全日本モトクロス選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本モトクロス選手権 IAに関する情報をお届けします。
Rd.09 10月28日 MFJGP SUGO
RACE DATA
■大会名称:2018全日本モトクロス選手権第9戦MFJGP
■カテゴリ:IA1/IA2
■開催日:2018年10月28日(日)
■会場:スポーツランドSUGO(宮城県)
■レース時間:(25分+1周)×2ヒート
REPORT
2018シーズンの最終戦、第56回MFJGPがスポーツランドSUGOにて開催された。IA1、IA2、レディースすべてのチャンピオンが決定するとともに、モトクロス世界選手権の参戦ライダーや、AMAモトクロスに参戦する日本人ライダーが出場。決勝日は秋晴れに恵まれ、最終戦にふさわしい大会となった。
ヤマハでは、IA1にフライングドルフィンサイセイ with YAMAHAの岡野聖とともに、MXGPランキング8位のジェレミー・シーワーが参戦。そのシーワーが総合2位、岡野選手も6・5位で総合5位と活躍。IA2にはYAMALUBE RACING TEAMの大倉由揮、鳥谷部晃太に加え、3D RAcingからAMAモトクロス・250MXにフル参戦した渡辺祐介が出場し、渡辺がヒート1で優勝、ヒート2で2位として総合2位。レディースでは、TEAM KOH-Zの本田七海が3位で表彰台、今シーズン限りで引退を発表した安原さや(名阪レーシング)が4位とし、ヤマハライダーが全クラスで存在感を発揮した。
IA1:シーワーが両ヒート2位で総合2位、岡野は総合5位でシーズンを終了
27日(土)は雨の影響でマディコンディションとなり、各セッションが長引いたことなどによる影響で、予選が28日(日)の午前中のスライド。ここでシーワーが2位、岡野が5位で予選を通過し決勝に進出した。
ヒート1、シーワーがインが定石のグリッドであるこのSUGOで、最もアウト側をあえて選択。通常であれば厳しくなるスタートとなるはずだが、1コーナーでしっかりと上位を確保すると、1周目の内に次々と日本人ライダーをかわし同じくグランプリライダーのT・ガイザー(ホンダ)に続く2番手で1周目を終える。しかしわずか1周ではあったがガイザーと大きなギャップができており、追走するもその差は拡大していった。それでも2番手のままで単独走行を続け、安定した走りで2位でチェッカーを受けた。
一方の岡野はスタート直後は遅れるも1・2コーナーで挽回し、ガイザー、シーワー、成田亮(ホンダ)、富田俊樹(ホンダ)、山本鯨(ホンダ)の後方6番手で1周目を終えた。ライバルは全日本チャンピオン争いをする2人とAMAライダーという状況だったが、岡野は前半、このライバルたちのペースに食らいついて走行し、上位を伺う。しかしバックマーカーが出始めると、小さなロスが重なり徐々に離されて単独走行となったが、その後も最後までポジションを譲らず6位でチェッカーとなった。トップ3は、ガイザー、シーワー、成田。
2018全日本モトクロス選手権のシーズンを締めくくるラストレースとなったヒート2。シーワーはヒート1を上回る好スタートで、ヒート1と同様、ガイザーに続く2番手で2周目に突入。この序盤はヒート1よりも長く、ガイザーの近くでレースを進めたが、徐々に離されてしまう。ただしヒート1と同様、後方との差は大きく開いており、またも単独走行となってそのままチェッカー。これによりシーワーは、両ヒートで2位をとなり総合2位を獲得した。
岡野2も好スタート。ガイザー、シーワー、成田、富田の後方5番手で1周目をクリア。そのまま成田と富田の後方に食らいつき、中盤まではわずかなギャップの中でレースを続けたが、徐々に離されてしまう。それでもレース後半に入り、前を行く4番手の成田が転倒。これで一気にギャップが縮まったため成田攻略に挑んだが最後までかわすことができず5位でゴール。順位は総合5位となったが日本人だけでは3位と、最終戦を今季最高タイの順位で締めくくった。なお、トップ3はガイザー、シーワー、富田。またシーズンのチャンピオンは成田が獲得した。
IA2:渡辺がヒート1で優勝し総合2位、大倉が総合8位、鳥谷部が総合9位
昨年のIA2チャンピオンであり、今シーズンはAMAモトクロスの250MXにフル参戦した渡辺がゼッケン1のYZ250Fにて参戦。マディコンディションの中で行われた予選では、大倉が予選A組で8番手として総合16番手、予選B組ではホームコースの鳥谷部が3番手・総合5番手、渡辺はホールションを奪うも転倒が重なり予選敗退の危機に直面したが14番手・総合27番手で決勝進出を果たした。
迎えた決勝ヒート1、アメリカでシーズンを過ごした渡辺がその実力を発揮。前半こそ古賀太基(ホンダ)の後方2番手でレースを進めたが、そのテールについてジリジリとプレッシャーをかけていく。そして10周目に古賀を攻略するとすぐさまギャップを拡大して独走態勢を築き、最終的には7秒差をつけてチェッカーを受け、昨シーズンからさらに成長した姿を多くのファンに見せつけた。
YAMALUBE RACING TEAMの鳥谷部晃太と大倉由揮はスタートで出遅れ、ともに追い上げのレースとなる。まず、15番手で1周目を終えた鳥谷部は前半で一気に9番手まで挽回。続けて前方とのギャップを埋めながら走行を続けて12周目に8番手に浮上すると、そのまま8位でレースを終えた。
大倉は1周目にアクシデントに見舞われ18番手。その後に15番手まで挽回したが、3周目に再びアクシデントで19番手に後退。しかしそこからは、ラインの少ないコースを縦横無尽に近いながらポジションをアップし、最終的には10位でフィニッシュした。
ヒート2、総合優勝を狙った渡辺だったが、1周目にライバルと絡むアクシデントなどで7番手と出遅れてしまう。トップの古賀が独走態勢を築くなか、渡辺は横澤拓夢(ホンダ)、小川孝平(カワサキ)、能塚智寛(ホンダ)に続く5番手まで順位を上げる。しかし目の前を走る能塚を追い詰めながらも攻略できず、7周目に前に出ると、一気に2番手まで順位をアップ。この時点で古賀との差は10秒以上と厳しい状態ではあったが、諦めることなくマシンをプッシュして徐々に差を詰めていったが2位でゴール。これで渡辺は古賀と1・2位を分け合い同ポイントとなったが、ヒート2の成績を優先することから渡辺は総合2位で、MFJ GPを終えた。
また、大倉は1周目に転倒し24番手で2周目に入ったが、序盤・中盤・終盤と終始ポジションをアップして9位。鳥谷部は14番手で2周目に入り、13番手としたところで転倒し25番手までポジションを落としたが、こちらも最後までしぶとい走りを披露し12位となった。これにより、大倉は総合8位でヤマハライダー最上のランキング5位、鳥谷部は総合9位としてこれに続くランキング6位でシーズンを終了した。なお、優勝は古賀、3位は小川となり、シリーズチャンピオンは能塚を逆転して古賀が獲得した。
レディース:本田が3位表彰台、引退を発表した安原は4位入賞
小排気量のマシンにとっては非常に厳しいハードマディで行われた予選。本田が総合トップ、安原はクラス2番手、総合4番手と新型YZ85を駆る2人が予選から好調を示した。
決勝は竹内優菜(ホンダ)が先行して川井麻央(ホンダ)、安原、本田が続いたが、序盤の内に竹内と川井がハイペースで逃げてトップ争いを、安原と本田が3位を争いとなったが、3周目に早速レースが動き、本田が安原をかわして3番手とする。しかし安原もこれに動じず本田に食らいついたが、周回を重ねるごとに2人の差は拡大。後半はともに単独走行となり本田がシーズン4回目の表彰台となる3位、安原は4位入賞で全日本最後のレースを締めくくった。優勝は竹内、2位は川井。チャンピオンは畑尾樹璃(ホンダ)が獲得した。
IA1 RESULT Heat.1
IA1 RESULT Heat.2
IA1 RIDERS RANKING
IA2 RESULT Heat.1
IA2 RESULT Heat.2
IA2 RIDERS RANKING
COMMENT
Monster Energy Yamaha Factory MXGP Team
ジェレミー・シーワー選手談(IA1:2位/2位:総合2位)
「今回はMXGPでも上位のガイザー選手が参戦しているということで、彼の近くで走り勝つことが目標でしたが、両ヒートで優勝したガイザー選手に対して2位が2回という結果でした。もちろんMXGPで表彰台に上がるほどの実力者であり、このレースでもすごく速かったのですが、数週間前にシーズンが終えコンディションが万全ではなかったことや、マシンがほぼストックの状況だったことなどもあり目標には届きませんでした。特にヒート1は腕上がりもあり序盤から大きく離されましたが、ヒート2は良いスタートから前半はガイザー選手についていけたので満足しています。そして日本のコースで日本のライダーと走り、多くのファンと出会い、また日本の文化にも触れることも含め、とてもすばらしい経験となりました。この後SUGOでのテストに参加しますが、今回を含めて長く、タフなシーズンあったので、帰国してからは少し休み、来シーズンに向けて準備していきたいと思います」
フライングドルフィンサイセイ with YAMAHA
岡野聖選手談(IA1:6位/5位:総合5位)
「ヒート1はかなり荒れた路面だったし、ラインも限られていたなかでのレースとなりました。スタート自体はよくありませんでしたが、1-2コーナーでリカバーし、上位が見える位置をレースをスタートできました。これまでは、すぐに上位陣に離されてきましたが、今回はついていくことができて自信になりました。ヒート2も同じような展開でしたがヒート1よりもさらに長く粘れました。両ヒートとも後半に離されてしまったのですが、これはトップライダーたちはバックマーカーを最小限のロスでかわしていくのに対して、僕はロスが大きく、またそれを取り戻そうとしてミスが出るなどの悪循環で離される展開でした。ヒート2の後半には、成田選手が転倒して追いついたのですが、抜けずに終わっているし、まだまだトップで戦うには力不足を感じています。来シーズンの体制は決まっていませんが、チャンスをもらえた時にしっかりと期待に応えられるよう、このシーズンオフにしっかりと準備していきたいと思います」
佐藤光幸談(チームディレクター)
「今日は今年一番の走りを見せてくれました。今年は250から450へスイッチしたシーズンということで、当初は難しい状況がありました。しかし徐々にマシンに慣れ、少しずつですが、チームとのマシンに関するコミュニケーションも良くなり450のマシンを作っていくことができるようになりました。この小さな積み重ねが今日の走りと結果につながったのだと思います。改めて成績を見ると、GPライダーがいるなかでの総合5位、日本人だけでは3番目の成績で、表彰台に立てる結果です。もちろん、もっと早い段階でこうした結果をつかむことができればよかったのですが、最終戦にはなりましたが、当初から掲げてきた順位を上回る結果であり、チームとしてはよい形でシーズンを締めくくることができました。最後にこのシーズンの間、たくさんのファンの皆さんに応援いただき、本当にありがとうございました」
3D Racing
渡辺祐介選手談(IA2:優勝/2位:総合2位)
「ヒート1は、古賀選手の後方2番手でのレースとなりました。早く仕掛けるという考えもあったのですが、残りも長く、自分の方が速いところ、相手が速いところを見極めた上でしかけトップに立ち、まさに狙い通りのレースになりました。ヒート2はスタートはまずまずだったのですが、他車のクラッシュに巻き込まれコースアウトして遅れました。そこからリカバーして、能塚選手の後ろについたのですが、積極的にラインを変えながら並びかけては、抜くことができない状況が続きました。能塚選手を抜いてからはすぐに2番手まで上がりましたが、その時点で古賀選手に離されておりプッシュしたものの3秒差くらいまで詰めながらも届かず悔しい2位となりました。また今回は、育成チームの鳥谷部選手や大倉選手など、僕よりもさらに若いライダーに注目しましたが、僕もそうだったように、なかなか思うようなレースができない苦しい時期だと思います。その中でプロライダーとしての自覚を持ち、やれることを積み重ねることが大切。諦めずに這い上がってきて欲しいと思います」
YAMALUBE RACING TEAM
大倉由揮選手談(IA2:10位/9位:総合8位)
「シーズン最後のレースでしたが、悔いの残る結果になりました。ヒート1はスタート時点はよかったのですが、大坂の手前で前を走るライダーが転倒。これを避けて土が溜まったラインに入り、なんとか登り切ったのですがこれで順位を落としました。さらに、そこから取り戻してから再び転倒があり10位が限界でした。ヒート2は、スタート直後の1コーナーで転倒し、また追い上げのレースで9位。このように今年は全体的にスタートが悪く追い上げて挽回した時には上位から大きく離されているというレースが続きました。追い上げのレースを組み立てることはできるようになったのですが、自分よりも速いライダーと走る機会を作ることができず、レベルアップに繋げられなかったのは悔いが残ります。このオフは、まずは上位でレースができるよう、鍵となるスタートを中心に磨いていきます」
鳥谷部晃太選手談(IA2:8位/12位:総合9位)
「予選から調子がよく、よいグリッドからスタートできましたが、ヒート1 はスタート直後にライバルと接触して追い上げになり8位。ヒート2はスタートはまずまずながら、序盤で上位陣に迫るあまりにオーバーペースとなって転倒し大きく順位を落とし、12位でレースを終えました。単独ではある程度タイムを出せますが、今回はマディから回復したコースということで、ラインが少なくバトルになるとどうしても抜き辛いコンディションとなり、思うような走りができず目標だったベストリザルトの達成は来年に持ち越しです。このシーズンは開幕戦から苦しい立ち上がりとなりました。いろいろ課題がありましたが、やはりスタートを改善することが最優先だと思っています。また今年は新しいチームになり、大倉選手とともにシーズンを戦ってきましたが、良きライバルとして多くの刺激をもらい大きなプラスとなりました。本来ならこの最終戦で逆転したかったのですが、それも叶わず、悔しいシーズンとなりましたが、これもモチベーションに変えて来年に向けてしっかり準備したいと思います」
福上聖一談(チームマネージャー)
「名阪から長いインターバルの中で各ライダーはたくさんの練習とトレーニングを積み重ねてきました。また精神面に関しても、緊張し練習でできて本番ではできないということが見られたので、メンタルトレー二ングも行いこのレースに臨みました。そういったことからこの最終戦では6位以内、欲を言えば3位以内も期待していたのですが結果は期待通りにはいきませんでした。ただ、様々なアクシデントがある中で最後まで諦めずに、総合8位と9位という結果を残し、ランキングも5・6位でシーズンを締めくくれたのは評価したいと思います。また両ヒートで順位を揃えられなかったり、序盤のポジションが悪いなども課題は残っています。来シーズンの体制について決まっていませんが、チーム自体は継続の予定なので、我々もチームとして反省がありますので、その辺りを改善して来シーズンに臨みます」
TEAM KOH-Z
本田七海選手談(レディース:3位)
「今日は開幕戦で勝ったので最終戦は勝ちで終えたかったのですが、自分のミスでスタートで遅れ追い上げのレースになり、3番手に上がってからはトップが離れている状態でしたが、そこで後ろを意識してしまった自分がいました。前を見ることができないのが弱さだし、悔やまれるレースとなってしまいました。シーズンを振り返ると、初優勝から始まりながら、2戦目は空回りして結果を残せず、さらに怪我もあり勢いを後につなげることができませんでした。スピードはあるけど、そこから結果的に優勝に繋げられず、チャンピオンを獲得するにはまだ足りないことがたくさんあることを痛感する悔しいシーズンでした。それでも、昨年から比較すると練習の走りを決勝でも出せて、コンスタントに表彰台には立つことができたという点は成長を感じています。来シーズンはさらに成長し、優勝争いをたくさんして、チャンピオンを獲得できればと思います」