スーパーバイク世界選手権 WSB
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどWSBに関する情報をお届けします。
Rd.09 9月3日 オランダ
RACE DATA
■大会名称:スーパーバイク世界選手権第9戦オランダ大会
■開催日:2006年9月3日(日)
■開催地:オランダ、/アッセン(1周4.555km)
■観客数:61,000人
■周回数:22周(100.21km)×2
■天候:雨 ■気温:22度
■PP:T・コルサー(スズキ/1分38秒965)
■FL:T・ベイリス(ドゥカティ/1分40秒767)
REPORT
YZF-R1のピットが両レース2位表彰台獲得!
ヤマハモーターイタリアのA・ピットが両レース2位と大活躍。これでランキングは4位に浮上した。一方、チームメイトの芳賀紀行は両レースでリタイヤに終わりランキング3位に後退、明暗を分ける形となった。
第1レースはウエットコンディション。このコンディションでの走行は朝のウォームアップで15分ほど行っただけだったため、マシンセッティングは出場者全員にとって賭けのようなものとなっていた。
予選2位の位置からスタートした芳賀は1周目を終えた時点で4番手。その前方にはランキングトップのT・ベイリス(ドゥカティ)、T・コルサー(スズキ)、加賀山就臣(スズキ)の3台が走っている。ウエットにもかかわらずレースは接近戦となり、芳賀は6周目、ブレーキングで果敢に攻め込みトップに浮上した。その後芳賀のライバルたちは次々にクラッシュして戦線を離脱。芳賀は独走態勢となり、18秒遅れてチームメイトのピットが2位で続く格好となった。ところが13ラップ目、芳賀もまたクラッシュを喫してリタイヤを余儀なくされた。
代わってトップに立ったのがピット。1周目は7番手と出遅れていたピットは難しいコンディションと、たびたび提示されるイエローフラッグのためなかなかポジションを上げることができなかったが、我慢の走りを続けてついにはトップへ。その後はコンディションの悪化もあり慎重な走りを続けていたが、15周目のシケイン進入でC・ウォーカー(カワサキ)にかわされ2位となった。
第2レースはドライ・コンディションで行なわれたが、芳賀はまたもリタイヤすることとなってしまった。スタート直後に他車と接触しながらもトップで1コーナーに飛び込んだ芳賀。ところがここでまたも接触し、コルサー、J・トーズランド(ホンダ)とともにコースアウト。これでベイリスがトップに立ち、ピットと加賀山が続く展開となり、ベイリスが今季10勝目、ピットが2位を獲得し、3位にはF・ニエト(カワサキ)が入った。
ヤマハモーター・フランスの阿部典史は第1レースで5位獲得と健闘。安定した走りで前車をパスし、徐々に順位を上げていった阿部。最終コーナーでニエトにパスされたため、今季のベストリザルトである4位には届かなかった。またチームメイトの中冨伸一は13位で3ポイントを獲得。S・ジンバートは10周目に転倒、負傷して第2レースを欠場した。阿部と中冨も第2レースはグリップ不足のためにリタイヤした。
シリーズポイントではベイリスがトーズランドを100ポイント離してトップ。芳賀はトーズランドを2ポイント差で追う。今回40ポイントを獲得したピットは、ランキングを2つ上げて4位。
RESULT Race.1
順位 | ライダー | 国籍 | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・ウォーカー | GBR | Kawasaki | 44'23.501 |
2 | A・ピット | AUS | Yamaha | 0'4.965 |
3 | M・ファブリツィオ | ITA | Honda | 0'24.130 |
4 | F・ニエト | ESP | Kawasaki | 0'36.968 |
5 | 阿部 典史 | JPN | Yamaha | 0'37.178 |
6 | M・ネオキルシュナー | GER | Suzuki | 0'37.324 |
7 | L・ランジー | ITA | Ducati | 0'40.930 |
8 | R・ロルフ | ITA | Ducati | 0'41.857 |
9 | K・ムゲリッチ | AUS | Honda | 0'53.382 |
10 | J・トーズランド | GBR | Honda | 0'55.869 |
11 | I・クレメンティ | ITA | Ducati | 1'39.835 |
12 | S・マーチン | AUS | Petronas | 1'59.724 |
13 | 中冨 伸一 | JPN | Yamaha | -1 Laps |
14 | H・バンビーク | NED | Suzuki | -1 Laps |
15 | V・イアンツィオ | ITA | Suzuki | -5 Laps |
RESULT Race.2
順位 | ライダー | 国籍 | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | T・ベイリス | AUS | Ducati | 40'0.000 |
2 | A・ピット | AUS | Yamaha | 0'9.342 |
3 | F・ニエト | ESP | Kawasaki | 0'11.648 |
4 | 加賀山 就臣 | JPN | Suzuki | 0'12.743 |
5 | R・チャウス | ESP | Ducati | 0'12.811 |
6 | L・ランジー | ITA | Ducati | 0'19.845 |
7 | A・バロス | BRA | Honda | 0'29.241 |
8 | R・ラコーニ | FRA | Kawasaki | 0'34.085 |
9 | J・トーズランド | GBR | Honda | 0'42.113 |
10 | M・ファブリツィオ | ITA | Honda | 0'51.815 |
11 | S・マーチン | AUS | Petronas | 0'53.608 |
12 | R・ロルフ | ITA | Ducati | 0'56.132 |
13 | K・ムゲリッチ | AUS | Honda | 0'57.168 |
14 | C・ウォーカー | GBR | Kawasaki | 1'1.056 |
15 | J・ブルックス | AUS | Kawasaki | 1'34.429 |
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | T・ベイリス | Ducati | 332 |
2 | J・トーズランド | Honda | 232 |
3 | 芳賀 紀行 | Yamaha | 230 |
4 | A・ピット | Yamaha | 197 |
5 | T・コルサー | Suzuki | 193 |
6 | A・バロス | Honda | 175 |
13 | 阿部 典史 | Yamaha | 88 |
17 | 中冨 伸一 | Yamaha | 32 |
20 | S・ジンバート | Yamaha | 18 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Ducati | 351 |
2 | Yamaha | 299 |
3 | Honda | 292 |
4 | Suzuki | 282 |
5 | Kawasaki | 181 |
6 | Petronas | 13 |
COMMENT
A・ピット選手談(2位/2位)
「第2レースのほうは、前半を終えたくらいのところですでに勝てる気がしていたんだ。でも終盤でフロントタイヤを消耗してしまい2位キープで行くしかなかった。でも今日の結果には非常に満足で、こんなに素晴らしいバイクを作り上げてくれたチームに心から感謝している。第1レースでクリスに抜かれたときは、そのあともついて行こうとしたんだけど、やはり2位を確実にするほうが大切だと思った。ウェットでのグリップはとても良かったが、何ヶ所か信じられないくらいに滑りやすいところがあった。おそらく朝のウォームアップのときにオイルが漏れていたんだろう。だから思いきりプッシュできるところとできないところとをしっかりと判断しながら、なんとかゴールまでたどりつくことができた」
阿部典史選手談(5位/リタイヤ)
「第1レースはあまりペースが良くなかったが、運の良かったことには前のほうで大勢がクラッシュした。第2レースのほうはスタートもうまくいって好調だったが、その後グリップがうまくいかなくて徐々に後退してしまった。ポイント圏外になってしまい、そのまま続けても危険なばかりだったのでその後リタイヤを決意した」
中冨伸一選手談(13位/リタイヤ)
「難しいレースだった。第1レースのコンディションは大変で、そのなかで完走してポイントが取れたことは嬉しい。第2レースはリアグリップに問題が出てしまったんだけれど、おそらくサスペンションのセッティングの加減でタイヤを早く消耗させてしまったのだろう。結局、リタイヤせざるを得なかった」
芳賀紀行選手談
「大勢が転倒した、最悪の日。ウォームアップで転倒してしまったため第1レースはスペアマシンで走らなければならなかった。フィーリングは良かったが、フロントが何の前触れもなく切れ込んだ。第2レースは好スタートをして1コーナーでトップに立つことが出来たのに残念。誰かがぶつかってきてトーズランド、コルサーと一緒にコースアウトしてしまったんだ」
S・ジンバート選手談
「背中を傷めてしまった。でも病院で診察してもらったら骨折はなかったのでひと安心だ。もうすぐボルドールがあるので一日も早く治したいんだ」
M・メレガリ、ヤマハモーターイタリア・WSB・チーム監督談
「明暗を分ける一戦だった。ノリは第1レースで25ポイント獲得のチャンスを逃し、第2レースはノックアウトされてしまった。しかしその一方で、アンドリューはふたつとも素晴らしいレースをした。誰よりも多くのポイントを獲得し、ランキングをふたつも上げた。彼のこの活躍でコンストラクター・ランキングも2位に浮上している。マシンの好調とチームの方向性の正しさを証明してくれたことになるので非常に良かったと思う。次のラウシッツリンクはこの間テストを行ない手応えを得ているので楽しみだ」
M・ガルシア、ヤマハモーター・フランス・チーム監督談
「好調にスタートして、最悪の状態で終了した。何ともクレイジーな一日だ。最大の問題はジンバートのけが。骨折はなかったとのことだが、今の状況ではボルドールを優先して次回のドイツは欠場することになるだろう。阿部のほうは第1レースはとても良かったが、第2レースはタイヤチョイスを間違えてしまった。タイヤが完全に壊れてしまったような感じ。あんな状態は今までに見たことがない。彼が履いたのは200。中冨は小さいものを使用したにもかかわらず同じような問題が出た。ソフトもハードもすべてだめだったということだ。おそらくサスペンションの調整がうまくいっていなかったのだろう」