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Yamaha Motor Revs Your Heart

レース情報

ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)

ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。

Rd.01 3月9日 カタール

RACE DATA

■大会名称:MotoGP第1戦カタールGP
■開催日:2008年3月9日(日)決勝結果
■開催地:カタール/ロサイル・サーキット(5.380km)
■観客数:5,422人
■周回数:22周(118.36km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:18度 ■路面温度:19度
■PP:J・ロレンゾ(1分53秒927/ヤマハ)
■FL:C・スト―ナー(1分55秒153/ドゥカティ)

REPORT

ロレンゾが2位表彰台獲得!

【速報】

モトGPデビュー戦のJ・ロレンゾが2位表彰台を獲得。V・ロッシは5位、J・トーズランド6位、C・エドワーズ7位とヤマハ勢全車が上位フィニッシュした。優勝はC・スト-ナー (ドゥカティ)だった。

日中の暑さを避けレース開始は夜の11時というGP史上初のナイターの決勝。ホールショットを奪ったD・ペドロサ (ホンダ)が序盤はリードする。後方にロッシ、ロレンゾらがつくが、5周目にロッシが首位にたつ。ロッシ以下は、ペドロサ、ロレンゾ、ストーナー、A・ドビツィオーゾ (ホンダ)、トーズランド、エドワーズという順の進行。8周目に入ると順位を上げてきたストーナーがロッシを抜いて首位に浮上、続く9周目はロレンゾがロッシを抜き2番手に。中盤ロッシがやや後退する中、ストーナーとロレンゾはテール・ツー・ノーズのトップ争いを見せるが、ストーナーが抜け出し後半は首位を独走、そのまま逃げ切り優勝した。ロレンゾは約5秒遅れの2位だった。

序盤首位を走ったロッシは中盤、ペドロサとの接近戦で3位争いを展開。しかし後半になると後退して単独4番手に、最終周にはドビツィオーゾに抜かれ5位となった。トーズランドは序盤はトップ集団に食い込む走りを見せるも、結局ロッシに0.7秒遅れの6位でチェッカー。さらに約1秒遅れでエドワーズが7位となり、ヤマハライダー全員が上位フィニッシュした。

【レポート】

フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンゾが、モトGPデビュー戦で2位獲得の大健闘。モトGP史上初めて行われたナイト・レースは、ルーキーのこの活躍で、より一層記憶に残る劇的なものとなった。250ccクラスではすでに2度のチャンピオンに輝いているロレンゾ。ここロサイル・サーキットではこれまでに、250ccで3回、125ccで1回ポールポジションを獲得しているが、初めてのモトGP挑戦となった今回もその記録を伸ばして連続5度目のポールポジション。早くも2008シーズンのチャンピオン候補のひとりとして名乗りを上げることとなった。
一方、ロレンゾのチームメイト、V・ロッシは予選グリッド7位からスタートして5位。また、予選でロレンゾと並んでフロントロウを獲得していたテック3・ヤマハ・チームのJ・トーズランドとC・エドワーズが、ロッシに続く6位と7位でチェッカーを受けた。

土曜日に行われた予選で、コースを照らす540万ワットの光を一身に浴びることとなったのが若きロレンゾ。最高峰クラスのデビュー戦でいきなりポールポジションを獲得するという快挙は、1998年のM・ビアッジ以来10年ぶりのことだ。そしてこのロレンゾにほんのわずかの差で2位となったのが、同じくモトGPルーキーのJ・トーズランド。トーズランドは予選序盤で一時トップに立ち、その後ロレンゾと競り合い、最終的には僅差でトップを譲り2位につけた。さらに続いてエドワーズが3位に入り、昨年のイギリスGPでのポールポジション以来となるフロントロウ。
この結果ヤマハは、2002年のザクセンリンク以来のフロントロウ独占を達成した。当時の顔触れはO・ジャック、中野真矢、ビアッジの3人で、ジャックと中野は2ストロークマシン、ビアッジは4ストロークマシンを使用していた。4ストロークマシンでフロントロウを独占したのは今回が初めてだ。

ロレンゾはスタートで慎重になって少し順位を下げ、オープニング・ラップ終了時点で4位。それから序盤の8ラップまでは、ヤマハの4台を含むトップ6台が激しく順位を入れ替えるドッグファイトが続き、そのなかでトーズランドが、ロレンゾのわずかな隙に飛び込む接近戦も展開された。しかし弱冠20歳のロレンゾはひたすら上体を伏せ、この厳しい戦いを切り抜けていく。そして徐々にポジションを上げると9ラップ目、ついにはチームメイトのロッシをパスして2位に浮上した。
その後しばらくはトップのC・ストーナーに食らいついていったが、序盤の激しいバトルによる疲れが出て、腕上がりの症状にも悩まされる。その結果、優勝したストーナーから5.323秒離されて2位。しかし、3位のD・ペドロサにもほぼ同様の差をつけた。

一方のロッシは、路面温度の低さのためにペースが上がらず、不本意な5位。今回初めてブリヂストン製タイヤを履いたロッシは、オープニング・ラップで、すでにふたつポジションを上げており、続いて良いペースで走行して優勝候補のひとりとなった。そして5周目にはついにトップに浮上、そのまま3ラップにわたってレースをリードした。
ところがまもなくするとM1を思い通りに操ることができなくなり徐々に後退。ストーナーにトップの座を明け渡したあとは、さらにペースが落ち、そのあとは上位グループについていくことができなかった。ペドロサに抜かれて4位、次にA・ドビッチオーゾとの4位争いとなったが、最終ラップ、わずかの差で振り切られて5位となった。

ロレンゾの2位、ロッシの5位に加えて、その他のヤマハ勢も大活躍。テック3・ヤマハ・チームのJ・トーズランドとC・エドワーズが、ロッシに続く6位と7位を獲得した。トーズランドは予選で初めてのフロントロウを獲得して勢いに乗り、デビュー・レースを感じさせないほどの見事なスタートダッシュ。厳しい競り合いとなったオープニング・ラップを3位で終えると、2周目にはロレンゾをパスして2位に浮上した。一時はややペースが落ちて上位グループから遠ざかったトーズランドだが、再び表彰台を目指して決意を固めると、好タイムを記録しながら追い上げていった。そして最後までロッシとドビッチオーゾにプレッシャーをかけ続け、ロッシにコンマ7秒遅れの6位でゴールした。
一方のエドワーズは、序盤で上位グループの厚い壁に阻まれたこともあり、トップを狙うチャンスに恵まれず7位に終わった。

4人のライダーの活躍により、チーム・ランキングではフィアット・ヤマハ・チームがトップ、テック3・ヤマハ・チームが4位につけている。4人は次回のスペインGPで再びトップを狙っていく。

RESULT

順位 ライダー チーム マシン タイム
1 C・スト―ナー Ducati Marlboro Team Ducati 42'36.587
2 J・ロレンゾ Fiat Yamaha Team Yamaha +5.323
3 D・ペドロサ Repsol Honda Team Honda +10.600
4 A・ドビツィオーゾ JiR Team Scot MotoGP Honda +13.288
5 V・ロッシ Fiat Yamaha Team Yamaha +13.305
6 J・トーズランド Tech3 Yamaha Team Yamaha +14.040
7 C・エドワーズ Tech3 Yamaha Team Yamaha +15.150
8 L・カピロッシ Rizla Suzuki MotoGP Suzuki +32.505
9 R・ド・ピュニエ LCR Honda MotoGP Honda +33.003
10 N・ヘイデン Repsol Honda Team Honda +38.354
11 M・メランドリ Ducati Marlboro Team Ducati +44.284
12 J・ホプキンス Kawasaki Racing Team Kawasaki +49.857
13 中野真矢 San Carlo Honda Gresini Honda +49.871
14 T・エリアス Alice Team Ducati +58.532
15 S・ギュントーリ Alice Team Ducati +58.930

LAP CHART

RIDERS RANKING

順位 ライダー マシン ポイント
1 C・スト―ナー Ducati 25
2 J・ロレンゾ Yamaha 20
3 D・ペドロサ Honda 16
4 A・ドビツィオーゾ Honda 13
5 V・ロッシ Yamaha 11
6 J・トーズランド Yamaha 10
7 C・エドワーズ Yamaha 9

CONSTRUCTORS RANKING

順位 コンストラクター ポイント
1 Ducati 25
2 Yamaha 20
3 Honda 16
4 Suzuki 8
5 Kawasaki 4

COMMENT

J・ロレンゾ選手談(2位/+5.323)

「デビュー戦でこんな活躍ができるなんて考えてもみなかった。表彰台に上ったときには本当に興奮したよ! 2位という成績は僕にとってはまさに驚きで、走っていて楽しかったし今は嬉しさでいっぱい。スタートから2、3周は"クレイジー"で、実のところ、ちょっと怖かったんだ。でもそこを何とか耐えて何台かパスし、ようやく2位まで上がることができた。ストーナーについていきたかったが、しばらくするとすごく疲れてしまって、腕があがって痛くなってしまった。それで終盤はプッシュすることができなくなったんだ。いずれにしても彼は僕よりも速かったから完敗だね。素直に心から祝福するよ。もしもの話だけれど、スタートがうまくいっていたら終盤でこんなに疲れてしまうこともなくて、最後までリズムをキープできたかもしれない。でもどっちにしても、今日はこれ以上を望んじゃいけないね。
ヤマハとミシュランのサポートに感謝する。彼らのおかげでこの結果を得ることができたんだ。もちろん、チームのみんなもね。チャンピオンシップのことはまだ考えていないよ。だってまだたったの1回なのだから。今はただ、次のヘレスでまたベストを尽くすということだけ!」

D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談:

「何ということなんだ! 長い冬を終えて、ようやくレースが始まって、そしてこうしてホルヘの素晴らしい走りを見ることができた。これ以上望むことは何もない。彼は本当に見事だった。1戦目を終えて、モトGPレースに求められるものが彼にもわかったことだろう。我々チームも貴重なデータを収集することができたので、彼のためのマシン作りに生かしながら、これからはもっと楽に戦っていけると思う。長い冬のあいだにこつこつ努力を重ね、今日の日を迎えさせてくれたチームのみんなに、ヤマハに、ミシュランに心からお礼を言う。そして最後にもう一度、ホルヘの頑張りを評価したい」

V・ロッシ選手談(5位/+13.305)

「厳しいレースは予想していた。でも実はこれほどとは思っていなかったんだ! 先週の初めての夜間走行テストから始まって、このコースではまったくいいところがなかった。でもそんな状況のなかでも、決勝では表彰台を狙っていけると考えていたんだ。実際のレースはこのように本当に難しくて、今はとにかくその理由をはっきりと理解しなければならないと思う。5、6周目で56.4秒や56.5秒を記録することができたが、そのあとは最後までペースを上げることができなかった。ブレーキングはとても好調でスピードもあるが、コーナリング中でペースが落ちてしまう。ブリヂストン・タイヤは優勝できるだけのタイヤなのだから、僕ももっとうまく走らせることができるはずだ。冬季テストでは、いろいろなサーキットでとてもよく走ってくれた。ただここだけが例外だったんだ。
今の課題は原因を究明すること。アイディアはいくつかあったが、結局はすでにテスト済みのものを採用することにした。走りを向上させたりタイムを上げたりするためには、どうしても一定の時間が必要になるからね。僕らの実力がこんなものではないことは自分たちがよくわかっている。あとはすべてのデータと知識を集結して、それを次のレースのために最高の形で生かすことだ。最後に、ロレンゾにおめでとうを言いたい。彼の速さと才能はよく知っているが、そうだとしても今日は本当に素晴らしかった」

D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談:

「ブリヂストン・タイヤでの初レース。厳しい戦いになることはわかっていた。そのなかで貴重なデータが収集できたので、今はエンジニアと技術者がそれを評価、分析しながら次のヘレスに向けて準備を進めている。ブリヂストンは優勝を果たし、マシンは昨年に比べて格段に進歩した。他の3台は非常に速く走っているのだから、バレンティーノのマシンについてもこの好材料を混ぜ合わせてポテンシャル・アップにつなげていきたい。次のレースから、マシンを最高の状態に煮詰めていくことを目標にしたい」

中島雅彦フィアット・ヤマハ・チーム総監督談:

「砂漠の中、中東のカタールでは2004年からレースが開催されていますが、昨年までは灼熱の中でマシン、タイヤに厳しいレースと言うイメージがありました。しかしながら今年のトピックはナイトレースと言う耐久レースを除くバイクロードレス世界選手権史上初の試み尽きます。コースサイドには無数のナイター照明が配置され、ライダーの評判は悪くありませんでした。レースコンディションに目を向けると、砂漠の夜の冷え込みは予想以上で15℃まで気温が下がり、陽の当たらない路面は急激に温度を下げ、タイヤグリップの低下を招くと言う、今までのGPでは前例がない低温路面との戦いとなりました。このような状況ではベースマシンの完成度の高さが勝敗を決めることになります。今年からMotoGPクラスに挑戦するJ・ロレンゾ選手は、この難しいレースを2位表彰台とすばらしいパフォーマンスを見せてくれました。今年からブリヂストンタイヤを装着したV・ロッシ選手は、タイヤとのコンビネーションをうまく合わせ切れず、残念ながら5位となりましたが、テック3・ヤマハ・チームのC・エドワーズ、J・トーズランド両選手も健闘、トップ7に4台のヤマハが入り、YZR-M1の完成度の高さを証明できたと思います。まだまだ2008年シーズンは始まったばかりです。毎レースが厳しい戦いとなりますが、皆様のご期待に応えることができるよう、ライダー、チーム一丸でタイトル奪還に向け全力で戦いますので、変わらぬご声援をお願いします」

J・トーズランド選手談(6位/+14.040):

「開幕戦をこのような好成績でスタートできて嬉しい。周囲のみんなの支えがあってこそ、これができるのだということが実感できた。つまりテック3チーム、ヤマハ、ミシュランのおかげでここまで頑張ることができた。初めてのモトGPでバレンティーノの後ろでゴールできたなんて、僕の頭のなかでは非現実的なこと。最初の何周かは本当に苦しくて、ホルヘにしかけていったら近寄り過ぎてしまった。このクラスでの経験不足を見せてしまった。もう7年間も同じところで、同じ顔ぶれのなかで走ってきたので、彼らが何を、いつするかをすべて正確に理解できていたが、今日はホルヘが、僕がまさに抜こうとしたところでマシンを僕の鼻先に持って来たんだ。モトGPライダーたちがコーナリングでどのような挙動をするのかがわかってくれば、もっと安全にパスできるようになるだろう。でもそのあと、彼はちょっとだけ隙を見せたので、結局前へ出た。そのときは何も危ないとこもなく、さらに続けて全力でアンドレアとバレンティーノを追っていった。一周ごとにほんのわずかながら差を縮めていき、ついに最終コーナーで追いついた。しかしそのあとのストレートでふたりは僕を置いていってんだ。ブレーキングは皆好調だから、結局は追いつくことはできないのかもしれない。またほんの少しずつ追いついていくが、終盤はふたりがサイドバイサイドのバトルになって、後方にいる僕にとってはまるで壁のように立ちふさがった。初めてのGPで、ふたりをパスすることはできずに6位でゴールした。ちょっと悔しい気持ちもあったが、この22ラップで学んだことはまさにプライスレス。今は次のヘレスが待ち遠しくて仕方がない」

C・エドワーズ選手談(7位/+15.150):

「すべてを出し切ったよ。誰かが100万ドル僕にくれたとしても、これ以上速くは走れない。これ以上ないくらい一生懸命に走ったが、最後のほうはスピードが十分じゃなくて、それがどうしてなのか正直なところよくわからない。これからデータを分析してみなければならないが、昨日はまったくなかったフィーリングなんだ。昨日は絶好調だったので、決勝も自信を持って臨み表彰台を狙っていた。ところが2周目から、タイヤの感触がいつもと違っているのに気づいて、それに対処しなければならなかった。その時点で集団の後ろのほうにいて、彼らも逃げてはいくことはなかったが、僕のほうも追い上げていくことができなかった。プッシュするだけの自信がなくて、最終コーナーでジェームスのテールについて行こうとしたところで少しはらんでしまった。それでちょっと遅れた分、取り戻すのが不可能になってしまったというわけだ。僕を支えてくれたスタッフには感謝している。次のヘレスは上位を走りたい」

H・ポンシャラル、テック3・ヤマハ・チーム監督談:

「シーズンの開幕戦としては最高の形。なかでも注目すべきは、我がチームのふたりのライーがそろってフロントロウに並んだこと。これは非常に感動的な光景で、夢のようなシーズンのスタートだ。2002年に遡ってO・ジャックと中野真矢がザクセンリンクでこれを達成したが、以来6年間も見ることができなかった。だからこそ今回は、何としても表彰台を狙いたい気持ちになったが、それが非常に難しいものであることはわかっていた。ジェームスは素晴らしいファイティング・スピリットを見せてくれて、ホルヘに果敢に挑んでいった。レース全体としては、いくつかの部分でペースが上がらず、最終的にはバレンティーノにかなわなかったが、もうほんのあと少しで彼に勝てるというところまでいっていたんだ。コーリンのほうはベテランらしいステディな走りを見せてくれた。エストリルまでにはニューエンジンが投入されることになっているが、長いストレートのないヘレスではハンディにはならないだろう。ミシュランもまた高いポテンシャルを見せてくれているので、次のヘレスにも自信をもって臨める」

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