・アロンソ(Auto Brothers)が、開幕戦のヒート3に続き今季2度目の優勝で締め括った。
レースは柳瀬大河(ホンダ)、これに#2浅井亮太(bLU cRU フライングドルフィン サイセイ)、ビクトル、#11阿久根芳仁(カワサキ)、そして5番手にはホームレースとなる#4中島漱也(bLU cRU レーシングチーム鷹)が続く展開。この中で4周目に柳瀬が後退して浅井がトップに浮上。同時にビクトルも2番手に上がり、ヤマハYZ250Fを駆るライダーがワン・ツー体制を築いた。
ペースはビクトルが速く、徐々に浅井に近づいていくが、その度にビクトルにミスが発生し、近づいては離れてを繰り返した。それでもレースが終盤に入ると、ビクトルが逆転。浅井もこれに食らいつき、一時は逆転したものの、最後はビクトルが競り勝って今季2勝目。浅井は初優勝を逃すこととなったが、2位表彰台を獲得した。
後方では、中島が上位を狙い奮闘。序盤は4番手を確保していたが転倒により一時は7番手まで後退したが、そこから再びプッシュし横澤拓夢(ホンダ)、鴨田翔(カワサキ)らを追撃し、終盤に鴨田をかわして5番手まで挽回したところでチェッカーとなった。
ヒート2:ビクトル、中島、浅井のヤマハライダーが表彰台を独占
レースは柳瀬がトップで1周目を終えたが、2周目に入り、ビクトルと浅井が逆転に成功、一方の中島は13番手と出遅れたが、序盤の5周で5番手まで挽回すると、30分+1周という時間をうまく使いながら上位陣を追い詰めていった。
トップ争いは、安定した走りを見せるビクトルが先行。浅井以下の日本人ライダーたちは、徐々に離されて、独走状態となる。一方で2位争いは激しい戦いとなった。地元の中島が、8周目には4番手、2番手の真野 凌輔(GASGAS)と浅井の背後につくと、バトルでは真野が後退し、浅井と中島の一騎打ちとなり、抜き差しを繰り返したが、中島がバトルを制して2番手へ。終盤浅井が追い上げる場面もあったが、順位は変わらず。ビクトルに続き、中島、浅井の順でチェッカーを受け、YZ250Fを駆るヤマハライダーが表彰台を独占することとなった。
IA1 RESULT Heat.1
IA1 RESULT Heat.2
IA1 RESULT Heat.3
IA1 RIDERS RANKING
IA2 RESULT Heat.1
IA2 RESULT Heat.2
IA2 RIDERS RANKING
COMMENT
IA1
YAMAHA FACTORY RACING TEAM
富田俊樹選手談(IA1:3位/2位/2位:総合2位)
「開幕では新シーズンを迎え、立場もマシンも変わりましたが、その中で仕上がっていると思っていたバイクが、実際のレースでは自分にフィットしていませんでした。その課題をチームと共有し、今日までに課題を潰し、安心して乗れるバイクを手に入れることができことで、表彰台に帰ってくることができました。もちろん優勝することが目標なので満足ではありませんが、そこに向けて一段上がれたことは間違いありません。今回3つのヒートを戦い、徐々に良くなっていることも感じましたが、特にヒート3ではジェイ選手をとらえるイメージができるレースでもありました。同時に、そのステージに立ったことで見えてきた新しい課題もあり、より自分に合ったバイクを作り、走りを磨く必要があると感じています。次はホールショットをとって、ジェイ選手をはじめとしたライバルたちに自分がどんなことができるのか確認したいと思います」
白柳弘監督談
「開幕戦を終えて、バイクのエンジンと車体、それぞれの課題を富田選手と洗い出して、それを潰すテストを実施しその効果を確認しました。さらに事前テスト、ライダーによる個人練習なども含めて、新型に対しての習熟度が上がった状態で今大会に臨めたことが、この結果につながったと思います。さらにまだまだ多くの課題がありますが、何をすべきかも見えています。特にスタート、そして序盤の速さの部分ですが、まだ富田選手がバイクに合わせている状況なので、ライダーにフィットしたバイクにつながる改善ができれば、ジェイ選手との差も埋めていけると思います。今回もたくさんの応援をいただきましたが、さらに期待を超えられるよう準備していきますので、引き続き応援をよろしくお願いします」
YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM
ジェイ・ウィルソン選手兼監督談(IA1:優勝/優勝/優勝:総合優勝)
「ゴールデンウィークのオフの際に、背中を少しばかり痛めてしまいましたが、ここに来る前にテストを実施。背中の状態もよく、安心して大会を迎えることができました。また、開幕戦を3連勝でスタートしましたが、そのプレッシャーを受け止めることも自分の仕事ととらえ、それに対しての準備も進めてきたことで、今回も3連勝という結果を得ることができました。その中で、チャンピオンであり、速い富田選手が復調してきていますので、今後は厳しい戦いが待っていると思いますが、それもポジティブに捉え、自分にとってのチャレンジになると考えています。250で勝ち続けるプレッシャーは体験していますが、今後も勝ち続けることを意識するのではなく、一つ一つのレース、バイクや走り方に集中することを大事してレースに臨むだけです」
町田旺郷選手談(IA1:13位/10位/9位:総合9位)
「今大会までのインターバルでは、ジェイ監督と一緒に練習し、アドバイスをもらいながら、準備を進めてきました。レースでは各ヒートともにホールショットとまではいきませんが、まずまずのスタートを切ることができています。ヒート1は転倒があり13位でしたが、残り2つのヒートはトップ10入りができました。まだ十分でないことはわかっているし、ジェイ監督もじっくり上げていこうと話してくれているので、焦らず着実にスキルアップできればと考えています。今回は、前をいくライバルに追い付いても同じペースになってしまい、パッシングにつながらないケースが多かったので、その部分は課題であり修正の必要があります。また、EPSの開発に関しても移りゆくコンディションに対しての対応など、さまざまな情報を獲得し、引き出しを増やすことができています。今後も継続して、開発、結果ともに積み上げていきます」
IA2
Auto Brothers
ビクトル・アロンソ選手談(IA2:優勝/優勝:総合優勝)
「ヒート1はとても難しいレースになりました。というのも途中で一時雨が降り、コンディションがマディに変化していきましたが、ゴーグルにつけているティアオフが少なく、視界を確保することができずに何度もミスしてしまいました。ヒート2での優勝も含めてですが、そうした中で両ヒートで優勝できてよかったです。次回も目標は優勝しかありません、これからも応援をよろしくお願いします」
bLU cRU フライングドルフィン サイセイ
浅井 亮太選手談(IA2:2位/3位:総合2位)
「ヒート1は1周目を2番手、そこから前のライダーが転倒しトップに立ちましたが、途中に雨が降り、自分の走りができない状態でビクトル選手に追いつかれることとなりました。最終的にはバトルには持ち込みましたが、及ばず2位となりました。ヒート2もビクトル選手に先行されてしまいました。日本でも海外に通用するライダーを目指して練習しているので、離されては意味がないとプッシュしていたのですが、体力が消耗し中島選手にもかわされ3位。悔しい結果ですが、自分の持っているものすべて出しました。目標は常に両ヒート優勝なので、次のSUGOもそれを念頭に準備します」
bLU cRU レーシングチーム鷹
中島漱也選手談(IA2:5位/2位:総合3位)
「地元であり、ポイントリーダーとして迎えた今大会は、プレッシャーと緊張感で難しい大会でした。ヒート1はライバルと接触して転倒し5位。一方でヒート2は、予選の順位が悪くスタートが厳しいということで、1周目を終えて13番手。ただ、調子が良いことはわかったので、周りのライバルのことは気にするこなく自分の走りに集中。浅井選手とのバトルは、抜いても抜き返される厳しいものとなりましたが、逃げ切れって2位と理想のレースができました。ただ、ビクトル選手との差は明確なので、今後は、その差を意識し、埋めていくことに力を注ぎたいと思います」