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Yamaha Motor Revs Your Heart

レース情報

ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)

ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。

Rd.03 4月13日 ポルトガル

RACE DATA

■大会名称:MotoGP第3戦ポルトガルGP
■開催日:2008年4月13日(日)決勝結果
■開催地:ポルトガル/エストリルサーキット(4.182km)
■観客数:72,383人
■周回数:28周(117.096km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:18度 ■路面温度:21度
■PP:J・ロレンゾ(ヤマハ/1分35秒715)
■FL:J・ロレンゾ(1分37秒404)

REPORT

ロレンゾがモトGP初優勝!ロッシは3位表彰台!

速報

モトGPデビュー3戦目のロレンゾは、13周目の1コーナーでペドロサ(ホンダ)を抜き、続くシケインで前を走るロッシを抜き、その後もペースを上げ逃げきりモトGP初優勝を飾った。2位はペドロサ、3位にロッシ、4位にエドワーズが入った。トーズランドは7位だった。20歳のロレンゾの成績は、最高峰クラスでの3連続表彰台獲得の最年少記録となる。

ペドロサの好スタートで決勝が開始。1周目のトップ争いは、その後ロッシ、ロレンゾと目まぐるしく入れ替わり、結局ロレンゾ、ロッシ、ドビツィオーゾ(ホンダ)、ペドロサの順番で1周目を通過。2周目にまたロッシがトップに立ち、ロレンゾ、ドビツィオーゾ、ペドロサが僅差で続く展開で進行。10周目頃まではこの上位4台がコンマ5秒内の接近戦。ロレンゾは11周目の1コーナー進入でペドロサに抜かれ3番手に後退。しかし13周目、1コーナー進入でペドロサを抜き返して2番手に上がると、その勢いのままシケインで先行するロッシを抜きトップに踊り出てレースをリード。一方のロッシは15周目にペドロサに先行されて3番手に後退してしまう。

先頭を行くロレンゾは14周目、15周目、16周目、18周目と次々と37秒台のファステストラップを更新しながらペドロサとの差を広げる。ペドロサも37秒台でロレンゾを追うが、その差は縮まらずロレンゾが約2秒差で優勝。ロッシが3位となった。

エドワーズは序盤6番手を走り、中盤はドビツィオーゾとヘイデン(ホンダ)の後退で4番手に浮上。そして終盤はロッシの後ろ約5秒遅れのところをロッシ同等のタイムで力走、そのまま4位でチェッカーを受けた。トーズランドはスタートでやや遅れて序盤10番手。他選手の脱落もあり17周目には6番手まで浮上するが、追い上げてきたストーナー(ドゥカティ)に21周目に抜かれ、結局7位でゴールした。

【レポート】

開幕以来、3戦連続のポールポジションと2回の表彰台を獲得してきたフィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンゾが、エストリルでついに最高峰クラス初優勝、同時にランキングトップに躍り出た。チームメイトのV・ロッシも3位に入り、二人揃っての表彰台は今季2度目。またテック3・ヤマハ・チームのC・エドワーズとJ・トーズランドもそれぞれ4位、7位と健闘した。

ロレンゾは土曜日に行われた公式予選で、ロッシが持っていたポールレコードをコンマ5秒も短縮。モトGPフル参戦1年目の開幕戦から3戦連続となるポールポジション獲得に成功した。一方のロッシもブリヂストン製予選タイヤでタイムを更新、カタールの7位、ヘレスの5位から大きく前進して3番手、フロントロウに並んだ。エドワーズとトーズランドはともにグリッド2列目。ヤマハの4台が予選でトップ6に入ったのは2001年のドイツGP (ザクセンリンク)以来。

ロレンゾ、D・ペドロサ、ロッシの3台が好スタートを切り、もつれ合うようにしながら1コーナーへ進入。そのまま激しく競り合いながら、ロレンゾがトップを守りきって1周目を終えた。しかしロッシがその豊富な経験を生かし、1km以上に及ぶモトGPコース最長のストレートでロレンゾに並ぶと1コーナー進入のブレーキングでトップを奪った。

天候が安定せず、ときおり雨が落ちてくるコンディションのなか、ロッシは果敢にも序盤の数ラップを攻め続け後続を引き離しにかかる。シールドにも雨粒がつくようになり不安もあったが、路面温度が21度と比較的高かったためスリックタイヤのグリップを維持することができたのは幸いだった。チームはピットレーンにレインタイヤを装着したスペアマシンを用意していたが、結果的にそのマシン交換の必要はなかった。

ロレンゾは冷静に走行しながらロッシのテールについていったが、後方からハイペースで追い上げてきたペドロサのプレッシャーを受けることとなる。そして11周目、ペドロサがロレンゾをとらえて2番手に浮上。しかしロレンゾもすぐに反応し、2ラップ後にはファステストラップを記録する勢いを見せて再び抜き返した。これで自信をつけたロレンゾ、ヤマハのマシンとミシュランタイヤに対する信頼も最高潮に達して、そのままさらにロッシにもしかけていく。

スペイン・ポルトガルの国境を越えてやってきた72,383人ものファンのサポートも味方にしたロレンゾは、モトGPコースの中で最も低速のシケイン進入でついにトップに立った。トップ争いは再びロング・ストレートに差し掛かったが、続く1コーナー進入までにすでに十分なリードを築いていたため、ここで事実上勝負はついた。レース前半でその技量と威勢のよさを十分にアピールしたロレンゾ、後半は250ccクラス2冠の実力と集中力を生かしてトップを守りきった。ペドロサは15周目にロッシをパスし、ロレンゾから1.817秒差で2位に入った。

弱冠20歳のロレンゾは、最高峰クラスでの3戦連続表彰台獲得の最年少記録。チャンピオンシップではロレンゾとペドロサがともに61ポイントで並んでいるが、今回の優勝によってロレンゾがトップに立つこととなった。一方のロッシはエストリルでの連続表彰台の記録を9回に伸ばしランキング3位をキープした。

テック3ヤマハ・チームでは、エドワーズが今季最高の4位を獲得。トーズランドも7位と健闘してランキング5位に浮上した。エドワーズは9周目まで6位を走行。17周目で4位に上がり、19周目には1分38秒083の自己ベストを記録しながらさらにロッシを追って行ったが届かなかった。4位獲得は昨年7月のドイツGP以来。

トーズランドは雨を気にしたのか、スタートでいつものアグレッシブさが見られず11位と出遅れた。しかしその後L・カピロッシ、C・バーミューレン、C・ストーナーを次々にパス。土曜日にチームとの契約を2009年まで更新することが決定したトーズランド、残り8ラップでストーナーに抜き返されて7位となった。第4戦は5月4日、中国は上海で開催される。

RESULT

順位 ライダー チーム マシン タイム
1 J・ロレンゾ Fiat Yamaha Team Yamaha 45'53.089
2 D・ペドロサ Repsol Honda Team Honda 1.81
3 V・ロッシ Fiat Yamaha Team Yamaha 12.723
4 C・エドワーズ Tech3 Yamaha Team Yamaha 17.223
5 J・ホプキンス Kawasaki Racing Team Kawasaki 23.752
6 C・スト―ナー Ducati Marlboro Team Ducati 26.688
7 J・トーズランド Tech3 Yamaha Team Yamaha 32.631
8 C・バーミューレン Rizla Suzuki MotoGP Suzuki 36.382
9 L・カピロッシ Rizla Suzuki MotoGP Suzuki 38.268
10 中野真矢 San Carlo Honda Gresini Honda 39.476
11 A・デ・アンジェリス San Carlo Honda Gresini Honda +1'01.306
12 T・エリアス Alice Team Ducati +1'03.867
13 M・メランドリ Ducati Marlboro Team Ducati +1'09.525
14 S・ギュントーリ Alice Team Ducati +1'09.634
15 R・ド・ピュニエ LCR Honda MotoGP Honda +1'11.542

LAP CHART

RIDERS RANKING

順位 ライダー マシン ポイント
1 J・ロレンゾ Yamaha 61
2 D・ペドロサ Honda 61
3 V・ロッシ Yamaha 47
4 C・スト―ナー Ducati 40
5 J・トーズランド Yamaha 29
6 L・カピロッシ Suzuki 26
8 C・エドワーズ Yamaha 22

CONSTRUCTORS RANKING

順位 コンストラクター ポイント
1 Yamaha 65
2 Honda 61
3 Ducati 40
4 Suzuki 27
5 Kawasaki 24

COMMENT

J・ロレンゾ選手談(優勝):

「まるで天国にいるような気分!まずはじめにヤマハとフィアットにお礼を言わなければならない。なぜなら、彼らが僕を信頼してくれたからこそ、今僕は、こうしてここにいられるのだから。本当に信じられないことで、今の気持ちを言葉で表すことなど、とてもできない。チームのみんなが見事な仕事をした。そしてヤマハのマシンとミシュランのタイヤが、とってもとっても良かったんだ。

序盤で雨粒が落ちてきて、さらにひどくなりそうな感じだったので不安だった。でもとにかく全力で走り続け、細かいことは思い出せないんだけれど、必死でバレンティーノをパスしたよ。かなり無理をしてしまったからバレンティーノには申し訳ないことをしたんだけれど、あのときは何とかやれると思ったから勝負に出て、そしてそのまま逃げたんだ。僅か3戦目で優勝できて、チャンピオンシップでもトップに立つことができるなんて、夢にも考えたことはなかった。でもペドロサとバレンティーノは速くて経験もあって賢いライダーだから、ここで気を抜くわけにはいかない。今日も腕に痛みがあったので、次の中国GPの前に手術をするかどうか、よく考えて決めなければならない。でもしばらくは、ただこの幸せを楽しみたい」

D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談:

「夢が実現した。ホルヘは本当に見事なレースをしたよ。並みいるライバルたちと懸命に戦う彼を見ていると、モトGP3戦目とはとても信じられないほど。でも現実にこうして優勝を果たしたんだ。ヤマハとミシュランが素晴らしいマシンを与えてくれて、それをチームの皆でしっかりとセッティングして作り上げた。だからこそここまで来ることができたのだ。明日はテストを予定しているが、ホルヘの腕の状態によっては中止になるかもしれない。次のレースまでには2週間あるので、手術をしたとしても回復できるだけの十分な時間がある。また次回、ホルヘとともにエキサイティングな週末を過ごすことを楽しみにしている」

V・ロッシ選手談(3位):

「僕らにとっては難しいコースだと思っていたので、最終的に3位という結果を出すことができて良かった。YZR-M1はとてもよく走ってくれて、スタートもうまくいったし、そのまましばらくはトップを走ることもできて楽しかった。ブリヂストン・タイヤも好調だったが、28周のレースは厳しいものなので、できるだけタイヤを温存して走ろうと考えていたんだ。それでも終盤になると少しずつスライドし始め、残念ながらロレンゾとペドロサについていくことができなかった。

でも今シーズンから初めてパートナーとなったブリヂストンと少しずつ互いの理解を深めていくこの段階で、こうして連続表彰台を獲得できたことは重要な意味がある。この1週間で、また大きく一歩、前進することができたんだ。明日はテストを行い、次の中国GPでは優勝を狙っていきたい!」

D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談:

「難しい状況にもかかわらず、バレンティーノはよく頑張ってくれた。表彰台に上り貴重なポイントも獲得できた。厳しいレースになることは予想していたので、チームのみんなと、エンジニアたちに心から感謝している。彼らのおかげでヤマハ+ブリヂストンの1台のマシンが最大限に力を発揮できたのだ。これからの15戦を楽しみにしているし、次の中国ではぜひ、ブリヂストンでの初優勝を成し遂げたいと思っている。明日のテストではタイヤとマシン・セッティングに取り組む。そのあとは次の戦いに備えて、しばらく休養する予定だ」

中島雅彦フィアット・ヤマハ・チーム総監督談:

「第3戦の舞台となったポルトガルのエストリルサーキットは、ヨーロッパ最西端に位置し、大西洋からの風が直接雲を運んでくるため、天候は極めて不安定な所です。また、コースの全長は長くありませんが、ストレートは1km弱と長く、低速から高速コーナーまでマシンに対する要求は厳しく、適正なシャーシバランスの合わせ込みに苦慮しました。予選でまずまずの仕上りの良さを見せたフィアット・ヤマハ・チームの2台が、終始トップ争いをする活躍を見せ、ルーキーのJ・ロレンゾ選手が3戦目にして優勝、まだタイヤとのコンビネーションに思案しているV・ロッシ選手も3位表彰台を獲得、YAMAHAとして今シーズン初勝利で、やっと片目が開いた感じです。テック3・ヤマハ・チームのC・エドワーズ選手、J・トーズランド選手もそれぞれ4位、7位と上位で4台が完走できたことはうれしい限りです。今回の結果に安心することなく、チャンピオンシップを目指して頑張りますので、今後ともご声援をお願いします」

C・エドワーズ選手談(4位):

「グリッドに並んでいるとき、シールドに大きな雨粒が落ちてきた。あのときは、このあとどうなるのだろうと思ってとても不安な気持ちになった。スタートはうまくいったが、1コーナー進入では僕の目の前で誰かが転倒。第2コーナーでもまた同じことが起こった。実際、氷の上を走っているような感じだったんだ。そんな状況のなかでもひたすら体を伏せて全力で走り続けたが、だんだんと離されてしまった。電子制御システムもよく動いてくれたが、それが走りに上手く繋がらなかった。

とくに序盤は、なかなかタイヤを暖められなかったんだ。旋回速度より加速を重視したタイヤは、このコンディションのなかでうまく機能してくれなかった。スタートからずっとドライだったとしたら、表彰台を狙うこともできただろう。でも路面がちょっと濡れていたことでタイヤの端がなかなか暖まらず、コーナリング中のグリップが得られなかった。あとになってタイヤが暖まってくると調子も良くなってきたんだ。表彰台を狙っていたが、やはり4位獲得を確実にキープしたかった。それがこれからの戦いにつながると思うからだ。ニューエンジンも投入されて自信もついた。テック3ヤマハとミシュランのおかげで久しぶりの良い結果を残すことができた」

J・トーズランド選手談(7位):

「また1桁台の成績を獲得でき、ランキングで5位に上がることができたので満足。でも今回はとても厳しいレースだった。初日金曜日にドライのセットアップが出来なかったのが大きく影響したと思うが、それでもどういうわけか予選グリッドは2列目、決勝では7位に入れた。実はスタートは少し控えめにいった。グリッドに並んでいるときにロッシが空を指差したが、雨はほんの僅かだった。でも、シールドに雨粒がつくくらいになったので、いい気持ちはしなかった。コースの状況もよくわからないし、タイヤにも慣れていない僕としては、どこまで攻めていいのか分からなかったんだ。

そんな中でのスタートは、うまくいかなかったし、経験不足もあり1コーナー進入でのブレーキングポイントがよく分からなかった。結局、早くブレーキをかけすぎて遅れてしまったんだ。その後はペースも安定し38秒台をキープできるようになったが、やはり初日の遅れが響いてセッティングがぴったりと決まっていなかった。悪くはなかったのだが、もっと良くすることが出来たはずだ。加速のときにリアショックが柔らかすぎるので、スロットルを開けると出口でふくらんでしまった。ニューエンジンが入ってマシンが良くなっているのに、うまく走れなかったから、今までの2戦のようには喜べない」

H・ポンシャラル、テック3・ヤマハ・チーム監督談:

「ヤマハにとって素晴らしい1日になった。コーリンとジェームスの頑張りも嬉しかった。雨が少しだけ降って難しいコンディションのなか、ふたりは持てる力を出し切ってくれた。そして4位と7位というチームにとっては非常に重要になる成績を残してくれた。開幕からここまでとても順調なので、今後もこの調子を維持しさらに上を目指したい。チーム一丸となって前進していて、未来はとても明るいと思う。新加入のジェームスのこともよくわかってきたし、ヤマハのニューエンジンも投入されて好成績が狙える今、これからがとても楽しみ。また初優勝を果たしたロレンゾに心からの祝福を送りたい」

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