全日本モトクロス選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本モトクロス選手権 IAに関する情報をお届けします。
Rd.06 11月29日 関東
RACE DATA
■大会名称:2020全日本モトクロス選手権第6戦 関東大会
■開催日:2020年11月29日(日)
■会場:埼玉県・ウエストポイント オフロードヴィレッジ
■天候:晴れ一時曇り
■観客数:11月28日(土)1100人/11月29日(日)3,400人
■レース時間:IA1(30分+1周)
REPORT
IA1に参戦する富田と渡辺がランキング2・3位でシーズンを終了
コロナ禍で行われた2020年の全日本モトクロス選手権・最終戦。YAMAHA FACTORY RACING TEAMの#317富田俊樹が各ヒートで5/3位で総合4位としヤマハ最上位となるランキング2位を獲得。また#110渡辺祐介は2/4位で総合3位、ランキングは富田に1ポイント差の3位と2人ともにトップ3内でシーズンを終えた。IA2では、YAMALUBE RACING TEAM with レーシングチーム鷹の#01中島漱也がヒート1で9位、ヒート2で自己ベストとなる4位入賞を果たし、総合5位を獲得。レディースは#1本田七海がライバルとトップ争いを展開し2位、ランキング2位でシーズンを終えた。
IA1
ヒート1 :渡辺が2位表彰台
予選で転倒があり14番手と厳しいグリッドからのスタートとなった渡辺。ヒート1では好スタートを切るも1コーナーでアウトに膨らみ1周目を終え9番手と追い上げのレースとなった。2周目に7番手へ順位を上げると、一列、等間隔のトップグループの最後尾に位置し、トップに約8-9秒差でレースを続けた。中盤に入り、大塚豪太(ホンダ)を攻略して6番手へ。その後、小方誠(カワサキ)、山本鯨(ホンダ)が転倒して4番手に上がるとチームメイトの富田をかわし3番手。さらに2番手の能塚智寛(ホンダ)が転倒したことで2番手に順位を上げる。その後、トップの星野優位を追うが届かず2位でフィニッシュとなった。
富田は、1周目を3番手と序盤から好位置につけ、星野とトップ争いを展開するが攻略しきれず、能塚にかわされ3番手に落ち着きレースを進めた。中盤に入るとプッシュして星野をかわして2番手に上がりトップの能塚を追うが、再び星野に逆転を許し3番手に後退。そして終盤に入りペースが上がらず渡辺、小方、大塚にかわされ最後は5位でチェッカーとなった。
地元の星野がトップライダーを抑えて好スタート。1周目に山本にトップを奪われるがすぐに抜き返すと、続いては富田のアタックを退ける。さらに能塚とのバトルとなり、一時トップを奪われるが食らいつき逆転しトップを守った。後半に入ると、再び富田がトップ争いに加わり、順位を下げるがすぐにポジションを奪い返すと、能塚にアタックしトップに浮上。その後、能塚が転倒して順位を落とし単独走行になると、2番手に上がった渡辺にアタックする隙を与えることなくトップを守り、今シーズン初優勝を達成した。
なお、2位は渡辺、3位は小方、またこのレースで6位とした山本が、ヒート2の前に2020年IA1のチャンピオンを決定した。
ヒート2 :富田が3位でランキング2位を獲得
レースはヒート1でチャンピオンを決めた山本のホールショットでスタート。その後方は小島庸平(ホンダ)、渡辺、小方、富田が続く。山本が序盤に先行しこれを2番手以下が数秒差で追う展開。この中で渡辺は2番手の小島を攻略できず、小方と接触して転倒。これで2位争いは小島、小方、富田に絞られた。
この中で富田は前を行く小方とともに中盤に入って小島を攻略し3番手に浮上しトップの山本の追撃に入る。しかし後半に入り小方が抜け出す中で、富田は徐々に離されて単独走行となり、そのまま3位でフィニッシュなった。一方、転倒した渡辺は6番手まで順位を落としたものの、挽回し4番手に挽回。しかし前を行く富田との差は大きく、順位は変わらぬまま4位でフィニッシュとなった。
ランキングは、YAMAHA FACTORY RACING TEAMの2人ともに最高峰クラス初のフル参戦という状況ながらも、富田がランキング2位、1ポイント差で渡辺がランキング3位と、トップ3圏内を獲得しシーズンを終えた。
IA2
ヒート1:岸がヤマハ最上位の4位、中島は9位
IA2ヒート1、ヤマハ勢で好スタートを切ったのは#02袴田哲弥、トップの内田篤基(スズキ)に続き2番手。さらに#52岸桐我が1周目を終えて4番手、#31大倉由揮が5番手、#41浅井亮太が9番手、10番手に#40川上龍司、#01中島漱也は14番手で1周目を終える。
ホームレースとなる中島は序盤は混戦の中でのレースとなるが、その中で1台1台を確実にかわして後半に入るまでに10番手へ。その後も順位を上げて8番手でレースを進めたが、最終ラップにミスがあり一つ順位を落とし9位でフィニッシュとなった。
また、ヤマハ最上でフィニッシュしたのは岸。序盤は4番手だったが、平山力(カワサキ)をかわし3番手。さらにトップの袴田が転倒して順位を落としたことで2番手とする。その後、後方から追い上げてきて大城魁之輔(ホンダ)にかわされ3番手となったが、安定した走りでポジションをキープしたまま周回を重ねた。その後、さらに追い上げてきた横山遥希(カワサキ)にかわされ4番手となったが、その後は後方を寄せ付けずポジションを守り4位でフィニッシュした。
また、ヤマハでは浅井が6位入賞、川上が10位、ランキング3位につけつ大倉は転倒が重なり19位となった。
ヒート2:中島が有終の美を飾る自己ベストの4位入賞
国際A級ルーキーの中島が3位表彰台を争い、一歩及ばずも最終戦で自己ベストとなる4位でフィニッシュ。4大会8レースで確実な成長を遂げてシーズンを終えた。
今シーズン最後のレース、中島は好スタートから横山、内田に続く3番手で1周目を終了。その後は大木汰一(カワサキ)、大倉、大城を後方に従えレースを進めた。中盤に入ると後方の3人が徐々に接近してくるが4番手に上がった大倉に転倒があり、これで再び4番手以下が離れる。
後半に入ると、大城が4番手に浮上し中島を追撃。中島も懸命に逃げるが14周目にかわされ、食らいつくが徐々に離されてしまう。それでも4番手をキープし、シーズン最後のレースを自己最高となる4位でフィニッシュした。また1周目、スタート後の1コーナーで転倒した岸が追い上げ6位入賞、浅井が7位、大倉は転倒によりリタイアとなった。
最終ランキングは、ヤマハでは浅井が最上位のランキング3位、6位に大倉、7位に川上、8位に岸、中島は10位でシーズンを終了した。なお、横山が2年連続でIA2チャンピオンを獲得している。
レディース
本田が今季3度目の2位、ランキングは2位で終了
#1本田七海が、完璧なホールショットで小野彩葉(ホンダ)、川井麻央(ホンダ)というライバルを引き連れて1周目をトップで通過。その後は、川井が2番手に上がり本田を追うが、僅差ながらもトップを守ったまま周回を重ねていく。そして5周目にトップを奪われるが、ここから離されることなく6周目に逆転して再びトップへ。
その後も僅差の状況は続いたが、7周目に川井がバックマーカーに接触したことで本田がリードを広げたものの、そこから川井が再びプッシュ。本田は懸命に逃げるがその差は縮まり、ラスト2周となったところで逆転を許してしまう。本田は川井を追ったが最後まで詰めきれず2位でフィニッシュ。これによりランキングは、4大会で2位3回、3位1回という成績で、連覇は達成できなかったもののランキング2位でシーズンを終えた。なお、川井が自身初のチャンピオンを獲得している。
IA1 RESULT Heat.1
IA1 RESULT Heat.2
IA1 RIDERS RANKING
IA2 RESULT Heat.1
IA2 RESULT Heat.2
IA2 RIDERS RANKING
COMMENT
YAMAHA FACTORY RACING TEAM
渡辺祐介選手談(IA1:2位/4位:総合3位)
「ヒート1は散水の影響でスタート直後の1コーナーで止まれずにアウトに膨らんで後方となり、追い上げのレースになりました。抜きどころがなくなかなか順位を上げることができませんでしたが、2位まで上げられたのは30分という時間を使って順位を上げられる自分の強みだと確認できました。ヒート2は小島選手に巧みに抑えられ前に出ることができず、その後に接触転倒。パスの仕方やライン取りの幅については課題だと感じましたが、最後までしっかりと走りきれたことは評価できます。今年はIA1に初エントリーとなり450ccのマシンでレースに臨みました。体が小さい自分にとっては体づくりからスタートし、誰にも負けないくらい乗り込んでシーズンに入りました。その成果はシーズンの中で発揮できましたが実力はランキングの通りで、まだチャンピオンを獲れるレベルではなかったということで、今後はすべてにおいてパワーアップが必要だとわかったシーズンとなりました」
富田俊樹選手談(IA1:5位/3位:総合4位)
「公式練習、予選と好調で、絶対にいけるという自信を持って決勝を迎えました。ヒート1はスタートもよく3番手でしたが、やはり単独でタイムを狙うのと、レースは別物。走りのリズムを作れず集中もできずに消耗し、それが終盤に響き順位を落としてしまいました。ヒート2は序盤のバトルで山本選手に先行されましたが、それが敗因です。一方で、一緒にバトルしていた小方選手はトップに迫ってるので、力不足もあると思います。今年は、いろんなことが初めてでしたが、開幕前には手応えもありました。しかし実際にレースになってみるとマシンの特性をうまく引き出せないなど苦労は続きました。それでもチームのサポートもあり、勝てるマシン作りが進み、後半は戦えるようになってきたもののランキングは2位。まだチャンピオンになるには足りないことが明確になったので、さらに強くなれるよう努力を続けていきます」
増田智義監督談
「富田選手は公式練習、予選と非常に調子が良かったので、本人は悔やんでいますが、富田選手の頑張りにチームが頼ってしまったところがありました。土曜日のパフォーマンスを維持できるようにチームとしてもっとサポートしてあげられなかったのが敗因だと思います。渡辺選手は予選14番手でしたが、そこで決勝用のタイヤを明確化し、戦えるところまでパフォーマンスを引き上げました。ヒート1は星野選手のすばらしい走りがあり、ヒート2は転倒を喫してしまいましたが、レースを組み立てそのビハインドを覆す力を発揮してくれたと思います。シーズン当初、ライダーたちには勝つだけでなく、ファンの皆様に楽しんでもらえるレースでモトクロスの価値を高めていこうと話しました。コロナ禍で苦労したと思いますが、感染対策などをしながらライダーと各スタッフが努力を惜しまず、チームとしては2勝ですが、それ以上のものを皆様に届けることができたと自負しています。1年間、本当にたくさんのサポートありがとうございました」
bLU cRU レーシングチーム鷹
星野優位選手談(IA1:優勝/13位:総合6位)
「前半の2戦がまったく噛み合わず、結果にも波があリました。その中で地元で最終戦を迎えたのですが、前回の九州大会で調子を取り戻せていたし、ヒート1はまさに狙い通りの結果です。レースではスタートが決まったことが大きかった一方で、走りとしてのリズムは良くありませんでした。しかし富田選手に抜かれてスイッチが入りプッシュ。いいラインも見つけることができて、終盤はヒート2で走れなくてもいいからと出し切って逃げ切りました。とにかくこの短いシーズンの中で優勝できたことが非常に大きいことです」
YAMALUBE RACING TEAM with レーシングチーム鷹
中島漱也選手談(IA2:9位/4位:総合5位)
「ヒート1は1・2コーナーのこなしが悪く追い上げとなりました。追い上げは得意ではありませんが、ペースも上がって挽回でき、最終ラップに7番手のライバルに追いついたため、仕掛けたのですがミスでエンストしてしまい順位を落とし9位となりました。でもこの追い上げは自信になり、ヒート2に向け良い流れができました。ヒート2は3番手につけ、前半のスピードが課題の一つではありますが、懸命に前を走るライバルに追いつこうとしたことで順位をキープできました。その後も3位のチャンスはあったのですが、大城選手にかわされついていくことができませんでした。表彰台を逃したことに悔しさはありますが、まだ実力が伴っていないのだと思います。今シーズンは短期間で国際A級のレースに慣れる必要がありました。前半はうまくいかず苦しみましたが、後半に入り慣れてきて今回のヒート2はまさに今シーズンで培った成果を出せたレースになったと思います」
村橋健太郎スーパーバイザー談
「スタートは元々得意な選手ですが、それを利用してトップライダーの中でレースを進め、経験を積めたのは大きかったと思います。特にトップ争いに絡んだことで多くの課題が見えてきましたが、それを少しずつ克服しその成果が最終戦のヒート2で現れたということです。一方、まだまだ課題はあり、今後はそれを克服していかねばなりません。特に20分を過ぎてからの体力と技術が大きな課題として残っていますが、育成がメインとなるこのチームにおいて、これがわかっていることが今後を考えれば非常に大きなことだと思います」
bLU cRU TEAM KOH-Z
本田七海選手談(レディース:2位)
「勝てたレースだったので悔しさはありますが、ここまでバトルできずに離されてきたことを考えると、やっとレースになったという部分は良かったと思います。中盤に抜かれてライバルが速いことはわかっていましたが、チャンスを作るため気合で食らいつき、ライバルがバックマーカーと絡んでスピードを落としたところをうまく使って抜き返すことができました。その後、ライバルが遅れてギャップが広がった時に気持ちが緩んでしまい追いつかれ逆転を許してしまったし、追いつかれて焦りもあって、そこが自分の弱さです。今年はライバルに対して力不足があり、気持ち的にも苦しみました。その中でたくさんの方に声をかけていただき、支えられて最後まで戦うことができました。本当にありがとうございました」