アジアロードレース選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどアジアロードレース選手権に関する情報をお届けします。
Rd.03 6月4日 日本
RACE DATA
■大会名称:2017アジアロードレース選手権第3戦日本
■カテゴリ:SS600・AP250
■会場:鈴鹿サーキット(5.821km)
【レース1】
■開催日:2017年6月3日(土)
■コースコンディション:ドライ
SS600クラス
■周回数:13周
■PP: Ikuhiro Enokido (2分12秒094/Honda)
■FL: Md Zaqhwan Zaidi (2分12秒672/Honda)
AP250クラス
■周回数:8周
■PP: Gerry Salim (2分28秒779/Honda)
■FL: Takehiro Yamamoto (2分29秒105/Honda)
【レース2】
■開催日:2017年6月5日(日)
■コースコンディション:ドライ
SS600クラス
■周回数:13周
■PP: Ikuhiro Enokido (2分12秒094/Honda)
■FL: Yukio Kagayama (2分12秒737/Suzuki)
AP250クラス
■周回数:8周
■PP: Gerry Salim (2分28秒779/Honda)
■FL: Rheza Danica Ahrens (2分28秒194/Honda)
REPORT
SS600 :A・Westがダブルウィン、Y・Itoも2レース連続2位でランキングも2位に浮上!
Race 1
ここまでR6ライダーの中でも主役を奪われていた#76 Yuki Itoは、チャンピオン争いにとどまるべく、地の利を生かし挽回する機会として鈴鹿に乗り込んだ。それゆえプレッシャーも大きく、FP1ではトップタイムを刻むも、FP2以降はライバルに先行を許してしまう。しかし翌日の予選で大きくタイムを短縮。ポールポジションこそ逃すも2番手フロントローを獲得し、その勢いのままに決勝を迎えた。
#76 Itoは、スタート直後の第1コーナーで3番手とする。1周目から攻める#76 Itoは、最終のシケインで前の2人を一気にかわしトップで1周目を終える。さらに#76 Itoの激走に導かれるように、#41 Noriyuki Haga、#65 Chalermpol Polamai、#13 Anthony WestというR6ライダーが躍動し、一時はトップ4を独占する場面も見せた。その後は、#21 Md Zaqhwan Zaidi(ホンダ)、#25 Azlan Shah Kamaruzaman(カワサキ)の攻勢で順位の入れ替えがあったが、#76 Itoはトップを守り抜き、優勝の行方は#76 Itoと#13 Westに絞られた。
そして2人は、互いに死力を尽くした攻防を展開。まずラスト3周、130Rで#13 Westがトップに立つと、ラスト2周のバックストレッチで#76 Itoが逆転する。しかし#76 Itoは、最終ラップの逆バンクで再び逆転を許し、勝負は最終シケインでのブレーキングとなる。#76 Itoはレイトブレーキングで#13 Westに迫るもかわせず、最終コーナーで再度アタックを試みるが、#13 West、#76 Itoの順でチェッカーとなった。
一方の#64 Keminth Kuboは13番手で1周目を終えると、鈴鹿を走り込んだ日本人ライダーを相手に奮闘を続け、じわじわと順位を上げていく。そして7周目、現在、全日本のST600でランキング2位である#31 Keisuke Maedaに挑み、これをかわして10番手に浮上した直後、二輪専用シケインで転倒。再スタートは叶わずリタイアとなったが、悔しさとレース2でのシングルフィニッシュ獲得への自信を得て、レースを終えた。
Race 2
レース2はさらに激戦となった。#76 Itoはスタート後に2番手を確保すると、レース1と同様1周目にトップに立ちレースを引っ張っていく。序盤、この#76 Itoを脅かしたのが、R6ライダーの#65 Polamai、そしてポールシッターの#32 Ikuhiro Enokido(ホンダ)だった。特に#65 Polamaiは、各ラップで#76 Itoの前に立ち、また#76 Itoがトップを取り戻すシーソーゲームを展開する。しかし#65 Polamaiは徐々に後退すると、変わって背後についたのが、このウィーク最大のライバル、レース1の勝者#13 Westだった。
#13 Westは、懸命に逃げる#76 Itoの背後へゆっくりとしかし確実に迫ると、9周目のデグナーでトップを奪う。もちろん#76 Itoも諦めない。#13 Westのテールに食らいつきバックストレッチから130R、そしてシケインといったパッシグポイントでアタックを繰り返す。しかし#13 Westが終盤に入ってギアチェンジ。#76 Itoとのギャップを広げると勝負の機会を与えることなくダウブルウィンを手にした。
一方#76 Itoは#13 Westの追撃から、#71 Yukio Kagayama(スズキ)、#23 Taiga Hada(ホンダ)の猛烈なアタックを抑えることに力を注ぐこととなった。しかし勝負ポイントであるシケイン、最終コーナーとポジションを守りきり、こちらも2レース連続となる2位でチェッカーを受けた。これにより#76 Itoは、上位陣が奮わなかったことも重なって、トップと19ポイント差、3番手とは3ポイント差ながらも2ランキング2番手に浮上し、後半3戦での逆転に向けた体制を整えることとなった。
14番手で1周目を終えた#64 Kuboは、ミスが重なりポジションを上下する不安定なレースを続けた。それでもウィークの中でなかなかマークできなかった13秒台中盤のタイムを出すなど、随所に進化を見せ、最後は14位でレースを終えた。また、中盤にトップ争いからは離された#65 Polamaiは、最後まで入賞圏内のポジションを守り5位入賞を果たした。
AP250:レース2で#500 Sarmoonが2位表彰台!レース1では#22 MinamimotoがR25勢最高の8位
Race 1
予選、R25ライダーの最高位は#500 Anupab Sarmoon(Yamaha Thailand Racing Team)の6番手。過去2戦と比較し、厳しいウィークを過ごしてきたR25ライダーだったが、レース1ではその#500 Sarmoonが1人予選の状況を覆す走りを披露する。
スタートダッシュから3人をかわし3番手でスタートした#500 Sarmoonは、時にトップグループの最後尾で、時にグループの中へ分け入り、ライバルたちに1台で立ち向かった。しかし、その挑戦は後半の前に終わりを迎えた。突然のアクシデントによりスローダウン。これでトップグループからR25が姿を消したのだ。
一方後方では、地元日本の#22 Soichiro Minamimotoが、第2グループでライバルを相手に懸命にプッシュを続けていたが、後半に入り単独走行となって8位。その後には、「Yamaha Racing Indonesia」の#222 Reynaldo Chrisantho Ratukoreが9位で続いた。
Race 2
レース1で、苦戦を強いられたR25ライダー。レース2でもその状況を打開することはできなかったが、#500 Sarmoonが、トップグループに加わった。しかしポジションは5人の中の最後尾だったが、かわせないけれども上位に何かあれば常に前を狙える位置のキープに努めた。ところが、常に動きはあるものの上位に隙はなく、5番手キープが続く。
そして、最終ラップ、最大の勝負ポイントであるシケインを迎えた。当然、#500 Sarmoonも勝負に出るが、その前に上位が動き2台が絡むクラッシュが発生。これを見た#500 Sarmoonは冷静にこれをさばくと、最終コーナーでライバルに並び、ストレートでこれをかわしてレース1のリタイアをリカバリーする表彰台を手繰り寄せたのだ。
またその後方では、予選でのトラブルにより24番グリッドからスタートした#99 Galang Hendra Pratama(Yamaha Racing Indonesia)が驚異的な追い上げを見せ、#500 Sarmoonの背後、6番手まで浮上した。さらに、シケインでのクラッシュを受けポジションをアップすると、結果的に20人をかわし4位入賞を果たした。
UB150:ヤマハライダーが表彰台を独占!
5月中旬に行われたYAMAHA | VR46 Riders Academyに参加した#13 Md Akid Aziz(マレーシア)や#96 Anggi Setiawan(インドネシア)も出場したレース1は、「Yamaha Racing Indonesia」の#60 Wahyu Aji Trilaksanaが、ライバルたちを抑え今シーズン2勝目。これに「UMA Racing Yamaha Maju Motor」の#13 Md Akid Azizと#26 Md Haziq Md Fairuesが続き、ヤマハが開幕から3大会連続となる3回目の表彰台の独占を達成した。
レース2も、ヤマハライダーがレースをコントロール。#60 Wahyu Ajiと#13 Azizが、周回ごとにトップを入れ替えながら、最終ラップまで進んでいく。そのラストラップは、コーナーごとにポジションを入れ替えるさらに激しいバトルとなるが、#60 Wahyu Ajiがトップでシケインを迎えるが転倒。これに#13 Azizが絡んでしまい2人ともに大きくポジションを落とす。これでライバルにワンツーを奪われるが、レース1で3位の#26 Md Haziq Md Fairuesが、再び3位表彰台に上った。
次回の第4戦は、8月12-13日、インドネシアのセントゥール・インターナショナル・サーキットにて開催される。
SS600 RESULT Race.1
SS600 RESULT Race.2
SS600 RIDERS RANKING
AP250 RESULT Race.1
AP250 RESULT Race.2
AP250 RIDERS RANKING
COMMENT
SS600
YAMAHA RACING TEAM
#76 Yuki Ito(2位/2位)
「今回は目標だった優勝には届きませんでしたが、精一杯やれたレースでした。特に第2戦を落として、そこからうまく立て直すことができたのは自分のキャリアでもなかったことだし、自分の成長を感じた大会でした。レースは、一言で言えばアンソニー選手に完敗でした。特にレース2は自分がグリップを得られていないことを見破られ、それを狙われてかわされました。その後は、セクション1・2で離され、セクション3・4で追いつくけれど、かわすことができない状況で、最終的に離され、後方から追い上げを食らってとても大変なレースでした。今回は、2つともに表彰台に立てたのは大きなことだし、何よりも第2戦で失った自信を取り戻すことができたのは大きいです。次のインドネシアでは勝利だけを目指して戦います」
#64 Keminth Kubo(DNF/14位)
「レース1は10番手までは良い流れで走ることができていました。その直後の転倒は突っ込みすぎによるものですが、集中力が足りなかったのだと思います。レース2も序盤は良かったのですが、自分の能力を超えるレベル、自分のファステストまでペースを上げ、コントロールできずコースアウトするなどミスがあり、思うように順位を上がることができませんでした。これらはレース1も含め自分の能力不足によるもの、課題は多いですね。ここまで3戦が終わりました。その中で改めて、トップに追いつくことは簡単でないし、時間もかかるものだとわかったので、焦らずにトップ10に確実に入ることをまずは目指していきます」
Toru Koseki監督
「伊藤選手の今回の目標は優勝でした。結果の通り、その目標には届きませんでした。しかし、2つ成績を表彰台で揃えたこと、それがとても重要だと感じています。またレースはよい時、悪い時がありますが、悪い時にどうまとめるか、立ち直るかが重要です。今回は第2戦からの立て直し、そしてウィーク中、転倒からの立て直しということがありましたが、それができたこともまた大きなポイントです。そして次回、地元から離れてのレースになりますが、インドネシアでの成績が大きなカギになると思います。次こそはチーム全体で獲りにいきます。一方ケミン選手は、前回、両レースでシンルグでフィニッシュしてポイントも獲得し、よい流れをつかんだ大会でしたが、今回はその流れを生かすことができませんでした。レース1で転倒して悪い状況を作り、レース2ではそれを引きずってしまいました。もちろん早く成長するのは大事ですが、今年はまず完走しポイントを取り続けて経験を積むことが大切です。それを自覚してもらい、次のレースに臨んでほしいと思います」
Akeno Speed Racing Team
#13 Anthony West(優勝/優勝)
「レース1はミスがあり、追い上げるのにとても苦労したことから、レース2はスタートから序盤までのところを落ち着いてトップグループについていくことに専念しました。レース1もですが、とにかくライバルがみんな速く、なかでも伊藤選手は特に調子がよくて、レース2の方がタフなレースになりました。ただ、伊藤選手のタイヤが少し滑っている状況がわかったので、その瞬間を狙ってうまく前にいくことができました。そこからは最後のシケインでクラッシュが多かったことから、少しでもマージンを広げられるようプッシュしたのですが、それがうまくいって優勝できました。とにかく、この週末は本当にすばらしいものになりました。次もがんばります」
AP250
Yamaha Thailand Racing Team
#500 Anupab Sarmoon(DNF/2位)
「鈴鹿は日本のライダーが特に速く、新型マシンを使うライバルも速いことがわかっていましたが、レースはライバルに対しR25は僕の一台だけという状況で、さらに苦しい戦いが待っていました。実際のレースは、常にライバルについていく我慢の走りでした。レース1は、不運にもトラブルでリタイアとなってしまいました。レース2はトップグループに食らいついていましたが、なかなか勝負できないでいたのです。ただ、何かあった時に前に出られるポジションにいて、何かあった時の準備を常に心がけました。ラストラップ、ライバルの転倒で2位に入ることができたのは、こうしたおかげです。ただ満足はしていませんし、次のインドネシアはまた地元のライダーが速いと思いますが、初優勝を目指してがんばります」