アジアロードレース選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどアジアロードレース選手権に関する情報をお届けします。
Rd.02 4月15日 タイ
RACE DATA
■大会名称:2017アジアロードレース選手権第2戦タイ
■カテゴリ:SS600・AP250
■会場:タイ・チャーン・インターナショナル・サーキット(4.554km)
【レース1】
■開催日:2017年4月14日(金)
■コースコンディション:ドライ
SS600クラス
■周回数:16周
■PP: Decha Kraisart (1分38秒641/Yamaha)
■FL: Decha Kraisart (1分39秒323/Yamaha)
AP250クラス
■周回数:10周
■PP: Takehiro Yamamoto (1分53秒464/ホンダ)
■FL: Takehiro Yamamoto (1分54秒251/ホンダ)
【レース2】
■開催日:2017年4月15日(土)
■コースコンディション:ドライ
SS600クラス
■周回数:18周
■PP: Decha Kraisart (1分38秒641/ヤマハ)
■FL: Decha Kraisart (1分39秒351/ヤマハ)
AP250クラス
■周回数:10周
■PP: Takehiro Yamamoto (1分53秒464/ホンダ)
■FL: Rheza Danica Ahrens (1分53秒868/ホンダ)
REPORT
YAMAHA TEAMが開幕戦に続き各クラスで躍動!
灼熱の太陽のもとアジアロードレース選手権・第2戦がタイのブリラム・インターナショナル・サーキットで開催され、開幕戦に続きヤマハライダーが各クラスで活躍。SS600では地元「Yamaha Thailand Racing Team」が速さを見せて2つの表彰台を奪うと、AP250でも同じく「Yamaha Thailand Racing Team」の#500 Anupab Sarmoonが、2・3位として4レース連続表彰台。さらにUB150のレース2ではインドネシア、マレーシアの若手が躍動し表彰台を独占した。
SS600:レース1でC・Polamaiが2位、レース2ではD・Kraisartが2位!
Race 1
マレーシアラウンドから2週間、グランプリ・サーカスのごとくARRCの一団が、タイのブリラム・インターナショナル・サーキットへと集結した。タイの旧正月と重なったことから、通常とは異なるスケジュールとなり、14日(金)に予選とレース1 、15日(土)にレース2が行われた。
「YAMAHA RACING TEAM」の#64 Keminth Kuboにとっては母国レース。日本を拠点に活動してきたことから、タイでもまだ名の知られていないことから、アジアのトップライダーと渡り合う姿を見せ存在感を示すこと。また前戦で両レースリタイアとなったことから完走しポイントを獲得することが目標となった。#76 Yuki Itoは、表彰台、そして優勝が目標であり、マレーシアでつかんだ手応えとともに会場に乗り込んだ。
さらに「Yamaha Thailand Racing Team」の#24 Decha Kraisart、#65 Chalermpol Polamai、スーパースポーツ世界選手権にエントリー、今季初のARRCとなる#13 Anthony Westというベテラン勢もまた並々ならぬ決意で臨んでいた。特にタイの2人は、地の利と経験を生かして、#24 Kraisartがポールポジション、#65 Polamaiが3番手。スペインはアラゴンから駆けつけた#13 Westも2列目6番手。予選9番手の#76 Ito、15番手の#64 Kuboは、先輩たちの背中を追うこととなった。
迎えたレース1は、地元の大声援を受ける#24 Kraisartがホールショット。#25 Azlan Shah Kamaruzaman(カワサキ)、#65 Polamaiを従えてはいたが、付け入る隙を与えない走りでトップを快走した。ところが8周目走行中、開幕戦の悪夢が再び#24 Kraisartを襲う。スリップダウンによりリタイア...
これで火がついたのは3番手を走行していた#65 Polamai。ライバルとの差を削り取り背後へ迫ると一気にトップへ。その直後、逆転を許し2位でチェッカーを受けたが、地元できっちりと表彰台を奪うことに成功した。
#76 Itoはスタートで順位をアップすると第2グループでレースを進めるが、上位陣の脱落もあり一時は3番手に浮上。その後、#13 Westを含む3人の集団となるが、ここで#76 Itoにトラブルが起こりオーバーランで後退。2人となった3位争いは#13 Westに軍配が上がり、#65 Polamaiとともに3位表彰台を獲得。
一方の伊藤は表彰台に届かなかったが6位入賞、#64 Kuboは10位で初の完走を成し遂げたが、2人はともにレース2での逆襲を誓い翌日を迎えることとなった。
Race 2
前半はヤマハライダーの#24 Kraisart、#76 Ito、#13 Westを含めた6人が関わる激しいバトルが待っていた。序盤から勝負を仕掛けたのは#24 Kraisart。レース1の転倒で腫れ上がった手首をかばいながらも次々と順位を上げ4周目にトップに立つ。これにくらいつてきたのがレース1の勝者#25 Kamaruzamanで、2人はトップを争いながら周回を重ねていった。
その少し後方では#76 Ito、#13 Westら4人が3位争いを展開。ストレート後のブレーキングで差し合う緊張感ある戦いを繰り広げた。このサバイバルで勝ち上がったのが#13 West。3位争いを制するとそのままトップ争いに食い込み、14周目には#24 Kraisartをかわしてトップに立つ。そしてここからさらにトップ争いがヒートアップ。3人が優勝を目指しラストラップまで意地をぶつけ合いながら最終コーナーを迎える。
「手首の感覚はなかった」と後で振り返ったが、3番手の#24 Kraisartが超レイトブレーキングで強引にインを突く。スタンドは一瞬歓声に包まれたが、直後、その歓声は悲鳴に変わる。オーバーラン。これで#13 West、#25 Kamaruzaman、#24 Kraisartの順位でチェッカーが振られた。一方の#76 Itoは、4位争いの中で後退し6位でチェッカーとなった。
#64 Kuboは1周目を終えて11番手から着実にポジションを上げ、3台による7位争いに加わった。開幕戦はバトル中に転倒を喫したが、今回は勝負しながらも冷静な走りを披露。7位には届かなかったものの8位・シングルフィニッシュを達成。ARRCのルーキーは、確実な手応えと成長を見せた。
なお、レース終了後、3位/優勝の#13 Westが、両レースでともに失格となった。これによりレース1は4位、レース2は全員の順位が一つずつ繰り上がることとなった。またレース1で2位の#65 Polamaiは、ジャンプスタートをおかしてピットスルーのペナルティを受け13位となった。
AP250:A・サームーン選手が2・3位で4レース連続表彰台!
Race 1
開幕戦で惜しくも優勝を逃し、ホームレースである今大会で巻き返しを図りたい「Yamaha Thailand Racing Team」と、開幕からの連勝を狙うライバルが激しくぶつかり合うレースとなった。
好スタートを切ったのはR25のライダー。「Yamaha Thailand Racing Team」の#500 Anupab Sarmoon、チームメイト#14 Peerapong Loiboonpeng、Yamaha Racing Indonesiaのエース#99 Galang Hendra Pratamaがライバル3台を含む、計6台でトップグループを形成しレースを進める。
しかし、トップグループのペースは速く、まず#99 Pratamaが離されて、中盤には#14 Loiboonpengが遅れ、残ったのは#500 Sarmoonとライバル3台だった。
1対3の状況。完全に形成は不利な状況だ。案の定、それまで2番手を死守してきた#500 Sarmoonは4番手へ後退。このレース初めて表彰台圏内から脱落してしまうが、これで終わらないのが#500 Sarmoon。地元の声援を背中に再び攻めの姿勢を取り戻すと、ラスト2周で3番手に浮上し、ラストラップにはコーナーの攻防で2番手を奪取。最終的にトップには及ばなかったが開幕から3レース連続となる表彰台を獲得した。
この後方では、#500 Sarmoonのチームメイトらがライバルとバトルを繰り広げ、#14 Loiboonpengが7位、#39 Peerapong Boonlertが8位、#99 Pratamaが9位を獲得した。
Race 2
レース2もまた、R25のライダーの好スタートからレースが始まる。#500 Sarmoonがホールショットを決めると、トップ6の中に4人のR25ライダーが食い込む。しかしトップ争いは序盤で一気に絞られる。#11 Takehiro Yamamoto(ホンダ)、#123 Rheza Danica Ahrens(ホンダ)そして#500 Sarmoonが後方を引き離すと、ここからラストラップの最終コーナーまで勝負を続ける。
前半は大きな動きはなく、#11 Yamamotoがリードし#500 Sarmoon、#123 Ahrensが続くが、後半に入るとそれまで2番手を守ってきた#500 Sarmoonは3番手にポジションを落としてしまう。
3台の実力が均衡し逆転が難しい状況だったが、#500 Sarmoonは決して勝負をあきらめていなかった。ラストラップ、一旦2番手に上がるも、再び3番手へ後退。そして最終コーナーで#500 Sarmoonが再び仕掛ける。2番手の#123 Ahrensともつれるようにブレーキング、ともに一歩も引かない勝負は#123 Ahrensに軍配が上がる。それでも#500 Sarmoonにとっては2大会4レース連続の表彰台獲得となった。
この後方では、6台での4位争いが繰り広げられ、4台のR25が加わった。この中で#33 Yusuke Nakamuraが5位、#99 Pratamaが6位入賞を果たした。
UB150
多くの有力な若手ヤマハライダーが参戦するUB150は、レース2でヤマハが表彰台を独占する活躍を見せた。
レースは例のごとく、コーナーごと、周回ごとに順位を入れ替える混戦となったが、この中で「Yamaha Racing Indonesia」の#60 Wahyu Aji Trilaksanaが安定して表彰台圏内をキープ。接触、転倒を含め最も激しい勝負が繰り広げられる最終コーナーも危なげなくさばき、今季初勝利を獲得した。2位はマレーシアの#13 Md Akid Aziz(UMA Racing Yamaha Maju Motor)、3位は同じくマレーシアの#54 Md Hafieenaz Md Ail(Team One For All)が入った。
なお、14日金曜日のレース1では、マレーシアの#18 Tengku Amirul Haffiruddin(RCB KAGE Motobatt Yamaha YY Pang Racing)が、3位表彰台を獲得した。
SS600 RESULT Race.1
SS600 RESULT Race.2
SS600 RIDERS RANKING
AP250 RESULT Race.1
AP250 RESULT Race.2
AP250 RIDERS RANKING
COMMENT
SS600
YAMAHA RACING TEAM
#76 Yuki Ito(5位/5位)
「レース1は、スタートは順当に決めれば前についていけると思っていましたし、実際に順位を上げ、最高3番手までいけました。その後トラブルがありましたが、無理せず転倒を避け、オーバーランで対応できたことはよかったのです。でも悔しい気持ちがないといえば嘘になります。レース2は、レース1よりさらに手応えを感じていたのですが、それ以上に周りが速かったですね。特にタイヤマネジメントについては上位のライダーに比べ劣っていたし、今のマシンでどうそれを改善するのかを考えなければいけません。また予選結果も反省点の一つ。少しでも上のグリッドにつければ、無理することなく、優勝の確率も上がっていくので、そこもしっかりと改善し、鈴鹿では勝利をつかんでみせます」
#64 Keminth Kubo(9位/7位)
「開幕は2つともリタイアだったので、今回はとにかく完走することが一番でした。レース1の結果は10位(9位に変更)ですが納得しています。レース2ではもう少し順位を上げるため、レース1でみつけたセッティングの課題改善に努め、ウォームアップで手応えをつかんでレース2に臨み8位(7位に変更)。この結果も良かったですね。特に今日は3台でのバトルになりましたが、ライバルのラインを確認し、チャンスがあれば勝負しようと落ち着いて考えながらレースができました。実際は勝負のタイミングが早すぎて失敗したのですが、これも経験です。ここまで全日本を含め3週連続でレースがあり、短い中でたくさんのことを経験し、成長できています。最終戦ではトップグループを走っていられるよう、これからも前に進んでいきます」
Toru Koseki監督
「Kubo選手は前回結果を残せていないので、まずは完走することが目標でした。完走がないとARRCの中での位置が把握できず、次のステップには進みにくいためです。今回はそれをシングルフィニッシュで達成したことは良かったし、チームとしても納得の結果で、これを起点にさらに上を目指してもらいます。Ito選手は、昨年は成績に大きな波があったのですが、前回から継続して良い状態をキープできています。ただ一発のタイムが必要な予選は、結果を残せていないので、ライダーを含めチーム全体で修正していくことが重要と感じています。鈴鹿で予選にも決勝結果にもこだわり、しっかりと結果を残して、第4戦のインドネシア以降でタイトル争いに絡んでいけるように進化を続けていきたいと思います」
Yamaha Thailand Racing Team
#24 Decha Kraisart(DNF/2位)
「レース1の転倒で手首を痛めてしまったのですが、レース2の半分を過ぎたあたりからはほどんと感覚がない状態でした。後半に入ると、West選手が加わってレースも激しいバトルに変わっていったのですが、順位よりもペースをキープし、転倒しないことで精一杯でした。ただ最終ラップの最終コーナーだけは気持ちにスイッチを入れました。ホームレースでありなによりも勝ちたかったので。結果的にうまくいきませんでしたが、それでも後悔なくレースを終えることができました。次の鈴鹿は昨年は勝っているし自信もあるサーキット。最低でも表彰台という気持ちですが、やっぱり勝ちたいですね」
Theerapong Opaskornkul, Senior General Manager of Sales & Marketing Support
「昨日はDecha選手がトップを走行中に転倒。しかし、Chalermpol選手が2位を獲得してくれました。そして今日はChalermpol選手にジャンプスタートがありチャンスを失ってしまいましたが、Decha選手が今度は2位を獲得してくれました。昨日の転倒で手首に怪我をしていたのですが、最後まで気力を振り絞って勝負する姿は多くのファンに感動を届けられたと思います。次の鈴鹿は、両選手ともに走り慣れたサーキットなので、今回の悔しさを晴らす好成績を残してくれることでしょう」
AP250
Yamaha Thailand Racing Team
#500 Anupab Sarmoon(2位/3位)
「優勝できなかったことは悔やまれます。でも今回の結果と内容を考えると、決して悪くはないし、精一杯がんばって表彰台に立てて良かったと思います。特にレース2の最終ラップ・最終コーナーの攻防は、結果的に成功しませんでしたが、全力で勝負したので自分でも満足しています。そしてこの結果が、さらに上を目指そうというモチベーションにもつながっています。次の鈴鹿のターゲットもやはり表彰台に立つことですが、その中で優勝できれば最高ですね」
Theerapong Opaskornkul, Senior General Manager of Sales & Marketing Support
「レース1・2とも、Anupab選手が1人ライバルに立ち向かう状況となりました。前回からわかっていたことですが、ライバルのマシンも速かったし、対峙したライダーもあまりミスがなくAnupab選手は相当苦労したことと思います。今回はファンもたくさん集まるホームレースということで優勝したかったのですが、チャンピオンシップを見ればライバルとの差もほとんどないため十分な成績だと感じています。次回に向けての課題は見えていますが、ライバルも着実に強くなる。なかなか追い抜くのは簡単ではありませんが、引き続き全力を尽くします」
UB150
Yamaha Racing Indonesia
#60 Wahyu Aji Trilaksana(DNF/優勝)
「レース1は、グリッドが後方だったこともあり、作戦として最初からプッシュするレースをしました。うまくスリップも使え、マシンもよく走って上位で戦えていたのですが、マシンを酷使したことでトラブルがありリタイアとなりました。レース2に向けてはチームが徹底的にマシンをチェックしてくれ、とても気持ちよくライディングができました。それがこの結果を導いてくれたのだと思います。今年からチームに加わったわけですが、全員が100%のサポートをしてくれ、とても良い環境があります。このサポートに応えるため、鈴鹿でもしっかりと結果を出したいですね」
Wahyu Rusmayadi監督
「レース1は厳しい結果に終わったわけですが、それを乗り越えて勝利できたことは、ライダーだけでなく、チーム全体の実力があったからこそだと感じています。チームにとっては初勝利であり、本当にうれしく思います。しかし、まだチャンピオンに向けて第一段階をクリアしたにすぎません。ライダー、マシン、そしてチームもさらに改善を重ねていくことで、目標となるチャンピオンが見えてくると思います。まだまだこれからです。一方、AP250は苦戦しています。マシンは開幕よりも第2戦、レース1よりもレース2とよくなっていますが、まだ足りないということ。マシンだけではなく、ライダーもレベルを上げていくことで戦えるのだと思いますので、気を抜かずに引き続き努力を続けます」