全日本ロードレース選手権 JSB1000
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどJSB1000に関する情報をお届けします。
Rd.07 11月1日 鈴鹿
RACE DATA
■大会名称:2009全日本ロードレース選手権第7戦(最終戦)
■カテゴリ:JSB1000クラス
■開催日:2009年11月1日(日)
■会場:鈴鹿サーキット東コース(2.243Km)
■観客数:23,000人(2日間合計) ■天候:晴れ ■コース:ドライ
■周回数:20周×2
■PP:中須賀 克行(ヤマハ/50秒259)
■FL:Race1=伊藤 真一(ホンダ/50秒054) Race2=酒井大作(スズキ/54秒670)
REPORT
中須賀が全日本最高峰クラスで、2年連続年間チャンピオン!
YSP・レーシング・チームからYZF-R1を駆り参戦する中須賀克行が、Race1で今季2勝目を獲得。ウエットコンディションで行われたRace2では、最後までトップ争いを繰り広げながら2位でチェッカーを受け、ランキングトップの酒井大作(スズキ)を逆転し、昨年に続いて2年連続となるチャンピオンを獲得した。
2レース制で行われた今大会。スターティンググリッドは、ノックアウト方式の公式予選のQ1の結果がRace1の、そしてQ3を終えた結果がRace2のグリッドとなる。しかし、中須賀はQ1、Q2、Q3の全セッションでトップタイムを記録し、Race1、Race2ともにポールポジションからのスタートとなった。
日曜の午前中に行われたRace1、ホールショットを奪ったのは秋吉耕佑(ホンダ)だったが、すぐに中須賀は秋吉をパスしてトップに浮上。しかし、4周目の第1コーナーで伊藤にトップの座を明け渡してしまう。この後、伊藤と中須賀が後続を引き離してのマッチレースを展開するが、ともに譲らず伊藤、中須賀の順で最終ラップに突入する。
その最終ラップ、東コースでの最大のパッシングポイントとなる第1コーナーは、トップの伊藤がインを抑える。だが、中須賀はS字コーナーのアウトから仕掛けると伊藤をパスしてトップに浮上。その勢いのまま最終コーナーをクリアすると、今季2勝目をマーク。また、酒井が3位でゴールしたことから、酒井のポイントリーダーは変わらず。逆転チャンピオンのために中須賀は、Race2で4ポイント差を追いかけることになった。
Race1がドライ路面であったのに対して、Race2は完全ウエット。Race1に続いてポールポジションからスタートした中須賀は、ホールショットを奪いレースをリードする。
2周目には、中須賀、酒井、秋吉がトップグループを形成するが、3周目になると伊藤、山口辰也(ホンダ)、大崎誠之が追い付き、トップグループは6台に膨れ上がる。そして5周目の第1コーナーで、中須賀は秋吉に先行を許して2番手に後退。その後、秋吉は独走態勢を築き、中須賀は2番手グループのトップを走るが、中盤を過ぎると2番手グループがトップの秋吉に追い付き、再び集団での戦いに発展する。
このバトルの中、中須賀とともにチャンピオンに王手を賭けている4番手の酒井が、16周目の逆バンクで3番手の伊藤と接触して転倒。この段階で中須賀の連続V2チャンピオンがほぼ確定したが、優勝を狙う中須賀はトップ秋吉を追い詰め、終盤では秋吉と中須賀がマッチレースを展開。迎えた最終ラップの第2コーナーで、中須賀は秋吉をパスしてトップの座を奪い返すが、バックマーカーに中須賀が一瞬ペースを乱すと、S字コーナーで秋吉に逆転を許してしまう。これで中須賀は2位でチェッカー。しかしこの瞬間、2008年に続き連続チャンピオンを獲得した。
なお10月26日(日)、スポーツランドSUGO(宮城県)で開催された全日本モトクロス、トライアルの最高峰クラスでヤマハライダーがチャンピオンを獲得。これにより、2008年に続きヤマハライダーが全日本のロード、モトクロス、トライアルの最高峰クラスの三冠を2年連続で達成することとなった。
RESULT Race.1
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | 中須賀 克行 | YSP Racing Team | Yamaha | 16'51.023 |
2 | 伊藤 真一 | KeihinKoharaR.T. | Honda | 16'51.455 |
3 | 酒井 大作 | ヨシムラスズキwithJOMO | Suzuki | 16'57.389 |
4 | 山口 辰也 | MuSASHi RTハルクプロ | Honda | 16'59.559 |
5 | 柳川 明 | TEAM GREEN | Kawasaki | 16'59.882 |
6 | 亀谷 長純 | Honda DREAM RT 桜井ホンダ | Honda | 17'00.841 |
7 | 高橋 巧 | バーニングブラッドRT | Honda | 17'00.975 |
8 | 秋吉 耕佑 | F.C.C.TSR | Honda | 17'04.720 |
9 | 大崎 誠之 | SP忠男レーシングチーム | Yamaha | 17'06.193 |
10 | 横江 竜司 | RT森のくまさん佐藤塾 | Yamaha | 17'11.164 |
11 | 井筒 仁康 | TRICK☆STAR RACING | Kawasaki | 17'14.076 |
12 | 石川 朋之 | Z-TECHwithビジネスラリアート | Suzuki | 17'28.672 |
13 | 浜口 俊之 | Team櫻花・橋本組 | Suzuki | 17'28.768 |
14 | 西嶋 修 | BEET RACING | Kawasaki | 17'31.530 |
15 | 須貝 義行 | チームドゥカティレーシングジャパン | Ducati | 17'32.927 |
16 | 今野 由寛 | MotoMap SUPPLY | Suzuki | 17'37.050 |
17 | 吉田 光弘 | Honda緑陽会熊本レーシング | Honda | 17'37.163 |
RESULT Race.2
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | 秋吉 耕佑 | F.C.C.TSR Honda | Honda | 18'35.339 |
2 | 中須賀 克行 | YSP Racing Team | Yamaha | 18'36.463 |
3 | 山口 辰也 | MuSASHi RTハルクプロ | Honda | 18'40.286 |
4 | 大崎 誠之 | SP忠男レーシングチーム | Yamaha | 18'42.027 |
5 | 柳川 明 | TEAM GREEN | Kawasaki | 18'44.304 |
6 | 伊藤 真一 | KeihinKoharaR.T. | Honda | 18'54.025 |
7 | 亀谷 長純 | Honda DREAM RT 桜井ホンダ | Honda | 19'03.764 |
8 | 高橋 巧 | バーニングブラッドRT | Honda | 19'04.055 |
9 | 井筒 仁康 | TRICK☆STAR RACING | Kawasaki | 19'04.553 |
10 | 浜口 俊之 | Team櫻花・橋本組 | Suzuki | 19'10.226 |
11 | 横江 竜司 | RT森のくまさん佐藤塾 | Yamaha | 19'21.668 |
12 | 出口 修 | PLOT FARO パンテーラ | Suzuki | 19'23.107 |
13 | 東村 伊佐三 | RS-ITOH&ASIA | Kawasaki | 18'36.938 (-1Lap) |
14 | 石川 朋之 | Z-TECHwithビジネスラリアート | Suzuki | 18'39.972(-1Lap) |
15 | 吉田 光弘 | Honda緑陽会熊本レーシング | Honda | 19'03.317(-1Lap) |
16 | 今野 由寛 | MotoMap SUPPLY | Suzuki | 19'05.580(-1Lap) |
17 | 久保山 正朗 | Honda浜友会浜松エスカルゴ | Honda | 19'36.601(-2Laps) |
18 | 酒井 大作 | ヨシムラスズキwithJOMO | Suzuki | 13'58.533(-5Laps) |
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | 中須賀 克行 | Yamaha | 156 |
2 | 酒井 大作 | Suzuki | 141 |
3 | 山口 辰也 | Honda | 141 |
4 | 柳川 明 | Kawasaki | 141 |
5 | 大崎 誠之 | Yamaha | 133 |
6 | 亀谷 長純 | Honda | 129 |
12 | 横江 竜司 | Yamaha | 64 |
COMMENT
中須賀克行選手談(優勝/2位)
「Race1で勝てたのが自信につながったし、自分も調子がいいと確認できた。Race2はウエットになりかなりテンションが下がったが、5分間のフリー走行のフィーリングが良く、これで俄然テンションが上がった。酒井選手の転倒は、ピットボードにサインが出たので知っていたが、そこからペースを乱してしまい、今大会での最大目標である勝つことに改めて集中し、優勝を最後まで目指して走りきった。
今年は、マシンが新型のYZF-R1になったにもかかわらず、開幕戦を転倒リタイアという最悪のスタート。その後の前半戦は、マシンのポテンシャルが高いことは分かっていながら、それを引き出すこと、乗りこなすことに苦労した。しかしシリーズ後半のSUGOから得意のブレーキングで勝負ができるようになるなどリズムが良くなった。このリズムを次のツインリンクもてぎでも生かすことができ、一気に調子が上向いたので、今大会では2連勝してチャンピオンを決めようと臨んだ。昨年は2勝でチャンピオンになっているので、今年は何としてでも3勝でチャンピオンを目指していたので心残りだが、連続してチャンピオンを獲得できたのは本当にうれしい。また、ヤマハ、そしてダンロップ、チームスタッフ、サポートしていただいたすべてのみなさんに対して感謝の気持ちで一杯だ」
並河武監督談(YSP寝屋川マネージャー)
「中須賀選手は、開幕のリタイアにはじまり、ここまでいろいろがあったが、盛り上げて、盛り上げて大きな感動を与えてくれた。また、中須賀選手の持つすごい走り、諦めない気持ちなどが、今元気のない二輪業界に力をくれたように感じている。これらを会場に来た多くのファンの皆さまも共有したのではないだろうか。
レースはRace1での劇的な勝利の後に雨が降りだした。中須賀選手も苦手意識があったようだが、私は彼の積極性を信じていたし、本人も集中して自分を信じて走り抜いてくれた。酒井選手が転倒して勝敗がついてもなお、勝負し続け姿勢は本当に素晴らしかったし、それがチャンピオンにつながったのだと思う」
平忠彦チームマネージャー談
「今回、チャンピオン獲得には勝利がどうしても必要だった。だから中須賀選手を中心にチーム全員が"優勝"という二文字だけをめざして戦ってきた。その全員の気持ちで、予選のポール、Race1の優勝、Race2の2位、そしてV2を掴みとったのだと思う。そして、今回のレースはV2というだけにとどまらず、モータースポーツの"醍醐味"や"感動"をファンの皆さまに与えることができたと実感している。
チャンピオンとなった中須賀選手は、Race2でライバルの転倒を知りながら、リスクを恐れず最後まで勝利を目指して戦った。これは"速い"だけでなく、"強い"ライダーになったことを証明するものだと思う。この変化は、中須賀選手にとってさらなる成長の大きな一歩になったのではないだろうか。
最後に、今年7戦を通じ私たちに力をくださったファンの皆さまに感謝するとともに、また来年も同様に力をいただければと思う。本当にありがとうございました」