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世界耐久選手権

ヤマハの参戦ライダー、マシンなど世界耐久選手権に関する情報をお届けします。

Rd.04 10月9日 チェコ

RACE DATA

■開催日:2021年10月9日
■大会名称:世界耐久選手権 第4戦モスト6時間耐久レース
■開催地:チェコ/オートドローム・モスト

REPORT

YART、0.070秒差の2位

FIM世界耐久選手権のシーズン最終戦がチェコのオートドローム・モストで行われ、YART Yamaha EWC Official TeamのM・フリッツ、K・ハニカ、N・カネパが激しいバトルの末、首位に0.070秒差と迫る2位を獲得した。

木曜日に行われた予選セッションでポールポジションを獲得したYART。しかし土曜日の決勝では、スタート・ライダーのフリッツが大きく出遅れて第1コーナーまでに最後尾へ後退してしまう。
フリッツはここから素早く挽回を図り、一気にスピードを上げるとすぐさま15番手へ浮上。さらに集団を巧みにすり抜けながら5分後にはトップ10、続けてVRD IGOL EXPÉRIENCES Yamahaをパスして9番手まで挽回した。

MOTO AINのL・バズをとらえて6番手に上がると、前方にはクリアスペースが広がり5番手との差は約1.9秒。フリッツはこれを素早く縮め、WEBIKE SRC KAWASAKI FRANCE TRICKSTARをパスして、さらにトップ4を追って行く。
トップ集団までの7秒ほどのビハインドを着実に短縮し、15分後には最後から2番目のコーナーでYOSHIMURA SERT MOTULのインに飛び込み4番手に浮上。その1ラップ後にはもう1台パスして3番手に上がり、さらに、絶好のスタートを切っていたWójcik YamahaのG・レイをとらえて2番手へと躍り出た。
安定したリズムで走り続けるフリッツは、後続を引き離しながらトップとの差を縮めていく。そしてスタートから53分後にピットに戻り、地元チェコ出身のハニカに交代した。

ピット作業の間に6番手まで後退してしまったが、ハニカはすぐさまペースを上げて好タイムを連発。さらにはファステスト・ラップも記録し、表彰台争いまで挽回して第3ライダーのカネパにバトンを託した。

カネパはすぐさまSERTのS・ギュントーリとバトルを展開し、これをパスして2番手に浮上。病気から回復したばかりのカネパはプラクティスではあまりペースが上がらず心配されていたが、決勝では見事な走りを披露し、33ラップを好タイムで走り切って再びフリッツへとつないだ。

フリッツは2回目の走行でも好調ぶりを維持。気温上昇とともにR1とブリヂストン製タイヤのパフォーマンスもますます向上し、ラップごとにトップとの差を縮めて、レース中盤までに23秒差まで近づいた。

バトンを受け取ったハニカが第19コーナーのアウト側からパスを仕掛けてついにトップに浮上。その後、タイトル争いの一角、VRD IGOL EXPÉRIENCESのテクニカル・トラブルを受けてセーフティ・カーがコースに入ったが、ハニカはこれにもうまく対応した。

ピットに戻り素早く燃料補給を終えると、ハニカが再びマシンに跨りダブル・スティントを決行。身体を伏せて素早くペースを上げていくなかで2度目のセーフティ・カー出動により追撃を止められる場面もあったが、残り1時間の時点でバトルが再開されたあとは、R1を優勝に導くことだけを目指して懸命にプッシュ。ついにはアドバンテージを36.806秒まで拡大して自らの最終走行を終了した。

フリッツが3度目の走行を開始。ピット作業の間にBMWがトップに上がり、YARTが14.448秒差を追う展開となっていたが、フリッツは193ラップ目に決勝のベストラップを更新するなどの速さを見せてプレッシャーをかけ続ける。その後もう一度タイムを更新したフリッツは残り10分で2.713秒差まで近づき、さらに1分33秒の壁を破る2度のタイム更新により差を縮めた。

最終ラップを迎えた時点でトップとの差は1秒以下。その序盤で小さなスライドがありわずかに遅れたが、決してあきらめることなく、中盤のセクションで再び差を縮めていく。そして最終コーナーでの逆転を目指して攻め続けたものの、わずか0.070秒届かず2位でチェッカーとなった。

今季初の表彰台を獲得したYARTは41ポイントを加算し、合計88ポイントでランキング6位に浮上。VRD IGOL EXPÉRIENCESがランキング4位、MOTO AINとMaco Racingがそれぞれ7位と10位でシーズンを終了し、ヤマハは合計202.5ポイントを獲得してコンストラクターズ・ランキング1位に輝いた。

RESULT

TEAM RANKING

COMMENT

YART Yamaha EWC Official Team(2位)
M・フリッツ選手談

「チームで勝ち取った2位に満足しています。しかし、どうしても勝ちたかったここモストで、このような僅差で負けてしまったのですから、当然ながら自分自身に対しては腹が立ちますし、悔しい気持ちでいっぱいです。私たちはスタートに失敗し、さらにセーフティ・カーの不運なタイミングにより、トータルで2分以上遅れてしまいました。そのあとはチーム一丸となってハードワークを重ね、チームメイトも遅れを取り戻すために素晴らしい走りを見せてくれました。しかし結果的には0.070秒差を詰め切れずに終わってしまいました。その一方で、私たちはワールド・スーパーバイクのトプラック・ラズガットリオグルのタイムに1秒差と迫ることができました。プラクティスから好調で、予選でトップを獲得し、決勝ではファステスト・ラップを記録して勝利に近づきました。このことをポジティブに受け止め、足りなかったところを改善して2022シーズンに向けて準備したいと思います」

K・ハニカ選手談

「モストでの最終戦を終え、今は喜びと悔しさが入り混じった気持ちです。母国でのレースで表彰台に上れたことはとてもうれしかったのですが、あと少しというところで勝利を逃したことは本当に残念です。優勝を目標にしていたのに、わずかの差で実現できなかったのです。スタートで問題が発生して大きく後退してしまいましたが、作戦を変えて対応し、遅れを取り戻すことができました。ダブル・スティントはかなり厳しかったのですが、集中力を維持し、後半ではBMWとの差を縮めることができました。マービン(フリッツ)も見事な走りで15秒くらい短縮しましたが、残念ながらほんのわずかの差で勝利を逃すこととなりました。チームは素晴らしい仕事をしてくれました。今週の、そして1年間を通じての彼らのハードワークに心から感謝しています。しかしながら今シーズンは厳しい戦いを強いられてきたので、来シーズンはもう少しグッドラックに恵まれることを期待しています。私たちは最速ライダーを擁する最速チームですから、来年はもっと強くなってEWC王座を賭けて戦わなければなりません。このようなチャンスを与えてくれたマンディ・カインズとYARTファミリーに感謝し、2022はもっと強くなって戻ってきます」

N・カネパ選手談

「今回のパフォーマンスに満足しています。通常なら、このような僅差で優勝を逃せば悔しい気持ちになりますが、今日はまったく逆なのです。私たち3人は最速ライダーであり、マシンもパーフェクトな状態でした。私自身は今週、病気をしてしまったため、昨日までは連続5周以上は走ることができませんでした。しかし今日は33ラップを走行し、その最後までハイペースを維持することができたのです。最後はマービンが素晴らしい走りを見せてくれましたが、スタート時の遅れや給油回数の増加などもあって、結局はトップとの差を十分に埋めることができませんでした。それでも私は、後悔を残すことなく、この地を去ることができます。私たちは非常に強かったと思っています。そしてメンタル的にも充実してオフを迎え、2022のスタートに備えることができそうです。今シーズンはいくつかの問題に直面して苦戦したこともあったので、ここからチームとして問題の解決に取り組み、来年のタイトル獲得に向けて備えなければなりません。YARTは毎回、素早いピット作業で私たちを支えてくれました。素晴らしい仕事をしてくれたチームのみんなに心から感謝しています。最終戦を表彰台で締めくくり、彼らのハードワークに報えたことをとてもうれしく思っています」

M・カインズ、チーム・マネジャー談

「私たちは今日も最速でしたが、ほんのわずかの差で勝利を逃すこととなり、非常に残念です。それでもこのチャンピオンシップのことを考えれば、今日も大勢のレースファンに素晴らしいショーをお見せし、世界耐久選手権の振興を後押しできたことを誇りに思うべきでしょう。私たちの3人のライダーは安定して速く、ペースにおいてはライバルたちを圧倒していました。ただ、必要のないところで時間を無駄に使い過ぎてしまいました。スタートではマシンの始動に問題があって大きく出遅れ、さらには最初のピットストップで25秒も費やしました。またセーフティ・カー出動中に給油を行い、ピットストップがBMWより1回多くなってしまいました。このようなことがあったにもかかわらず最後は優勝争いを演じることができたので、今日のレースのなかで良かった部分をポジティブに受け止めたいと思います。同時にオフシーズンの間もハードワークを続ける必要を感じています。弱点の改善に取り組み、2022年はもっと強くなって、EWC世界タイトルに挑みます」

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