スーパーバイク世界選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどSBKクラスに関する情報をお届けします。
Rd.09 9月20-22日 イタリア
RACE DATA
■大会名称:スーパーバイク・スーパースポーツ世界選手権 第9戦イタリア
■開催地:イタリア/クレモナ(3.768 km)
WorldSBK レース1
■開催日:2024年9月21日(土)
■周回数:17周 (67,141 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:24度
■路面温度:34度
■PP:N・ブレガ(Ducati/1分27秒953)
■FL:A・イアンノーネ(Ducati/1分29秒397)
WorldSBK スーパーポールレース
■開催日:2024年9月22日(日)
■周回数:10周(37,680 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:20度
■路面温度:24度
■PP:N・ブレガ(Ducati/1分27秒953)
■FL:D・ペトルッチ(Ducati/1分28秒289)
WorldSBK レース2
■開催日:2024年9月22日(日)
■周回数:23周 (86,664 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:28度
■路面温度:35度
■PP:N・ブレガ(Ducati/1分27秒953)
■FL:N・ブレガ(Ducati/1分29秒438)
WorldSSP レース1
■開催日:2024年9月21日(土)
■周回数:20周 (75,360 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:25度
■路面温度:35度
■PP:A・ウエルタス(Ducati/1分31秒478)
■FL:A・ウエルタス(Ducati/1分32秒213)
WorldSSP レース2
■開催日:2024年9月22日(日)
■周回数:20周 (75,360 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:28度
■路面温度:35度
■PP:A・ウエルタス(Ducati/1分31秒478)
■FL:Y・モンテッラ(Ducati/1分32秒117)
REPORT
WorldSBK 9月21日(土)
Pata Prometeon Yamaha WorldSBK Official Team
ロカテッリ、レース1で12位
Pata Prometeon Yamaha WorldSBK Official TeamのA・ロカテッリはスーパーポールで今季最高の5位と健闘し、レース1をグリッド2列目からスタートしたが、チャンスを生かすことができず12位に留まった。チームメイトのJ・レイは、第8戦フランス大会で親指を負傷し、その影響で今大会を欠場している。
ロカテッリは気迫あふれるスタートダッシュでポジションを上げ、オープニングラップを3番手で終了。しかし周回を重ねるにつれてリア・グリップの低下に悩まされるようになり、その後は徐々に後退した。難しい戦いを強いられながらも懸命にプッシュを続けていたが、終盤、第11コーナー進入でわずかなミスによりコースアウト。すぐさま復帰したものの、直後にレッドフラッグが提示されて中断となったため挽回はかなわなかった。
レイの代役として出場したのは、1週間前のボルドール24時間耐久レースで3位を獲得したYamalube YART Yamaha EWC Official TeamのN・カネパ。スーパーポール19位で後方からのスタートとなったが、S・レディング(BMW)とバトルするなど健闘し、一時はポイント圏内の14番手まで浮上した。しかし終盤で小さなミスがあり転倒、そのままリタイアとなった。
GYTR GRT Yamaha WorldSBK Team
ガードナー、10位まで挽回
GYTR GRT Yamaha WorldSBK TeamのR・ガードナーがレース1で10位獲得と健闘。チームメイトのD・エガターは怪我のため欠場し、代わって出場したM・フリッツが17位で完走した。
ふたりは午前中に行われたフリープラクティス第3セッションを有効に活用。準備を整えて臨んだスーパーポールでは、それぞれ1分29秒310の16番手と1分30秒195の20番手につけた。
ガードナーはフリープラクティス第2セッションでスロー走行によるペナルティを受け、レース1のグリッドは18番に後退。ここから挽回を目指して好スタートを切り、その後もコンスタントにハイペースを維持して順調に走行を続けていた。残り6ラップでは9番手にあと一歩と迫ったが、赤旗中断となり、それ以上のポジションアップはならなかった。
一方のフリッツは、ボルドール24時間でカネパとともに3位を獲得したYART Yamahaのライダーで、短時間でマシンや環境に適応し、少しずつ自信を深めつつあるところ。レース中にもラップタイムを更新しながら最後まで走り切り、17番手でチェッカーを受けた。
WorldSBK 9月22日(日)
Pata Prometeon Yamaha WorldSBK Official Team
ロカテッリ9位 カネパは19位完走
Pata Prometeon Yamaha WorldSBK Official TeamのA・ロカテッリはスーパーポール・レースで7位、レース2で9位となり、第9戦イタリア大会は本来のポテンシャルを出し切れないまま終了した。
ウイーク中、最も暑いコンディションで行われたレース2では、チームも本人も上位獲得の可能性を感じていた。しかし14ラップ目、前方で転倒したA・イアンノーネ(ドゥカティ)がコースに復帰する際に接触。ロカテッリはマシンにダメージを受け、このあとは思うようにペースが上がらないまま9位でゴールした。
J・レイに代わり出場したN・カネパは、ゼッケン59をつけたYamaha R1を駆り、クルーチーフのA・ピットをはじめPata Prometeon Yamahaやチームのオフィシャル・パートナー「Crescent(クレセント)」とともにプロフェッショナル・ライダーとして最後の一日を満喫した。スーパーポール・レース、レース2ともに完走し、20年間にわたる輝かしいキャリアを締めくくる感動のチェッカーを受けた。カネパはYamalube YARTYamaha EWC Official TeamからFIM世界耐久選手権に出場し、2度のタイトルを獲得している。
チームはこのあとスペインへ移動し、1週間後の9月27日~29日、第10戦アラゴンGPに出場する。J・レイの出場については、ウイークのスタート前に最新の状況を確認して発表する。
GYTR GRT Yamaha WorldSBK Team
フリッツ18位、ガードナーはスーパーポール・レース、レース2ともにリタイア
GYTR GRT Yamaha WorldSBK TeamのR・ガードナーとM・フリッツは第9戦の最終日、両レースで苦戦を強いられた。フリッツはレース2で18位を獲得したが、ガードナーはスーパーポール・レース、レース2ともにリタイアに終わった。
午前中のウォームアップ・セッションでは手応えをつかんでいたふたり。自信を持ってスーパーポール・レースに臨み、ともに好スタートを決めた。ガードナーはその後、順位を上げていたが、残り4ラップでタイヤにトラブルが発生してリタイア。一方のフリッツは2ラップ目に転倒して戦列を離れた。
レース2はガードナーが15番グリッド、フリッツが19番グリッドからスタート。ガードナーは終盤までトップ10争いを展開していたが、残り3ラップで転倒リタイア。フリッツは安定したペースで走り切り、18位でチェッカーを受けた。
WorldSSP 9月21日(土)
Pata Yamaha Ten Kate Racing WorldSSP Supported Team
マンジが2位獲得
Pata Yamaha Ten Kate Racing WorldSSP Supported TeamのS・マンジが母国イタリアのレースで2位表彰台に上り、ファンを喜ばせた。
スーパーポールで2位を獲得し、フロントローからスタートしたマンジは、トップグループの接近戦が少しずつ落ち着くなかで順調に3番手の位置を確保。タイトル争いのライバルのひとり、Y・モンテッラ(ドゥカティ)の後ろについてチャンスを窺いながら、オーバーテイクが難しいクレモナ・サーキットで少しでも精度を上げるため慎重に時間を費やした。そして残り3ラップでついに勝負を仕掛けてパスに成功。そのまま最後まで抑えきり、ポイントリーダーのA・ウエルタス(ドゥカティ)に続く2位でチェッカーを受けた。この時点で、ウエルタスとの差は55ポイントとなった。
その他のヤマハ勢では、2週間前のフランス大会で負傷したGMT94 Yamaha WorldSSP Supported TeamのL・マヒアスが、痛みと闘いながら6位獲得と健闘。Evan Bros Yamaha WorldSSP Supported TeamのV・デービスとマンジのチームメイトのG・ファン・ストラーレンは転倒リタイアとなっている。
WorldSSP 9月22日(日)
Pata Yamaha Ten Kate Racing WorldSSP Supported Team
ホーム・ヒーロー、マンジが優勝!
Pata Yamaha Ten Kate Racing WorldSSP Supported TeamのS・マンジが、レース2で優勝を果たした。
レース1では予想以上の気温の高さに苦戦したため、チームは、それ以上に暑くなる午後に備えて調整を施していた。この判断が功を奏し、マンジはこの日もドゥカティ勢とのバトルを有利に展開。前半はY・モンテッラ(ドゥカティ)がリードしていたが、残り9ラップで転倒リタイアとなり、マンジが代わってトップに立った。マンジはその後もペースを緩めず、2番手で続くA・ウエルタス(ドゥカティ)との差を約2.7秒まで広げて優勝を飾った。
この結果、シリーズポイントではランキング3位をキープし、2位のモンテッラに7ポイント差、トップのウエルタスに50ポイント差と迫っている。今シーズンはあと3大会、6レースが残されている。
一方、レース1で活躍したL・マヒアスがリタイアとなり、V・デービスがヤマハ勢2番手の5位を獲得した。またG・ファン・ストラーレンが15位でポイントを加算している。
WSBK RESULT Race.1
WSBK RESULT Superpole Race
WSBK RESULT Race.2
WSSP RESULT Race.1
WSSP RESULT Race.2
RIDERS RANKING WSBK
RIDERS RANKING WSSP
CONSTRUCTORS RANKING WSBK
CONSTRUCTORS RANKING WSSP
COMMENT
WorldSBK 9月21日(土)
Pata Prometeon Yamaha WorldSBK Official Team
A・ロカテッリ選手(12位)
「結局は"失敗"に終わってしまいました。このような後方の順位で終わるとは思っていませんでした。第11コーナー進入のブレーキングでミスをしてしまったのです。そのあとも限界ぎりぎりまでプッシュしたのですが、挽回することはできませんでした。あとは明日のレース2に集中し、もっと上位に近づけるよう頑張ります。とくに第2セクターから第3セクターにかけて遅れがちなので、その部分の改善が必要です。何ができるか検討し、解決策を見出し、明日のスーパーポール・レースとレース2で順位向上を目指していきます。必ずできると確信していますが、現状、ライバルたちより速く走れているのは第1セクターと最終セクターだけで、その他の部分では苦戦しています。スーパーポールは好調で、結果にも満足し、レース1に向けてすべてがうまく運んでいたのですが、路面コンディションとタイヤのフィーリングに十分な手応えを感じることができなかったことが原因だと思います。改善を目指し、明日またトライします」
N・カネパ選手(DNF)
「転倒してしまい、チームに申し訳ない気持ちでいっぱいです。このような形で終わりたくはありませんでした。あの瞬間まではレースをエンジョイし、スコット・レッディングとバトルし、久しぶりのWorldSBKとしては十分に良いポジションにつけていました。ポイント獲得を目指して走っていたのですが、あと数ラップというところで転倒してしまい残念です。未だにマシンの正しい乗り方やフィーリング向上の方法を探っている段階ではありますが、今回の私の仕事がジョナサン(レイ)やロカ(ロカテッリ)、その他のヤマハ勢の助けになればうれしいです。明日は何ができるか楽しみですし、もう一歩、前進してポイント獲得を目指したいと思っています」
GYTR GRT Yamaha WorldSBK Team
R・ガードナー選手(10位)
「タフな一日でした。なかでもスーパーポールはこれまでで最も厳しい展開になりました。それでもレース1では少し調子を取り戻し、ポイントを持ち帰ることができたのは良かったと思います。一旦はリナルディ(Ducati)の前に出ることができたのですが、そのセクターを走り終える前にレッドフラッグが提示され、10位という結果になりました。このあとはデータをチェックし、明日に向けて改善を目指します」
M・フリッツ選手(17位)
「楽なレースではありませんでしたが、エンジョイすることができました。ここまで毎セッションで着実に自信をつけてきていますが、まだ完全には乗りこなせておらず、フィーリングも十分ではないので、もっと適応していく必要があります。第2セクターと第3セクターで大幅に遅れてしまう一方、第1セクターと第4セクターは順調です。他のヤマハ勢のデータと比較し、改善できる箇所を探していきます」
WorldSBK 9月22日(日)
Pata Prometeon Yamaha WorldSBK Official Team
A・ロカテッリ選手(7位/9位)
「苦戦の原因はいくつかあります。予選ではポテンシャルを発揮できましたし、それほど離されてもいなかったのですが、最終成績は奮わず、ホームレースとして期待していた位置には届きませんでした。5月にテストを行ったあとは調子が上がっていたので、今回は大きなチャンスだったのですが、ウイークを通してリアとフロントのグリップに悩まされ、最後まで問題を解決できずに終わってしまいました。それでも、私たちは前を向かなければなりません。自分たちを信じ、全力でプッシュしていかなければなりません。今日もすべてを出し切ったので、私自身はとても満足しています。1ラップ1ラップ、ベストを尽くしたことが最も重要だと思っています。チームのみんなが常に改善を目指し、私のために最高のマシンを作ろうと頑張ってくれています。しかしそれは決して簡単なことではありません。だからこそ私は常に前向きに、次のアラゴンもポジティブな気持ちで臨みたいと思っています」
N・カネパ選手(18位/19位)
「午前中は、とても楽しく乗れました!スーパーポール・レースの前に大幅な変更を行ったのですが、それが功を奏して順位が上がり、他のヤマハ勢とバトルするなど、R1でのレースを思う存分エンジョイすることができました。レース2は、それよりは少し苦戦しましたが、私のキャリア最後のレースとして十分に満足できるものでした。チェッカーフラッグを見たときも、ピットに戻ってみんなの顔を見たときもうれしかったですし、今回、ロカ(ロカテッリ)とガレージを共有できことも特別な思い出になりました。このような機会を与えてくれたヤマハに感謝しています。そろそろ未来のことを考える時期です。ヤマハ、クレセント、チームスタッフ、そしてチームメイトたち、支えてくださった皆さんに心からお礼を申し上げます。そしてジョナサン(レイ)の早い復帰を祈っています」
P・デニング(チーム代表)
「アンドレア(ロカテッリ)は今日走った33ラップすべてで、彼にできる最大限を尽くしました。しかし残念ながら、私たちのポテンシャルが及ばず、表彰台に近づくことはできませんでした。ウイークを通してリア・グリップに悩まされた上、今日は、本来はヤマハR1の強みである旋回性にも苦戦しました。またイアンノーネの無計画なコース復帰がなければ、もう少し順位を上げてトップ6を目指せるだけの力があったのです。ところがあのアクシデントでマシンにダメージを受け、明らかにその後の展開に影響してしまいました。
今週はJR(ジョナサン・レイ)が欠場しました。彼の姿がピットになく、そのパフォーマンスを見ることもできず、チームとしては寂しい気持ちでいっぱいです。そのなかでもニコ(ニッコロ・カネパ)が私たちとともにキャリア最後のレースに出場してくれたことはうれしく思っています。とくにスーパーポール・レースの走りは素晴らしく、WorldSBKの手強いレギュラーライダーにも競り勝つなど、大いにエンジョイしているように見えました。非常に見事な、そしてバラエティに富んだレーシング・キャリアを祝福するとともに、今後も彼の新しい役割において緊密に協力し合えることを楽しみにしています」
GYTR GRT Yamaha WorldSBK Team
R・ガードナー選手(DNF/DNF)
「今日のことは早く忘れてしまいたいです。スーパーポール・レースはタイヤの問題でリタイアとなり、それ以上はどうすることもできませんでした。レース2も同様に挽回を目指し、ポイント獲得を狙っていたのですが、フィーリングがあまり良くなく、全力を尽くしても届きませんでした。そして最後は転倒してしまいました。でもここで立ち止まらず、来週のアラゴンに向けて前進し続け、次こそはもっといいレースができるよう頑張ります」
M・フリッツ選手(DNF/18位)
「チャレンジングな日曜日となりました。スーパーポール・レースでは序盤で転倒してしまい、完走することができず、ヤマハやチームのみんなに申し訳なく思っています。彼らがそのあとも素晴らしい仕事をしてくれたので、午後のレース2に出場することができました。心から感謝しています。そしてレース2はまずまずのスピードで最後まで走り切り、データを持ち帰ることができたのは良かったと思っています」
WorldSSP 9月21日(土)
Pata Yamaha Ten Kate Racing WorldSSP Supported Team
S・マンジ選手(2位)
「結果はとても良かったと思います。というのも、今日は昨日までと比べて大幅に気温が高く、思っていた以上に苦しい展開だったのです。午前中はマシンの調子が良かったのですが、レース1の序盤からフロントにチャタリングが出て、なかなかペースを上げられませんでした。それでも周回を重ねるごとに少しずつフィーリングが良くなってきて、ヤーリ(モンテッラ)に近づくことができました。背後まで追いついたあとも何周も様子を見て、オーバーテイクに相応しいポイントを探し続けました。そして最終的に心を決め、パスを成功させ、2位でチェッカーを受けることができたのです。優勝を目指すことはできませんでしたが、今日の2位は十分に素晴らしい結果です」
WorldSSP 9月22日(日)
Pata Yamaha Ten Kate Racing WorldSSP Supported Team
S・マンジ選手(優勝)
「今週はずっと調子が良く、優勝を狙えると思っていたので、昨日の2位は少し残念でした。気温が上がったことで問題が発生してしまったので、今日はウォームアップ・セッションのなかで改善を試み、それがうまくいきました。スタート直後はタイトな戦いでしたが、何とかついて行き、ヤーリとのバトルに向けて作戦を考えていました。彼が転倒してしまったので、そのあとは自分のペースで走ることができたので良かったと思います。第2戦バルセロナ大会以来の優勝を、母国ファンの前で成し遂げることができ、とても感動しています」