世界耐久選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど世界耐久選手権に関する情報をお届けします。
Rd.02 12月14日(2019) マレーシア
RACE DATA
■開催日:2019年12月14日
■大会名称:世界耐久選手権 セパン8時間耐久レース
■開催地:マレーシア/セパン・インターナショナル・サーキット
REPORT
YARTがセパンで優勝
雨のセパン・インターナショナル・サーキットで行われた2019/2020耐久世界選手権第2戦、セパン8時間耐久レースでYART Yamaha EWC Official Teamが優勝を果たした。一方、Yamaha Sepang Racing Teamは再スタート後のレース序盤をリードしていたが、最終コーナーでM・ディメリオがM・ファン・デル・マークのテールに接触してともに転倒。マシン修復のために10分ほど遅れをとったものの、懸命の挽回で7位まで浮上してレースを終えている。
セパン・インターナショナル・サーキットで初開催となった耐久レースは、シーズン開幕戦のボルドール大会を思い起こさせるような悪天候に見舞われた。豪雨によりコースに水たまりができていたためスタート時間が2時間以上も遅れたあと、ライダーたちはセーフティーカーに先導されてコースイン。しかしわずか9ラップで再びコンディションが悪化し、レッドフラッグが提示されて中断となった。
残り時間が3時間となってようやく天候が回復してレースを再開。序盤からファン・デル・マークとディメリオがトップ争いを展開していたが、最終コーナーでディメリオがファン・デル・マークに接触してともに転倒。ディメリオはすぐに再スタートしたが、ファン・デル・マークはハイサイドを起こして投げ出され、マシン修復のためにピットに戻り約10分を費やすこととなってしまった。
一方のYARTは、オープニングラップで電子制御システムのトラブルがあり26位まで後退。N・カネパは難しいコンディションのなかで電子制御の助けを得られないまま懸命の挽回を続け、着実にポジションを上げていった。そして全体が1度目のピットストップを終えたあとでついにトップに浮上。その後ディメリオが一旦は前に出たが、2回目の転倒により後退してカネパは大きなアドバンテージを確保することとなった。
短縮されたレースが残り30分になった頃、2度目で最後のピットストップを行ったYARTは、変化し続けるコンディションのもとへ新たなライダーを送ることよりカネパの続投を選択。この判断が功を奏し、ライバルチームの多くの交代ライダーが転倒するなかでカネパはひとつのミスもなく最後まで走り切りシーズン初優勝を成し遂げた。この結果YARTはシリーズポイントを43ポイントに伸ばしてランキング4位に浮上。トップを36ポイント差で追っている。
Yamaha Sepang Racing Teamにとっても最終スティントは非常に重要なものとなった。ファン・デル・マークは序盤で転倒したあと、持ち前のスピードと安定感で多くのポジションを挽回してMotoGPライダーのF・モルビデリに交代。15位以下でバトンを受け取ったモルビデリは、まるでコースを切り裂くような激しい追い上げを見せて7位まで上げてチェッカーを受けた。
RESULT
TEAM RANKING
COMMENT
YART Yamaha EWC Official Team
N・カネパ選手談
「マービンが怪我をするなど非常に苦しい状況のなかで、こうして優勝することができてとてもうれしいです。スタート直後は好調でしたが、数ラップ後にはマシンがスイッチオフ。復活したときにはトラクション・コントロールなど電子制御システムがまったく効かなくなっていたのです。これによって非常に厳しい状況に追い込まれましたが、懸命に走り続けて最初のスティントで20位から1位まで挽回することができました。このことはまさに'超ハッピー'な出来事でした。セーフティーカーが出たときにマシンをオフにしてからオンにすると、すべてが元通りに動き始めました。ピットストップでは2回とも、マンディ(カインズ)が私に続けたいかと聞きました。私はそのたびに"yes"と答えました。そして終始、プッシュし続け、最終的に優勝を果たすことができました。確かに転倒に助けられた部分もありましたが、それも耐久レースというゲームの一部で、逆に私たちがコストを被ることもあるのです。ですから今、私は'超超ハッピー'。ともに戦い、ともに優勝したチームとチームメイトに感謝の気持ちでいっぱいです。これでランキング争いにも復帰することができました。次のル・マン24時間でも好成績を継続できるよう頑張ります」
M・カインズ、YART Yamaha EWC Official Teamチーム・マネジャー談
「非常に難しい状況に始まり、マービンの怪我がより一層の影を落とした難しいウイークでした。そのなかで最終的に優勝を果たすことができ本当にうれしい気持ちでいっぱいです。チームもライダーもこうした困難に負けることなく、どんな困難にも立ち向かえるだけの準備ができていることを証明してくれました。悪天候のためレースは短縮されましたが、それによって疲労が軽減されたわけではありません。そしてレース序盤でトラブルが発生したにもかかわらず、ニッコロ(カネパ)は難しいコンディションのなかで電子制御の助けも借りずに順位を挽回。実に見事な仕事でした。最初のピットストップではトップ争いがタイトだったので、ライダーを交代することで慣れるまでの時間を要することを避けるためにニッコロの続投を決めました。そして2度目のピットストップでも同じ選択をしたのです。その時点で残りわずか30分。路面がウエットから徐々に乾き始めて刻々とコンディションが変化していたからです。結果的に判断は正しかったというわけです。そしてこの結果によって、私たちは再びランキング争いに参加できるようになりました。素晴らしい仕事をしてくれたチームとライダーたちに感謝しています。最後に、マービンの一日も早い回復とコースへの復帰を祈り、次回ル・マンでの表彰台獲得を期待します」
Yamaha Sepang Racing Team
M・ファン・デル・マーク選手談
「奇妙な1週間でしたが、最終的にレースがスタートしたときにはコンディションが良くなっていました。マシンのフィーリングも上々で初めからハイペースで走ることができたので、トップを奪われたときにも慌てることなく、リスクをおかさず後ろについていこうと決めました。そして前方に集団が現れたときには抜き返すつもりでいたのです。ディメリオの作戦はわかりませんが、最終コーナーでのパスは成功せず、私は接触されて激しいハイサイドに見舞われてしまいました。チームが素晴らしい仕事をしてくれたおかげでコースに復帰することができ、私もすぐにリズムを取り戻して、順位はともかく走りをエンジョイできました。フランコ(モルビデリ)に最終スティントを託すと、彼はとてもいいペースで走り、7位まで順位を上げて私たちを驚かせました。私たちのためにハードワークを全うしてくれたチームに感謝。そしてともにレースを楽しんだフランコとハフィシュ(シャーリン)にも感謝しています」