全日本モトクロス選手権 IA1

RACE DATA

■大会名称：2007全日本モトクロス選手権 MFJグランプリ大会
■カテゴリ：IA1クラス
■開催日：2007年10月21日（日）
■会場：宮城県・スポーツランドSUGO
■レース時間：（30分＋1周）×2ヒート
■天候：晴れ　■観客数：11,200人

REPORT

成田が第1ヒートでIA1チャンピオンを獲得！

2007年MFJGP全日本モトクロス選手権・第10戦（最終戦）が10月21日（日）、スポーツランドSUGO（宮城県）にて開催された。32ポイント差で迎えた最終戦、YZ450FMを駆るジュビロ・レーシング・チームの成田亮が、第1ヒートで2位を獲得してIA1クラスのチャンピオンを獲得した。日本最高峰クラスのヤマハライダーのタイトル獲得は2005年の小池田猛選手以来2年ぶり、通算9回目となる。

成田のチャンピオン獲得がかかった第1ヒート。大きなプレッシャーのなか、成田は2007年AMAモトクロス選手権ランキング3位のアンドリュー・ショート（ホンダ）に続く2番手でスタート。過去、ゲストライダーがしてきたように、ショートの先行逃げ切りかと思われたが、成田がその予想を覆し、ショートを背後からピッタリマークする。そしてSUGOに集まった多くのファンに日本のトップライダーの実力を証明するかのように、5周目にはショートをかわしてトップに浮上。7周目に奪い返されるも、9周目に再びトップに立つ。しかし10周目にショートの先行を許すと、成田は徐々に離されてしまいショートがそのままトップでフィニッシュ。

終盤にはショートとのバトルで疲労しペースの落ちた成田に対して、3番手の熱田が徐々に差を縮めてきたが、序盤で作ったアドバンテージから成田が最後までポジションをキープし、2位でチェッカーを受け、2007年IA1クラスのチャンピオンを獲得した。

6番手と好スタートを切った大河原は、序盤で8番手まで順位を落としたが、上位の転倒などがあり順位を上げて5位を獲得。釘村太一は11番手で1周目を終えるが、順位を大きく上げることはできず10位。出原は好スタートで1周目を4番手として、その後も上位をキープするが6周目に転倒して16位となった。なお、小池田猛はけがのため今大会を欠場した。

第2ヒート、チャンピオンを決め、プレッシャーから解放された成田は、再びショートに挑む。このレースのホールショットは成田。これに小島庸平（スズキ）、北居良樹（スズキ）、高濱龍一郎（ホンダ）、ショートと続く。ショートは1周目の序盤で2番手まで浮上して成田の背後に迫る。

レース内容は第1ヒートと一転してショートが成田を追う展開となる。序盤の攻防でありながら、そのバトルはまるでラストラップでのせめぎあいを思わせるほど激しく、再び会場はヒートアップ。その後二人のバトルは続くが、6周目にショートが転倒。すぐに再スタートを切るが、約4秒差で先行する成田に迫る。必死にブロックする成田だが、10周目にトップを奪われると、第1ヒートと同様、成田にこれを追いかけるだけの体力が残っておらず、ショートがパーフェクトウィンを達成。成田は敗れはしたものの日本人最上位の2位とし総合2位を獲得した。

大河原は、スタートで5番手につけると3周目に3番手の熱田が転倒したことで4番手に順位を上げ、前方の高濱を追う。二人の差は1～2秒と僅差の戦いとなるが、ともに一歩も譲らず、高濱が3位、大河原は今シーズン最高となる4位とした。ランキングはヤマハでは成田に続く2番目の成績となる6位を獲得した。釘村はスタート直後に起った多重クラッシュに巻き込まれて25番手からのスタートとなったが挽回して14位、ランキングは14位となった。出原も釘村と同様に多重クラッシュに巻き込まれ、その際に腹部を強打、さらにマシンも破損したためリタイヤ。ランキングは12位となった。

COMMENT

成田亮選手談（2位/2位：総合2位）

「今日はチャンピオンがかかっていることも意識したが、AMAのトップライダー、ショート選手が参戦するということも気になっていた。そこで序盤から全力で走り、ショート選手とも良いバトルができたが、中盤は疲れが出てしまい、そこからはチャンピオン獲得を第一に考えて走った。チェッカーを受けた瞬間は、やはり1位でゴールしたかったという悔しさがあったが、ここまで一緒にがんばってきたメカニックの顔を見て、"チャンピオンになったんだ"という思いが沸き上がり、うれしさとホッとした気持ちでいっぱいになった。第2ヒートはチャンピオンを決めプレッシャーがなくなった分、思いっきりショートに挑もうと思った。スタートから少しでもアドバンテージを取ろうと集中。それがホールショットにつながった。しかしすぐに後ろにつかれたが、その後は抜かれることなく、トップをキープできたことは評価できるし、体力的にはかなわないが、テクニックやスピードでは負けていないと思った。結果は2位となり、全日本チャンピオンらしさを見せることができず、悔しくてならない。来年はチャンピオンらしく全レースで勝ちを狙っていきたいし、海外のライダーにも負けない走りでモトクロスを盛り上げていきたい」

釘村太一選手談（10位/14位：総合12位）

「第1ヒートのスタートはまずまずだったが、1周目の混戦で順位を落としてしまった。その後はミスこそなかったが、ペースを上げることができずダラダラとレースをしてしまった。第2ヒートはスタート後の多重クラッシュに巻き込まれてしまい後方からのレースとなった。すぐに気持を切り替えたが、モチベーションを持続することができずに追い上げにつながらなかった。今シーズンは、開幕から波に乗れず、途中でけがもあり、ここ数年で最も良くない結果だった。ヤマハ、チーム、そして応援してくれたファンの期待に応えられず悔しさが残るシーズンとなってしまった」

出原忍選手談（16位/リタイヤ：総合21位）

「第1ヒートは良い位置でスタートできて走りも好調だったが、6周目に自分のミスで転倒して順位を落としてしまった。第2ヒートは1周目のスタート後、前のライダーがジャンプするはずのところでジャンプしなかったためにそのまま突っ込んでしまい転倒。息ができないほど強くお腹を打ちつけ、またマシンも破損してしまったためリタイヤせざるを得なかった。今シーズンは良い走り、良い内容のレースが多かったにもかかわらず、転倒などのアクシデントが重なって結果を出すことができなかった。悔しいができるだけ早く気持を切り替え、来シーズンの準備を進めていきたいと思う」

大河原功次選手談（5位/4位：総合5位）

「シーズン後半に入りスタートが良くなってきて、今回の第1ヒートでもまずまずのポジションからスタートできた。レースは他のライダーの転倒などで順位を落とすなか、最後まで走り切ることができて5位。これには満足している。第2ヒートも好スタートから4番手に上がり、高濱選手の後方でレースを続けていた。表彰台が目の前ということでラインを変えるなどやれることはやったが、高濱選手も速く、抜かせてもらえなかった。シーズンを振返ると、表彰台はなかったものの、ヤマハでは成田選手に続く2番手で、ランキングは6位。まずまずの成績を残せたことでホッとしている」

光安鉄美、ジュビロ・レーシング・チーム監督談

「成田選手は、チャンピオンがかかっているレースであるにもかかわらず、ショート選手の前でフィニッシュすることを目指した。結果的には2位でチャンピオンを決めることとなったが、成田選手が持つ才能、掲げた目標の高さを見ても、本当にチャンピオンとして相応しいライダーだと思う。第2ヒートはプレッシャーもなく、ひょっとしたら勝ってくれるかと思ったが、かなわなかった。しかし成田選手の果敢な挑戦は、多くのファンを満足させたと確信している。最後に今シーズンもYSPのお客さまをはじめ、多くの方がライダーに応援と励ましをくださった。本当に感謝するとともに、今後もライダー、スタッフが一丸となって、チャンピオンの獲得を目指し、ファンのみなさんが楽しめるレースを披露していくので、引き続き応援をいただけたらと思う」