ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.10 7月13日 ドイツ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第10戦ドイツGP
■開催日:2008年7月12日(土)予選結果
■開催地:ドイツ/ザクセンリンク(3.671km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:20度 ■路面温度:27度
■PP:C・スト―ナー(ドゥカティ/1分21秒067)
REPORT
エドワーズがフロントロウ獲得
フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンソは、フランスGP以来のベストポジション、5位を獲得。昨日の晴天とは打って変わり、雨に見舞われた2日目。午前中のフリープラクティスはウエットコンディションとなったため、予定していた作業を進めることができなかった。午後からの公式予選はドライになったものの、決勝用タイヤでは依然としてペースが十分に上がらなかった。予選タイヤを装着してタイムアタックに臨むと好調を取り戻し、全29ラップ中の25周目でベストラップを記録した。
V・ロッシは午後からのセッションで、決勝用のマシン・セッティングを大幅に向上。しかし予選は7位、3列目に留まったため明日の決勝は楽観できない状況だ。マシンとブリヂストンの決勝用タイヤとのバランスは良く、安定してハイペースをキープ。しかしタイムアタックでは思うように伸びず、3列目に留まった。2006年には予選11位から優勝を果たしたロッシだが、このコースはパスが難しいため、その再現は簡単なことではない。ロッシは明日、1996年のデビュー以来、連続202回目のグランプリ出場を迎える。
テック3ヤマハ・チームのC・エドワーズは、予選3位と健闘。チームにとって今季6度目となるフロントロウを獲得した。午前中のフリープラクティスが雨に見舞われたため、再びの天候変化に備えて早めに予選タイヤを試したエドワーズ。1分21秒794を記録して一気にトップに躍り出た。セッション中盤までこのポジションをキープしていた。目標は依然として今季自己通算5回目となるフロントロウ獲得。そしてセッション終盤には最後の予選タイヤで1分21秒519へ短縮、このタイムで3位を確実にした。トップはC・ストーナー、2位は現在のポイントリーダー、D・ペドロサで、エドワーズはわずか0.099秒差で続いた。
チームメイトのJ・トーズランドは、セッション終盤でのセッティング変更が功を奏して、それまでのベストタイムを約1秒短縮。リア・トラクションが改善されたことで一時は9位まで上がったが、最終的には11位、4列目からのスタートとなった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'21.067 |
2 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'21.420 |
3 | C・エドワーズ | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'21.519 |
4 | A・ドビツィオーゾ | JiR Team Scot MotoGP | Honda | 1'21.656 |
5 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'21.795 |
6 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'21.821 |
7 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'21.845 |
8 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 1'21.876 |
9 | 中野真矢 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'21.920 |
10 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'21.977 |
11 | J・トーズランド | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'22.126 |
12 | T・エリアス | Alice Team | Ducati | 1'22.256 |
13 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'22.542 |
14 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'22.601 |
15 | S・ギュントーリ | Alice Team | Ducati | 1'22.938 |
16 | M・メランドリ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'23.131 |
17 | A・ウエスト | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'23.158 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(予選5位/1分21秒795/29周)
「一生懸命に頑張ってきて、最終的にこうしてグリッド2列目を獲得できたことはとてもうれしい。進歩が実感できたし、ミシュランの予選タイヤが非常に良かったんだ。でも決勝用タイヤだとまだ問題があって、これには困惑している状況。リアのグリップが不十分なのでマシンを信頼しきれず、速く走ることができないというわけだ。シーズン序盤ではあんなに速く走れたのに、なぜ今はこんなに遅くなってしまったのか、理解に苦しんでいるよ。でも僕らにできることはひとつだけ。自信を取り戻すために、とにかくノンストップで働き続けることしかないんだ。
明日は2列目の優位性を最大限に利用してトップグループについて行きたい。そしてレースをエンジョイしたいね。バレンティーノが大切なタイムアタックのときに僕の後ろにいたことは申し訳なかったと思っている。僕はピットに入るためにスローダウンしてしまって、彼が後ろにいたことに気づかなかったんだ。終わってみるまで本当に何も知らなくて、とくに彼にとっては重要なラップだったことがわかって本当に申し訳なかった」
D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「今日の予選もまた厳しい状況になった。ホルヘは依然として、上位陣と同じペースで走るまでの自信が戻ってきていないようだ。一番の問題はリアグリップの不足。実際にリアタイヤのスピンが激しくて、加速のときはとくにひどい。少しでも状況を良くするためにチームは頑張っているが、今日は午前中に雨が降ってしまったため、予定していた作業が進まなかったことも残念だ。明日のウォームアップを利用して、さらに仕事を続けていかなければならない。予選タイヤではペースが上がり2列目を獲得することができたので、明日は好スタートを切って、そのままトップについていきたい」
V・ロッシ選手談(予選7位/1分21秒845/31周)
「予選タイヤで思うようなタイムを出すことができなかった。いつもと同じように4セットの予選タイヤがあったが、そのなかでも一番良いものを履いてアタックしていると、運悪く最終コーナーにホルヘがいるのが見えたんだ。ピットに入るためにペースを落としていて、彼は僕のことは見えていないようだった。あのラップをしっかりと走りきっていれば2列目に入れたはずなので、これは不運としか言いようがない。そのあとタイヤを履き替えて最後のアタックに臨み、今度はフロントロウにも届くかと思っていたが、最後のふたつのコーナーでグリップに問題が出たためコンマ5秒もロスしてしまった。
そういうわけで結局3列目! 以前ここで大勢のライダーをパスしたことは覚えているが、今回はみんなのタイムが接近しているので、そう簡単にはいかないだろう。だからこそ、明日はスタートがとても重要になるんだ。昨日は問題があったが、今日はそれを解決してマシンのセッティングも、タイヤもとても良くなってる。公式予選ではペドロサと同等に走れていたので、序盤で大きく遅れさえしなければ表彰台を狙っていけると思う。これが僕の明日の目標」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「今日は午後からのセッションで大きく前進することができた。チームのスタッフとエンジニアとが本当によく頑張ってくれてここまでくることができたんだ。それだけに、予選の結果は残念に思っている。決勝のペースはとても良くなっているので、3列目からのスタートという現実が我々にとっては非常に厳しい。タイムアタックのラップにすべての要素を揃えることができなかったことが残念だ。明日は朝のウォームアップで最終調整を行い、あとはバレンティーノが好スタートを切り、トップについて行ってくれることを願うだけ」
C・エドワーズ選手談(予選3位/1分21秒519/26周)
「午前中は少し違うものを試してみた。でも何処かを間違えてしまったようで、全く駄目だったんだ。昨日の仕様とは大きく違わないのに。そこで、雨が降り出すかもしれないと思って早めに予選タイヤを履いてタイムアタックした。それをしなければ9位前後になる可能性もあり、後で後悔すると思ったんだ。
ここはパスが難しいコースなので、フロントロウに並んでおくことがとても重要なんだ。これまでこのコースでは良い思い出がなかったけれど、今日の結果は、全てのことがとても上手くいっていることの証明だ。マシン、タイヤ、そしてチームが揃ってこの素晴らしい1台ができ上がっている。依然としてフロントのフィーリングがもう少し欲しいところだが、これは気温の状況に依るところが大きい。今日の路面温度は26度程度だったが、耐久性を考慮して硬めのフロントタイヤを履いてうまくいった。もし、もっと暑くなったとしても、問題はなかったと思う。ミシュランの予選タイヤはとても良くて、安心してプッシュしていけるんだ。
明日の雨を予想して今日は、今年のマシンのジオメトリーをベースに、ウエット用セッティングをいろいろと試した。昨年のドニントンで使い2位を獲得したウエット・セッティングがあって、それを今年のドニントンでも使ったんだ。このところは雨のたびに、このセッティングを使っている。だから明日が雨になったとしても慌てることは何もない。このセッティングに加えて、少し新しい作業を試すだけだ。明日のウォームアップがウエットならば、そのセッティングで20分間を走りきるだろう。マシンの状態はとても良いので、決勝ではトップ争いを目指していけると思う」
J・トーズランド選手談(予選11位/1分22秒126/26周)
「予選タイヤの最後の1本を履いたとき、セッティングの変更を行った。すると状況はがらりと変化したんだ。最初の3本ではうまく走ることができなくて、1分23秒台の壁を破ることができなかった。例の荷重移動の問題があってフロントに負荷がかかってしまうため、コーナー進入でリアから伝わる感覚が不十分となり、グリップを十分に引き出すことができなかったんだ。それが最終的には解決した。リアにちょっとした変更を加えることで22秒1が出たのだから、チームのスタッフには感謝の気持ちでいっぱいだ。
それまでの僕は、何か大きな壁にぶつかっていた。変更によって荷重移動の問題が一気に解決し、1秒も速くなったのだから大変なことだ。結果は11位だが、あとコンマ5秒でフロントロウに届いてしまう状況なのだから、今は十分に満足している。長いレースだし、明日は雨が降るかもしれないので、何としても好スタートを切って10位以内をキープしたい。
ここはとても厳しいコースなので、スロットル・コントロールの知識がなければどうにもならない。スロットルをどのポイントで操作すべきかを知ることが大切。スロットルを開けていくタイミングが遅ければ旋回速度は遅くなるし、開け過ぎればはらんでしまったり、マシンのバランスが落ち着かなかったりする。スロットルのコントロールに関しては、このサーキットほどシビアなところは他にない。しかもフルバンクの時間がとても長いので大変なんだ」