スーパーバイク世界選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどSBKクラスに関する情報をお届けします。
Rd.05 6月2-4日 エミリア・ロマーニャ
RACE DATA
■大会名称:スーパーバイク・スーパースポーツ世界選手権 第5戦エミリア・ロマーニャ
■開催地:イタリア/ミサノ(4.226 km)
WorldSBK レース1
■開催日:2023年6月3日(土)
■周回数: 20周 (84,520 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:24度
■路面温度:45度
■PP:A・バウティスタ(Ducati/1分33秒017)
■FL:A・バウティスタ(Ducati/1分33秒901)
WorldSBK スーパーポールレース
■開催日:2023年6月4日(日)
■周回数:7周 (29.582km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:23度
■路面温度:37度
■PP:A・バウティスタ(Ducati/1分33秒017)
■FL:T・ラズガットリオグル(Yamaha/1分33秒174)
WorldSBK レース2
■開催日:2023年6月4日(日)
■周回数: 21周 (88.746km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:24度
■路面温度:46度
■PP:A・バウティスタ(Ducati/1分33秒017)
■FL:A・バウティスタ(1分33秒936)
WorldSSP レース1
■開催日:2023年6月3日(土)
■周回数:18周 (76,068 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:25度
■路面温度:45度
■PP:N・ブレガ(Ducati/1分36秒495)
■FL:F・カリカスロ(Ducati/1分37秒933)
WorldSSP レース2
■開催日:2023年6月4日(日)
■周回数:18周 (76,068 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:23度
■路面温度:38度
■PP:N・ブレガ(Ducati/1分36秒495)
■FL:F・カリカスロ(Ducati/1分37秒470)
REPORT
WorldSBK 6月3日(土)
ラズガットリオグル、ミサノのレース1で表彰台獲得
Pata Yamaha Prometeon WorldSBK Official TeamのT・ラズガットリオグルが、ミサノ・ワールドサーキット・マルコ・シモンチェリで開催された第5戦のレース1で今季12回目となる表彰台を獲得した。
ラズガットリオグルはスーパーポールの1回目の走行で早々にコースレコードを更新する好調ぶり。2回目でさらに短縮を目指していたが、ベストラップ走行中の終盤で赤旗が提示され、セッションは1分45秒を残して終了となりチャンスを逃した。
レース1では路面温度が上がり、多くのライダーがグリップに苦戦する難しい展開。そのなかでラズガットリオグルはチャンピオンシップのライバル、A・バウティスタ、M・ルーベン・リナルディ(ともにドゥカティ)を懸命に追って行ったが、バトルに加わることはできずに3位でゴールした。
ラズガットリオグルのチームメイトのA・ロカテッリは、グリッド11番手から挽回を目指す。しかし終始、リアグリップ不足に悩まされてフィーリングがつかめず、12位に下げてチェッカーを受けている。
エガターとガードナー、好バトルでポイント獲得
GYTR GRT Yamaha WorldSBK TeamのD・エガターとR・ガードナーは、レース1でそれぞれ6位と9位を獲得してポイントを手中にした。
ふたりは午前中に行われたフリープラクティス第3セッションでペースを上げ、ガードナーが1分34秒069を記録して4番手、エガターは1分34秒369で11番手となっていた。その後のスーパーポールも自信を持って臨んでいたが、ベストラップを狙った終盤で赤旗が提示され、1分45秒を残して終了となってしまったため、エガターが7番手(1分33秒821)、ガードナーが9番手(1分33秒997)で終えてグリッド3列目に並ぶこととなった。
レース1では、ともに好スタートを切ってポジションをキープ。エガターは最後までJ・レイ(カワサキ)とバトルしたあと僅差の6位でゴール。ガードナーも終始、好バトルを展開し、終盤もハイペースを維持して9位でチェッカーを受けた。
WorldSBK 6月4日(日)
ラズガットリオグルは両レース2位
Pata Yamaha Prometeon WorldSBKOfficial TeamのT・ラズガットリオグルは、スーパーポール・レース、レース2ともに2位を獲得した。
午前中に行われたスーパーポール・レースは、チャンピオンシップのライバル、A・バウティスタ(ドゥカティ)との一騎打ちのチャンスを前に、残り3ラップで赤旗中断となり、ラズガットリオグルにとっては不運な結果となった。それまではYZF-R1の強みを生かし、ハード・ブレーキングと高いコーナー・スピードを駆使して各コーナーでバウティスタをプッシュ。第4コーナーから第5コーナーでイン側のラインをとってトップに立ち、その後、一旦は退いたものの、5ラップ目にはレース中のラップレコードを更新する1分33秒174をたたき出して再びトップを奪い返していた。ところが7ラップ目、もう一度、前へ出たバウティスタに対応しようとした矢先、赤旗が提示されてレースは中断。そのまま終了となり、ラズガットリオグルは2位に留まった。
午後からのレース2は、前日のレース1と同様、暑さとの闘い。ハイペースとタイヤ温存のバランスが成功への鍵となった。ラズガットリオグルはホールショットを奪って真っ先に第1コーナーへ飛び込んだが、すぐさまバウティスタとM・ルーベン・リナルディ(ドゥカティ)に先行されてしまう。その後しばらくはリナルディの背後につけてパスのチャンスを窺い、残り6ラップになって、ついに勝負を仕掛けて2番手に浮上した。リナルディはそのあとミスをおかして転倒。ラズガットリオグルは最後までポジションを守り切ってチェッカーを受けた。
一方、チームメイトのA・ロカテッリはスーパーポール・レースで7位、レース2で6位に留まった。レース2では終始、D・ペトルッチ(ドゥカティ)の激しいアタックを受け続けたが、これを抑えきって6位でゴールし、チャンピオンシップのランキング3位をキープした。ラズガットリオグルはランキング2位を維持している。
ガードナーとエガターに不運
GYTY GRT Yamaha WorldSBK TeamのR・ガードナーとD・エガターは、レース2でそれぞれ10位と11位。
先立って行われたスーパーポール・レースでは、オープニングラップの第2コーナーでエガターが他車に接触されて転倒し、これにガードナーも巻き込まれて早々にチャンスを失ってしまった。エガターは再スタートしたものの21位に留まり、ガードナーはメディカルセンターへ運ばれてレースに復帰することはできなかった。
ガードナーはレース2の出場を許可されたものの、足首と背中に違和感を抱えたままスタート。それでも最後まで走り切り、10位まで上げてチェッカー。一方のエガターも11位と健闘し、ともにポイントを獲得している。
WorldSSP 6月3日(土)
マンジが貴重な2位獲得
Ten Kate Yamaha WorldSSP Supported TeamのS・マンジが好調を維持し、2位を獲得してタイトル争いを続けている。
午前中に行われたスーパーポールは、ヤマハ勢にとって厳しい展開。ヤマハ勢トップはG・ファン・スターレン(EAB Racing Team)の5番手で、次にマンジのチームメイトのJ・ナバーロの9番手。マンジは11番手に留まっていた。
午後になって青空が広がると状況は一転。マンジは地元ファンの声援を味方につけ、持ち前の精神力を発揮して前方の集団を次々に抜いていった。そして最終的には2位まで浮上してチェッカーを受け、貴重な20ポイントを手中にしている。
その他のヤマハ勢ではS・コルシ(Altogo Racing Team)、ファン・スターレン、ナバーロがそれぞれ6位、7位、8位を獲得。N・スピネッリ(VFT Racing WEBIKE Yamaha)が12位、A・マントバーニ(Evan Bros Yamaha WorldSSP Supported Team)が14位でポイントを獲得している。
WorldSSP 6月4日(日)
マンジがヤマハで初優勝
Ten Kate Yamaha WorldSSP Supported TeamのS・マンジが、レース2で激しい追い上げを見せてヤマハで初となる優勝を飾った。
グリッド11番手からスタートしたマンジは、勝利だけを目指して序盤からポジション・アップ。6ラップ目には早くも2番手まで上がり、トップ争いに挑むと何度もポジションを入れ替える激しいバトルを展開した。全18ラップの最後の瞬間まで戦い続け、最終ラップの第3コーナーでトップに立つと、そのまま守り切ってチェッカー。この結果、チャンピオンシップではランキングトップとの差を36ポイントまで縮めている。
その他のヤマハ勢ではS・コルシとN・スピネッリがそれぞれ6位と8位。またT・エドワーズ(Yart-Yamaha WorldSSP Team)、M・ブッソロッティ(Axon Seven Team)、A・マントバーニ(Evan Bros Yamaha WorldSSP Supported Team)がそれぞれ12位、14位、15位に入りポイントを獲得している。
マンジのチームメイトのJ・ナバーロは6ラップ目で転倒後、再スタートして18位。G・ファン・スターレンも転倒後に再スタートして22位となっている。
WSBK RESULT Race.1
WSBK RESULT Superpole Race
WSBK RESULT Race.2
WSSP RESULT Race.1
WSSP RESULT Race.2
RIDERS RANKING WSBK
RIDERS RANKING WSSP
CONSTRUCTORS RANKING WSBK
CONSTRUCTORS RANKING WSSP
COMMENT
WorldSBK 6月3日(土)
Pata Yamaha Prometeon WorldSBK Official Team
T・ラズガットリオグル選手談(3位)
「いつも自信を持って臨んでいるので、ふつうなら、今回みたいに待ったりはしません。レース1はとくにそうです。でも今日は路面温度が違い過ぎていたのです。ドゥカティ勢は暑さに非常に強く、前を走っているライダーはアルバロ(バウティスタ)、マイケル(ルーベン・リナルディ)、ペトルッチ、バッサーニなどドゥカティばかりです。私はそのなかで100%以上を尽くし、表彰台に上ることができたのでハッピーです。明日までにセッティングをさらに改善し、また気温が少し下がることを期待して優勝を狙っていきます。昨日のフリープラクティス第2セッションのあとでマシンはすでに改善され、ペースは良くなっているので、あともう一歩の前進とグリップ向上を目指すだけです」
A・ロカテッリ選手談(12位)
「予選ではフィーリングがとても良く、ポテンシャルは高かったので、フロントロー獲得のチャンスがありました。でも今日は少し運が悪かったようです。2回目の走行中に第3セクターの高速コーナーで大量の煙が出たため、マーシャルがレッドフラッグを出したのです。それでタイム更新のチャンスを失い、グリッドは11番手に留まってしまいました。レース中はなぜかリアスライドが激しく、まったくグリップしてくれなくて苦戦しました。毎ラップ、同じタイムで走行し、それ以上はどうすることもできませんでした。プッシュも試みましたが、最初から最後までずっと同じ状態が続いていて非常に難しかったのです。何が起こったのかわかりません。優勝を目標にしていたわけではありませんが、この結果よりはずっと上を目指していたので残念です。昨日もリズムは悪くなかったので、正直なところ、今日のことはまるでドラマを見ているような気持ちです。一緒に好成績を目指して頑張っているチームにも申し訳なく思っています。明日もう一度、トライします」
P・デニング(チーム代表)談
「フリープラクティス第3セッションから予選までの間に、ふたりとも大きな前進を見せていました。とくにトプラック(ラズガットリオグル)は序盤でラップレコードを更新して暫定ポールに立っていましたが、終盤のレッドフラッグが不運でした。このときはふたりともベストラップを走行しており、揃ってフロントローを獲得する可能性もあったのですが、赤旗中断となりカウントされないまま終了となってしまいました。午後2時からのレース1では気温が完全に変わり、このコンディションのなかではライバルたちに大きなマージンがありました。トプラックはいつものように好スタートを切り、最善を尽くし、考え得る最大限の結果を獲得しました。そして明日に向けてチームとともにハードワークを続け、まずスーパーポール・レースで勝利を目指しています。
ロカ(ロカテッリ)のほうは非常に残念な結果に終わりました。彼はランキング3位につけており、決して12位のライダーではありません。しかし今日は最初から最後までリアグリップに苦しみ、リズムもフィーリングも不十分で手間取るばかりでした。マシンに問題はありませんでしたが、フィーリングがつかめずペースを上げることができなかったのです。明日は大幅な前進を目指し、チーム全員で頑張っていきます」
GYTR GRT Yamaha WorldSBK Team
D・エガター選手談(6位)
「スーパーポールでは、いいペースで走っていたときにレッドフラッグが振られてしまいアンラッキーでした。それでもグリッド7位はそれほど悪い状況ではありませんし、決勝では好スタートを切ることもできました。そのあとは最後までレイとバトルし、オーバーテイクを目指しましたが、残念ながら届きませんでした。でもそのなかでレイから多くを学び、貴重な経験を積むことができたのはとても良かったと思います。明日からさっそく役立てたいと思っています」
R・ガードナー選手談(9位)
「本来ならもう少し上のグリッドを獲得できたはずなので、スーパーポールでのレッドフラッグは残念です。決勝は好スタートを決めてそのままペースを上げ、終盤も非常にいいペースで走ることができました。これは明日につながる良い状況と考えています。残りふたつのレースは今日以上にアグレッシブに行きたいと思っています。そのためにしっかりデータを確認し、パフォーマンス向上を目指します」
WorldSBK 6月4日(日)
Pata Yamaha Prometeon WorldSBK Official Team
T・ラズガットリオグル選手談(2位/2位)
「大変なレースでした! とくにレース2はペースが速く、懸命にマイケル(ルーベン・リナルディ)について行きました。終盤になると彼のタイヤが落ち始めたので、そのままパスすることができたのですが、彼はそのあとミスをして転倒してしまいました。彼のマシンが当たった気がしたので、それについては申し訳なく思っていますが、これはレースですからね。今週は優勝を目標にしていたので満足はしていません。とくにスーパーポール・レースは勝利を目前にしていましたが、運悪くレッドフラッグが出てしまいました。でも全体的には悪くなかったと思っています。3回表彰台に上り、スーパーポール・レースをエンジョイできました。バトルするチャンスがあったのはとても良いことです。ひとりで走るなら楽しくありませんからね」
A・ロカテッリ選手談(7位/6位)
「もう少し頑張りたかったのですが、今週は残念な結果になってしまいました。でも簡単な戦いではなかったのです。とくに昨日のレース1は、原因はわかりませんが、リアタイヤのフィーリングに大きな問題がありました。そのことを考えれば、今日の6位は決してハッピーではないものの、表彰台から遠く離されたわけでもないので大きな前進だと言うことができます。前を向いていくことが重要で、今日はペトルッチに追われながらも21ラップをミスなく走り切ることができたので良かったと思っています。もしもちょっとでもミスをしていたらポジションを失っていましたからね。しかも、それと同時にチャビ・ビエルゲ(ホンダ)との差を詰めようともしていましたし、もう少し頑張れば表彰台争いもできたかもしれません。今月末にもう一度チャンスがあります。次のドニントンパークは、マシンを少し改善できればいい戦いができそうです。今回の最大の問題はブレーキング・ポイントだったので、次回はより分かりやすくなるはずなのです。いつもハードワークを続けてくれるヤマハに感謝しています」
P・デニング(チーム代表)談
「大観衆、素晴らしい雰囲気、そして最後まで雨に降られずに済んだことを考えると、今日は実際のところ、最高の一日だったのです。もしもスーパーポール・レースでレッドフラッグが出なければトプラック(ラズガットリオグル)が勝っていたかどうか、ということは言えませんが、ひとつ確かなことは、最終ラップの最終コーナーまで戦いが続いただろうということです。あの場面でアルバロ(バウティスタ)を逃すことはあり得ないからです。その意味で勝てなかったことは残念ですが、今日は全体的にパフォーマンスを向上させることができたと思っています。ロカ(ロカテッリ)のほうも、昨日は最悪の結果となりましたが、今日は7位と6位を獲得して大きく前進しました。今回はある意味で厳しい状況もありましたが、全員がよく集中しており、このことがコース上のあらゆる面に反映されていました。次のドニントンでは勝利だけを目指します」
GYTR GRT Yamaha WorldSBK Team
R・ガードナー選手談(DNF/10位)
「スーパーポール・レースで起こったことは本当に残念です。好スタートを切ることができましたし、タイヤのフィーリングも良かったので、いいグリッド・ポジションを狙えると考えていました。ところが第2コーナーを越すことができずに終わってしまったのです。転倒したので体調は万全ではありませんでしたが、レース2でベストを尽くし、ポイントを獲得できました。次のドニントンに集中していきます」
D・エガター選手談(21位/11位)
「スーパーポール・レースは残念でした。スタートはうまくいったのですが、第2コーナーで当てられて転倒してしまいました。しかも運の悪いことにレミー(ガードナー)まで巻き込んでしまったためチームにとっては本当に残念な結果になりました。レース2は後方からのスタートになり厳しい状況でしたし、アクシデントのあと少し自信を失っていました。本来のフル・ポテンシャルを出し切ることはできませんでしたが、速さを証明することはできたと思っています。次のドニントンで好成績を目指します」
WorldSSP 6月3日(土)
Ten Kate Yamaha WorldSSP Supported Team
S・マンジ選手談(2位)
「レース1は最大限までプッシュしました。最後はカリカスロが追い上げてきて差が縮まったので、2位をキープできるかどうかわかりませんでしたが、最終ラップの激しいバトルを何とか抑えきることができました。今回もまた2位に留まりましたが、いつかは初優勝を実現したいと思っています。ヤマハとともに勝ちたいので、懸命に仕事を続けます。前回のバルセロナ以来、ずっとバイクに乗らず、昨日は5ラップしか走らなかったので今朝の予選は難しい状況でした。明日も遥か後方からスタートしなければなりません。今日は挽回できたので、明日もその再現を目指します」
WorldSSP 6月4日(日)
Ten Kate Yamaha WorldSSP Supported Team
S・マンジ選手談(優勝)
「今日は朝から絶好調のスタートでした。ウォームアップのあと、しっかりベースが出来上がっており、十分に準備が整ったと確信できました。レースになると次々にパスすることができ、2番手に上がって優勝争いを目指しました。実際のところ、半分はバトルしながら半分は仕掛けるチャンスを待っていたのです。そして最終ラップで前に出て、あとはそのポジションをキープしました。ヤマハでの初優勝は素晴らしい気分です。しかも母国イタリアで実現できたのでなおさらです!」