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アジアロードレース選手権

ヤマハの参戦ライダー、マシンなどアジアロードレース選手権に関する情報をお届けします。

Rd.05 9月24日 インド

RACE DATA

■大会名称:2017アジアロードレース選手権第5戦インド
■カテゴリ:SS600・AP250
■会場:マドラス・モーター・レース・トラック(3.717km)

【レース1】
■開催日:2017年9月23日(土)
■コースコンディション:ドライ

SS600クラス
■周回数:16周
■PP: #64 Keminth Kubo(1分40秒920/Yamaha)
■FL: #76 Yuki Ito (1分41秒701/Yamaha)

AP250クラス
■周回数:12周
■PP: #99 Galang Hendra Pratama (1分49秒358/Yamaha)
■FL: #500 Anupab Sarmoon (1分49秒724/Yamaha)

【レース2】
■開催日:2017年9月24日(日)
■コースコンディション:ウエット & ドライ

SS600クラス
■周回数:14周
■PP: #64 Keminth Kubo(1分40秒920/Yamaha)
■FL: #23 Taiga Hada (1分40秒990/Honda)

AP250クラス
■周回数:10周
■PP: #99 Galang Hendra Pratama (1分49秒358/Yamaha)
■FL: #99 Galang Hendra Pratama (1分56秒106/Yamaha)

REPORT

SS600:#76 Itoがレース1で3位、レース2で優勝、ランキング2位に浮上!

Race 1

残り2大会・4レース、トップから25ポイント差。チャンピオンを獲得するには大きな壁のある状況だ。それでもYAMAHA RACING TEAMの#76 Yuki Itoは、逆転を信じマドラス・モーター・レース・トラックに乗り込んだ。#76 Itoは、フリープラクティスから決勝を見据えたセットアップに力を注ぎ、アベレージで1分42秒前半のマシンを作り込んだ。その余波として予選のセッティングが手薄になったことからグリッドは6番手となったが、決して戦えないポジションではない。

一方の#64 Keminth Kuboは、全セッションを全力で取り組みセッションを終えるごとに確実にタイムを上げ予選を迎えた。その予選では、全精力を込めた最後のアタックで唯一1分40台に入れるスーパーラップを叩き出すとアジアのトップライダーを抑えポールポジションを獲得。決勝に向け自信をつけた#64 Kuboは、入賞、表彰台を目標に決勝のグリッドにマシンを並べた。

迎えたレース1、スタートを得意とする#76 Itoは、きっちりとポジションをあげ4番手を確保。一方の#64 Kuboは順位を落として5番手となるが、2人ともにトップグループでレースを進めた。序盤、予選の勢いのまま攻勢にでたのは#64 Kubo。#76 Itoをかわして4番手に浮上すると、3番手の#24 Decha Kraisart(Yamaha Thailand Racing Team)も捉え表彰台圏内へ。これに足並みを合わせ#76 Itoも4番手に上がるが、中盤は動きが止まり、トップから6番手までが一団となってレースを進めた。

後半に入ると、今度は#76 Itoがレースを動かす。#64 Kuboを捉えて3番手とすると、さらに前をいくライバルに襲いかかり2番手に上がるが、ライバルも譲らず再び逆転を許し3番手に後退。そして最終ラップ、#76 Itoは最後の力を振り絞りプッシュを続けるがおよばず3位。それでもランキングトップの#25 Azlan Shah Kamaruzaman(カワサキ)が10位となったためポイント差を縮め、逆転タイトルに向けまた一歩近づくこととなった。#64 Kuboは上位3台には絡めなかったものの、今季最高位となる4番手でラストラップの最終コーナーに飛び込んだ。ところがそこに落とし穴が待っていた。スリップダウンにより転倒。これでリタイアとなったが、幸い怪我はなく、レース2は出場を念頭に準備を進めた。

Race 2

最終戦に望みをつなぐ会心のレースとなった。#76 Itoがついに、今シーズン初優勝を遂げたのだ。
レースは、UB150のレース2から降り出した雨により、ウエットパッチの残る状況で決戦の時を迎えた。しかし気温の高さから路面は乾き始めており、レースを遅らせドライに変わってからスタートすることとなった。

レースは、Yamaha Thailand Racing Teamの#65 Chalermpol Polamaiがホールショット。#76 Itoは#65 Chalermpol、レース1の勝者である#21 Md Zaqhwan Zaidi(ホンダ)に続く3番手につけてレースを進めた。#76 Itoに課せられた使命は、ランキングで上をいくライバルたちの前でゴールすること。それはチャンピオンシップへの望みをつなぐために他ならない。大きなプレッシャーのかかる中、#76 Itoはその任務を確実に遂行していく。

トップ争いは、前半のうちに#21 Md Zaqhwanと#76 Itoが#65 Chalermpolを捉え、そして2人が抜け出し、さらに後方を徐々に離してマッチレースとなる。ここからは緊迫した展開。#76 Itoは#21 Md Zaqhwanの後方に張り付き、様子を見ながら抜きどころを定め、勝負の時をじっくりと待つ。そしてレース終盤、その時が訪れる。第8コーナーのブレーキング。#76 Itoは、激しくスライドするリアタイヤを完璧にコントロール、#21 Md Zaqhwanのインを鋭く突き鮮やかにトップに浮上したのだ。そのあとは、#21 Md Zaqhwan引き離す圧巻の走り。そして最終ラップの最終コーナーを立ち上がると、ライバルたちをその後方におき、力強く拳を握りながらチェッカー。今シーズンの初優勝を遂げるとともに、チャンピオンシップでは、ランキングトップの#21 Md Zaqhwanに4ポイント差に迫るランキング2位に浮上。12月の最終戦タイラウンドでの決戦をまつ。

なお、チームメイトの#64 Kuboは、24日の午前中、サーキットの医師による診断を受けた結果、ドクターストップがかかりレース2は欠場となった。

AP250:#99 Galangがレース2で初優勝!レース1では#500 Anupabが2位

Race 1

ここまで、ライバルが強さを見せていたAP250だが、このインドラウンドはR25勢が逆襲に転じる。その先鋒となったのが先週末、ポルトガルで行われたFIM Supersport 300 World Championchip(WSS300)にワイルドカード参戦(トラブルによりリタイア)した#99 Galang Hendra Pratama(Yamaha Racing Indonesia)である。予選で自身初となるポールポジションを獲得。レースでは、この#99 Galangに加え、Yamaha Thailand Racing Teamのエース、#500 Anupab Sarmoonがライバルたちとトップ争いを繰り広げた。

レースは、#71 Tomoyoshi Koyama(ホンダ)を先頭に#99 Galangが2番手。#500 Anupabは序盤4番手だったが、すぐに3番手に上がると#99 Galangも捉えて2番手へ。その後は#71 Koyamaを先頭に3人がバトルを展開していく。この中で#500 Anupabが何度もトップを奪ったが、#71 Koyamaもすぐトップを奪い返すめまぐるしい展開となった。そして後半に入ると#99 Galangが離され、優勝は#71 Koyamaと#500 Anupabに絞られる。

#500 Anupabは最後までマシンをプッシュしトップに迫るが攻略できず2位でフィニッシュ。一方、2人から遅れた#99 Galangだったが、4番手を寄せ付けることなく3位でチェッカーを受け、WSS300での鬱憤を晴らすかのように今シーズン初となる表彰台を獲得した。また後方では#99 Galangのチームメイトの#222 Reynaldo Chrisantho Ratukoreが4番手争いに加わったが、一歩およばす5位でチェッカーを受けた。

Race 2

レース前に雨が降り出した。各車がレインタイヤへの交換を行いグリッドは一気に慌ただしくなった。コンディションの変化は、ライダー心理にも影響するものだが、ポールポジションに並んだ#99 Galangは冷静だった。そして、きっちりとホールショットを決める。

雨の影響で12周から10周となったレース。#99 Galangは序盤からライバルよりも速いタイムでリードを広げる。後方からはレース1の勝者、ベテランの#71 Koyama。しかし#99 Galangは難しいコンディションの中、中盤、後半、そして終盤ともに安定した速さで#71 Koyamaを寄せつけない。そしてトップで最終コーナーを立ち上がると、天に向けて拳を突き上げながらファーストチェッカーをくぐり抜けた。
AP250は2015年にスタート。この中で時に停滞する時期もあったが、着実に力を蓄えてきたYamaha Racing Indonesia。そして唯一3シーズンに渡り、レギュラーライダーとしてチームと成長してきた#99 Galangが、ついに待望の勝利をもぎ取ったのだ。

その後方では、R25ライダーの中でランキングトップにつける#500 Anupabも奮闘した。表彰台争いには加われなかったが4番手争いを展開。前半に5番手となるが、後半に入るとウエットコンディションにも慣れ徐々にペースをあげて逆転し4位でチェッカー。最終戦を残しランキング2位を堅持している。

UB150:ヤマハライダーが両レースで表彰台を獲得!

Race 1

レース1は、前半から5人が抜け出してトップグループが形成。この中にはヤマハライダーが3人加わっており、第4戦の両レースで達成した表彰台独占が期待された。この中で#26 Md Haziq Md Fairies (UMA Racing Yamaha Maju Motor)がトップ争いを展開。しかし、終盤に入るとライバルも攻勢に転じて目まぐるしく順位を入れ替える。そして最後はサバイバルレースとなるが、#26 Md Haziq Md Fairiesが表彰台圏内にとどまり2位でチェッカーを受けた。

Race 2

レース2もレース1と同様の展開となった。序盤に6人によるトップグループが形成され、この中にヤマハライダーは4人が加わった。それぞれが表彰台を目指し激しく順位を入れ替える展開となるが、ふるいにかけられるようにライダーが絞られていく。そして後半、トップグループに残ったのは3人。ヤマハライダーは#13 Md Akid Aziz(UMA Rasing Yamaha Maju Motor)と、レース1で2位を獲得したチームメイトの#26 Md Haziq Md Fairies。しかし終盤、転倒車により赤旗が展示され、そのまま終了となり、その前の周の順位が最終リザルトとなった。これにより、#13 Md Akid Azizが2位、#26 Md Haziq Md Fairiesが3位となった。

SS600 RESULT Race.1

SS600 RESULT Race.2

SS600 RIDERS RANKING

AP250 RESULT Race.1

AP250 RESULT Race.2

AP250 RIDERS RANKING

COMMENT

SS600

YAMAHA RACING TEAM
#76 Yuki Ito(3位/優勝)

「まずレース1ですが、前半の追い上げでかなりハードに攻める必要がありました。体力的な部分もタイヤもここで酷使してしまったのです。終盤に2位までは上がることができたのですが、前半のハードプッシュッが響き、守りきれずに3位。大きな3位ではあったのですが、悔しい3位でもありました。レース2は、2番手となってからは、トップのペースが速かったので、じっくりついていくことに専念しました。しかし残り5周になった頃からライバルのペースが少し落ちてきて、得意の8コーナーでブレーキング勝負しようと決断しました。ライバルもハードブレーキングが得意なライダーですが、なんとかインに入れましたね。トップに立ったあとも離すことができ、自分でいうものではありませんが、完璧なレースだったと思います。最終戦はチャンピオンを狙うレースになります。ただし決勝でしっかりと戦うためにも、プラクティス、予選で土台を築くことが第一。みんなで笑って終われるように頑張りますので、応援よろしくお願いします」

#64 Keminth Kubo(DNF/-)

「ここまで、毎日厳しいトレーニングをしてきた成果が PPの獲得とレース1での走りになったのだと思います。ここまで、なかなか結果が出ていなかったためなんとか成績を残したいという思いも、大きなモチベーションになりました。ただトップグループで走ってみて、経験、駆け引きなど、いろいろなものが足りないことがわかりました。だからこそ、レース1でトップライダーたちから学んだことを生かしてレース2は表彰台を、と思っていたのですが、ドクターストップで欠場。とても残念です。次回は、地元のタイでのレースになります。今回のレースでつかんだ自信を持って、次こそは地元で初表彰台を狙います!」

Toru Koseki監督

「Keminth選手は、フリーから着実にタイムをあげていたので期待はしていたのですが、予選ではなんと一人40秒台に入れてPPを獲得。さらにレース1でも伊藤選手をかわすなど、しっかりとトップグループについていく走りを見せてくれました。最終ラップでの転倒は残念ですが、これまでのように追い上げる中で焦って転倒するのではなく、攻めて、表彰台を目指しての転倒なので意味合いも異なり、評価に値するレースでした。レース2はドクターストップで欠場となりましたが、次回のタイでは今回の経験を生かして、また自信もついたはずなのでもう一度活躍しシーズンを終えて欲しいし、我々も最大限のサポートをしたいと思います。
一方の伊藤選手ですが、大きな仕事をやってくれました。レース1は一歩およばず3位でしたが、レース2に向けて、チームとしても修正できたし、何よりもライダーが自信を持って臨んでいたことが大きかったですね。それはレースの組み立てを見ても分かる通りで、前半のうちに2番手に上がり、トップの様子をみて、狙いを定めてかわす。本当に完璧なレースでした。こうしたレースは、簡単にできるものではありません。実力があるからこそ成せる技だと思います。欲をいえば、もっと早く見たかったですね。現在はランキングは2位ですが、チャンピオンがより現実的になったことは事実です。ここから長いインターバルに入りますが、チームとしてもしっかりと戦える準備を進め最終戦に臨みます」

AP250

Yamaha Racing Indonesia
#99 Galang Hendra Pratama(3位/優勝)

「ARRC参戦3年目、初のPP。とにかくうれしかったですね。自分の成長もあると思いますが、チームの努力、協力が大きいことは間違いありません。しかし、レース1では、コースアウトやフロントが切れ込んで転倒しそうになるなど自分のミスもあり、ライバルの巧みなブロックもあって最終的には3位。もちろんシーズン初の表彰台でうれしいのですがもっと行けたという気持ちもあり、悔しさもあります。そしてレース2は、やはり最高にうれしかったですね。ナーバスになりがちなウエットでのレースとなりまししたが、僕自身がウエットが得意ということもあるし、何よりしっかりと気持ちの準備ができたことが大きかったです。序盤から逃げるレースをしようと決めていましたが、それが可能になったのも準備ができていたおかげ。次のタイは地元のライダーが非常に強いコースです。だからこそ簡単ではありませんが、表彰台を目標にやるだけです」

Wahyu Rusmayady監督

「今回は地元にあるサーキットに近いレイアウトだったことで、ライダーがとても走りやすかったこと。セットアップが素早く決まって、常に高いパフォーマンスを発揮できたこと。そしてライダーやメカニックの成長など、いろいろな要素が揃ったことが、レース1の3位、レース2の優勝につながったと思います。この成績は、チーム、ライダー全員の努力で勝ち取ったもので、これからの先に活動においても、非常に大きなモチベーションになります。最終戦のタイラウンドに向けては、マシンにまだ課題があるので、それを克服することが必要だと考えています。そして、これまでのタイで残してきた成績を上回り、有終の美でシーズンを締めくくります」

Yamaha Thailand Racing Team
#500 Anupab Sarmoon(2位/4位)

「ウィークを通じてマシンのセッティングも自分の走りも確実に進化をとげ、レース1ではその成果として2位を得ることができました。トップライダーの一人である#71 Koyamaに食らいつき、一時はかわすこともできたし、表彰台にも立てたのですが優勝したかったですね。#71 Koyamaはブロックもうまく、最後まで攻略することができず悔しいですね。レース2はウエットコンディションとなり、経験も少ないため、正直とても苦労しました。序盤はペースをつかむことができず順位を落としましたが、後半になってようやく慣れました。しかしその時にはトップ3からは、大きく離されていたために4位に上がるのがやっとでした。次回は地元での最終戦、なにがなんでも優勝したいですね」

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