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レース情報

全日本モトクロス選手権 IA1

ヤマハの参戦ライダー、マシンなどIA1に関する情報をお届けします。

Rd.10 10月24日 SUGO

RACE DATA

■大会名称:2010全日本モトクロス選手権最終戦MFJ-GP
■カテゴリ:IA1クラス
■開催日:2010年10月24日(日)
■会場:宮城県・スポーツランドSUGO
■レース時間:(30分+1周)×2ヒート
■天候:曇り ■観客:7,100人

REPORT

欠場した成田はランキング5位でシーズンを終了?
IA1では釘村がヤマハトップの総合6位
IA2では小島がチャンピオン、レディスは安原がランキング2位

第8戦までランキングトップを守り続けてきたYSP・レーシング・チーム・ウィズ・N.R.T.の成田亮は、2007~2009年、全日本最高峰クラスIA1で3連覇中。今年は4連覇に後一歩と迫った第9戦の公式練習中に転倒し右足の脛骨を骨折。第9戦、そしてこの最終戦を欠場することとなり、ランキング5位という結果でシーズンを終えることとなった。また、このレースで全日本からの引退を表明した釘村太一(MPDY)は、7/6位でヤマハ最上位となる総合6位を獲得、スポット参戦ながらランキング11位となった。なおシリーズチャンピオンは熱田孝高(スズキ)が獲得した。
IA2では、小島太久摩が2001年の田島久志以来(当時は国際A級125クラス)となるIA2チャンピオンを獲得した。レディスは、安原さやが3位となったが、益春菜(ホンダ)に一歩及ばずランキング2位となった。

IA1は、成田の欠場によりチャンピオンは熱田孝高(スズキ)と、これを3ポイント差で追う田中教世(カワサキ)の争いとなった。まず第1ヒートでは、田中がホールショット。これに抜群のスタートで、ランキング上位陣を抑えた釘村が2番手で続く。1周目を終えてのオーダーは、田中、釘村、新井宏彰(カワサキ)、熱田となる。
釘村は2周目に3番手に後退すると、トップグループから徐々に遅れ、6周目までに7番手まで順位を落としてしまう。その後は上位陣にはついていけなかったものの、安定した走りでポジションをキープし7位でゴールした。
一方トップグループは、田中が序盤からハイペースで2番手の新井以下を引き離していく展開。ところが4周目、トップの田中が転倒し7番手まで後退。その後トップ争いは新井と小島となり、3位争いはチャンピオンをかけた熱田と田中で争われることとなる。まずトップ争いは小島が13周目に逆転して今季初優勝。一方注目の3位争いは、ラストラップまでもつれ込み、田中が最後の最後で並びかけ必死のアタック。この時、二人はともにバランスを崩すが、これを凌いた熱田が3位、田中は踏ん張りきれず転倒、順位はそのままの4位でチェッカーを迎えた。

続く第2ヒート、増田一将(ホンダ)と平田優(ホンダ)が並ぶようにスタート。この直後、平田がトップに立つが、その周にマシントラブルでリタイアとなり、増田が1周目を制する。2番手以下は熱田、小島、新井、釘村は8番手。さらに2周目には、増田をそのままに、小島、熱田、新井、田中、釘村という順位となる。その後、増田のトップは長くは続かず、4周目に小島がトップに浮上すると、徐々に後方を引き離していく。
一方2番手争いは熱田を、増田、新井、田中ががっちりマークする混戦模様へ。6番手の釘村は、2番手グループから徐々に後退していく。?優勝は安定した走りを続けた小島となったが、2位争いは熱田、増田、田中の三つ巴となり、熱田が個々でも踏ん張って2位でゴール、田中を退けチャンピオンを獲得した。?釘村は上位陣には届かなかったが、7番手以下に大きくなアドバンテージを築いて単独走行を続け6位でフィニッシュ。スポット参戦ではありながらも134ポイントを獲得してランキング11位。17年間のレース人生にピリオドを打った。

ランキングトップの小島、これを8ポイント差で追う勝谷武史(カワサキ)、さらに12ポイント差で追う深谷広一(ホンダ)と IA1と同様、緊迫した状況で最終戦を迎えたIA2。第1ヒートはチャンピオン争いの一人勝谷が、スタート後の1コーナーで転倒。さらに深谷も遅れ、上位でスタートした小島が主導権を握る。?その小島は序盤から積極的なレースを展開して一時はトップに浮上。しかし、三原拓也(カワサキ)にかわされ2番手とすると、さらに2つ順位を落とし4番手まで後退する。一方、勝谷は再スタート後激しい追い上げを見せたが、その後も転倒があり順位を上げられず、深谷は小島の後方5番手まで浮上し追撃を続けるが、小島は最後まで順位を守り、4位でフィニッシュ。深谷は5位、勝谷は10位でレースを終えた。?なお、優勝は中村友則(カワサキ)、2位は三原、3位は稲垣となった。これでポイントは小島が深谷に14ポイント、勝谷に15ポイントに拡大。小島のチャンピオン獲得が大きく近づいた。

第2ヒート、小島はここでも序盤から果敢に上位を狙い、2番手で1周目を終える。しかし5周目に3番手に後退すると、順位を上げてきた勝谷に迫られ、6周目に先行を許してしまう。さらに小島は中村、深谷にかわされ6番手まで後退してしまう。最終順位はライバルの勝谷は2位、深谷は5位となったが、小島は6位を守り、第1ヒートで築いたアドバンテージが生かす形で逆転を許さず、最後は両手でガッツポーズを決めながらチェッカー。国際A級では自身初のタイトル獲得。ヤマハにとっては2001年の田島以来のIA2チャンピオンとなった。

レディスでは、前回の第9戦で優勝し、最終戦へのチャンピオン獲得に望みをつないだ安原が、再び優勝以外チャンピオンになれない状況で最終戦に臨んだ。?しかしレースでは、益がホールショットから先行したのに対し、安原は大きく出遅れる。その後3周を終えるまでに3番手に浮上した安原だったが、益との差を縮めることができず、優勝した益がチャンピオンを獲得した。3位でレースを終えた安原はチャンピオンには届かなかったが、昨年のランキング3位から一つ順位を上げ、ランキング2位でシーズンを終了した。

RESULT RACE.1

順位 ライダー チーム マシン タイム
1 小島 庸平 Team SUZUKI Suzuki 32'10.203
2 新井 宏彰 K.R.T Kawasaki 32'11.853
3 熱田 孝高 Team SUZUKI Suzuki 32'19.859
4 田中 教世 グリーンクラブTEAMTAKASE Kawasaki 32'28.380
5 増田 一将 DREAM Honda RT Masuda Honda 32'39.727
6 平田 優 DreamHondaRTHIRATA Honda 32'46.153
7 釘村太一 MPDY Yamaha 33'23.311
8 辻 健二郎 ホンダドリームRT高浜 Honda 33'36.948
9 溝口 哲也 OrangeClubうず潮レーシング福山 KTM 33'40.124
10 沼田 誠司 グリーンクラブJUDFE MENT Kawasaki 33'53.392
11 芹沢 直樹 TeamCarLife Honda 34'10.055
12 芹沢 翔悟 T.E.SPORT Honda 32'25.389(-1Lap)
13 中村 泰介 Yamaha 33'01.758(-1Lap)
14 出口 隼飛 MOTOCOWBELL&JBS Kawasaki 33’01.914(-1Lap)
15 片平 竜英 モトハウスレースチームwith elf Yamaha 33'41.875(-1Lap)
16 鈴木 恵一 茨城土浦レーシング Yamaha 33'43.470 (-1Lap)
17 林 友太 レーシングチーム鷹 Yamaha 34'23.391 (-1Lap)
18 池田 孝宏 Orange clubうず潮レーシング福山 KTM 33'51.189 (-1Lap)
19 馬渕 崇之 浜松MRC&Atab Blue Honda 33’16.588 (-2Laps)

RESULT RACE.2

順位 ライダー チーム マシン タイム
1 小島 庸平 Team SUZUKI Suzuki 32'39.911
2 熱田 孝高 Team SUZUKI Suzuki 32'41.226
3 増田 一将 DREAM Honda RT Masuda Honda 32'41.468
4 田中 教世 グリーンクラブTEAMTAKASE Kawasaki 32'45.733
5 新井 宏彰 K.R.T Kawasaki 33’02.251
6 釘村太一 MPDY Yamaha 33'43.632
7 辻 健二郎 ホンダドリームRT高浜 Honda 33'47.424
8 沼田 誠司 グリーンクラブJUDFE MENT Kawasaki 34'08.819
9 芹沢 直樹 TeamCarLife Honda 34'25.713
10 溝口 哲也 OrangeClubうず潮レーシング福山 KTM 33'07.947(-1Lap)
11 出口 隼飛 MOTOCOWBELL&JBS Kawasaki 33’08.964(-1Lap)
12 芹沢 翔悟 T.E.SPORT Honda 33'27.473(-1Lap)
13 高濱 龍一郎 HRF TEAM HAMMERホンダ学園 Honda 33'30.435(-1Lap)
14 中村 泰介 Yamaha 33'33.220(-1Lap)
15 片平 竜英 モトハウスレースチームwith elf Yamaha 33'33.517(-1Lap)
16 鈴木 恵一 茨城土浦レーシング Yamaha 33'52.050 (-1Lap)
17 馬渕 崇之 浜松MRC&Atab Blue Honda 33’58.899 (-1Lap)
18 林 友太 レーシングチーム鷹 Yamaha 34'03.365 (-1Lap)
19 池田 孝宏 Orange clubうず潮レーシング福山 KTM 33'38.375 (-2Laps)

RIDERS RANKING

順位 ライダー マシン ポイント
1 熱田 孝高 Suzuki 366
2 田中 教世 Kawasaki 357
3 新井 宏彰 Kawasaki 319
4 小島 庸平 Suzuki 308
5 成田 亮 Yamaha 304
6 増田 一将 Honda 292
7 平田 優 Honda 239
8 溝口 哲也 KTM 191
9 辻 健二郎 Honda 182
10 沼田 誠司 Kawasaki 162
11 釘村 太一 Yamaha 134
12 芹沢 直樹 Honda 130
13 福留 善秀 Honda 100
14 片平 竜英 Yamaha 96
15 中村 泰介 Yamaha 86
21 林 友太 Yamaha 55
27 鈴木 恵一 Yamaha 24

COMMENT

成田亮選手談(決勝欠場 ランキング5位)

「中盤以降、なかなか連勝できず、色々な方からアドバイスをもらいながら後半を戦ってきたが、広島は、チャンピオンへの大きな一歩にしようと思っていた。しかし公式練習でなかなかタイムが出ず、焦って挽回しようとしたときに転倒してしまった。その瞬間は、とてつもない痛みから、チャンピオンが遠ざかることを意識したのを思い出す。今年は、新しいYZでのチャレンジであり、チャンピオンも目前に迫っていたことを考えると悔しいが、それよりも多くのファンに支えられていたので、その恩返しをすることができないままシーズンを終えてしまったことの方が心残りだ。今日はこうして地元SUGO大会を欠場し、レースを観戦することになったが、みんなが戦ったこの場所に立っていたかったという気持ちがまた込み上げてきた。ただ、本当に皆さんの支援、応援には感謝は忘れない。今シーズンも本当にありがとうございました」

釘村太一選手談(7位/6位:総合6位 ランキング11位)

「今日でライダーを引退した訳だが、17年間のライダー人生は本当に幸せだった。最初はプライベート参戦、親と二人三脚でスタートしたが、父と一緒にレースに打ち込めることができたのは本当に貴重な体験だった。そしてヤマハとのパートナーを組んでからもやはり、忘れられない出来事がたくさん詰まっている。全日本の日々も格別だが、夢のAMAにも出場できたことは本当によい思い出だ。今年は全戦の参戦ではなかったけれど、それぞれの会場でたくさんの応援をいただいたことを忘れないし、ファンの方全員にお礼をいいたい。明日からは、これまでと違う人生を歩む訳だが、ファンの皆さんには、モトクロスをこれまで以上に盛り上げてほしいと思う。最後になるが、17年間、ありがとうございました」

三浦健至監督(YSP八戸社長)

「成田選手はチャンピオンを逃すこととなったが、YSPの看板を背負って、8戦までずっとトップを走り続けてくれたことにまずは感謝したい。そして、レースを通して我々やモトクロスファンを楽しませてくれたこともまた、うれしい限りだ。結果は残念だったが、今シーズン成田選手が全日本に残した功績は計り知れないと思う。そして小島選手、おめでとう。レース前は緊張しているのが分かったが、大きなプレッシャーをはねのけ、見事チャンピオンを獲得してくれた。今回、応援に駆けつけたお客さまも、こんなすばらしい瞬間に立ち会えて本当に喜んでいた。今シーズンは安定して高いパフォーマンスを発揮していたことがこのチャンピオンにつながったと思う。最後に、YSP監督を代表してお礼を言いたい。多くのモトクロスファンの方からいただいた応援が、チームに力を与えてくれました。心より感謝いたします」

斉藤和幸 チーフエンジニア談

「今シーズン、優勝回数こそダントツだったが、両ヒートで成績を揃えることができず、なかなか思うようにアドバンテージを作ることができなかった。それだけライバルたちが強力なシーズンだったといえる。そんな難しい状況のなかで、4連覇という大きな記録をあと少しまで引き寄せたところでのアクシデント...成田選手の気持ちを考えると、無念としか言いようがない。8戦のなかではレースの醍醐味や、感動をあたえられたシーンもあったと思う。我々も多くの喜びを得た。しかし、広島や今回のSUGOで成田選手の走りを心待ちにしていたファンの皆さんに、良い結果を、そしてなりより成田選手の走りを見せられなかったことは残念でならない」

IA2:小島太久摩選手談(4位/6位:総合5位 IA2チャンピオン)

「前回、広島の第1ヒートでのアクシデントで立ち直り、その第2ヒートで優勝して気持ちよく最終戦を迎えることができた。さらに今日も、公式練習で勝谷選手とのタイムアタックで競り勝ち、リラックスして決勝に臨んだ。でも、チャンピオンを賭けてグリッドに立つと、いろいろな感情が駆け巡り、ガチガチになってしまった。いつもの自分の走りができたかといえば、そうではないが、自分では最大限の力を出して戦ったことは事実だ。成績も満足はできなかったが、それでも初のチャンピオンは本当に嬉しい。ここ数年、思うようなに成績を出せず、悔しいシーズンが続いた。そして今年、多くの方々のサポートにチャンピオンというかたちで、お礼ができたことは良かった。来年はIA1に上がるが、今日のこの気持ちを忘れることなく、チャンピオンに恥じない走りをしたい。これからも応援よろしくお願いします」

レディス:安原さや選手談(3位 ランキング2位)

「今回は広島に続く2連勝を目指すつもりで、自分ではリラックスできていると思っていた。でも、いざグリッドに立つと硬くなって頭が真っ白になり、スタートで遅れた瞬間に我に返ったという感じだ。やはり最後の最後で負けたことは悔しいが、今日のこの経験は、次に生きると信じている。また、益選手には届かなかったし、ライバルたちも着実に成長しているけど、自分もちゃんと前に進んでいることを確認できた一年だった。来年はチャンピオンしかないと思っているので、ぜひ期待してほしい」

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