全日本モトクロス選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本モトクロス選手権 IAに関する情報をお届けします。
Rd.06 7月24日 東北
RACE DATA
■大会名称:2016全日本モトクロス選手権第6戦東北大会
■カテゴリ:IA1/IA2
■開催日:2016年7月24日(日)
■会場:藤沢スポーツランド(岩手県)
■レース時間:(30分+1周)×2ヒート
REPORT
2016シーズンの中盤までを締めくくる、全日本モトクロス選手権・第6戦東北大会が、スポーツランド藤沢(岩手県)で開催された。しかし、「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」からIA1に参戦している平田優が、本人の都合により本大会を欠場。また三原拓也選手は、第4戦SUGO大会で負傷した怪我の治療に専念するため、引き続き今大会も欠場となった。
一方IA2は、若手ライダーの育成を担うである「YAMALUBE RACING TEAM」の渡辺祐介が、これまで積み上げてきたものを結実させ、ライバルたちを抑え、第2ヒートでおよそ3年ぶりとなる優勝、さらに総合優勝を達成。また第4戦SUGO大会から4連勝と絶好調の岡野聖(フライングドルフィン サンセイ)も第2ヒートで2位を獲得。残り3戦での活躍を期待させる結果で長いサマーブレイクに入る。
IA2:渡辺が2位/優勝で今季初の総合優勝を獲得
岡野は、第2ヒートで2位表彰台
開幕戦から着実な進歩を遂げてきた渡辺祐介選手。課題であったスタートの精度を高め、マシンを自分のものにしてタイムを短縮し、上位に入り、上位へそして表彰台を獲得してきた。ライバルだけでなく、暑さが敵となるこの夏場に入ると、継続的に鍛え上げてきたフィジカルもライバルに対抗する武器となった。さらに、昨年、好成績を残している得意な東北大会が会場ということで、目指すべき優勝への条件が揃った状況で、今大会を迎えた。
第1ヒートは、これまでのように後方から追い上げるレースではなく、好スタートから上位で1・2コーナーをクリア。1周目を終えて3番手と、絶好のポジションをつかむ。レース前半は、古賀太基(ホンダ)、能塚智寛(ホンダ)がバトルする中、渡辺は後方から二人を見守る形でレースを進めるが、中盤に入ると渡辺も動く。ポイントリーダーの能塚をパスして2番手へ、さらに古賀のテールに張り付き、そのタイミングをうかがう。
目には見えない数々の小さな駆け引きと小競り合い... トップライダーの同士のバトルは激しく、渡辺は何度も仕掛け12周目、ついにトップへ。しかし、そう簡単にいかないのがIA2。今度は能塚が渡辺を追い上げ、バトルを展開。渡辺はラスト3周でかわされ2番手に後退するが、なんとか喰らい付くも、目標へは一歩およばず、2位でチェッカーとなった。
第4戦SUGO大会から4連勝中だった岡野聖は、好スタートを切るも、1周目、2番手走行中に転倒して29番手で2周目に入る。しかし、懸命の追い上げを見せて8位でチェッカーとなった。なお、優勝は能塚、3位は古賀。
第2ヒートは、「YAMALUBE RACING TEAM」が一つの目標を結実させる。それは鮮やかなスタートから始まった。渡辺がホールショット、岡野が2番手と、YZを駆る2人がスタートを制する。その後も強さは増していった。3番手以下には、これまで苦戦を強いられてきたライバルがズラリと並んだが、序盤のうちに2人の背後からライバルたちの姿は見えなくなった。
そして、渡辺と岡野の一騎打ちとなるが、地元、渡辺のペースが岡野を上回る。ゆっくりと、しかし確実にその差を拡大していくと終盤は渡辺が独走。2013年第5戦北海道大会の第2ヒート以来、およそ3年ぶり、自身4度目となる優勝をその手に収めた。さらに、岡野選手もポジションをキープし2位でフィニッシュ。YZがそのポテンシャルを証明するとともに、渡辺が、トップライダーとしてスタートを切るレースとなった。
レデイース:満身創痍の安原が3位表彰台
第5戦の神戸大会。公式練習で左肩を外し、その後のレースでホールショットから3位表彰を獲得するという偉業を成し遂げた安原さや(名阪レーシング)。しかしその後の診断で肩の骨折が判明し、さらに深刻な状況が明らかになった。ところが、第6戦東北大会に、姿を現した安原は、満身創痍の状態ながら、またしても偉業を達成して見せた。
スタートでは出遅れたかに見えたが、インのスペースをうまく突いて好位置を奪取すると、1周目を終えて3番手とし、多くの観客を驚かせる。その後は、ライバルたちの巻き返しに備えるように、激走を続けた安原は2番手へ浮上し、そのままポジションをキープする。迎えた最終ラップ、満身創痍の安原に、竹内優奈(ホンダ)が襲いかかると、かわされ悔しい3位となったが、それでも3戦連続となる表彰台を獲得し、残り3レースでの逆転に向けてポイントを積み重ねた。
なお、予選総合4番手と好調だった本田七海(TEAM KOH-Z)は、スタートの出遅れ6番手でレースを進めたが、終盤い順位を落として、7位でチェッカーとなった。
次回の第6戦近畿大会は、夏の長いインターバルを挟み、9月10・11日に、奈良県の名阪スポーツランドで開催される。
IA1 RESULT Heat.1
IA1 RESULT Heat.2
IA1 RIDERS RANKING
IA2 RESULT Heat.1
IA2 RESULT Heat.2
IA2 RIDERS RANKING
COMMENT
YAMALUBE RACING TEAM
渡辺祐介選手談(IA2:2位/優勝:総合優勝)
「優勝は、2013年の北海道以来。うれしさよりも、ホッとしましたね。第1ヒートは、難しいレースになりました。序盤は、古賀選手と能塚選手が、かなり激しくやりあっていたので、つかず離れずを念頭に走りました。僕がバトルに加わったのは11分が過ぎた頃。この時も互いにぶつかり合う激しいバトルでしたが、能塚選手、古賀選手をかわしてトップに立てました。でも、バトルの中で指を痛め、マシンの押さえが効かなかったのもありますが、能塚選手も速く抜かれてしまいました。第2ヒートは、落ち着いていこうと思っていましたが、スタートが完璧に決まって、プランが崩壊しました(笑)。ただ、後ろがペース配分がとてもうまい岡野さんだったので、すぐに岡野さんが諦めるくらい前半から飛ばす戦略に変更。それで少し離れたので、後は自分のタイムをきっちり守ることに専念しました。自分でも納得できる勝ち方だったと思います。チームにファンのみなさんをお待たせしてしまいましたが、ここまで支えてくれて本当に感謝しています。でも、これは始まり。勝ち続けることも難しいので、これに満足せず、名阪も優勝を狙ってガンガンいきます」
佐藤光幸監督談
「上出来、いや完璧なレースでした。第1ヒートは、指を痛めたこともありましたが、トップを走った経験が少ない渡辺選手と、何度も走っている能塚選手との差がでました。でも、このレースが終わった瞬間、簡単ではないことはわかっているのに、自然と次は勝てると感じました。こんなことは初めてですが、それだけの可能性を感じさせたレースだったのです。第2ヒートは、渡辺選手が期待にしっかり応えてくれましたね。優勝は3年振りですが、長いように感じますが、初めて彼を見た時のことを考えると、意外と早くここまで来たなと思いまいました。このシーズンも最初は本当に難しい状況で、チーム一丸となって一つずつ課題を削っていきました。マシン向上、タイムアップ、スタート... フィジカルも徹底的にやってきました。あと、渡辺選手に足りないのが気持ちでした。それも自信がついて、強い方へ変わっていきました。でも総合的にはまだまだ。喜んではいられません。これからが本当の勝負と思い、引き続き前進していきます」
フライングドルフィン サンセイ
岡野聖選手談(IA2:8位/2位:総合4位)
「2番手を走行中でした。原因はわからないのですが、フロントからスリップダウン。さらに、再スタートを試みたら、後続と接触してしまい、結果的に29番手で1周目を終えました。その後は挽回に徹しましたが、最初は走りも悪く強引に抜いていく感じで苦労しましたが、後半はタイムのい安定感も取り戻し、なんとか8位まで持っていけたという感じです。第2ヒートは、スタートが決まり渡辺選手の後方でしたが、彼も安定していなかったので、様子を見る作戦としました。でも、渡辺選手の方が僕より乗れていましたね。徐々に離され、無理して転ぶのもいやだったし、第1ヒートの順位も悪かったので、意図的に守りに入りました。SUGOから6連勝を狙っていただけに残念ですが、これもレース。切り替えて後半戦に臨みます」
名阪レーシング
安原さや選手談(レディース:3位)
「まさか3位に入れるとは。というのが正直なところでした。よくて10位のイメージでしたから。リタイアも覚悟していたし、もし攻めることができても8分くらい、それ以降は痺れがでて、グリップを握っていられない状態でした。それでも出場を決意したのは、やっぱりこれ以上ランキングを落としたくなかったからです。決勝は、スタートが決まった瞬間に、不安が一旦消去されましたね(笑)。やれるところまでやろうと。後半、竹内選手に抜かれましたが、あれが限界でした。でも自分でもよくやったと思います。第7戦までは、長いインターバルがありますが、診断をもう一度受け、問題なければ、乗り込みを続けます。名阪は地元、しっかりと戦いたいですからね」