世界耐久選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど世界耐久選手権に関する情報をお届けします。
Rd.02 6月8日 ベルギー
RACE DATA
■開催日:2024年6月8日
■大会名称:世界耐久選手権 第2戦スパ8時間耐久レース
■開催地:ベルギー/スパ・フランコルシャン・サーキット(6.985km)
REPORT
YART、スパ8時間耐久を制し、鈴鹿8耐へ
YAMALUBE YART YAMAHA EWC Official TeamのN・カネパ、M・フリッツ、K・ハニカが、FIM世界耐久選手権第2戦のスパ8時間耐久レースで優勝し、チャンピオンシップ・ポイントではトップのチームに1ポイント差まで迫った。
伝説的なサーキット、スパ・フランコルシャンでは、しばしば天候がレースの行方を左右することになるが、今年はウイークを通じて好天が続き、ドライ・コンディションが維持された。
ディフェンディング・チャンピオンのYARTはウイーク初日の金曜日、フリープラクティスでフリッツが2分18秒551の非公式ラップレコードでトップ。予選セッションでも3人全員がそれぞれのグループで圧倒的なパフォーマンスを見せ、ポールポジションを獲得して5ポイントを加算した。
フリッツは金曜日午後、予選セッションで2分18秒552を記録し、2022年にハニカが達成した2分18秒845を上回り、公式ラップレコードを更新した。速さをアピールしたのはフリッツだけではなく、チームの3人全員が2分19秒の壁を破り(この記録はウイークを通じて3人のみ)、土曜日の決勝に向け好調をアピールした。
#1をつけたR1はグリッド上で最も速く、YARTの3名のライダーにより高い競争力を発揮するが、燃費特性の影響で、ピットストップの回数が他チームよりも1回多くなるため、その戦略が非常に重要となった。
これを踏まえて第1走者のカネパは序盤から積極的にプッシュし、ポールポジションから好スタートを切ると、1周目をトップで終了。チャンピオンシップのライバル、SERT(YOSHIMURA SERT MOTUL)としばらくバトルしたあと、さらにペースを上げて振り切り、今後の戦いのペースを設定。最初のピットストップまでに、EWC史上最も印象的とも言える10秒近いリードを築いた。
3人は、その後も安定性とスピードを維持。順調に周回を重ねるうちに、さらにペースが上がり、ついにはアドバンテージを1分に拡大した。これはライダーたちが完璧なライディングを続けただけでなく、チームもピットストップで一度もミスをおかさず、ラップごとに後続との差が広がっていったのだ。
いつも通りに経験豊富なカネパが最終スティントを担当し、トップでゴールラインを通過。YARTは合計201ラップを走り、2位に40.145秒差をつけた。優勝とポールポジション獲得により35ポイントが加算され、チャンピオンシップ・リーダーにあと1ポイントと迫るランキング2位につけている。
一方、ベルギーに拠点を置くKM99のJ・ガルノニ、F・マリーノ、R・ド・プニエは厳しい戦いを強いられた。予選は7番手と健闘したが、決勝は序盤で転倒して後退。その後、挽回していたが、2度目の転倒で再び遅れ、最終的には総合16位、Formula EWCクラス10位となっている。
RESULT
TEAM RANKING
COMMENT
YAMALUBE YART YAMAHA EWC Official Team(優勝)
N・カネパ選手談
「昨年は24時間耐久で優勝し、8時間に変更となった今年も、また優勝することができてうれしいです。ライダーやチーム、そしてタイヤまでもがウイークを通じて完璧なパフォーマンスを維持しました。チームメイトたちはもちろん、最高に素晴らしかったです。ピットストップが他のチームより1回多かったにもかかわらず、作戦を完璧に遂行し、勝利を勝ち取るためのプランを予定通りに進めていきました。その結果、チャンピオンシップでもトップに1ポイント差まで近づくことができました」
M・フリッツ選手談
「完璧なレースでした。優勝し、ラップレコードを更新し、予選セッションでは3名ともグループのトップに立ち、結果として今大会で獲得しうる最大の35ポイントを手にすることができました。チームメイトやチームスタッフを心から誇りに思います。全員が素晴らしい仕事をしてくれました。他のチームより1回多くピットに入らなければならないことがわかっていたので、私たちは初めから積極的にプッシュしていきました。ニッコロ(カネパ)のおかげで、これ以上にないほど最高のスタートとなったのです。カレル(ハニカ)と私はニッコロの頑張りを受け継ぎ、ハイペースを維持して、ひたすら走り続けました。チームもまたピットストップでは素晴らしい仕事をしてくれましたし、ブリヂストンのタイヤやマシンのフィーリングもとても順調でした。作戦を忠実に守り、ひとつのミスもなく、まさに完璧なパフォーマンスでした。これはとても特別なことで、本当に素晴らしい戦いでした。昨年はゼッケン7のマシンで優勝し、今年はR1にゼッケン1を付けて勝利することができました。これ以上にうれしいことはありません。次の鈴鹿も頑張ります」
K・ハニカ選手談
「ここスパ・フランコルシャンで、2年連続で優勝することができました。本当に特別な感覚です。ル・マンでは体調がベストではなく苦戦し、私の転倒で勝利のチャンスを逃してしまいました。今回はその失敗をリセットし、ベストの状態まで復活しなければならないと考えていました。プライベート・プラクティスではスピードを取り戻すまでに少し時間がかかってしまいましたが、1ラップごとに少しずつ自信がよみがえり、予選セッションではほぼ完璧と言えるフィーリングが戻ってきました。8時間のレースはスプリント・レースに近く、ミスをおかしやすいものなのですが、今回は誰ひとりとしてミスをせず、素晴らしいパフォーマンスを見せ続けました。ここまで戻って来られたことをうれしく思い、チームとチームメイトの素晴らしさにも感動しています。チームはとても雰囲気が良く、ともに達成した今日の成功を誇りに思います。チーム、ヤマハ、ブリヂストンをはじめ私たちをサポートしてくれたすべての人に感謝します。この勝利を皆様に捧げます。私たちはすでに、次の鈴鹿に目を向けています」
M・カインツ、チーム・マネジャー談
「本当に素晴らしいパフォーマンスでした! 木曜日にここに到着したときからずっと、チーム全員が休むことなく素晴らしい仕事を続け、その結果としてこのように素晴らしいパフォーマンスが生まれたのです。彼らを心から誇りに思います。ライダーたちは非の打ちどころがなく、実力のすべてを示してくれましたし、マシンもまた非常に好調でした。このように、あらゆる要素が揃った今回は、私たちを止められるものは何もありませんでした。耐久レースですから、さまざまなファクターを考慮に入れなければなりませんが、今回は、まさに完璧なレースを引き出すことができたと思っています。また、スパ・フランコルシャンでの2連勝もとても特別なことです。最高のマシンを用意してくれたチーム、ヤマハ、ブリヂストンのすべての人に感謝の気持ちを伝えたいです。大会最大ポイントを獲得し、トップに1ポイント差まで迫りました。戦いは鈴鹿へと続きます」