YAMAHA RACING TEAMが集結、鈴鹿サーキットでプライベートテストを開始
鮮やかな白と赤が、鈴鹿の風を切り裂いた。ヤマハ発動機の創立70周年を記念したスペシャルカラーをまとうYZF-R1が、3人のライダーにより力強くラップを刻む。
2019年以来6年ぶりに鈴鹿8耐に参戦する「YAMAHA RACING TEAM」は、7月3日、中須賀克行選手、ジャック・ミラー選手、アンドレア・ロカテッリ選手を招集し、プライベートテストを行った(翌4日まで2日間の日程)。
午前中のセッションは、走り始めにわずかながら前夜の雨によるウエットパッチが残っていたこともあり、肩慣らしといったところ。初めて鈴鹿サーキットを走るロカテッリ選手を中須賀選手が引っ張り、走行ラインをレクチャーするシーンも見られた。
ファクトリー体制での鈴鹿8耐参戦は久々となるが、ピットクルーは全日本ロードレースで活動しているメンバーを中心とした精鋭たち。落ち着いた雰囲気で順調にプログラムをこなす。
走行を終えピットに戻ってきたミラー選手は、笑顔で「YZF-R1はパーフェクト」とサムアップして見せた後、さらなるアップデートを目指してさっそく細かな調整に入った。
YZF-R1の挙動について語り合いながら、コミュニケーションを深めていく中須賀克行選手、ロカテッリ選手、そしてミラー選手。ピット作業のシミュレーションをして午前中のセッションを終えた。
小刻みにピットインを繰り返しながらセットアップを煮詰めていく、ミラー選手とロカテッリ選手。周回を重ねるにつれてタイムを短縮し、好調さを見せた。
セッションの最後に再びピット作業のシミュレーションを行い、テスト初日を終了した。明日の2日目はロングランテストなどを行いながら、さらなるレベルアップを図る。
#21 YAMAHA RACING TEAM
ジャック・ミラー選手
「再び鈴鹿サーキットに戻って来られてすごくうれしいよ! YZF-R1走らせるのは最高に楽しいけど、マシンもタイヤも僕が普段走らせているMotoGPとはまったく別だからね。焦らずに少しずつペースを上げているところだ。YZF-R1はとても乗りやすく、理解しやすいバイクでもある。楽しみながらさらに努力して、前進していくつもりだよ。あえて今日の問題点をあげるとしたら、リアブレーキペダルのポジションかな。意外かもしれないけど僕の足は中須賀さんより小さくて、ペダルの位置を僕に合わせてもらったんだ。明日はロングランをはじめ、さらにいろいろなことにトライするよ」
アンドレア・ロカテッリ選手
「僕にとってはすべてがスペシャルだよ! 世界耐久選手権に参戦するのは初めてだし、ヤマハ70周年の記念すべき年に鈴鹿8耐に参戦できるのもスペシャルだし、YZF-R1のカラーリングもスペシャル。鈴鹿サーキットを走れることも含めて、すべてが素晴らしい経験だ。午前中のセッション序盤には中須賀さんの後ろを走ったけど、最高の学びになった。彼は誰よりも鈴鹿サーキットを理解しているライダーだからね。マシンのフィーリングもどんどん良くなってきたし、楽しくて仕方ないんだ。明日も楽しみだよ。
吉川和多留監督
「初めてジャックとロカが合流し、より実戦を見越したテストが進められました。1台のマシンを3人で走らせるのが耐久レース。ポジションやセットアップなど、お互いに調整しなければならない部分もあります。しかし3人ともスーパースプリントライダーでありながら、それぞれをリスペクトし合い、よりよい次元を目指す姿が見られ、"これはバランスが取れた強いチームになりそうだ"と期待しています。チームスタッフ間のコミュニケーションもしっかり取れて、雰囲気も非常に良好です。そんな中で中須賀選手の転倒などがありましたが、大事には至っていません。こういった出来事への対応も含めて、チームとしてさらに高みを目指していきます」