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全日本モトクロス選手権

ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本モトクロス選手権 IAに関する情報をお届けします。

Rd.08 10月27日 MFJGP SUGO

RACE DATA

■大会名称:2019全日本モトクロス選手権第8戦MFJGP
■開催日:2019年10月27日(日)
■会場:スポーツランドSUGO(宮城県)
■レース時間:(30分+1周)×2ヒート

REPORT

2019シーズンの最終戦となる第8戦MFJGPが宮城県のスポーツランドSUGOで開催された。25日(金)の夕方から降り出した雨により、土曜日はマディコンディションとなったが懸命の整備作業により、IA2やレディースはショートカットコースで各セッションを実施。一方のIA1は公式練習のみを行いグリッドはランキングにて決定された。

日曜日は、早朝に小雨がぱらついたものの、天候は悪化せずフルコースで各レースが開催され、国内最高峰のIA1では、TEAM YAMALUBE YAMAHA RACINGからYZ450Fで参戦する#8岡野聖が両ヒートで6位としてランキング3位を獲得。IA2は、スポット参戦の#110渡辺祐介が圧巻の走りを披露して両ヒート優勝。YAMALUBE RACING TEAMの#36大倉由揮がチャンピオンをかけて臨み5/3位でランキング2位、チームメイトの#37鳥谷部晃太は、ヒート1では3位表彰台を獲得するも、ヒート2は転倒が重なり7位となりランキング4位でシーズンを終了した。

レディースはTEAM KOH-Zの#6本田七海が2位表彰台を獲得。ライバルを抑えて自身初のチャンピオンに輝いた。bLU cRU レーシングチーム鷹の#215中島漱也がすでにチャンピオンを決定しているIBOPENでは、その中島が両ヒートを制して年間10勝を達成、今大会もヤマハライダーが大いに活躍した。

IA1

ヒート1:岡野は6位入賞!

前戦に続き、AMAモトクロス選手権の450MXにフル参戦した#718富田俊樹(ホンダ)、さらにモトクロス世界選手権のMX2に参戦する#143M・エバンス(ホンダ)がスポット参戦。今回も強豪が揃ったIA1のヒート1、最もアウト側のグリッドを選択した岡野は、そこから抜群のスタートを切って1コーナーに飛び込むと、3番手で大坂へ進入。1周目を終え岡野は、エバンス、富田、#114成田亮(ホンダ)に続く4番手で2周目に突入した。序盤はエバンスと富田がすぐに抜け出し先行したが、岡野はその後方で成田、#400山本鯨(ホンダ)とともに3位争いを展開した。
この中で岡野は3周目に山本にかわされ5番手に後退するが、直後の4周目に順位を落とした成田を捉えて4番手に浮上し、山本の追撃態勢を作る。しかし7周目に成田の先行を許すと、その後は山本、成田のペースについてけず徐々に後退し、後半に入ると後方から追い上げてきた#155大塚豪太(ホンダ)につかまり、5位争いを展開。そこで岡野はポジションを守ったが、終盤にペースを落としてかわされ最後は6位でチェッカーとなった。なおトップはエバンス、2位は富田、3位は成田となった。

ヒート2:岡野が6位、年間ランキング3位を獲得!

ヒート2のスタートで若干出遅れた岡野だったが、1周目に挽回し#45安原志(カワサキ)、富田、成田に続く4番手とする。2周目にエバンスにかわされ、成田と4位争いを展開。その成田が4周目に転倒したことで4番手を確保したが、後方から山本の追撃にあい7周目に5番手に後退してしまう。
その直後から岡野のペースが落ち、13周目に後方から追い上げてきた大塚にかわされて6番手に後退すると、その後は単独走行となり6位でチェッカーとなった。トップはヒート1に続きエバンス、2位は富田、3位は山本。

なお、年間のランキングで岡野は、3度の表彰台など安定して上位を獲得してきた結果、IA1初参戦となった昨年のランキング8位を大きく上回る3位を獲得し、大きな成長を示して2019シーズンを終了した。

IA2

ヒート1:渡辺が九州大会に続き2勝目、鳥谷部は3位表彰台、大倉は5位

YAMALUBE RACING TEAMの#36大倉由揮のチャンピオンがかかった大一番。ホールショットはチームメイトの#37鳥谷部晃太が奪取し、1周目はその鳥谷部を先頭に#110渡辺祐介、#912小川孝平(カワサキ)が続く。チャンピオンを争う#386横山遥希(カワサキ)は5番手、そして大倉が6番手と役者が揃った状態でレースがスタートした。

序盤は渡辺がハードにプッシュし3周目に鳥谷部を捉えてトップに浮上すると、さらにプッシュを続けて前半で大きなリードを築く。一方2位争いは、鳥谷部、小川、横山、#81平田優の4人で展開。この中で小川が一旦は2番手に浮上するが転倒で脱落。これで鳥谷部が2番手に再浮上するが、後半に入り平田が猛チャージを開始し、横山、さらに鳥谷部にも接近。鳥谷部はこの猛攻を凌いでいたが12周目に逆転を許して3番手にポジションを落とした。

一方の渡辺は、前半に大きなアドバンテージを使ってペースをコントロールしていたが、平田に追い上げられ約1秒差まで迫られた。しかし、終盤に再びペースアップすると、平田にアタックさせることなく、九州大会のヒート2から連勝を果たした。鳥谷部はポジションを守って得意のSUGOで3位表彰台。

大倉は、序盤に転倒があり6番手から8番手に後退。後に5番手までポジションを上げたが、転倒が最後まで響くこととなり、ライバルの横山の一つ後ろとなる5位でチェッカー、チャンピオン争いは横山と14ポイント差に拡大することとなった。

ヒート2:渡辺がパーフェクトウィン、大倉は3位でランキング2位を獲得

シーズン最終戦にふさわしく、渡辺、横山、大倉により観客の大歓声を呼ぶ三つ巴の激しい優勝争いが繰り広げられ、渡辺が終盤の逆転に次ぐ逆転により3連勝を達成した。

ホールショットを奪ったのは大倉とチャンピオンを争う横山。これに渡辺、#38内田篤樹(スズキ)鳥谷部が4番手で続いたが、大倉は1周目を終え12番手と大きく出遅れてしまう。しかし序盤に#48大木汰一(カワサキ)、さらにチームメイトの鳥谷部が転倒で順位を落とすなど、大倉は序盤の内に挽回して3周目には4番手に浮上する。

レースの前半は、渡辺と横山が付かず離れずのデッドヒートを繰り広げていたが、その激しさ故にペースを落としてことから、10秒以上後方にいた大倉がじわじたと接近し、レース終盤には3台が約1秒に密集してバトルを展開。特に横山と渡辺は逆転に次ぐ逆転で順位を激しく入れ替えた。さらに最終ラップには大倉も加わり、渡辺をかわして2番手に上がるが、ここから渡辺が本領を発揮。大倉、さらに横山を次々とかわしてトップに立つと、最後コーナーでは横山の追撃を抑え、両ヒート優勝。大倉は横山を捉えることができず3位表彰台となり、チャンピオンには届かず。それでも5勝を含む11回の表彰台を獲得する好成績で、昨年のランキング5位から2位へ大きくジャンプアップを果たした。

また、鳥谷部は2周目の転倒後、さらに転倒を重ね12番手まで順位を落としたが、そこから挽回し7位でフィニッシュ。優勝1回を含む5回の表彰台でランキング4位となった。

レディース

本田が自身初のチャンピオンを獲得!

TEAM KOH-Zの#6本田七海が、2010シーズンのデビュー以来、初のチャンピオンを獲得した。

ライバルの#4竹内優菜(ホンダ)に11ポイントと十分な余裕がある中、本田は完璧なホールショットでスタート。その勢いのままにぐいぐいと後方を引き離し、一時は2番手の#2川井麻央(ホンダ)に約5秒のアドバンテージを築いた。しかしライバル竹内がここから猛チャージ。5周目に2番手に浮上すると、後半に入りペースの上がらない本田は、一気に差を詰められ6周目には逆転を許してしまう。

しかしここから本田もペースを取り戻し竹内の追撃を開始。テール・トゥ・ノーズのバトルを展開したが最後まで竹内を逆転できずに2位でフィニッシュ。それでも4回の優勝を含む7度の表彰台という圧巻の成績で、自身初となるチャンピオンを獲得した。

IA1 RESULT Heat.1

IA1 RESULT Heat.2

IA1 RIDERS RANKING

IA2 RESULT Heat.1

IA2 RESULT Heat.2

IA2 RIDERS RANKING

COMMENT

TEAM YAMALUBE YAMAHA RACING
岡野聖選手談(IA1:6位/6位:総合7位)

「今大会に関しては、両ヒートともに自分が走りたいようには走れませんでした。いつもはタイムを出してリズムを作っていく感じですが、練習走行でタイムが上がらず... それでもヒート1は、アウトからスタートが決まったのでそのままの流れでいきたかったのですが、特に苦手なセクションでのマイナスが大きく、克服できずにペースが上がりませんでした。ヒート2はスタートで遅れましたが、1周目で前にいないと勝負できないことがわかっていたので、リスクを犯して攻めて4番手まで挽回できましたが、やはり中盤からラインに迷いが出てベストラインを探しきれずに終わった感じです。今季は2年目でマシンの方向性も自分のものになり、それに合わせた体力、体づくりも順調に進み、コースに対しての積み上げもあったのでセッティングも素早く決まるようになりました。実際は辛いことも多かったけど、シーズン中盤には表彰台にも立てるなど、チームやファンの皆さんにも喜んでもらえたし、トータルで成長できたシーズンだったと思います」

CycleTrader/Rock River/Yamaha
渡辺祐介選手談(IA2:優勝/優勝:総合優勝)

「ヒート1はスタートをしっかりと決めましたが、ミスがあって鳥谷部選手には抜かれました。でも序盤でトップに立てたので、逃げる作戦でペースを上げました。中盤は後方とのマージンを見ながら走っていましたが、平田選手に一気に詰められたので終盤にもう一度ペースを上げ逃げ切ったという感じです。ヒート2は横山選手とのバトルでしたが、彼もアメリカで走っていたライダーで速かったですね。ただバトルが激しく、タイムが落ちてしまったところもあり、大倉選手にも追いつかれて三つ巴のバトルになってしまいました。最終ラップには3番手までポジションを落としたのですが、ルンバルンバが勝負所で、ダブルで飛んでなんとか挽回。最終コーナーでも横山選手は勝負をかけてきたと思いますが、アメリカで学んだことを使ってうまく守ることができました。地元のレースで勝つことが当たり前の状況にメンタルは厳しかったので、2つ勝ててホッとしましたが、コンディションが万全でなかったとはいえ、勝ち方の面では悔しい部分もありましたね」

佐藤光幸談(チームディレクター)

「まず岡野選手は、表彰台、優勝を狙っていたわけですが、両ヒートともにスタートから序盤がよい中で、焦りとか、ミスとかでリズムを崩し失速してしまう展開で両ヒートとも6位でした。目標からすれば決して満足できる成績ではありませんでしたが、シーズン全体で見れば、昨年のランキング8位から3位と大きく前進し、飛躍のシーズンになったと思います。
渡辺選手については、地元で両ヒート勝たなければならないプレッシャーの中でヒート1は序盤から逃げ切る理想通りの展開でした。ヒート2は、本人も情けないと話していましたが、ハラハラのレースだったので、勝ててホッとしています。またレースとして、多くのファンには魅力的な戦いを見せることができたし、バトルのなかではアメリカでの経験が生きていたことも好材料でした。岡野選手は結果的にチャンピオンには辿り着けませんでしたが、大きな成長を遂げ、渡辺選手はアメリカで学び成長した姿を見ていただくことができたと思います。これもライダー、チームをシーズンに渡って応援してくださったファンの皆さまのおかげであり、感謝しかありません。ありがとうございました」

YAMALUBE RACING TEAM
大倉由揮選手談(IA2:5位/3位:総合4位)

「ヒート1はスタートで遅れて追い上げのレースでしたが、マディコンディションに苦戦し、トップが逃げていく中で焦りが生まれミスで2周目に転倒しました。そこから5番手までは上がることができましたが、その時には前のライダーと大きく離されており追いつけず、情けないレースになってしまいました。この時点でチャンピオンは大きく遠のいたので、ヒート2は自分のベストを尽くすのみでしたが、スタートが決まらず... 切り替えて3番手まで挽回したものの、トップ2とは10秒以上のギャップがありました。そこでもう一度諦めたらここで終わりだと、追い上げました。ラストラップで追いつき、一度は2番手まではいきましたが、逆転され3位。悔しさが先行しましたが、ヒート1でかなり落ち込んでいたところから、切り替え力を出しきれたことに関してはよかったと思います。また今年は毎戦学ぶことがたくさんあってレースが楽しく感じたし、ライバルに追いつこうという意欲、モチベーションも高かったし、大きな成長ができた1年になりました」

鳥谷部晃太選手談(IA2:3位/7位:総合5位)

「今回は両ヒートでの表彰台だけでなく、優勝を狙って臨みました。セッティングも熟成し予選も一番で通過して流れもよく、ヒート1もトップに立ち、渡辺選手にかわされてからも離されることがなかったので勝負できると思ったのですが、後半に体力がきれて3位。それでも成績を揃えるという意味では上出来なレースでした。しかしヒート2は、横山選手と渡辺選手が先行していたので、追いつこうと焦ってしまいライバルと接触して転倒。さらに追い上げの途中でも転倒があり7位と残念な結果となりましたが、これが現状で精一杯の走りです。今シーズンはチャンピオンを目指していましたが、シーズン前半でつまづき、そこからは一つ一つに切り替え表彰台にも立って初優勝もできました。思っていた以上に表彰台に立てなかったのですが、自分もマシンも向上してきたし、課題にしてきたスタートを研究し続けて改善しいいレースができるようになりました。それでもまだ課題はあるので、このオフにまたしっかりと鍛えていきたいと思います」

TEAM KOH-Z
本田七海選手談(レディース:2位)

「"うれしい"という心境と、10シーズンで初のチャンピオンということで"やっと取れた"というとこです。レースは今までにない緊張感があったのでちゃんと走れるか不安でした。でもレース前に"スタートだけは出よう"と話をして、周りからもいっぱい背中を押してもらっていたのでスタートを決めることができました。それでいいレースができると思ったのですが、やっぱりどんどん硬くなって竹内選手に抜かれました。でも5勝してチャンピオンという目標があったので、怖い部分がありながらも最後まで守らず攻めのレースができたのはよかったし、チャンピオンをとった今も、自分も周りも気持ちよくチャンピオンに向き合うことができています。最後に、ここまで長く支えてくれた全ての方に感謝の気持ちでいっぱいです」

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