全日本モトクロス選手権 IA1

RACE DATA

■大会名称：2007全日本モトクロス選手権 第7戦東北大会
■カテゴリ：IA1クラス
■開催日：2007年7月22日（日）
■開催地：岩手県・藤沢スポーツランド
■レース時間：第1ヒート＝30分+1周、第2ヒート＝25分+1周
■天候：晴れ　■観客数：6,000人

REPORT

成田が両ヒートで表彰台を獲得し総合3位

2007年全日本モトクロス選手権・第7戦東北大会が7月22日（日）、藤沢スポーツランド（岩手県）にて開催された。マディとドライが混在する難しいコンディションとなった今回。ジュビロ・レーシング・チームの成田亮は、第1ヒートでは2番手走行中、トップに迫りながらもミスで後退し2位。第2ヒートはスタートで出遅れ、追い上げが重要となる序盤で犯したミスが響いて3位となり総合3位。ランキングでは2位の熱田孝高（ホンダ）が総合2位を獲得したことで3ポイント縮まったものの、14ポイント差で首位は守っている。

前日からの雨により、サンド質特有の深く重いマディコンディションとなった第1ヒートは、非常にタフなレースが展開された。ホールショットは小島庸平（スズキ）、これに中山裕（スズキ）出原忍、溝口哲也（カワサキ）、成田らが続くが、1周目の混戦を制した小島、出原、成田がトップ3を形成し2周目に突入する。

トップの小島は快調なペースをキープし、2番手に浮上した成田に10秒弱のリードを築いてレースをリード。しかしこのコースを得意とする成田はこの後、小島を上回るペースでその差を縮め、5周目には小島の背後に迫り、コーナーごとにアタックをしかけていく。

ところがまさに小島を捕らえようかという6周目、成田は転倒していたマシンと接触しエンジンストップ。すぐにリスタートするも、差は大きく開き再び追走を強いられてしまう。その後2周に渡り追い上げを見せたが、序盤のバトルでゴーグルを外していた成田は、バックマーカーの巻き上げる泥で視界を確保できずにペースダウン。そのまま小島がIA1初優勝。成田は2位でゴールなった。また3位は熱田。

序盤3番手と好位置でレースを展開していた出原は、レース中盤までポジションを守っていたが、7周目に5番手に順位を落とすと、10周目にも一つ順位を落として6番手まで後退する。しかし終盤に再び順位を上げ5位でチェッカーを受けた。

1周目を11番手と出遅れた小池田猛は、2周目に転倒し一時は16番手まで順位を下げてしまう。しかしそこから12番手まで順位を挽回すると、最終ラップには3人をかわして8位でゴール。大河原は中盤まで10番手でレースを展開するが、転倒等があり最後は13位となった。釘村太一はけがのため今大会は欠場した。

第2ヒート、ホールショットは、第1ヒートに続き小島。これに増田一将（ホンダ）、加賀真一（スズキ）が続くが、1周目の序盤には小島、熱田、増田、成田に順位が変わる。早めに順位を上げたい成田だったが、1周目後半に自身のミスによりエンジンストップ。これで順位を下げ7番手で1周目を終える。

しかし、成田はここから再び加速して3周目には4番手に浮上し、トップ3の追撃を開始するが、小島から成田までのタイムは変わらず追い上げにつながらない。そして6周目、成田の前方を走る増田が転倒し3番手に上がるがトップ二人との差を縮めることはできず、3位でフィニッシュとなった。トップ争いは熱田が6周目に小島をパスしてトップに上がると、その後は安定した走りで小島を寄せ付けず優勝を果した。

スタートで出遅れた小池田と大河原は序盤で順位を挽回し中盤には、大河原9番手、小池田10番手としてレースを展開。そのなかで小池田はさまざまなラインを使い9周目に大河原をパス、さらに前方のライダーもかわして8位、大河原は10位でフィニッシュとなった。1周目を10番手とした出原は、2周目に転倒しマシントラブルでリタイヤとなった。

COMMENT

成田亮選手談（2位/3位：総合3位）

「第1ヒートは序盤から小島選手とバトルとなった。スピードが互いに同じくらいで、またラインも少なく前にでることができなかった。そのバトルでゴーグルが使えなくなり、はずして走行していたのだが、泥から目を守るため、下を向いて走っていたところ、自分の走行ラインに転倒車があることに気付かず、そこに突っ込んでしまった。その後も全力で追い上げたのだが、飛んでくる泥でペースを上げることができず小島選手に逃げられてしまった。第2ヒートは自分のミスでエンストしてしまい後退。その後4番手までは挽回できたが、トップ三人とペースがほとんど変わらず追い上げができなかった。今回は得意なコースだったのでパーフェクトウィンを狙っていたが、こんな結果に終わってしまい残念だし、熱田選手にポイント詰められてしまったことも悔やまれる。残りの3戦はすべてが山場と考え、全部のレースで優勝を狙っていく」

小池田猛選手談（8位/8位：総合8位）

「第1ヒートでは好スタートを切ることができたが、2コーナーで自分の前にいたライダーが転倒し、その影響で後退してしまった。その後も転倒があり順位を上げることができなかったが、ラストラップでは三人のライダーが目の前にいて、なんとか前にでてやろうとアタック。増田選手をかわしたのをきっかけにリズムを掴みそのまま二人をかわして8位に食い込むことができた。第2ヒートは大河原選手を抜くことができず、後半はいろいろなラインを試して前にでて最後は8位となった。復帰2戦目となった今回は、走りの内容もまずまずだったし、ラインを変えながら順位を上げるなど、4ストロークマシンでのライディングも確実に良くなっていることを実感できた。しかし、トップグループのライダーと比較すると、まだまだ低いレベルであることを感じている。インターバルの間に、なんとかその差を縮められるようしっかり走り込みをしようと思う」

出原忍選手談（5位/リタイヤ：総合12位）

「今シーズンはまだ表彰台に立っていないので、昨年表彰台に立っているこの大会で何とかしてやろうと、非常に気合いが入っていた。第1ヒートはスタートが決まり、序盤は2番手と、本当にチャンスだったが、非常に難しいコンディションでラインが読めず、順位を落としてしまった。後半ラインが分かり始めた時には6番手で、一つ順位を上げるのが精一杯で5位。第2ヒートは2周目に転倒、その際にマシンが破損してリタイヤとなった。次回は相性の良い名阪なので、この夏の期間にしっかり乗り込んで今度こそ表彰台を獲得したい」

大河原功次選手談（13位/10位：総合10位）

「今シーズンはなかなかスタートが決まらないが、今回も両ヒートともにスタートは良くなかった。ただトップにいるライダーたちは、スタートで遅れてもラインを変えながらなんとかして前に出ていく力がある。今の自分にはその力がなく、まだまだ足りないものがあることを痛感させられた。ここ数戦は昨年のように、後半順位を落とすレースはなく、最後までポジションをキープできるようにはなっている。しかしそろそろキープするだけではなく、前に上がっていく走りをしなければならない。これはトレーニングを積んで自分を高めるしかない。夏の間にもう一度自分の走りを見つめなおし、残り3戦に挑みたい」

光安鉄美, ジュビロ・レーシング・チーム監督談

「成田選手にとって藤沢での2／3位という成績は満足できるものでないだろうし、ファンとしても物足りなさを感じていることだろう。ミスが出てしまっていることは問題だが、両ヒートともにミスがありながら、この成績を残せていることを考えれば決して悪いものではなし、良く踏ん張ったと思う。小池田選手はスタートこそ遅れたが、第1ヒートの最終ラップではチャンピオン経験者らしい気持ちの強さで三人をかわす走りを見せてくれた。まだ完全とはいえないが、確実に調子を取り戻している。出原選手もコンスタントに入賞圏内でフィニッシュできるようになったが、やはりトップの四人にはまだ及ばない。ここでもうワンステップの向上を期待したい」