ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.10 7月26日 イギリス
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第10戦イギリスGP
■開催日:2009年7月24日(金)フリー走行1
■開催地:イギリス/ドニントンパーク(4.023km)
■コースコンディション:ウエット
■気温:16度 ■路面温度:20度
REPORT
ロッシ、フリー走行3番手発進!
今シーズンでMotoGP開催が最後となるドニントンパーク。第10戦イギリスGPのフリープラクティス初日は激しい雨に見舞われたが、時折、太陽も顔を出すなかで行われた。フィアット・ヤマハ・チームのV・ロッシとJ・ロレンソはウエット・コンディションでトップを分け合っていたが、終盤になって路面が乾いたあとは少し順位を下げ、最終的にはそれぞれ3位と5位でセッションを終えた。
朝から降り続けていた雨は、セッション開始の直前からやや小降りになってきたが、路面は依然としてウエット。気温も比較的低かったため、セッション中に路面が乾くことはなさそうに見えた。ふたりは前回のザクセンリンク同様、ウエット・コンディションで非常に好調で、序盤はロレンソがトップをキープ。そして残り20分くらいになると今度はロッシがトップに浮上した。しかし、その後太陽が現れると少しずつラインが乾きはじめ、順位が激しく入れ替わることとなった。いくつかの箇所は最後まで濡れたままだったためウエットタイヤで走りきり、ラップタイムでは現行のラップレコードからは約10秒も遅れていた。こうした難しいコンディションのなかでも、ふたりは好調をキープ。ロッシはトップのD・ペドロサから0.290秒差の3位。ロレンソもコンマ数秒の差で5位につけた。
モンスター・ヤマハ・テック3のC・エドワーズとJ・トーズランドは、それぞれ8位と12位。ここドニントンで2度の表彰台を経験しているエドワーズは、1分39秒379でトップから0.752秒差。フロントのフィーリング改善のために荷重配分を変更して臨んでおり、今日はウエット、ドライともに納得の走りができた。
一方のトーズランドはホームGPで着実な滑り出し。序盤のフルウエット・コンディションでは少しずつスピードを上げ、後半になって路面が乾くとすぐさまポジションアップを開始した。地元ファンの声援に後押しされて、残り25分の時点で3位まで上がったトーズランドだが、終盤で路面コンディションがさらに良くなると、徐々に順位を下げてしまった。最終的には1分40秒522で12位。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'38.627 |
2 | C・ストーナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'38.872 |
3 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'38.917 |
4 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 1'39.069 |
5 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'39.105 |
6 | M・メランドリ | Hayate Racing Team | Kawasaki | 1'39.130 |
7 | M・カリオ | Pramac Racing | Ducati | 1'39.209 |
8 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'39.379 |
9 | T・エリアス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'39.755 |
10 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'40.116 |
11 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'40.419 |
12 | J・トーズランド | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'40.522 |
13 | G・タルマクシ | Scot Racing Team MotoGP | Honda | 1'40.850 |
14 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'41.467 |
15 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'41.861 |
16 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'42.210 |
17 | N・カネパ | Pramac Racing | Ducati | 1'42.696 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(フリー走行3番手/1分38秒917/26周)
「こういう変なコンディションは、いつも乗りにくくて嫌なんだけれど、でも自分たちのレベルを把握することができる利点もあるんだ。その意味では、今日は最初から最後まで順調で、自信を持って走ることができて満足している。1時間の間にコンディションが変わり、最後にはほとんど乾いてしまっていた。ウエットタイヤではとても難しかったんだけれど、それでも速さをキープできて3位に入ることができたから、ウイークの初日として良いスタートだったと思う。初日の走行を終えて、いつものようにいくつかの課題が出てきているが、ベースのセッティングはしっかりとでき上がっている。明日は完全なドライになりそうなので、そのなかで決勝の準備を整えていきたい」
D・ブリビオ、チーム監督談
「ウエット用のセッティングを試すチャンスを与えられたという意味で、今日の悪天候にも意義があったと言うことができるだろう。もしも決勝が雨になれば、今日のことが役に立つことになるのだから。コンディションはウエットから少しずつ変化し、最終的にはほぼドライになったことは、とても良いことだったんだ。明日は完全にドライになりそうなので、決勝にむけて必要なセッティング作業をすべて完璧に終えたいと思っている」
J・ロレンソ選手談(フリー走行5番手/1分39秒105/31周)
「マシンを信頼し、自信を持って乗ることができた。とくにウエットのなかでもブレーキングをかなり遅らすことができ、自分でも満足しているんだ。それから終盤になってドライ・コンディションも試すチャンスに恵まれたこともとても良かった。おかげで明日以降の課題が良く見えてきたからね。その一方で、雨のなかで長い時間走っていたから、路面が乾いてきた頃にはタイヤがすでにかなり消耗してしまっていたことは少し残念。でも今日はタイムはあまり重要じゃなくて、ウエットでうまく走れたということが今はとてもうれしいんだ。今日もたくさんのことを学ぶことができたので、これを明日以降に生かしていきたい」
D・ロマニョーリ、チーム監督談
「良いスタートをきることができた。とくに前半のウエットでは非常に好調だった。その後、急激に路面が乾いたが、すでにかなり多くのラップを走っていたのでタイヤが消耗しており、加速でいくつかの問題が出てきてしまった。日曜日はまた雨になる可能性もあるので、今日のこの問題点をしっかり解決しておかなければならない。明日はドライ用セッティングに集中したい」
C・エドワーズ選手談(フリー走行8番手/1分39秒379/25周)
「コンディションが変化して難しかったけれど、ウエットもドライも体験できたという意味では、ベスト・コンディションと言ってもいいと思うよ。ドライになってからもウエットタイヤで走行を続け、そのなかでたくさんのデータを収集できたからね。ウエットでは順調に5位まで上がることができたし、ドライになってからもコースの序盤の3つのセクションはとても良かった。でも最後のセクションはあまりうまくいかず、そこで1秒くらい離されてしまっていた。そこは最も濡れている場所なんだけれど、もっとハードにプッシュしていくこともできたはず。自分では限界まで攻めている気がしていても、実際にはあと15%くらいの余裕が残っているものだから。でも今日のようなコンディションのなかでそれをやれば、トップに立つか、あるいはグラベルに投げ出されるかどちらかだ。
今日はいろいろ勉強になった。このところ続いていたフロントの問題に関しても、大きな前進をみた。体のポジションを変えてみたら、それがどうやら成功したようだ。後方に荷重を移し、フロント荷重を減らすというロレンソのセッティングの方向性に近づけていったんだ。それがうまくいけば、ここドニントンで好成績を挙げれるだろう」
J・トーズランド選手談(フリー走行12番手/1分40秒522/32周)
「フルウエットのときにはあまり感触がつかめなかったが、路面が乾いてくると、セッティングがドライにより合っていることが分かった。だからコンディションが変化したからと言ってピットに戻る必要もなく、そのまま走り続けた。先週のドイツでもいろいろなコンディションを経験していたので、そのときのことがとても役に立った。おかげでどんどん調子が上がっていったんだけれど、走り続けていたので燃料を使ってしまい、路面コンディションがベストの状態になったときには、もう燃料がなくなってしまったんだ。
その後、どの程度の時間が残っているか分からなかったけれど、28周もすればなくなるのも当然。その間に、順位をいくつか下げてしまったのは残念だ。でもそれまでは6位以内のタイムだったので良かったと思う。僕にとっては大切なレースなので、最初のセッションから全力を注いで、いい状態で初日を走りきりたいと思っていた。そしてそれを実現できたと思う。ファンのみんなのサポートは素晴らしくて、とてもありがたい。このことが僕をやる気にさせてくれているんだ」