スーパーバイク世界選手権 WSB
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどWSBに関する情報をお届けします。
Rd.11 10月1日 イタリア
RACE DATA
■大会名称:スーパーバイク世界選手権第11戦イタリア大会
■開催日:2006年10月1日(日)
■開催地:イタリア/イモラ(1周4.959km)
■観客数:86,500人
■天候:晴れ ■気温:28度
■周回数:21周(104.139km)×2
■PP:T・ベイリス(ドゥカティ/1分48秒804)
■FL:A・バロス(ホンダ/1分50秒266)
REPORT
A・ピットが第1レースで3位表彰台
ヤマハ・モーター・イタリアのA・ピットが第1レースで3位、第2レースで4位を獲得しランキング4位に浮上した。チームメイトの芳賀紀行はマシンセッティングに苦しみながらも4位と6位、ランキング2位獲得の可能性を残した。
第1レース、ピットがポールシッターのT・ベイリス(ドゥカティ)を2周目にパスしてトップに浮上。そのあと5周にわたってレースをリードしたが、コーナー立ち上がりでリアを大きく滑らせて5番手まで後退した。リアのグリップ不足に悩まされたピットだが、その後リズムを取り戻すと残り3ラップとなった19周目に3番手まで挽回。
一方の芳賀もリアグリップの問題に悩まされていた。オープニングラップを3番手で終えたものの、前を行くA・バロス(ホンダ)、J・トーズランド(ホンダ)を追っていくことができなかった。芳賀は自分のペースを守って慎重にラップを重ね、ゴールラインでベイリスをパスして4位を獲得した。
ピット、芳賀ともにわずかな調整を行なって第2レースに臨む。それが功を奏してかオープニングラップはベイリスに続いて2番手、3番手を確保。とくにピットは激しくベイリスを攻め立てたが、その後フロントのグリップに問題が出て、後方から追ってきたバロス、加賀山就臣(スズキ)に抜かれて4位。ベイリスがトップでゴールし、バロスと加賀山が続いた。芳賀はトーズランドの後ろの6位。
ヤマハ・モーター・フランスの阿部典史は9位と11位で12ポイントを獲得し、ランキングをひとつ上げて13位とした。チームメイトでワールド・スーパーバイク・ルーキーの中冨伸一は11位、12位と健闘。S・ジンバートはアッセンでの怪我が完治しないままの出場で、両レースリタイヤに終わった。
ベイリスは第1レース終了時点で2度目のタイトル獲得を決定。ランキング2位争いは依然として熾烈で、芳賀とトーズランドが2ポイント差。また今回でランキング4位に上がったピットはバロスに8ポイントリードしている。
RESULT Race.1
順位 | ライダー | 国籍 | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | A・バロス | BRA | Honda | 39'00.096 |
2 | J・トーズランド | GBR | Honda | 0'04.351 |
3 | A・ピット | AUS | Yamaha | 0'06.809 |
4 | 芳賀紀行 | JPN | Yamaha | 0'11.179 |
5 | T・ベイリス | AUS | Ducati | 0'11.537 |
6 | L・ランジー | ITA | Ducati | 0'20.974 |
7 | F・ニエト | ESP | Kawasaki | 0'23.055 |
8 | K・ムゲリッチ | AUS | Honda | 0'23.747 |
9 | 阿部典史 | JPN | Yamaha | 0'27.289 |
10 | R・ラコーニ | FRA | Kawasaki | 0'29.160 |
11 | 中冨伸一 | JPN | Yamaha | 0'30.792 |
12 | C・ウォーカー | GBR | Kawasaki | 0'32.104 |
13 | I・クレメンティ | ITA | Ducati | 0'38.537 |
14 | R・ロルフ | ITA | Ducati | 0'45.410 |
15 | J・ブルックス | AUS | Kawasaki | 0'48.494 |
RESULT Race.2
順位 | ライダー | 国籍 | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | T・ベイリス | AUS | Ducati | 38'57.069 |
2 | A・バロス | BRA | Honda | 0'01.413 |
3 | 加賀山 就臣 | JPN | Suzuki | 0'04.355 |
4 | A・ピット | AUS | Yamaha | 0'05.387 |
5 | J・トーズランド | GBR | Honda | 0'06.418 |
6 | 芳賀 紀行 | JPN | Yamaha | 0'09.615 |
7 | L・ランジー | ITA | Ducati | 0'12.429 |
8 | K・ムゲリッチ | AUS | Honda | 0'14.895 |
9 | T・コルサー | AUS | Suzuki | 0'19.708 |
10 | R・ラコーニ | FRA | Kawasaki | 0'20.577 |
11 | 阿部 典史 | JPN | Yamaha | 0'23.473 |
12 | 中冨 伸一 | JPN | Yamaha | 0'25.368 |
13 | F・ニエト | ESP | Kawasaki | 0'31.340 |
14 | C・ウォーカー | GBR | Kawasaki | 0'32.993 |
15 | R・ロルフ | ITA | Ducati | 0'41.830 |
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | T・ベイリス | Ducati | 393 |
2 | J・トーズランド | Honda | 295 |
3 | 芳賀 紀行 | Yamaha | 293 |
4 | A・ピット | Yamaha | 239 |
5 | A・バロス | Honda | 231 |
6 | T・コルサー | Suzuki | 218 |
13 | 阿 部典史 | Yamaha | 105 |
17 | 中冨 伸一 | Yamaha | 42 |
21 | S・ジンバート | Yamaha | 18 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Ducati | 412 |
2 | Honda | 373 |
3 | Yamaha | 368 |
4 | Suzuki | 336 |
5 | Kawasaki | 211 |
6 | Petronas | 19 |
COMMENT
A・ピット選手談(3位/4位)
「第2レースも表彰台に上れれば良かったんだけど、全体的にはとてもハッピー。第1レースではほんの数周でリアがグリップしなくなってしまったが、ひどいスライドを起したあとは自分のリズムを取り戻すことができて順調に表彰台までたどり着くことができた。
第2レースではほんの少し変更を加えて、フロントにより多くの荷重がかかるように調整した。これでかなり良くなって第1レースよりも長く好調を維持できたが、燃料が減ってくると今度はフロントをプッシュしてしまうようになったんだ。加賀山は何度かミスをしていたのでパスできると思っていたが、終盤頃にはフロントタイヤを消耗してしまったのでリスクをおかすことはできなかった。このコースは僕らのマシンに合っているほうではないが、そこでまずまずの成績を挙げ、ランキングも4位に上げることができた。初日の金曜日はかなり苦しんだが、チームが頑張ってくれてここまでくることができた。彼らに表彰台をプレゼントできたことがとても嬉しいよ」
芳賀紀行選手談(4位/6位)
「終わってみれば、それほどひどい結果じゃない。ウイーク中ずっとマシンのフィーリングが良くなかったので、決勝も苦労することになってしまった。両レースともにスタートはとてもうまくいったので、そのあと2、3周は上位を走ることができた。でも終盤になると、ただポイントのために走るしかなくなっていたんだ。10年前なら優勝を狙うばかりに無理をしてクラッシュしていただろうが、今は頭を使えるようになったからチャンピオンシップのことを考えるようになった。トーズランドとの差は2ポイントだから次のマニクールでの挽回は可能だ」
阿部典史選手談(9位/11位)
「第1レースは大勢が転倒。だから順位もその分上がっていることになる。9位になれたのはラッキーだ。リアグリップに問題があって、スライドがひどくてマシンの挙動が激しかった。第2レースの前にセッティングのこまかいところを少し変更すると、ラップタイムが上がったのでマシンの状況も少し良くなったのだろう。でもスライドは依然として、いたるところで起きていたんだ」
中冨伸一選手談(11位/12位)
「予選グリッドの22位からスタート。それから何人か抜いた。金曜日の時点から考えると、ラップタイムもポジションもかなり上がったことになる。第2レースは阿部選手に1.8秒差、またファステストラップは全21ラップ中の19ラップ目に出ているので、初めてのサーキットとしては大きな前進ができたと思う」
M・メレガリ、ヤマハモーターイタリア・WSB・チーム監督談
「もちろん勝ちたかったが、タイヤの耐久性に悩んでいたなかでは本当によく頑張ったと思う。アンドリューはとても良い走りを見せてくれてランキング4位に浮上。紀行はウイーク中ずっといくつかの問題を抱えていたが、クラッシュしないように賢明に走りきり貴重なポイントを取ってきてくれた。ふたりがトップ4に入っているという素晴らしい状況で最終戦のマニクールを迎えるわけだが、目標は非常にはっきりしている。紀行はランキング2位獲得、アンドリューは4位をキープすることだ」
M・ガルシア、ヤマハモーター・フランス・チーム監督談
「9位がひとつ、11位がふたつ、12位がひとつ。全体としては良い成績だ。非常に難しくて路面状況も悪いこのコースで、ふたりはプライベイターのなかではトップに立った。だからいろいろな意味で喜べることなんだ。アッセン、ボルドールで怪我をしたセバスチャンは全力を尽くしてくれたが、残念ながらリタイヤせざるを得なかった。阿部はランキング13位、そして中冨は、非常にレベルの高いこのクラス参戦1年目で17位につけている。今は、セバスチャンが最終戦までに少しでも良くなって、本来の能力を見せてくれることを望んでいる」