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Yamaha Motor Revs Your Heart

レース情報

ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)

ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。

Rd.10 7月16日 ドイツ

RACE DATA

■大会名称:MotoGP第10戦ドイツGP
■開催日:2006年7月16日(日)決勝結果
■開催地:ドイツ/ザクセンリンク(3.671km)
■観客数: 95,000人
■周回数:30周(110.13km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:20度 ■路面温度:38度
■PP:D・ペドロサ(ホンダ/1分21秒815)
■FL:D・ペドロサ(1分23秒355)

REPORT

YZR-M1のロッシ、ラスト2周の再逆転で今季4勝目!

【速報】

予選10番手グリッドからスタートしたキャメル・ヤマハ・チームのV・ロッシが、ラスト2周での逆転劇で今季4勝目を獲得。GP各クラスでの合計獲得ポイントが史上最多となる3,002とし、ランキングでは2位に浮上した。

気温20度、爽やかな青空の下で行われた決勝。予選10番手グリッド4列目スタートのロッシは、好スタートで飛び出し1周目の前半で8番手とすると、1周目を6番手で通過。レースは、序盤N・ヘイデン(ホンダ)がリードし、これにD・ペドロサとM・メランドリ、玉田誠、K・ロバーツといったホンダ勢が続く。

4周目、ロッシはロバーツを抜き5番手に、9周目に玉田をパスして4番手に上がる。11周目に入るとロッシの後方につけていたロバーツが転倒。これに玉田が巻き込まれて両者ともリタイヤ。二人のクラッシュの映像リプレイが場内に流れる間に、ロッシは着々と順位を上げヘイデン、ペドロサ、メランドリをパスし13周目にはついにトップに上がる。ロッシがトップに立った中盤以降は、そのすぐ後方を走るメランドリとペドロサが2番手を奪い合い、4番手にヘイデンがつける状態で終盤へ突入する。

迎えたラスト3周、その第1コーナー進入でメランドリがロッシのインをさしてトップに浮上。しかしその次の周の中盤、ロッシが再逆転してトップに立つと、ロッシ、メランドリが僅差のまま最終ラップは突入。メランドリはロッシを追うがロッシはこれを振り切って今季4勝目を飾った。ペドロサは終盤後退して4位、ヘイデンが3位となった。

ヤマハ勢ではロッシに次ぐ予選12番手(C・ストーナー(ホンダ)の決勝欠場でグリッドは11番手に繰り上げ)だったC・チェカが、終盤8位を走るもS・ジベルナウ(ドゥカティ)に抜かれ9位でフィニッシュ。またC・エドワーズは12位、J・エリソンは13位でヤマハ選手全員が完走しポイントを獲得した。

【レポート】

ベルリンで開催されたサッカーワールドカップ決勝戦でフランスと対戦したイタリアが劇的な勝利を飾ってからちょうど7日目。キャメル・ヤマハ・チームのライダー、ロッシがドレスデンに程近いサーキット、ザクセンブルグで開かれたドイツGPで同じく素晴らしいパフォーマンスを披露。今度はMotoGPで母国イタリアにセンセーショナルな勝利をもたらした。この勝利でランキング首位のヘイデンとの差を詰めたロッシは、連覇を射程圏内とした。

ロッシは金曜日から苦闘が続いていた。チームメイトのエドワーズとともにマシンのベースセッティングに悩み、この日の朝のセッションで6番手、エドワーズは9番手。しかし午後のセッションではタイムを短縮するライバルに両選手ともついていけず、順位を落としロッシが7位、エドワーズが11位でこの日の走行を終えた。

土曜日は、セットアップに残された極めて重要な一日となったが、進歩は見せるものの、グリッド最前列を狙えるまでの成果を挙げることができなかった。この日のロッシは、マシンのフロントエンドにかかる強力な力をバランスさせることで、ソフトな予選用タイヤを履くことによるリアのグリップ性の変化が症状を悪化させていた。ロッシは予選11位に留まり、決勝グリッド4列目からスタートすることになった。エドワーズはさらに深刻で、問題の原因を突き止めることができず15位と低迷した。ポールポジションは2戦連続でペドロサだった。

ストーナーが負傷で不出場となったため、両選手ともグリッドをそれぞれ1つ繰り上げての決勝。朝のウォームアップ走行でマシンに変更を施したロッシは、スタート直後のオープニングラップに4人のライダーを抜いて幸先の良いスターを切る。その後ロバーツと玉田をそれぞれ4周目と9周目にかわしたロッシは、さらにヘイデン、ペドロサ、そしてメランドリで構成されるトップグループに迫る。そして13周目、ロッシは隆起の険しい丘のふもと部分のコーナーから最終二つ手前のコーナーへ続くブレーキングで素晴らしい走りをみせ、一気に3人のライダーすべて抜き去りトップへ。昼頃の気温が観戦に心地良い20度となったこの日、集まった94,000人のファンの喝采を浴びながら終盤へと突入する。

残り3周に入るところでメランドリは第1コーナーへの突っ込みでロッシのイン側に切り込み、タイトなラインをキープ。ロッシはメランドリの後方に下がるが、次の周にはメランドリを再びパスしてトップへ浮上する。

そして迎えた最終ラップ、メランドリはダウンヒルの直前、高速で左右にスイッチするコーナーで大胆な動きに出る。しかし、ロッシはラインを保ってイン側をキープ、一方メランドリはアウトにふくらみ、ミスなく続くヘイデンのアタックに受けるがイン側を守り、トップの4選手は順位を変えないままゴールへ向けて丘を駆け上がる。

3年前、ここでS・ジベルナウにわずか0.060秒差で討ち負かされた記憶が鮮明に残るロッシは、その後のコーナーを完璧なラインで走行。そのためメランドリはアウト側にラインをとらざるを得ず、コーナー出口でワイドにふくらみ、逆に後方のライバルたちを警戒せざるを得なくなる。これでロッシが逃げ切り優勝。0.145秒差でメランドリ、3位ヘイデン、4位ペドロサでフィニッシュした。30周のレースを終えてこの四人の差はわずか0.307秒だった。

ロッシは予選の厳しい状況から抜け出すことができたが、エドワーズは朝のウォームアップ走行でも良好なセットアップを見出すことができず、11位にとどまった。決勝でT・エリアス(ホンダ)とバトルを展開したエドワーズは、残り2周でエリアスの先行を許し、12位でゴールした。

ダンロップタイヤを履くチェカは、7位争いを展開するも、C・バーミューレン(スズキ)とS・ジベルナウ(ドゥカティ)にわずか0.389秒差の9位でゴールした。それでもチェカはロッシとの差17秒。レース中のベストラップ1分23秒097はペドロサが記録したレース中の最速ラップとわずか0.424秒差でしかなかった。チェカのチームメイト、エリソンはハンドリングのトラブルにより13位となったが、貴重なポイントを獲得した。

RESULT

順位 ライダー チーム マシン タイム
1 V・ロッシ Camel Yamaha Team Yamaha 41'59.248
2 M・メランドリ Fortuna Honda Honda 0.145
3 N・ヘイデン Repsol Honda Team Honda 0.266
4 D・ペドロサ Repsol Honda Team Honda 0.307
5 L・カピロッシ Ducati Marlboro Team Ducati 8.764
6 中野 真矢 Kawasaki Racing Team Kawasaki 9.147
7 C・バーミューレン Rizla Suzuki MotoGP Suzuki 16.608
8 S・ジベルナウ Ducati Marlboro Team Ducati 16.648
9 C・チェカ Tech 3 Yamaha Team Yamaha 17.097
10 J・ホプキンス Rizla Suzuki MotoGP Suzuki 17.786
11 T・エリアス Fortuna Honda Honda 27.425
12 C・エドワーズ Camel Yamaha Team Yamaha 29.308
13 J・エリソン Tech 3 Yamaha Team Yamaha 1'02.029
14 J・ルイス・カルドソ Pramac d’Antin MotoGP Ducati 1'19.997

RIDERS RANKING

順位 ライダー マシン ポイント
1 N・ヘイデン Honda 169
2 V・ロッシ Yamaha 143
3 D・ペドロサ Honda 140
4 M・メランドリ Honda 134
5 L・カピロッシ Ducati 118
6 C・ストーナー Honda 91
7 C・エドワーズ Yamaha 77
15 C・チェカ Yamaha 44
17 J・エリソン Yamaha 17

CONSTRUCTORS RANKING

順位 コンストラクター ポイント
1 Honda 221
2 Yamaha 172
3 Ducati 127
4 Suzuki 81
5 Kawasaki 71
6 KR211V 66

COMMENT

V・ロッシ選手談(優勝))

「信じられないようなレース! まず最初に僕はYZR-M1に謝らなければならないよ。だって昨晩僕は、初めて彼女を疑ってしまったんだから! でも彼女は今回もやっぱり誠意を見せてくれた。このことではジェレミーをはじめチームのみんなに心から感謝している。

昨晩までは、優勝できるなどとはとても考えられなかった。ところが今朝のウォームアップと、決勝スタート前に変更を行ったら僕のYZR-M1は、嘘のように軽やかになったんだ。またミシュランとの協同作業もうまくいった。スタート直後からリズムが良く、これなら優勝を狙っていけると思えた。トップに上がってからは、ライバルよりもコンマ2秒から3秒速いだろうと思っていたが、逃げるには足りなくて、ペドロサ、ヘイデン、メランドリとバトルになった。終盤のメランドリは本当に強かったけれど、最終コーナーでは幸い僕がいいラインを取ることができた。先週はここドイツのワールドカップでイタリアが優勝した。そして今回は僕。ドイツは僕らにとってとてもいい国だね!」

C・エドワーズ選手談(12位)

「とにかく遅かった、それだけだ。チームのみんなは本当に良く頑張ってくれたけれど、僕は結局最後までマシンをうまく走らせることができず、ペースをつかめなかった。バレンティーノも同じような状況になると思ったが、またも奇跡を起こした。彼の奇跡は、もう700回目くらいになるんじゃないの? 偉大な世界チャンピオンには、ただただ脱帽だ。

今朝のウォームアップでいくつかの変更を行ったが、気持ち良く走ることができなかったのできのうのセッティングに戻した。これも決して理想的なものじゃないことはわかっていたが、他に方法がなかったんだ。最初の数ラップはまずまずだったが、エリアスをパスするのに手間取る間に大きく離されてしまい、その後はただマシンをコース上にキープするだけで精一杯。最後まで走りきることしかできなかった」

D・ブリビオ、キャメル・ヤマハ・チーム監督談

「バレンティーノは信じられないようなことをやってのけた。まさにファンタスティックと言うほかない! これはチャンピオンシップのことを考えてもとても重要な勝利になったが、それよりもこのような形で優勝できたということが心理的に非常に大きなプラスになるだろう。この勝利はエンジニア、チームそしてバレンティーノの努力の賜物。何事も最後まであきらめない、素晴らしい集団だ。我々は常に勝利を目指して戦っており、今日はバレンティーノがそれを可能にしたということだ。一方、コーリンのほうは難しい状況から抜け出すことができなかった。次は彼のホームGPなのできっと復活してくれるだろう」

C・チェカ選手談(9位)

「僕らにとっては非常に良い成績だ。とてもうれしいよ。ウイナーとの差は今シーズンで最も小さくなった。決勝中は少しチャターの問題も出ていて、後半はエンジンが何かおかしくなっていたなかで、ここまでできたのだから良かったと思う。でもマシンは基本的に非常に安定していてスピードもあった。シーズン初戦では、トップとの差が59秒あった。それが今は17秒まで縮まって、周囲のライダーとバトルもできるようになった。これは非常に大きな進歩だと思う。本当に満足しているよ。
タイヤに関しては、プラクティス中に選んだものを使って成功した。これからはヤマハに協力してもらってチャターの問題とエンジンを改善していきたい。またシャシーのほうでは、ファクトリーチームも悩んでいるようだから、これもやはりさらなる改善が必要になるだろう。これはヤマハ共通の問題だと思う。使用しているタイヤは違うのに同じ問題が出ているので、皆で協力し合って対処していければいいと思う。この4戦でつかんだ手応えをこの後もさらに確実なものにしていきたいんだ」

J・エリソン選手談(13位)

「ハッピーと言いたいところだけれど、現実はそれとはほど遠い。レースの間中、ひどいチャタリングに悩まされた。バイク全体のバランスは本当に素晴らしいのに、コーナーではチャターが出てしまうためスピードに乗って飛び込むことができず下がってしまうんだ。タイヤは良く働いてくれたけれど、思うようなスピードが出ず思うようなタイムも出なかった。スタートの時点ではコーリンや他のライダーが見えていて、10周くらいは近くにいたけれど、チャターが始まって、それがだんだんひどくなって、どんどん離されてしまった。その後は最後まで走り切ることだけ考えていた。それができたこと、そしてポイントを取れたことは良かったけれど、それ以外はがっかりだ。

カルロスは経験豊富だから、チャターのことについても彼と話してみた。彼が言うには、速度を保ったままコーナーに進入すればチャターがひどくなるのだから、進入前に目一杯ブレーキングをしてスピードを落としてから飛び込めばいいとのことだ。この方法に何とか慣れていかなければならないだろう。僕がどれほど、状況を改善しペースを上げたいと思っているか、言葉では説明しきれない。次のラグナセカでは一つでもいいので手応えをつかみたい」

H・ポンシャラル、テック3ヤマハ・チーム監督談

「全体的に見ればとてもいいウイークだったし、シーズン中最高のウイークだと言ってもいい。カルロスがこれまでで最もトップに近い17秒差まで来たのだから。またタイヤは本当に安定していて性能と耐久性には自信が持てるようになった。レース終盤でスズキ+ブリヂストンのホプキンスを抑えて走ることができた。そしてバーミューレンを捕らえようとトライしたが、それには少し遅すぎたようだ。7位獲得の可能性は十分だっただけに残念だったが、これは我々の確かな成長を証明してくれていることなのだから良かったと思う。

またエドワーズよりも12秒速くチェッカーを受けた事実も我々にとっては励みになる。でもバレンティーノのこととなると、これはもう別の惑星の話になってしまう。いずれにしても決勝でヤマハ2番手、予選でヤマハ2番手、ウォームアップではヤマハトップになれたことはチームの全員が喜んでいる。このことはヤマハとダンロップのコンビネーションがここザクセンリンクではしっかりと実を結んだことを証明している。そしてこれからもさらに前進していけると信じている。サマーブレイク前にもう一戦あるが、このペースをキープし、もう一度トップ10位以内に入りたいと考えている。ジェームスのほうは着実に走り、しかもコーリンから大きく離されていないのだから、とても良かったと思う。両ライダーがポイントを獲得し、チームランキングは上がっているので満足」

辻幸一談(ヤマハ発動機モトGPグループ)

「予選までは、マシンのセッティングがまったく決まらず、ヤマハ勢は苦戦を強いられると思われましたが、朝のウォームアップで試したセッティングがうまく決まったことで方向性が明らかとなり、さらに良くすべく決勝の直前までセッティングの改良を試みました。決勝は、ロッシ選手は10番手グリッドながらスタート直後に7番手。その後はセッティングも決まったことでコンスタントに前車をパスすることができ、最後は見事な優勝を飾ってくれました。コーリン選手は、最後までセッティングが決まらず苦しいレースとなりましたが、12位でチェッカー。テック3・ヤマハ・チームのチェカ選手は、きのうからさらにセッティングが進んだことで、9位でフィニッシュ。エリソン選手も13位でフィニッシュできました。ランキングではロッシ選手がトップのヘイデン選手に26ポイント差まで詰めたことで、チャンピオンが完全に射程距離内に入ってきました。次節は来週、アメリカはラグナセカでのレースとなります。昨年ヤマハ勢は2位、3位と調子も良かったため、皆さんご期待ください。これからも変らぬご支援、ご声援をお願いします」

※予選9番手のストーナー選手が怪我により決勝を欠場したため、予選10番手以降のライダーについては、スターティンググリッドが繰り上げとなっている。

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