本文へ進みます

世界耐久選手権

ヤマハの参戦ライダー、マシンなど世界耐久選手権に関する情報をお届けします。

Rd.02 6月4-5日 ベルギー

RACE DATA

■開催日:2022年6月4-5日
■大会名称:世界耐久選手権 第2戦スパ24時間耐久レース
■開催地:ベルギー/スパ・フランコルシャン・サーキット(6.985km)

REPORT

YART Yamaha、トップ走行中にリタイア

2022 FIM Endurance World Championship 第2戦、ベルギーはスパ・フランコルシャンで行われた24時間耐久レースで、Yamalube YART Yamaha Official EWC Teamは18時間時点でレースをリードしながらテクニカル・トラブルによりリタイアとなった。

EWCは2001年以来、21年ぶりに伝統のスパ・フランコルシャンで開催。しかし天気予報によればレース中に雷雨に見舞われる可能性があり、決して楽観できない状況のなかで行われることとなった。YART Yamahaは金曜日の予選でK・ハニカのラップレコード更新によりポールポジションを獲得。日曜日の決勝ではM・フリッツが第1ライダーとして好スタートを切った。フリッツは5台によるトップ争いを展開しながら第1スティントを終えてN・カネパに交代。カネパもバトルを続けて第2スティントを走り切ったが、この時点ですでにR1の電気系統にわずかな不具合が出始めていた。

第3ライダーを務めるハニカはそれでもプッシュを継続。トップ3に9秒差まで近づいてからフリッツに交代し、フリッツは木曜日のフリープラクティス中の転倒で負傷した手首の痛みと闘いながら果敢に攻め続けた。カネパが再びバトンを受け取り2度目の走行を開始したものの、フロントホイール上のスピード・センサーの不具合により、わずか1周でピットイン。これは先の電気系統のトラブルが原因となっていた。

コースに復帰した時点でトップから2ラップ遅れの7番手。ここから3人で懸命に挽回を目指していく。難しいスパ・フランコルシャンを巧みに攻略し、ライバルたちより速いタイムを記録しながら、スタートから6時間後には4番手まで浮上。そして24時間レースの象徴的コースが闇に包まれたあともプレッシャーをかけ続け、すべてのポイントを着実にこなしてトップとの差を短縮していった。

10時間経過時点で3番手に上がり、その後も勢いを維持してラップごとに上位へと近づいていく同チームは、16時間経過時点で2番手に浮上。ここからはチームの努力を倍加させるように着々とトップとの差を詰め、ついにはフリッツが再び激しいトップ争いを展開することとなった。そしてカネパに代わった途端に予報通りに雨が降り出したが、カネパはドライとウエットが混在する難しいコンディションのなかでプッシュを続けて後続を12秒もリードを拡大する。しかしここで悲劇に見舞われ、テクニカル・トラブルによりマシンをコース脇に寄せたあと、チームとともにピットまで戻して再スタートを試みたが叶わず、YART Yamahaは合計454ラップ走行してレースを終えた。

結果はリタイアとなったが、得るものが何もなかったというわけではない。同チームは素晴らしいスピードを披露し、また貴重な21ポイントも手にしている。ポールポジション獲得で5ポイント、8時間経過時点の4番手位で7ポイント、そして16時間経過時点の2番手で9ポイントを加算。これによりEWCの総合ランキングで合計76ポイントの3位につけており、2戦残してトップを30ポイント差で追う展開となっている。

YART Yamahaのリタイア後、21時間経過後には激しさを増した雨とコース上のオイルにより一時、中断。15分後にセーフティ・カーの先導で再開され、Wojcik Racing EWC Teamがヤマハ勢トップの5位でゴール。Viltais Racing Igol Teamが6位、Team Moto Ainが1ラップ差の7位で続いた。また、TEAM LH Racingがスーパーストック・クラスを制して総合8位を獲得しており、4台のヤマハがトップ10に入っている。

Yamalube YART Yamaha Official EWC Teamは8月5日〜7日、歴史ある鈴鹿8時間耐久レースに臨む。EWCは2019年以来、3年ぶりに日本に戻ることとなる。

RESULT

TEAM RANKING

COMMENT

Yamalube YART Yamaha EWC Official Team(DNF)

K・ハネカ選手談

「当然ながら非常に残念な結果です。私たちは一度としてミスをしなかったし、チームも素晴らしい仕事をしてくれました。そしてリタイアする瞬間まで最速を維持していたのです。センサーの問題で遅れたあともチーム一丸となって挽回し、決してあきらめることはありませんでした。そしてリードを取り戻し、順調に走っていたのですが、突然トラブルが起きてしまいました。私たちは落ち込むことなく、顔を上げて、次の目標へと気持ちを切り替えていきます。今回は私たちの速さをアピールできました。次の鈴鹿でもベストを尽くします」

M・フリッツ選手談

「自分たちが持っているものはすべて出し尽くしました。チーム全員が驚くほどのファイティング・スピリットを発揮し、センサーの問題から立ち直ることに成功したのです。3分以上を挽回し、しかもライバルたちより3回も多くピットストップを行ったことを考えれば、私たちのポテンシャルの高さを十分に証明できたと思います。もちろん、勝利を逃して良いということではありませんが、耐久レースのなかではこのようなことが起こるのです。私たちは一度もミスをせず、最後まで限界ぎりぎりでプッシュし、21ポイントを獲得することもできました。とは言え、トップに立ち、リードを広げ始めたところで、このような形でレースを終えることになったのは本当に残念です。鈴鹿でもう一度、頑張ります。シーズンはまだ終わっていないのです」

N・カネパ選手談

「自分たちを誇りに思うべきでしょう。チーム全体が最高の仕事をしましたが、残念ながら目標としていた勝利を実現することはできませんでした。あれほど見事な挽回に成功し、ついにトップに立ったところだったので非常に悔しいです。ミックス・コンディションを走るのは好きなので、雨を表すフラッグを見た途端にプッシュしてリードを広げられると確信しました。ライバルたちより5秒も速かったのですから。しかし残念ながらマシンにトラブルが出てしまい、戦いは終わりました。結果はこのようになりましたが、良かった部分もたくさんありました。何より、チャンピオンシップはまだ終わっていないのです。3年ぶりに鈴鹿へ戻るのをとても楽しみにしています。世界中でも最大規模のレースのひとつなので、気持ちを集中し、鈴鹿の表彰台を狙っていきます」

M・カインズ、チーム・マネジャー談

「チームはひとつもミスをおかさず、序盤の問題から見事、復活しました。それだけに受け入れがたい結果となってしまいましたが、これが耐久レースというものです。ときに運も必要ですが、今日はそれがありませんでした。トップに立ち、カネパ選手はすでにリードを広げ始めていました。もちろん、悔しい気持ちでいっぱいですが、速さをアピールし、21ポイントを獲得できたことは十分に評価できると思います。今は気持ちを切り替え、今回の良いパフォーマンスを自信にして2か月後の鈴鹿に集中していきます」

ページ
先頭へ